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「こんなはずじゃなかった」在宅医療の理想と現実

2018年01月12日(金)

月刊公論の新年号は、「こんなはずじゃなかった」ー 国策としての
在宅医療の理想と現実 ー というタイトルで、書かせて頂いた。→こちら
美談だらけの中に敢えてリアルを描いてみたのだが・・・

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公論1月号   国策としての在宅医療 ー理想と現実ー
        「こんなはずじゃなかった」
 
大橋巨泉さんは例外ではない
 
 2025年問題とは、団塊の世代が全員後期高齢者になる年である。しかし多死社会のピークは2040年頃になると予想されている。こうした見通しから2000年に介護保険制度が創設され、国策としての在宅医療が推進されてきた。在宅医療=安上がり医療と理解している人が多いようだが、在宅現場に身をおいていると必ずしもそうとは限らない。たとえば人工呼吸器を装着したALS(筋委縮性側索硬化症)患者の在宅療養の場合、療養病床に長期入院したほうがずっと安い。国は単に経済的事情だけで在宅医療推進を勧めているわけではない。病気や障害があってもその人らしい生活が続けられるように、つまり人間の尊厳を重視した政策であることを忘れてはならない。そんな中、人生の最終段階を自宅で迎える有名人も増えてきた。愛川欣也さんや日野原重明さんのような高齢者だけでなく、黒木奈々さんや小林麻央さん(どちらも享年34歳)のような若い人も自宅で最期を迎えている。なかでも小林麻央さんは最期の1ケ月の在宅療養の様子を自らのブログで公開して世界中の人が注目した。

 一方、大橋巨泉さんのケースのように亡くなった後に在宅医の資質についてご家族がクレームを申し立てるケースも散見する。NHKのクローズアップ現代は巨泉さんが受けた在宅医療の検証を行い、在宅医の質を問うた。実は私のもとにも同様な相談が持ち込まれる立場にいるが巨泉さんの例は決して例外ではない。
 
 
在宅医もいろいろ

 「誰でも在宅医になれるの?」。よくそんな質問を受ける。答えは「そう。どんな医者でもやれますよ」。開業医はもちろん、200床未満の中小病院も在宅療養支援病院としての届け出をすれば在宅医療を提供することができる。また大病院でも往診料を算定しないで再診療だけで、つまり半分ボランテイアで在宅医療を提供しているところもある。いずれにせよ、在宅医療を行う上で医師免許以外に特に資格は必要無い。指定された研修を終えれば最短で卒後3年目で在宅専門クリニックを開業もできるくらいハードルは低い。ではどんな専門分野の医師が多いか。私の印象では外科や整形外科や麻酔科などの外科系の医師が積極的であるようだ。実は私も実は2年間外科と麻酔科の研修を受けているので外科系の血が少し流れている。現在は本心では「なんでも診る科」である。

さらに私のように外来診療の合間に在宅医療も行う「ミックス型診療所」が大半である。しかし都市部では在宅医療に特化した、いわゆる「在宅専門クリニック」も増えている。医師会加入率が低いことから、両者の関係性が良くない地域もある。さらに病態に特化している施設もある。がん専門、認知症専門、神経難病専門、小児在宅専門などだ。またミックス型診療所が掲げている診療科目は内科や外科や整形外科だけでではなく泌尿器科や眼科や耳鼻科や皮膚科などの医師も続々と参入している。以上のように在宅医療を提供する医師も医療機関も医師会や医学会との関係性も実に様々である。「玉石混合」という非難もある。
 
 
 
いい在宅医の探し方
 
 「どうすればよい在宅医を探せるのか?」という質問をよく受ける。私は第一に「地縁」を挙げたい。自宅とクリニックが近ければ近いほど患者も医師もお互いに良い。そして2番目には「相性」を挙げたい。医者の性格も千差万別なので恋愛と同じでお互いの相性が良くないと幸せな在宅医療にはならない。万人に合う在宅医なんてあり得ない。マスコミで名医として登場していても、ある患者さんにのってはヤブ医者であることもある。結婚相手選びと同様に、在宅医選びには「相性」も考えないといけない。「応召義務」という法律のため医者は患者を選べないが、患者は医者を自由に選べる。選び放題です。在宅医選びには、私が監修した週刊朝日ムック「さいごまで自宅で診てくれるいいお医者さん」(980円)を是非参照して欲しい。

 よく「病院が紹介してくれたから第一印象が悪くても断れない」という声を聞く。病院側は、主に地理的な因子と医療依存度を考慮して在宅医を推薦する。しかし初対面で「相性」の判断は患者さんは遠慮しない方がいい。相性がいいとほど結果的に在宅医療の満足度が高まる。
 
 
近著「痛い在宅医」にこめた想い

 在宅医療は医師の訪問診療と往診が基本形である。在宅療養支援診療所には365日24時間対応が義務づけられているが電話対応で済むことが多い。「なぜ医師がすぐ来ないのか」と怒る人がいるが、仮に毎日そのまま深夜にも往診をしていたらすぐに過労死する。国が定める「24時間365日対応」の「対応」とは、直接的ないし間接的に医師に電話連絡がつく状態のことだ。私の場合は「24時間365日」私に直接電話がつながるが、クリニックによっては、訪問看護師や事務員が最初に電話を受けている。電話を受けて駆けつけた看護師からの報告で「おかしい!」と思ったら、深夜でも「往診」しなければならない。もし深夜帯に亡くなった場合には朝一番の往診になることを事前に取り決めている場合もある。しかし「すごく苦しんでいる!」という電話を受けたらそう対応すべきか。本人と家族に本当に寄りそえているのか。

 以上のような想いから咋年末に「痛い在宅医」(ブックマン社)という本を上梓した。在宅医療に関して美談本ばかり書き過ぎた。しかし理想と現実のギャプが時に大きい。そして何が「痛い」のか、どうすれば満足度が高まるのか。本書を肴に医療・介護者と市民が本音で話し合うきかっけになれば幸いである。

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「痛い在宅医」と「男の孤独死」はさっそく増刷になった。
また韓国と台湾で、翻訳本が出ることが早々に決まった。

台湾版は、台湾在宅医学会理事長の余先生が
帯を書いてくれる、とのご連絡を昨日受けた。


今夜は、内閣府の唐澤さんの「地方創生」の話を拝聴。
いろいろ質問したが、キーワードは「交流」であった。
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この記事へのコメント

結婚相手選びと同様に、在宅医選びには「相性」も考えないといけない。「応召義務」という法律のため医者は患者を選べないが、患者は医者を自由に選べる。選び放題です。
・・・本気でそう思ってるなら、長尾先生も市井の民の感覚からかけ離れた象牙の塔の住人です。それとも、もう呆けましたか?

セカンドオピニオンを得ることさえ、現在の主治医に隠れてコソコソやらざるを得ないのが現実。お医者さんはお偉いですからね。
特に在宅医というのは訪問エリアが決められているのですよ。狭い範囲で、在宅医を選び放題、であるハズがないでしょう?

たとえ何軒かの在宅医が営業しているエリアであっても、医者の世界は「ツーカー」ですよ。「え? なんで医者変えたいの? 理由は?」と、根掘り葉掘り聞かれますよ。
まあ、一度だけ診察を受けた程度なら、黙っていれば、現時点では前医との契約は次の医者には知れないかもしれません。しかし、しばらくの間、在宅医契約を結んでいれば、前医の紹介状なしに次の医者へ変われないでしょう?

医者は選び放題、なんてウソ情報を宣伝する前に、医者世界の「紹介状制度」を撤廃してくださいよ。
医者は歯医者でさえ、「なぜ前医でなくウチに来るのか」を知りたいのです。たとえば日曜日もやってるから、とか、「こちらの先生の評判がいいから(ウソ)」とか、あたりさわりない正当な理由なら引き受けるのですよ。
在宅訪問診療医師を変えるなんて、不満があるからに決まってるわけで、そういった不満を話すと、医者は必ず患者が悪いように言う。なぜなら、自分も後ろめたいから。
後ろめたいところがない医者なんかいないでしょう?

Posted by 匿名 at 2018年01月13日 12:54 | 返信

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