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小林麻央さん命日 最期の場に自宅を選んだ「平穏死」の必要性

2018年06月22日(金)

今日は、小林麻央さんの命日だ。
最期の場に自宅を選び「平穏死」の必要性を教えてくれた。
謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
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AERAにこの1月に行った講演が掲載されている。
YHOOニュースを観ていたら自分の写真も出てきて驚いた。→こちら


小林麻央さん命日 最期の場に自宅を選んだ「平穏死」の必要性

2017年6月22日に小林麻央さんが亡くなってから1年が経つ。幼い子どもたちや大切な家族、そして私たちにも多くのメッセージを残して旅立ったことは、いまもなお心に深く刻まれている。日本尊厳死協会副理事長で『「平穏死」10の条件』(ブックマン社)の著者、長尾和宏医師は今年1月、監修した週刊朝日ムック『さいごまで自宅で診てくれるいいお医者さん』(朝日新聞出版)の出版記念講演会で、小林麻央さんが自宅で平穏死を迎えた意義について語っていた。最期を自宅で迎えることとは――。講演の一部をお届けする。

【小林麻央さんが対談していたAERA連載記事】

*  *  *
 麻央さんは若い芸能人には珍しく在宅での平穏死でした。最期の場に在宅を選び、その自己決定を家族は最期まで支えました。麻央さんは亡くなる瞬間に海老蔵さんに「愛してると言って旅立った」といいます。会見で海老蔵さんが言ってましたね。

 しかし、この発言に対してある医療系サイトでは「そんなことあるわけない」という趣旨の発言が相次ぎました。ですが、私は事実だと思います。

 麻央さんと同様に小さな子どもがいる30代の乳がん女性を看取った経験が2例ありますが、死の直前まで訪問看護師や私と話していたので、(麻央さんについても)私は事実であると思います。

 亡くなる前日まで食べたり、直前まで会話ができることを知らない医師は、「平穏死」を見たことがないのかなと思います。要するにほとんどのお医者さんが平穏死を見たことがないのだと思います。

 彼女は自宅でまさに平穏死したんですね。だから、最期までしゃべっている。コミュニケーションしているんです。そして、最期まで食べていました。

 亡くなる直前の6月20日のブログには、

「ここ数日、絞ったオレンジジュースを毎朝飲んでいます。今、口内炎の痛さより、オレンジの甘酸っぱさが勝る最高な美味しさ!朝から 笑顔になれます。皆様にも、今日 笑顔になれることがありますように」

 と。これが、最後のメッセージになりました。在宅療養、そして平穏死では最期まで何かしら食べていることを広く知らしめてくれました。

では、平穏死とは一言で言ったらなんなのか。それは「枯れる」ということ。枯れていく最期なんですよ。

 人生とは水分含量の観点からいうと、水分がどんどん減っていくことです。生まれた時、赤ちゃんの水分は8割。成人は6割です。高齢者になると5割にまで減っていく。そして、平穏死寸前は4割くらいになる。

 枯れてしぼんで水分含量が少なくなってドライになる。医学的には脱水という言葉です。脱水と言うと悪い言葉のように思う人も多いと思います。急に暑くなって熱中症になって脱水になる、これはよくない。だけど、病気でがんの末期、認知症でも、脱水があったら実は平穏死。平穏死の条件は脱水なんですよね。脱水があると、苦痛が少ない。そして、かつ長生きします。

 良かれと思って、最期まで点滴をすると、ある時点から命を縮めてしまう。それどころか、苦しみ出す。

 平穏死の反対は、延命死です。最期に良かれと思って、点滴をたくさんすると患者さんを溺れさせてしまう。もう終末期なのに、高カロリー栄養の点滴をやっている人がいる。その結果、どうなるか。みんな溺れ死にです。

 私は年間100人ちょっとの人を看取りますけど、みんな平穏死ですね。みんな枯れてます。がんの場合でも痛みが少ない。咳やたんで悩まない。呼吸困難がない、かつ、長生きできる、いいことばっかりです。

 これはがんでも、認知症でも、心不全でもみんないっしょ。平穏死の概念は病気の種類を問いません。

 心臓も何十年も動いていたら弱ってきます。水分含量が少ないからゆっくり動いています。そこにドバーっと点滴をしたら、心臓はパンクしてしまいます。たったそれだけのことなんです。

 病院のご遺体はみんな重たい。みんなむくんでます。パンパン。家のご遺体はみんな軽い。むくんでません。きれいなお顔ですね。

 平穏死は、終末期以降は過剰な治療は控えて、緩和医療はしっかり受けて、あとにある自然な最期を迎えるということです。

◯長尾和宏/ながお・かずひろ
医師。医療法人社団裕和会理事長、長尾クリニック(兵庫県)院長、日本尊厳死協会副理事長。著書に『「平穏死」10の条件』『痛くない死に方』『薬のやめどき』

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