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ケアマネと施設が推進する多重在宅
2018年05月02日(水)
この春から、一人の在宅患者さんに複数の医療機関が入ることが認められた。
そのせいか、行く先々でで、私の知らないうちに他科の医師が診療している。
誰が呼んだのか聞くと、ケアマネか施設、はたまな訪問看護師だという(悲)。
そのせいか、行く先々でで、私の知らないうちに他科の医師が診療している。
誰が呼んだのか聞くと、ケアマネか施設、はたまな訪問看護師だという(悲)。
「かかりつけ医」や「総合診療」や「プライマリケア」という言葉は
ケアマネや施設スタッフだけでなく、多くの訪問看護師も知らない。
彼らは、
床ずれ=皮膚科
腰痛=整形外科
瀕尿=泌尿器科
幻覚=精神科
痛み=ペインクリニック、であると信じているから厄介だ。
ケアマネや家族などが勝手に、他科に連れて行き、さまざなな治療を受ける。
それらはそんなことをしなくても私たちができるのだが、時すでに遅し。
行ってみたら、知らない間に多剤投与になっていたり、
見立てが違っていたり、治療方針や説明が違っている。
末期がんの患者さんなら、訪問看護師が勝手に薬剤師と連絡を取り
麻薬の処方や用法を変えていたりで、正直現場はカオス状態にある。
私はその医療機関を紹介もしていないし、診療情報提供もしていない。
しかし知らない間にコトが進み、もつれた糸を直してくれと言われる。
ケアマネは、「家族に頼まれて」と言い
家族は「ケアマネに勧められて」と言う。
他の医師たちが処方した大量の薬をどうしたらいいのかと聞かれても
私はそんな依頼もしていないし、処方もしていないので答えられない。
処方された薬は、処方医に責任がある。
そんな単純な原則をケアマネや施設スタッフは知らない。
介護側の人たちは、医療保険の原則をまったく知らない。
開業医は厳しい規則に従ってやっている事を知らずに
ただただフリーアクセスだと思い、勝手に使っている。
整形外科に行くと、必ず骨粗しょう症の注射を打たれる。
家族やケアマネはそれは整形外科でないとできない治療だと思っている。
一人の子供にそれを1時間かけて説明する。
すると2人目の子供が電話をかけてくるので、また30分間説明する。
毎日、多重受診の説明に多大な時間を費やしている。
こんなことばかりに時間を費すGWなど、情けない。
厚労省はこの春の改訂で多重在宅を正式に認めた。
でも、但し書きが抜けている、と私は思う。
「主治医が必要と思った時は診療情報提供書で依頼をすること」ではないか。
連携連携と言われるが、価値観が全く異なる多職種との連携は
時間がとられるどこか全てを破壊するので、時に致命的になる。
お役人さんの善意から出た政策なのだろうが、医療や制度の基礎知識が無い
ケアマネや介護系の人達が医療を壊して、そこにエネルギーを取られる事に。
「ああ、ケアマネさえ居なければ・・・」
またケアマネさんから攻撃を受けるのだろうが死にたくなる位のストレスの
発生源がケアマネさんであることは多いことは、私自身の率直な感情である。
ああ、ケアマネさんが居ない世界に行きたい・・・
ちゃんと勉強してくれている人なら連携できるがしていない人との連携は辛い。
そんな人たちは本も読まないし、勉強をしないので、通じるとことが全く無い。
私は連携が無い世界で在宅やりたい。
阿吽の呼吸だけでいい仲間とだけで。
私のことを信じて、私のスタッフを信じてくれる患者・家族だけと関わりたい。
しかしそんな我儘は、現実には無理なので、そろそろ退場かなあと、と諦める。
老兵は去るのみ。
レベルの低い在宅医療や介護はいつか必ず淘汰されるだろう。
もっと一生懸命に勉強している病院のスタッフに負けるはず。
在宅医療の質。
これを無視した連携など、あり得ない。
しかし実際には不勉強がはびこっている。
みんな、もっと勉強しろよ。
患者さんのために必死で勉強しろよ。
本を読めよ。
識者の講演を聞けよ。
緩和医療のイロハぐらい、自分でで学べよ。
できないのなら、僕の医学書でも読んでよ。
勉強する意欲がないものは在宅医療から去って欲しい。
このままでは、在宅医療=インチキ医療、のままだよ。
本気になろうよ、総合診療。
日野原先生に笑われるぞ!
:・:・
今日も、いい笑顔を診た。
まさに「死に顔ピース」。
ああ、2000年以前の時代に戻りたい。
この言葉を言ったら、もうおしまいだが。
あの時代は良かったが、報酬改訂のたびに在宅医療がやりにくくなる。
診療そのものは楽しくて仕方が無いが低レベルとの連携は本当に辛い。
医療政策が現場を苦しめる。
なんのための改訂なのか?
官僚は現場の意見をもっと聞かないと、改悪を繰り返すだけでは。
現場を知らない学者たちの机上の空論では患者は幸せになれない。
ああ、愚痴ばかりになった。
いやだ、いやだ。
こんな調子で、6月30日まで生きていられるのかな。
でも昨日の認知症フォーラムのように「今日が良ければすべて良し」か。
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この記事へのコメント
先生、お疲れさまです。そして本当に本当にありがとうございます。
Posted by みるく at 2018年05月02日 06:33 | 返信
いつもいつも考えさせられることばかりで、…。
「倒れてはいけません。」「頑張りすぎてもいけません。」
これからも情報・意見を発信されて下さい。
Posted by K-mira at 2018年05月02日 12:21 | 返信
長尾先生ご存知のように年寄りとの付き合いはやたら時間がかかる。
年寄りと意思疎通するのはタイヘンな時間と労力を必要とする。
そんなことをしているとお勉強できないからイイ学校へ入れない。
結果、成人までの成長過程で、年寄りと付き合ったことが無い、年寄りの実態を知らない人が官僚となって、文字面だけの机上の空論で高齢者政策を作っていく。
結果、現場を知らない官僚の作った政策が余計に現場を混乱させる。
高齢者政策にかかわる公務員には、最低半年間は、介護職員としての研修を課すべきだ。
Posted by 匿名 at 2018年05月02日 03:54 | 返信
いつも拝読しております。
先生、頑張らないでください。
つぶれてほしくないです。
Posted by ピンクナース at 2018年05月02日 07:38 | 返信
こういうケアマネさんは、きっと家族や他の事業所の皆さんに「あの人は、本当に苦労しながら利用者に尽くして偉い」と言われているんでしょうね。なんかね、主任ケアマネ、デイサービスの管理者、ヘルパーのサ責、50代の女性の活躍が目立つけど、なんでそんなに目だつ必要があるんだ??そんな人に限って学ぶ気がないし、どや顔で間違った知識をひけらかす。なんだかとっても滑稽です。わたしは、まだまだ新人ですが、この年齢になって学びたいことがたくさんあるって幸せだなーって思います。ゆっくり読書する時間はありませんが、長尾先生の本を少しづつ読んで学びます。
Posted by ふーちゃん at 2018年05月02日 11:27 | 返信
長尾先生がおっしゃることはごもっともです
なんですが…
このゴールデンウイーク中に 38度の熱発で困ってしまった利用社さまがいました
ゴールデンウイーク中の平日なのに 電話にでません
クリニックに出向くと 4月29日から5月6日まで休診と貼り紙がしてある
寝たきりの奥様で…
「救急車はいや!」とご本人は言う ご主人も言う
こんな時 どうしたらいいの?
実は 前々から こういう風になった時のために在宅専門医がいいよと勧めていたにも関わらず
現実に 起こってみて 慌てふためいてしまった
それでもルールはある
だけど 年老いた老夫婦の想いは受け止めたい
いつも助けてくださる在宅専門医の先生に連絡したら 単発で往診に来てくださいました
先生は「僕…怒られるよね」
いいことして 怒られるはない!
悪いのは 私です
なので 来週 早々に 土下座覚悟で主治医に謝罪してきます
利用者さまとご家族の安堵に顔に励まされます
Posted by 宮ちゃん at 2018年05月02日 11:37 | 返信
長尾先生、お疲れ様です。
そして、お願いです。どうぞ、いろいろ語りながら、しつこく生きていらして下さい。
近所に住んでいたら、若い頃から、診て頂きたかったです。
遥か遠くに住む、ある程度先の見えてる癌患者の私には、長尾先生の言葉と活動が「お薬」の一つです。
今は亡くなられた、癌患者であった「町医者」と名乗っていらした方は、「言葉の薬」というものもある。
使える医者と使えない医者がいるだけだと書かれていました。
その方は、最後まで、他の患者さんを励ましておられた様に思います。
その方の「薬」に励まされた方は、大勢おられる気がします。
長尾先生に励まされている人も大勢おられると思います。
Posted by 樫の木 at 2018年05月03日 08:11 | 返信
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