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末期がんの平均在宅期間は1ケ月半

2017年11月21日(火)

きらめきプラスの12月号の連載は、「末期がんの在宅医療」について書いた。→こちら
平均在宅期間はわずか1ケ月半なので、本当にアッという間に終わってしまう。
最短なら1日以内の症例もあれば、1年に及ぶこともあり、様々ではあるが。
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5年前に母親が亡くなったため現在87歳になる父親と二人で生活している
山形在住の男性(61歳・独身 自営業)からの質問です。

【質問】
私の父は肺癌末期のため8月から市内の病院に入院しています。入院当初、身体の衰弱も激しく、抗がん剤治療なども出来ないため、担当の医師からは覚悟しておくようにと告げられましたが、入院から2カ月経った今も父親は意識もしっかりして落ち着いている状態です。先週、面倒な患者と思われそうで怖かったのですが、いつも家が一番と言っていた父のためにも自宅で介護しようと思い、担当の医師に相談したところ、「あなたには無理だよ。大変だから止めた方がいい」と言われてしまいました。その上、突然に病院から決まりがあるそうで年内には転院をするよう言われました。急な話なのでびっくりしています。近くに地域包括支援センターがあるので相談してみようと考えていますが、病院が言うようにやはり家族や兄弟もいない私がひとりで父親をみることは難しいことなのでしょうか?先生が以前ひとりだけで親を介護している人のことをお話ししていたと思いますが、何かアドバイスをいただけないでしょうか。よろしくお願いいたします。

 
【回答】
私の周辺でもよくある話です。あなただけでなく同様な想いをしている人が全国各地にたくさんいるかと想像します。在宅介護を一蹴した医師はがん患者さんの在宅介護を見たことがないのでしょうか。あるいは自宅で肺がんの緩和医療を受けるというイメージがまったく湧かないのでしょうか。多くの勤務医や地域連携センターのスタッフは同じように言われます。あるいは立派な施設ホスピス医のなかにも「肺がんの在宅ケアは難しいから無理」と公言される人がいて困っています。
 
拙書「平穏死・10の条件」や「痛くない死に方」などで詳しく述べたように、がんという病気はもっとも在宅での平穏死が叶う病態です。終末期以降は過剰な点滴をせずに緩和ケアをしっかり行えば穏やかな最期を迎えることができます。2年前に京都で開催された日本肺癌学会でそのような講演をしました。肺癌は最も在宅看取りに向いている病態であると。いくつかのテレビ番組で放映されたリアルな映像も観て頂きながらです。肺がんの在宅平穏死には酸素も吸引器も不要であることも述べました。ただし書籍でも述べたように徐々に枯れていること(自然な脱水を容認)が条件です。残念ながら多くの病院では枯れていくのを看守ることができずに過剰な点滴を入れてしまうので患者さんは痰や咳でとても苦しみます。強い呼吸困難を訴えると、酸素吸入や吸引が必要と判断されたり「鎮静」となることも病院では普通なようです。いずれも過剰な輸液が原因なのですが、肺がんのせいだと思っているようです。私自身の在宅経験ではそのような肺癌症例は皆無でした。
 
私は、独居の末期がん患者さんを普通に在宅で最期まで診ています。なにも起こりません。しかし病院の医師には、これもなかなか信じてもらえません。だから多くの書籍を書いたり求められるままメデイアで発信をしているのですが。平穏死は紛れもない事実で独居でもまったく問題ないのですが、病院のスタッフになかなか信じてもらえないのが悩みです。
 
末期がんの平均在宅期間はわずか1.5ケ月です。だから思い立ったら吉日ではありませんが、早く行動に移したほうがいいでしょう。本当にアッという間であるのが末期がんの在宅療養です。もし介護者がサラリーマンの場合、介護休暇のなかに収まります。
 
私たちは訪問看護師やケアマネを中心とした「在宅ケアチーム」で看取りまでお世話をします。チームは同一法人内とは限りません。それぞれの地域でICTによる連携をとりながら、「○○ネット」のようなケアチームを組んで在宅療養を最期まで支えている例は全国各地にたくさんあります。がん以外の病態の場合は、在宅療養の鍵となるのは医者よりも、訪問看護師とケアマネかもしれません。しかし地方都市や田舎では在宅医や訪問看護ステーションの選択肢も限られています。だからある種の「運」もあるかもしれません。これだけザイタク、ザイタクと連呼されていますが、まだまだ在宅医療に従事する医師や看護師は不充分です。
 
一方、在宅緩和ケアのスキルに劣る在宅医が存在するのも事実です。私もこれまで美談ばかりを書き過ぎたのかもしれません。決して意識したわけではありませんがあまり失敗談は書いてこなかったような気もします。美談を鵜呑みにしたばかりに、大橋巨泉さんの例ではありませんが「現実は期待と大きく異なっていた!」というクレームが全国各地の読者から寄せられます。大切な在宅医選びについては、11月中旬に発刊される「週刊朝日ムック、おうちで最期まで診てくれるいいお医者さん」を是非参考にしてください。不肖私が監修・解説をしています。
 
貴方の場合、本人の希望と家族が一致していますから問題ありません。家族が一人だけの場合、在宅療養における意思決定には好条件となります。多くの場合、本人の希望と家族のそれは一致しません。真反対であることもよくあります。あるいは家族間で意見がバラバラだったりもします。在宅療養における種々の意思決定の鍵は日本においては本人より家族が握っているので、貴方の場合はまずはその点がクリアーできています。
 
参考までにさらに条件がいいのは、「生涯無縁の独居者」です。私は末期がんや認知症を抱えたそのような人を何人か最期まで診てきました。しかしなんの問題もありませんでした。正真正銘の平穏死でした。家族が全くいないということは決して悪いことではなく在宅側にとっては最高の条件なのです。医療者だけでなく、ケアマネもヘルパーも伸び伸びと仕事ができます。
 
もちろんヘルパーと訪問看護師らが1日3~4回訪問して看守り体制を作ります。だからがんや認知症を抱えた天涯孤独のおひとり様でも最期まで自宅で暮らすことができるのです。あるいは神経難病で人工呼吸器をつけた親をフルタイムの仕事をしながら自宅で看ている人も何人かおられます。医療依存度が非常に高い昼間独居のケースでも何年も在宅療養を続けています。
 
認知症や神経難病は年単位の長丁場になります。一方、末期がんの平均在宅期間はたった1.5ケ月です。だから貴方の希望を頭ごなしに無理と決めつけることに疑問を感じます。貴方は自営業ですから時間的にはある程度は融通が効くでしょうし、なんの問題も無いのではと思います。但し、在宅医の技量と貴方との相性がとても大切です。
 
今、「独居高齢者の増加」という課題がにつきつけられています。2017年10月21日に神戸市で「独居高齢者の在宅看取りはどこまで可能か」という全国フォーラムが開催されました。私が大会長を務めましたが、独居高齢者の在宅看取りは決して難しくないことを全国の仲間たちと確認しあいました。一方、病院の医療者や地域連携室のスタッフのみなさんはこうした現実をあまり知りません。ですから今後数年間は啓発を続ける必要があります。こうした町造りに全国の自治体が医師会と手を組む時代なのです。
 
以上を参考にしてできるだけお近くでいい在宅医を探してください。そしてやってみてダメならまた病院に戻ればいい。あるいはショートステイと自宅を行ったり来たりでも構わない。大上段に構えずにそう割り切って始められてはどうでしょうか。「やりながら考える」で全然いいのでは思います。
 

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