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JR西日本とJR東海
2018年04月27日(金)
13年前の一昨日、尼崎で起きたJR福知山線の脱線事故を覚えているか。
私はあの日の街の雰囲気、ヘリコプターの騒音など、ハッキリ覚えている。
また偶然にも自分が尼崎市医師会内科医会の会長に就任した日でもあった。
私はあの日の街の雰囲気、ヘリコプターの騒音など、ハッキリ覚えている。
また偶然にも自分が尼崎市医師会内科医会の会長に就任した日でもあった。
JR福知山脱線事故は2005年4月25日午前9時18分に起きた。
あの日の朝は、よく晴れていた。
JR西日本の宝塚駅発同志社前駅行きの上り7両編成の快速列車が、
福知山線の塚口駅から尼崎駅間の半径304mの右曲線を走行中に、
先頭車両が左へ転倒するよう脱線し、続いて2~5両目が脱線した。
先頭車両は、線路東側のマンションに激突した・・・・
死者107名、負傷者562名。
運転士が車掌と総合指令所との会話に気が取られために、
ブレーキのタイミングが遅れて曲がりきれず脱線した、といわれている。
クリニックから車でわずか10分程度の場所だった。
あの日、街全体を綴んだ異様な空気を、私は未だに忘れられない。
救急車やヘリコプターの音の中、私は心中落ち着かないまま、
通常の診察しながら、受傷者の搬送を待った。
しかし結局、すべての方が病院に搬送された。
翌朝8時のテレビ中継で、真っ黒な人間が救出されている映像を見た。
まだ車内で生きている人がいたんだ……!
「最期の生存者」は事故後24時間後に救出された若い男性だった。
そしてなんと私の幼馴染の友人の息子さんであることを1週間後に知った。
僕が一番喧嘩したた幼馴染である。
その彼は今、頑張って生きている。
あの事故の教訓は、JRに今、どう生かされているのか?
それを実証する本が、発売された。
『軌道── 福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘い』
http://ur0.work/JKT6
(以下文春オンラインの記事より)
JR西を描くに当たっては、社内外で「天皇」と呼ばれた井手正敬氏を避けては通れ
ない。
なにしろ「井手商会」とささやかれるほど、彼の独裁的統治で急成長した企業だ。
そして井手氏を語る時に、1987年の国鉄分割・民営化に触れないことはあり得ない。
「戦後最大の行革」と言われる国鉄改革を組織内部から主導した、
彼こそが「総司令官」だったからだ。
福知山線事故直後に相談役を辞して以降、
裁判の法廷以外はほとんど公の場に
──面会を求め続けた遺族の前にも──姿を見せず、
数例を除いて肉声が報じられることもなかった井手氏が、
あの事故に対する見解をこれほど能弁かつ詳細に語ったのは、
初めてと言っていいのではないか
井手氏の福知山線事故に対する見方は、13年前の事故直後から寸分と変わっていない。
本に記した言葉を引けば、「完全に運転士のチョンボ。それ以外あり得ない」と考え
ており、同社の組織的・構造的問題が真の原因だったとする淺野氏や現在のJR西の
考えに対して、
「事故において会社の責任、組織の責任なんていうものはない。そんなのはまやかし
です。個人の責任を追及するしかないんですよ」と強く反論している。
事故は、緊張感や技量や意識の足りない未熟な者か、
会社に損害を与えようとする悪意ある者が起こすのであり、
これをなくすためにはミスを厳しく戒め、罰を与え、
改心させるしかないと彼は考えている。
「責任事故論」という。
国労や動労と激しく対立した国鉄時代の社員管理を引きずった、ひと昔前の思想のままだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・絶句するばかり。
尼崎で起きた前代未聞の事故の犠牲者の魂に報いるためには、
「安全」に対する考え方を根本から変えることしか無いはず。
尼崎では、全国初のことが沢山起きる。
・公害喘息
・アスベスト中皮腫
・休日夜間診療所
・メタボ検診・・・・
悪いことも、いいことも尼崎から改革。
これが5月11、12日の「尼崎発 認知症革命!」に込めた思いでもある。
もうひとつ、JRに関する本が同じタイミングで出た。
こちらはJR東海が起こした裁判。
『認知症鉄道事故裁判 ~閉じ込めなければ、罪ですか?』
https://bookman.co.jp/shop/health/9784893088970/
愛知県大府市で列車にはねられて死亡した認知症の男性(当時91歳)の遺族が
JR東海から約720万円の賠償を求められた裁判で、
家族に責任はないとした最高裁の逆転判決から約2年がたつ。
男性の長男、高井隆一さん(67)は裁判中は伏せていた実名を公表し、
家族総動員で取り組んだ7年の介護と、
その後6年に及ぶ裁判についてを記した手記を出版した。
もしこの裁判でJR東海が勝訴していたら……と思うと、
町医者としては身震いをしてしまう。
認知症の人≒人に危険を及ぼす存在。だから閉じ込めなければならない。
という間違った認識が、国家によって認められたということになりかねなかったから。
現に、この裁判の報道を見て多くの人が、それまで自宅で看ていた家族を、
「もし事故を起こして鉄道会社から訴えらたら…」と恐れをなして
施設に閉じ込めてしまったというのだから十分、JR東日本は罪深いことをしている。
しかしJR東海は、敗訴したこの裁判後も、以前と変わらず事故を起こした人の遺族に
請求書を送り続けているという。
そして、この高井隆一氏は、JR東海の関係者といまだ一度も会えていないという。
JR西日本もJR東海も、何も学んでいないのではないか。
この二冊の本に共通しているのは、JRの、大企業としての組織としての傲慢さだ。
その陰で、泣いている家族がたくさんいる。
この『認知症鉄道事故裁判』の高井隆一さんには、
5月11日に尼崎でお話をしてもらうことになっている。
もし認知症の家族が、鉄道事故に巻き込まれたら・・・
http://www.drnagao.com/lecture/lec_20180511_1.html
この裁判資料として、高井さんは、父親が認知症であったことを
近くのかかりつけ医に診断書を書いてもらい、提出した。
すると裁判所は、
「認知症専門医ではなく内科医が書いた診断書など意味がない。
専門医に連れて行かなかったこと自体、家族に介護の在り方に問題があった」
と判断を下したという。
このくだりを読んだとき、私は怒りに震えた。
認知症専門医の実態を知っていて、こんなことを言っているのか?
そもそも、国が謳う地域包括ケアを無視した発言ではないか?
とうてい看過できる発言ではない。
このあたりについても、5月11日にみなさまと議論したいと思う。

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この記事へのコメント
JR東海さんと JR西 JR東 さん山陽新幹線
私の知りうる範囲では技術的な温度差が少し
あるように思います。
答えになっているのか、いないのか
うまく表現でしてませんが。
保線区さんにもっとがんばってほしいです。
Posted by 尾崎 友宏 at 2018年04月27日 06:24 | 返信
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