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酸素物語

2017年12月05日(火)

死にゆく人に「せめて酸素でも」と思うのが人情なのか。
最近の介護施設は、終末期の人に酸素吸入を行うようだ。
しかし酸素を巡って大騒ぎになることがある。
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たとえば、慢性的に誤嚥性肺炎を起こしている人が、ショートステイ中に
38度台の発熱をして施設看護師が酸素飽和度を測定したら70%だった。


慌てて、施設の看護師さんが酸素5リットルを開始したものの、
酸素飽和度がぜんぜん上がらない!という悲鳴が入ってきた。


いまどきの介護施設には酸素も設置されていされているが
家にはそんなもん無いし、業者に頼まないといけないなあ。


家族にはお看取りの話を何度もしているので落ち着いているが、施設側は
ハチの巣をつついたような大騒ぎで、救急搬送をしようとしたので止めた。

家族は救急搬送を明確に拒否し
帰宅を希望した。

しかし看護師は「酸素が無いと死んでしまうので帰せない」と。
私は、「そもそも酸素の適応が無いし、寿命と関係無いよ」と。

在宅酸素の適応は、死にゆく人全て、ではない。

・COPD
・慢性心不全
・著しい呼吸困難

でもその人は、
・これらの適応でもないし
・そもそも呼吸困難を訴えていないし
・そもそも酸素吸入を希望していないし・・・


家に酸素を入れるのは電話を1本入れるだけだから簡単だが、
そもそも適応の無い在宅酸素は、当局から厳しく罰せられる。

しかし施設側は「酸素、酸素、それも沢山!」と譲らない。
私は「酸素なんて要らないけど」と家族に丁寧に説明した。

施設側はなかなか帰してくれないので、家族も疑心暗鬼になっていく。
「もしかしたら施設の言うとおりかも」という不安が大きくなってくる。

とうとう訪問看護師も根負けしたのか、「酸素が無いと帰れません」と。
しかし私は「要らないものは要らないから、帰っておいで」と説明した。

「死んでもええやん。仕方がないやん。酸素が無いから死ぬんとちゃうで。
 酸素で生きているわけではないから、気にせんと帰っておいで」と説明。

すったもんだで、2時間が経過。

電話やメールが交錯。

結局、「酸素無し」に家族が同意してき帰宅した。
家族は自宅での看取りに拘っていた。

施設側には「ここから先は何があっても長尾の責任やから」と説明。
やっとのことで、脱出させて頂いた。

夜遅く往診した。
どうなったのか。

すると結構元気に話して、酸素飽和度は酸素無しで95%に回復。
大きな声でちゃんと話ができるので、ひと安心というか拍子抜け。

まあ、またどうなるかは分からんけど小康状態を得た。
「少なくとも酸素は不要」に100%納得してくれた。

こんな「酸素物語」に振り回される日々。

みなさんそんなに酸素を吸いたいのかなあ?
病院や施設では多くの人が酸素を吸っているが、在宅ではほぼゼロだ。

私自身は、もし患者だったら、酸素の管がイヤな人種だ。
だから酸素無しで、病院以外で人知れず死んでいきたい。

この世に無ければいいのになあ、と思うもの。

それは酸素濃度を測る機械と終末期の酸素吸入器。

しかし介護職員が酸素濃度をバンバン測るのが「現代介護」。
そんな我儘を言っても、「ボケ医者」と笑われるだけやろな。


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この記事へのコメント

読みながら笑ってしまった。
「死んでもええやん。仕方がないやん。酸素が無いから死ぬんとちゃうで。」なんて言える医者は・・・長尾先生だけかも。

Posted by 匿名 at 2017年12月06日 01:25 | 返信

酸素を吸わせないと死んでしまうと言う盲信を、持つ人が多い。医者の中にも少なくないと思う。
私は、研修医時代に酸素の過剰投与は、危険だと言うことを学んだ。
一つは、COPDの方々。酸素飽和度は、70%前後だった方が多い。この場合でも酸素投与は慎重に行った。
初期投与は、0.25〜0.5Lだった。多くても1Lだった。COPDの場合、2Lを超えた酸素投与は、CO2ナルコーシスを起こして、死の危険があるのです。これを知らない医療関係者は多い。
私も在宅でHOTを導入していた方で、酷い喘息発作を起こされた方がいた。台風通過で誘発され、それまで起こしたことが無い重度の発作だった。CO2は、120mmHg位あり完璧なCO2ナルコーシスであった。本人が苦しい為ドンドン酸素量を増やしてしまったのが原因。在宅では対応が困難な為、病院への入院を手配し家族に進めたが、直ぐ決断できず患者は虫の息!搬送も危険だし、病院側でも受け入れを嫌がる状態になってしまった。私は、患者の死を意識した。私に出来る事は、手持ちのメイロンを全て注射する事だけだった。20mlアンプルを数本静注して、経過を見てもらった。回復するとは思っていなかったが、2〜3時間後再度訪問すると、患者は何事も無かった様な元気な姿でいた。台風も通過した為喘息の発作も収まっていた。このケースは、5L型の高用量のHOTを導入した私のミスである。この時の様な重度の喘息発作を起こしたことが無い方だったので、油断していたのである。現在COPDなどの閉塞性障害があるケースでは、HITは2L型を導入する様にしている。
もう一つは、救急救命センターで仕事をしていた時に学んだ。そこで酸素投与が危険な事を、叩き込まれたのである。ココでは、酸素吸入を行なっている患者全員で、朝・夕血液ガス分析を行なっていた。酸素ガス分圧が120mmHgを超えない様に、酸素投与量を調節する為である。酸素の過剰投与が、ARDSなどの死に繋がる重度の肺疾患の原因になるからである。酸素ガス分圧が120mmHgと言うのは、酸素飽和度で言えば 97%と言う数字になる。酸素飽和度が97%と言うのは、酸素ガス分圧でいうと100〜600mmHgとされ、血液ガス分圧を測定しないと 、正確な ガス分圧を確認出来ないとされている。
酸素飽和度で言えば、酸素投与中は96%以下にしなければ行けない。酸素療法が必要なのは、酸素ガス分圧が60mmHg未満とされている。酸素投与により60mmHgを越える事が目標である。酸素飽和度で言えば、90%である。酸素投与を行なった場合、酸素飽和度で言えば92%あれば十分なのである。97%以上にしては行けないのである。これを知らない人が多すぎる。
酸素療法の目的は、二つある。一つは、患者の苦痛を和らげる為である。呼吸困難から救う為である。もう一つは、重度の低酸素血症が長時間続くと、臓器障害が起こる事がある。脳血管障害の場合は、後遺症を抑制する為である。心疾患では、長時間にの低酸素で心筋の 収縮力が落ちていくのを防ぐ為である。
この事を理解していれば、酸素療法を急ぐ必要が無い事を理解出来ると思う。

Posted by 小関 洋 at 2017年12月06日 03:53 | 返信

先生、おはようございます
日々のお仕事、本当にご苦労様です。

記事を見て思わず笑ってしまいました 笑。
大きな施設などの職員は危機が揃っているだけに
そうなるものなのでしょうかね。
私の所はそんな器具は一切ありませんので
目で見た事がすべてであり
五感をフル活用し終末期を支えます。

穏やかな老衰を迎える方の
【近くに住む医療職の親戚】が言いました。
『こんなパイピングもない所で本当に大丈夫なの?』
お言葉返すようですが、穏やかな老衰を迎え
穏やかに枯れてゆく人間に
酸素が必要ですか?
(あくまでも老衰の話しです)
この小さくなった顔に
細くなった呼吸の音もかき消される
10リッターの酸素が必要だと
本当にお思いですか?
今必要なのは、酸素ではなく
手を握ってその時を待つ
穏やかな時間ではないでしょうか。

、、、と、喉まで出かかりましたが
飲み込みました。
ご家族は納得してくれていたので。
先生がボケ医者なら
私はボケケアマネでしょうね。。。笑

Posted by AI at 2017年12月06日 05:52 | 返信

「血中酸素濃度」なるもの、測った経験がない。
素潜り記録のある女性が、医師監視のもとプールで6分以上潜り、
酸素濃度が54%まで下がっても、平気だった。
日本のシンクロ選手でも、5、6分は潜れるという。
ロシアのシンクロ金メダリストたちは、脾臓に酸素をため込んでいるとか。
でなければ、あれだけの運動量をこなせないだろう。
長時間潜水できる海中哺乳類も、脾臓が特異だという。
高地低酸素下のトレーニングは、心肺機能だけでなく、脾臓機能にも
なにがしかの好循環を生んでいるのだろう。
ヒマラヤの「仙人」は、かすみを栄養即エネ転しているのかもしれない。
年寄りの心肺機能も、脾臓機能も、ミトコンドリアの力を借りて
いい塩梅に鍛えたいものです。

Posted by 鍵山いさお at 2017年12月06日 03:12 | 返信

私には複数の子供がいて、産院、民間大病院、大学病院で出産経験がある。
大学病院で、それが「きまり」だったのか、出産時に私に酸素マスクを取り付け、それが物凄く息苦しく、自分で取り外したら、「赤ちゃんも苦しいよ」と看護師に言われ、無理やり取り付けられてしまった。私はこっそりわからないように外して、隙間から外の空気を入れるようにして呼吸をしました。

酸素マスク、普通の人がつけるとどうなるか、医師や看護師はやってみるといいと思います。

この記事とは関係ないとは思いましたが酸素吸入については思うところありますのでかきました。

Posted by とくめい at 2017年12月07日 08:10 | 返信

国立介護学院で、施設勤務の介護士さんや、長尾先生がよく「エスピーオツが、...。」と仰っていたのは、この血中酸素飽和度の事なんですか?
なかなか、難しいですね。
小関洋先生のご自分の失敗例も、惜しげもなくご紹介下さって、難解ですけど、凄い中身の濃いレクチャーですね。

Posted by 匿名 at 2017年12月07日 11:01 | 返信

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