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在宅医療に移行する前の在宅尊厳死

2017年11月26日(日)

午前中は、施設入所者を初回往診して御家族と多剤投薬の減薬。
午後は、尊厳死協会関西支部理事会に続いてミニレクチャーだ。
夕刻は、尊厳死協会の元理事さんを偲ぶ会でみんなで会食した。

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そのダンデイーで優しい先輩が、78歳で旅立たれてはや3ケ月経過した。
膵臓がんと闘っておられることは聞いていたが、訃報が届いたのは11月。

急遽、遺影を掲げてながら、御家族も来て頂き、故人を偲んだ。
生前には知らなかったことや闘病の詳細を聞くことができ感動。


その先輩は、膵臓がんの診断までは病院に入院したが、末期と分かってからは、
自宅のすぐ横にできたばかりのクリニックに「通院」していたという。

日本尊厳死協会のリビングウイルに加えて、オーダーメイドのリビングウイル
を書いて、自宅横の若いドクターに渡して、時々、通院していたという。

・何があっても絶対に入院しない。
・必ず看取ってくだください、等。→

第一印象で、性格が気に入ったという。
誠実で優しいことがピンと来たという。

少しずつ食べる量が減り、痩せていったが、痛みや苦痛は無く、
亡くなる3日前は自宅の庭掃除をしていたという。

2日前に下血してさらに弱ったので、車椅子でそのドクターを受診。
そのドクターは強く入院を勧めたが、本人は入院には、頑固だった。

そのドクターは、在宅医療をしたこともなく、死亡診断書も書いたことが無かった。
しかし下血して2日後の夜、自宅で息を引き取った時には、家に来てくれたという。

丁度翌日に介護ベッドを搬入する予定になっていたが結局、搬入の前に旅立った。
亡くなる当日の朝も車椅子で通院して、1時間前まで普通に会話していたという。

結局、痛みは最期の2日間だけだったが、カロナールとボルタレン座薬のみで対処できた。
そのドクターはおそらく医療用麻薬を使ったことが無いのでモルヒネも処方されていない。

以上をまとめると
・寝込んだのは最期の2日間のみで、ベッドも不要だった
・「死の壁」はあったが、カロナールとボル座のみで対応
・最期まで会話可能で口から氷のようなものを食べていた
・隣の普通の開業医が生まれて最初の死亡診断書を書いた
・在宅医療ではなく、看取りの時の往診1回のみ
・ピンピンコロリであるが、急死ではなく本人も家族も覚悟していた
・覚悟できなかったのは隣のドクターのみ

完璧な尊厳死である。

なぜそんなことが可能だったのか。
私なりにいくつかのポイントを上げたい

1)リビングウイルをしっかり書いて主治医にも渡していた
2)先祖もみな在宅尊厳死なので家族もそれを理解していた
3)死の壁に際して家族は慌てなかった(医者は慌てた)
4)経験は少ない主治医だったが、「地縁」と「信頼関係」があった
5)誰も救急車を呼ばす、隣の医者は誰かに聞きながら死亡診断書を書いた
6)そもそも末期がんだったからだ。がんの在宅尊厳死はピンピンコロリ型


念じれば叶う、ではないが、その先輩は尊厳死協会で勉強したことをすべて実行された。
イザという時にも家族も覚悟ができていたので慌てなかった。

在宅医療ではない、外来通院による在宅看取り。
理想的な最期であったことを聞きながら生前の想い出話しに盛り上がった。

会が終わりかけたとき、3年前に旅立った人の奥さんから偶然電話がかかってきた。
今日、ある医学部でその時の看取りの話を3時間もしてきたことを報告してくれた。

今夜偲んだ人の家のすぐそばで3年前の家族が医学部で医療者に尊厳死の話をした。
なんともシンクロするにが、在宅看取りの不思議な点で、死後も関係性が続くのだ。

3年前に亡くなったt人は、飲み屋さんをやっていたので、死ぬ1週間前に店で一緒に飲んだ。
飲むと言っても舐める程度だが得意のピアノを弾いて、私のためにラーメンを作ったあとの死。


尊厳死、平穏死、自然死。

緩和ケア、ACP、地域包括ケア。

そんな言葉をよく知らなくても、末期がんであれば、最期まで食べて笑って話して
そんなに苦しむこともなく住み慣れた自宅で、生活の中で眠るように死ぬことができる。

介護ベッドも酸素も点滴もモルヒネも在宅医も無くても、家で「痛くない死に方」ができる。

ただし、ひとつだけ必要なものがある。

それは本人の強い想いと家族の理解だけ。
それをリビングウイルという。

医者が無知・無力であっても念じれば、なんとか通じる。
そんなこと大先輩と御家族が、あらためて教えてくれた。


しかし・・・

そんな美談に騙された・・・ という人もいる。

「そんな美談どおりにいかなかったよ。ほんとかいな。」
「とっても苦しんだけど、どうしてくれる!」という苦情も全国の読者から時々届く。

なかには、簡単には許してくれない読者もいて、PTSDに悩んでおられる。
「在宅医療なんて、やんなきゃ良かった」という泣き声が今も聞こえてくる。

だから、美談ではなく、リアルな在宅医療の本を書いている。
12月20日発売なので、今、必死の追い込みの最中にいる。

週刊朝日ムック「さいごまで自宅で診てくれるいいお医者さん」と併せて読んで欲しい。
その本のタイトルは、「痛い在宅医」と決まった。

在宅医療の負の側面を書いた本邦初の本である。
咋年末に出てベストセラーとなった「痛くない死に方」とも併せて読んで欲しい。


PS)
もう一冊「男の孤独死」も追い込みの真っ最中。
12月20日の2冊同時発売を楽しみにしてね!


















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