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人生の最終段階GL、11年ぶり改訂

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2018年03月17日(土)

人生の最終段階ガイドライン(GL)が、11年ぶりに、改訂された。
目玉となるACPについて、新聞各社は繰り返し詳しく報じている。
リビングウイルが意図的に隠ぺいされている事に気がついて欲しい。
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人生の最終段階GLを改訂、厚労省


ACPの取り組みを強調

 厚生労働省は3月14日、患者さん本人の延命治療に対する意思決定を確認する手続きなどを盛り込んだ「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」の改訂版を公表しました。ガイドラインは、地域包括ケアシステムの構築を踏まえて、病院での対応のみならず、在宅医療や介護の現場での活用を想定して策定されました。アドバンス・ケア・プランニング(ACP:これからの治療・ケアに関する話し合い)の概念を採用した点も、改訂の大きな特徴となっています。



医療・ケア方針、日頃からの話し合いを

 厚生労働省の「人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会」(座長=樋口範雄・武蔵野大学法学部教授)は5回の検討を踏まえ、「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」を取りまとめました。

 新ガイドラインは2007年5月に策定された「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」の改訂第2版です。最期まで本人の生き方を尊重した医療・ケアの提供が重要との考えから、前版で使われていた「終末期」という用語を改め、15年3月に「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」と名称を変更して活用されてきました。

 改訂版では、病院や在宅医療、介護のそれぞれの現場での活用が進むよう、医療・ケアチームの対象に介護従事者が含まれていることを明確化しました。また、ACPの取り組みが重要と強調し、心身状態により本人の意思が変化することを踏まえて、日頃からどのような生き方を望むかなど医療やケアの方針について繰り返し話し合うことを求めています。

 本人が意思を伝えられない状態となる前に、「本人の意思を推定する者」「信頼できる者(家族など)」を決めておくことや、独居の高齢者が増えることから信頼できる者の範囲を家族に限定せず、「家族など(親しい友人など)」に拡大しました。本人の意思はその都度文書としてまとめ、本人・家族などと医療・ケアチームで共有することが重要としました。

【本人の意思が確認できる場合】

▽本人と医療・ケアチームとの話し合いによる合意形成を踏まえた本人の意思決定を基本とし、多職種からなる医療・ケアチームで方針を決定する
▽本人が意思を伝えられない状態になる可能性があるため、家族などを含めて話し合いを繰り返して行うことも必要
▽話し合った内容は、その都度文章をまとめる

【本人の意思が確認出来ない場合】
▽家族などが本人の意思を推定できる場合は、その推定意思を尊重し、本人にとっての最善の方針をとる
▽家族などが本人の意思を推定出来ない場合、本人にとって何が最善か、本人に代わる者として家族などと十分に話し合い、本人にとっての最善の方針をとる
▽家族などがいない場合や家族などが医療・ケアチームの判断を委ねる場合は、本人にとっての最善の方法をとる
▽話し合った内容は、その都度文章をまとめる


方針決定が困難な場合は

 家族などの中で意見がまとまらなかったり、医療・ケアチームとの話し合いで妥当で適切な医療・ケアについて合意が得られなかったりすることもあります。改訂版では方針決定が困難な場合には、複数の専門家による話し合いの場を別に設けて、方針の検討や助言を行う必要があるとしました。

 4月の診療報酬改定では、訪問診療や訪問看護でのターミナルケアへの診療報酬の算定要件で、改訂版を踏まえた対応が求められています。

@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

今回のGLの膨大な資料を全部読んでみて欲しい。

リビングウイル(LW)という文字は見事に一切登場しないことが分かる。

・本人意思が明確な場合 → みんなでよく話し合おう
・明確でない場合 → 関係者でよく話し合おう

みんなで何度も話し合うことはとてもいいことだが、
本人意思が明確な場合、つまりLWの立ち位置には言及していない。

いや、実は意図的に隠ぺいされているのだ。
森友文章ではないが意図的に忖度されている。

何に忖度か。

・LWの法的担保の議論を避けるため
・日本弁護士会や日本宗教連盟や難病患者会の反対、への忖度である。


そもそもLWが法的担保されていない国は先進国では日本だけである。
しかしそうした事実を押し隠したまま、ACP一本で、乗り切ろうと。

こうした背景を知れば、
・日本救急医学会が「LWは悪で不要」と公言したり、
・政府(内閣府)が「LWは医師の訴訟リスクを増す」
などの、国際常識では信じられない愚行の裏側が理解できる。

ちなみに後者は半年前から行政裁判に入っている。


臨床現場でLWを有している人は2~3%だ。

しかし国や救急医学会は、それも「やめろ」と。
要は医者の言うことに従え、医者が主催する話し合いで決めろ、と。

まさに一見美談の陰にこのような忖度が入っていることを
指摘している人は、私が知る限り、この国に誰一人いない。

森友文書では無いが官僚の指示で意図的に「リビングウイル」
という文字が隠ぺいされているのが、政府の公式文書である。


一方、フランスでは、持続的な鎮静が合法化された。
 
http://jme.bmj.com/content/early/2017/10/22/medethics-2017-104484


僅差で安楽死が否決されているフランスは代替案として
持続的鎮静が認められたのだが、当然LWが前提である。

ああ、日本は終末期医療に関してはなんて恐ろしい国なんだろう。

本をいくら書けど、どくら講演しても
平穏死もリビングウイルも隠ぺいされる国。

ため息しか出ない。

こんな環境の中、これから「独居の看取りプロジェクト」の
まとめの会を完全クローズドで行うので、私は大忙しである。

もちろんその内容は、このブログで報告させて頂く予定。
メデイアは美談しか報じないが、私はリアルを伝えたい。


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posted by 長尾和宏 at 07:59 | Comment(2) | TrackBack(0)

この記事へのコメント

リビングウィルが意図的に隠ぺいされていることは、文章を読み解く力がないと気付けない…。
先生のブログや本、本当に勉強になります。


私は医療職ではありませんが、先生のブログや本を読んでいると、仕事でくじけそうになっても頑張れる気がしてきます。業種は違っても通ずる所は沢山あって「もうすこし頑張ってみよう」と前向きな気持ちになれます。


独居看取りのプロジェクトのまとめの会の内容も、ブログでご報告してくださる予定なのですね!心待にしています!


PS) 今日、玉置さんのコンサートに行きましたよ!玉置さんの歌、すばらしかったです!

Posted by 小梅ちゃん at 2018年03月17日 09:24 | 返信

行政用語であり、医療用語でもある、
「終末期」が、「人生の最終段階」に、修正されていたのですね。

「安楽死」論軌道修正の橋田寿賀子、「『終活』は必要ない」という。
三島由紀夫事件を批判、「大いなる和の国に、国軍はいらない」という美輪明宏、
「八九歳までは、死や老いを考えなくてよい。」
「世界のどこの『三人称の死』に関心ない。自分の死『一人称の死』は自分で分からない。
自分の死を考えることは無意味。」(養老孟司)
「長生きのコツは、部屋を汚くしておくこと。
死ぬに死ねない。養生せざるをえない。」(五木寛之)

「シューマツキ」、「ジンセイサイシューダンカイ」、「ジエンドオブライフ」。畳みかける医療側。
「終活不要」「明日死ぬとしても、今日するが養生」という光輝光麗者側。
「超えるに越えられぬ河」(野坂昭如)がある。

「人」をミるか、「病い」をミるか。
「認知症」診断の大家が、「認知症」に。ご本人のインタビューおもしろい。
ただ、「診断テスト」のテスト受験生としては、血圧、自律神経に危害を加えられているような苦役でした。
だれか、もっと楽しい診断基準・診断法に「修正」してほしいな。
「痴呆症」も「認知症」も、なんとか変えてほしい。

Posted by 鍵山いさお at 2018年03月20日 03:11 | 返信

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