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退院支援や退院調整って?

2018年08月08日(水)

大病院というところは一旦入ったら、なかなか出してもらえない。
退院支援や退院調整や退院前カンファレンスなどで2週間も要す。
その間に末期がんの人の半分は、結局出られずに病院で戦死する。
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厚労省が
・退院前カンファレンスや
・退院調整や退院支援
などの世話をすると、その病院に利益が入るように定めている。

しかし・・・・

待っている2週間の間に戦死した患者さんをどれだけ見てきたことか。
まるでシベリアに抑留されたまま、そこで無念の最期を遂げたように。

患者や家族の意向よりも病院の都合が優先される。
ましてや在宅医療側の都合などは頭の中には無い。

余命2週間の末期がんの人に
・1日2リットルの輸液で、溺れさせて
・高濃度ブドウ糖点滴で、がん細胞を利して
・10ルットルの酸素で、がんをさらに喜ばせて
・肝腎の緩和ケアのほうは、ほとんど手つかず
というスタッフといったい何をどう話しあえばいいのか。

分からない。

ガチで話せば、きっと喧嘩になる。

だからカンファに参加しても黙って「ハイ、ハイ」。
それが患者さんに最大の利益をもたらすから耐える。

ーーーーーーーーーーーーーーーー


ある地域連携の会の後の懇親会で、こんな会話があった。

「退院支援なんか要らんけどな」

「そのまま退院したら患者さんが困るでしょうに」

「いや、在宅は在宅のやり方でやるので心配要らんけどな」

「いや、病院は家に帰ってからのことも考える義務があるので」

「家で死ぬから、もう関係ないから、自由にさせて欲しいな」

「いや、最期は病院を望む人が多いので自宅での療養も管理したいの」

「管理しなくてもいいですよ。自由に楽しんでもらいますからね」

「じゃあ、私たちの仕事を否定するわけ?高カロリー輸液のやり方が
 分からなかったら困るでしょう? 吸引器も用意しておかないとね」

「大丈夫です。それよりも1日でも早く退院させてくれれば」

「病院にも都合があるので、貴方達の思うようにはいきませんよ」

「でも、できるだけ早く帰ってもらった方が患者さんにいいのでは」

「逆でしょ。長く病院に居た方が家族も安心されるしそれを望んでいるのよ」

「いや、申し訳ないけども残された時間はおそらくわずかだろうから・・」


こんな会話をしているうちに、病院の地域連携スタッフの一人が
いきなりブチ切れてしまい、ワナワナ震えながら、こう言い放った。

「ザイタクザイタクって言う医者が信じられんわ。
 あんたには絶対に紹介せんわ。患者さんが望んでもダメ!」


ああ、怒らせてしまった。(やっちまった、失敗したー)
もう少しだけ「はいはい」と平身低頭しておけば、脱北できたのに・・・


人工呼吸器を装着したALS患者さんならともかく、
末期がん患者さんの退院に「調整」は要らないのでは。

残された時間がわずか3日間でも、自宅で大切な人達とも想い出を造り、
美味しいものを食べて、少しでも笑って話してもらうのが私たちの仕事。


PS)
今夜、NHKで「さっちゃん先生」の番組を観て感動した。
先生に笑われないような町医者にならんと、と思い直した。

さっちゃん先生の笑顔は透き通っていた。










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この記事へのコメント

でも、長尾先生のご著作の通り「痛い在宅医」さんも、いらっしゃって肺癌の患者さんに、どれくらいモルヒネ等、的確なお薬を選択できるのか、不安です。
あの「痛い在宅医」さんの在宅診療だったら、病院に、居た方がよっぽどマシだと思います。

Posted by にゃんにゃん at 2018年08月09日 10:12 | 返信

ほんとに…そうなんです

わたしが絡むとうっとしい…と思っている方もいらしゃると思います…笑
それでも
残された大事な時間をどうやって過ごすのかってとこを視点に関わりたいです
ホントに 介護保険の認定結果を待たずに 旅立たれるってことも少なくありません

在宅看取りができてよかったです…と大病院に 伝えたい
どうするといいのかを同じ土俵にたって考えたい

なんとかしたい…

Posted by 宮ちゃん at 2018年08月09日 11:05 | 返信

ひどい話です…

一昨日、17時頃のことです
昨年 訪問看護を利用していた利用者さまが状態が安定したので退院しました
(退院前カンファレンスをお願いしたいましたが開催されず…)
すると
紹介状も訪問看護指示書も看護サマリも 出してもらえず トラブルで退院してきたとうちのケアマネからご本人宅から電話があり 驚きです

何があったのか?
ほんとに 泣けてきそうです
バルン留置の状態で放り出すってありえん!
何かあれば 病院にすがりついてこい!という態度に腹が立ってしまいます

そんなことは どうでもよくて
この時間から何ができるのかを うちのケアマネと電話で話し 在宅医に繋げたい作戦で進んでいきました

在宅医の先生が引き受けてくださって
昨日 初回診察にケアマネと同行し ご本人とご家族の笑顔にホッとしました

トラブルってなに?
ご家族がいうには 何もしていない…と
退院診察前から 先生のご機嫌が斜めになっていたようです
在宅に放り投げるこのやり方…
ご勘弁願いたいですわ

Posted by 宮ちゃん at 2018年09月09日 07:40 | 返信

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