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土曜日に徘徊すると・・・

2018年07月23日(月)

徘徊という言葉は使用禁止になるそうだが、とりあえず使おう。
もし土曜日の午後に、認知症の人が徘徊して転倒したなら・・・
そして救急搬送されて、入院したら、どんなことになるのか。

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人ごみで転倒したら、誰かが救急車を呼んでくれる。
救急隊は救急病院に運び、CTやレントゲン検査だ。

土曜日の病院は休みなので、当直医は「念のため入院を」
となり、家族も「そうかなあ」と思いながら、従う。

点滴を付けられ、腕には腕輪が巻かれる。
当然、夜中に大暴れ、大騒ぎになる。

家族が呼ばれて、横に添い寝を命じられる。
夜が明けても、患者さんは興奮して食事を食べない。

食べないので点滴は外されない。
すると患者さんは外そうとする。

そこで縛られる。
すると大声をあげる。

日曜日は別の当直医が「まだ主治医が決まらないから」と
家族が連れて帰りたいと言っても、2泊目もそのまま身体拘束は続く。

心電図をとれば心房細動があるし、心不全や肺炎の疑いがある、と。
またてんかんかもしれないので、脳波やMRIも取らないと、と。

こんな時は「かかりつつけ医」に家族がSOSの電話をする。
かかりつけ医は病院に駆けつけて、「脱北」の交渉に当たる。

「病院を出たら私が全ての責任を負いますから・・・」

交渉が成功して、日曜日の午後、患者さんは無事解放される。
家に帰れば普通にた食べて、よく寝て、家族もひと安心する。

「かかりつけ医がいて、良かった」と感謝される。

たしかに危機一髪だった。
ヨチヨチ歩きの認知症の人を数日、身体拘束すればどうなるのか。

結果は素人でも見える。
しかし「病院に入院」というせ制度上、いったん入れば勝手に出られない。

結論。

1 土曜日に救急搬送されて入院したら、月曜日まで置かれる。

2 だから土曜日の徘徊には特に注意が必要。

3 いや、事故に遭わないように、しっかり見守りを。



PS)

案の定、昨夜も午前3時に施設から電話が鳴った。
「あのー、酸素飽和度が90%に下がっています」
「了解しました。そのまま見守ってください」
「なにもしなくていいのですか?」
「いいですよ。表情だけ見守ってください」
「よく寝ています」
「じゃあ、わざわざ真夜中にバイタルを計らないでください」
「私たちはバイタル計るのが仕事なんで」
「・・・・」


60過ぎて、毎晩、こんなことやっていていいのかな。
俺の人生って、なんなの・・・・
なんて考えていたら目が覚めちまった。
今、やっと眠りについたところなのに。

認知症の人を縛ったらどうなるのか。
寝ている認知症の人の血圧計ってどうするの。

所詮は町医者の愚痴。
世の中は変わらない。


















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この記事へのコメント

い長尾先生毎日お疲れ様です。特養と老健の医師として働いている私も、lcuでもないのにどうしてそんなにバイタルチェックばかりしているのかといつも不思議に思っていて、看護師には何もすることがなくて暇だからなのかと聞いてみたところ、すごく嫌な顔されました。まっ私も厭味たっぷりで感じ悪かっただろうなとちょっと反省。思うに、きっとバイタルチェックはスタッフの安心につながるのだと思います。心配だと何かしたくなり、そのちょうどよいグッズがバイタルチェックなのだと思います。心の拠り所グッズとして使われれいるのだと思います。でも、見守るしかないような内容の電話が夜でも休日でも何度となくかかってくると、私には自由はなーい!と本当に心は落ち込み、喚き散らしたい気分にもなります。そしてそんなちっぽけな事で腹を立てているちっぽけな自分に腹を立てて落ち込む日々でした。ところが、昨年の二月に奇跡的に長尾先生の本に巡り合い、長尾先生のブログを読んでみたら、私だけではなかったことがわかり、私は救われました。365日拘束の我が身が窮屈でたまらなくストレスまみれだったのが、長尾先生先生に比べたらなんてことないと、平気になってしまったのです。そして不思議なことに、見守るしかできないという内容の電話も何故か夜や休日にこなくなりました。ということで、長尾先生は私にとって救世主みたいなありがたい存在のお方です。先生の愚痴が、私を救ってくれたことをお伝えしたくて書きました。先生いつも応援しています。

Posted by 遠い声 at 2018年07月24日 02:30 | 返信

追伸。暑い中、長尾先生と、書き出したつもりが、へんな書き出しになっていて、いくつか誤字脱字もありすみません。新幹線の中でもチャカチャカとパソコンを打ち鳴らす仕事熱心で仕事の速い長尾先生の、爪の垢を煎じて飲ませていただきたいものです。日々途切れることなく、ご自分の思いをご自分の言葉でブログに書き綴って下さっていますが、同じような疑問を持ち、ジレンマに悩むものにとっては、文章にしてちゃんと書いていただいて本当にありがとうという気持ちでいっぱいです。多様性を大事にしながら、いつも困っている人々と共にある姿勢に共感いたします。ささやかな頑張りにも、ちゃんと目を向けて気づき、お互いを認め合う世の中を目指していこうよ、というメッセージも感じます。では、暑い中、くれぐれもご自愛のこと、よろしくお願い申し上げます。

Posted by 遠い声 at 2018年07月25日 11:52 | 返信

わたしも病院看護師時代にやっていました
点滴、バルンカテーテル、モニター…抜けたら 危険だから
「動かないで!」と叫んでいた

在宅側にやってきて
この治療って 本当に必要ですか?という視点から始まり
最小限の医療で対応していくと拘束なんていらないということを学びました


24時間のモニターもいらない
酸素もおうちだから 本人が嫌がれば 外しちゃっています
→これは おうちのお話です
ご本人、ご家族が納得していることが大事です
もちろん 医師も了解のもとですが…

自由に 生きようよ

Posted by 宮ちゃん at 2018年07月28日 11:37 | 返信

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