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CTでのがん見落とし「事件」
2018年06月27日(水)
胃カメラ、大腸カメラ、腹部エコー、CT等での見落としが報道されている。
マスコミや信者さんには、「いったいどっちやねん!」と問いたいところだ。
がん転移見落とし3年放置
兵庫県立病院のCT検査
兵庫県は22日、県立がんセンター(明石市)で子宮頸(けい)がん手術を受けた
神戸市の40代女性患者のコンピューター断層撮影装置(CT)の画像診断で肺への転移を見落とし、
今年4月まで3年間放置していたと発表した。肝臓への転移も見つかり、現在、通院治療している。
県によると、女性は2009年に子宮を全摘出し、15年4月まで毎年CT検査を受けていた。
最後の検査で肺に転移性のがんの疑いがある大きさ約7ミリの腫瘍が見つかり、放射線科医が電子カルテ上で指摘。
だが婦人科の40代男性主治医は、他の検査結果やCT画像から異常なしと判断し、カルテの確認を怠った。
17年4月の定期検査でがんに関する数値が一時的に上昇。今年4月にCT検査した結果、
約12ミリになっているのが見つかり、さらに5ミリ程度のがんが肺に2カ所見つかった。
その後の検査で肝臓にも約40ミリのがんがあることが分かった。
退職などを理由に主治医が2度交代。今年4月のCT検査まで転移に気付けなかった。
同センターでは15年6月にも、CT検査で60代女性の膵臓(すいぞう)がんを見落とすミスがあり、
安全対策を充実させるとしていた。今後、電子カルテに記載された放射線科医の所見を見逃さないような機能を検討する。
県は「より一層、再発防止に努める」とした。
CTの画像診断を巡る医療ミスは、千葉大病院が今月、がんの所見を見落とすなどして患者2人が死亡したと発表した。
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がん疑い、主治医に11件伝わらず=患者1人死亡
―横浜市立大2病院
時事通信社 →こちら
横浜市立大は25日、付属市民総合医療センター(同市南区)と付属病院(同市金沢区)で
コンピューター断層撮影(CT)でがんの疑いが判明しながら、
院内で検査結果が適切に共有されなかったケースが計11件あったと発表した。
付属病院では腎臓がんの疑いが主治医に伝わらず、60代の男性患者が死亡していた。
同センターで昨年10月、担当医らが検査結果を見落とし、男性患者が膵臓(すいぞう)がんで
死亡した問題を受け、同大が調査を進めていた。
同大は、両病院で作成された16年7月以降のCT画像診断書約7万6800件を調査。
進行の遅い腎臓がんなどはさらにさかのぼって調べた結果、がんの疑いが判明しながら、
主治医らに情報が適切に伝わっていなかったケースが11件あった。
CT検査を行う放射線科の医師は依頼された部位以外も調べ、画像診断書で悪性腫瘍の疑いなどを指摘していた。
しかし、主治医への連絡が徹底されていなかったり、主治医が診断書の確認を怠ったりしていたという。
付属病院によると、死亡した男性は12年10月、心房細動のためCT検査を受けた。
放射線科の医師は「腎細胞がんの疑いがある」と画像診断書で指摘したが、
検査目的と異なる部位だったため主治医に直接伝えなかった。
主治医も心臓の画像をチェックしただけで、診断書は確認しなかった。
男性は今年2月、地域の医療機関で受けたCT検査で転移性肺腫瘍の疑いが判明。
付属病院が保管画像を見直したところ、放射線科の医師が12年のCT検査でがんの疑いを
指摘していたことを確認した。男性は抗がん剤治療などを受けたが、今年4月に死亡したという。
相原道子付属病院長は「病院全体の問題として責任を重く感じている。
亡くなられた患者のご冥福を心よりお祈り申し上げる」と謝罪した。
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がんの放置、なぜ起こる
検査目的の部位と異なる所で
朝日新聞 →こちら
CTの画像診断報告書を確認していない事例の報告は全国で相次ぐ。
医療事故の分析にあたる日本医療機能評価機構によると、2015年1月~18年3月に36件あった。
機構によると、がんが放置された事例の多くでは、検査目的の部位と異なる所でがんの疑いが指摘されていたという。
横浜市大で死亡した男性も心臓の病気で循環器内科を受診。腎臓にあったがんが放置された。
検査をした放射線科医は画像診断の結果を循環器内科の医師に伝えず、
循環器内科の医師が画像診断報告書を読むこともなかった。
第三者機関の日本医療安全調査機構の木村壮介常務理事はこうした事故について、
「1人の医師の注意不足というより、システムの問題。個人ではなく全体での対策が必要」と語る。
全国で起きている理由については「医療機器の発達により、医師らが共有すべき情報量が増え、
複雑化していること」をあげる。
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これらの記事をよく読めば、がんの自然経過がよく分かる。
がんを放置したら、何年後かにその病気で死ぬ(ことがある)。
がんを見落としたら死に至った。
これがニュースになるためには、「見落とさなければ死ななかったはず」
という前提条件が必要である。
しかし「どうせ死ぬのだから治療しても無駄」という極論が
マスコミや世間でもてはやされて、いまだに信者さんが多い。
死ねば、医者が原因で、医者が悪いと。
誰かに原因を求めたい気持ちは分かる。
助かる段階なのに、がん放置療法で勝手に亡くなった人を何人か見てきた。
いわば、「自殺」のような死だ。
彼らは、医者を訴えることは無い。
しかし遺族が訴える可能性はある。
がん治療には「運」も必要。
名医にも失敗はつきものだ。
抗がん剤は、「やる、やらない」ではなく、
「やめどき」が大切で、そこを間違えない。
拙書「抗がん剤・10のやめどき」が4刷り決定!、との連絡を受けた。
ロングセラーになっていることを嬉しく思うし、多くの人の役に立ちたい。
この本をしっかり読んでくれた人が、一昨日、穏やかに旅立たれた。
読まないより読んだほうが納得して満足して旅立てる、と言われた。
がん検診、私は受けたことがない。
しかし受ける時には受けようかな。
そのタイミングや心変わりも、きっと「運」なのだろう。
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