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小規模多機能 患者も医者もたらい回し?

2018年08月31日(金)

国は、「小規模多機能」を積極的に推進してきた。
行ったり来たできるので、一見、よさげに見える。
しかし現場は結構大変なことになっているような。
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小規模多機能は、施設でも家でもない。
宿泊機能を持ったデイサービスである。

以下、「ショータキ」と略する。

ここにお世話になるには、ケアマネは小規模多機能の
ケアマネに変わらないといけない、という規則がある。

今、行き場の無い高齢者は小規模多機能に流れる傾向がある。
看護師がいる「看護付き小規模多機能」は「カンタキ」と言う。

病院の地域連携部のスタッフは、身寄りが無い末期がんや様々な管が付いている
患者さんは、医療依存度が高いという理由で、自動的に「カンタキ」に流す傾向。

いずれにせよ、最後の砦が、「ショウタキ」や「カンタキ」になっている。

本来の目的である「家とデイサービスを行ったり来たり」
という理念が実質的に失われているような患者さんが多い。

住民票上は自宅があっても、実際は無かったり、一人ではそこに帰れない。
だから多くの人は最期まで「ショウタキ」や「カンタキ」で過ごすことに。

要は、崇高な理念と現実は、完全に解離していると、私には映る。
経営者も破たんしないためには、「最後の砦」に徹するしかない。

そして在宅医は、「ショウタキ」には「訪問診療」ができない。
毎回「往診」しか認められない上に、24時間加算は取れない。

24時間管理できないのか、しないのか、どちらが先か分からないが、
発熱などの急変時に主治医に連絡がつかない、往診しない医者もいる。

だから施設側は「発熱したら即救急搬送」と勝手に決めて徹底している。
管理する側の市町村行政側も、「ショウタキ」にそんな指導をしている。

その結果、救急隊も救急医も疲弊する。
何も知らない病院側は「ケシカラン」と。

「看取りのはずが警察介入」となることが多い。
とにかくトラブルの芽が沢山あるのが、「ショータキ」。

そこに入った患者さんの主治医から私に相談がよくある。
「訪問診療できないの? 24時間加算は取れないの?」

1ケ月に1度だけ、車に乗せて自宅前までドライブして
「家で診察したよ!」というアリバイ作りをする医者も。


・ややこしい
・トラブル含み
・低コスト

こんな在宅主治医を敬遠する医師もいる。
ジワジワと、「交代要請」が増えてきた。

「ショウタキ」や「カンタキ」は、患者さんも在宅医も
「たらい回し」になっているような気がしてならない。

厚労省に相談に行った。

「ショウタキ」や「カンタキ」は老健局マター。
在宅医療は保険局マターで、連携ができないと。

「医療と介護の連携」が国家スローガンではあるが、
それを謳っている省庁内での連携ができないのだと。



では誰が、「連携」を謳える権限があるのか。
それができるのは大臣や国会議員の国会議員。

だから皆様のお近くで、「ショウタキ」でお困りならば
地元の議員さんに相談するのが正道である、と私は思う。

医師会や自治体や中央官庁に相談しても、意味が無い事を知った。

以下はまったくの私見であるが、将来的には「介護医療院」や
「認知医療院」に取って変わるのではないか、と予想している。

「介護医療院」に「外泊機能」を持たせたら、「カンタキ」を上回る。
介護医療院には夜も医師と看護師がいるので、勝てないのではないか。

市民は、なんの話かサッパリ分からないであろう。
在宅医療をやっていない医師も理解不能の話かも。

私は、「ショウタキ」や「カンタキ」への訪問診療を認めて欲しい。
定期的に診察しないと、薬も出せないし、看取りもできないからだ。

しかし「デイサービス中の人に、医療保険適応は認めない」は崩さない。
連携・連携と言いながら、医療は医療内で、介護は介護内で完結させる、と。

「ショータキ」への疑問は、このブログで何度も書いてきた。
しかし町医者ごときが呟いても何も変わらない。

でもすべては、「国にお金が無い」からだ。
お金が無いから、分けの分からん規則を続々と造り、プロを縛りまくる。

介護破綻、医療破綻はそう遠くないのでは。
まるで敗戦を感じながら闘う兵士たちのようにも見えてしまう・・・


PS)
夜は、岩手県に移動しなくては。
明日は盛岡市でのACP研究会だ。→こちら

「ショータキ考」になにかアドバイスを頂ければ幸いです。

あるいは、「そのとおり」ならば「いいねクリック」を!。

8月も今日で終わり。。・

夏の終わり。

































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※本ブログは転載・引用を固くお断りいたします。

この記事へのコメント

在宅看取りを希望されていた方が、だんだん衰弱し「しょうたき」のディに通えなくなり毎日自宅で過ごすようになったとき、違う事業所の訪問入浴サービスを使いたいが使えず、仕方なく在宅プランにしました。ケアマネも顔なじみのヘルパーさんも違う事業所に代わらざるをえず、最期の最期にまた一から人間関係を構築するエネルギーを使わせてしまいました。好きなお酒を新しいヘルパーさんに飲ませてもらい、訪問入浴も足が壊死していたけれど、ダメと言わずいれて下さいました。でも最期に「みんなに世話になった。」とおっしゃって、しょうたきのヘルパーさん達に会いにきて下さる様に頼んだことがあります。しょうたきのヘルパーさん達もきっと自分たちで看取りたかったと思います。どうすればいいのか?意見交換したくても、現場はみな疲弊していますね。

Posted by ルナース at 2018年08月31日 06:05 | 返信

理不尽なことばかりで、もうやってらんねえよ、という心持ちになっている今日この頃です。利用者の家族からのパワハラが最近続いていて、本当に気が滅入ります。利用者に罪はなく、一生懸命に対応していますが、虚しくなります。社会全体が、イライラしているからなのでしょうか。ほとんどの家族が良い人たちだから、その落差が、心をしんどくしているのかもしれません。スタッフと共有して、なんとか持ちこたえていますが、人間だから辛いことは辛いです。ここの書かせていただいて、少しストレス発散。ありがとうございます。

Posted by 遠い声 at 2018年08月31日 06:19 | 返信

「敗戦を感じながら闘う兵士たち」になりたくないから、
医者をやめる準備をしている医者は、
頑張らない医者になろうと決意する、
医者バイトに精を出してとにかくお金を貯める、
株と不動産研究に勤しむ、などなど、
う〜〜〜ん、だけど、そうだよね、それでいいのかも、
少なくとも製薬会社からお金もらって薬の広告看板背中に貼り付けているような医者よりマシ。

下記のリンクが、医者斡旋企業が書いているのか、医者をやめる準備をしている本物の医者が書いているのか、
わかりませんけど、長尾先生がこの世からいなくなった後は、医療に人道主義や人権擁護なんて皆無、医療は単なるビジネス。しかも、ものすごく入り組んだ権威主義と既得利益で成り立つ「斜陽ビジネス」。

偶然読んでしまった「僕が医師をやめるまで」
https://dr-goodlife.com

「僕が医師をやめたいと思った理由」
https://dr-goodlife.com/post-8/
抜粋 「死ねない高齢者」
「きれいさっぱり、死にたいなあ。」
そう病室で呟いていた、とある患者が忘れられない。彼はいつ亡くなってもおかしくなかった。それをわかっていたのだろうか、上記のように呟く事が多かった。
そしていざ急変すると、それまで顔を一切見せなかった家族がやってきて「何をしてでも助けろ」と言う。なぜそこまでこだわるのか尋ねると、「親の年金が無くなったら困るから」だそうだ。
意識を失ったその患者さんは、口から管を入れ人工呼吸管理となり、意識のないまま生きながらえていた。もちろん、年金は家族に支払われ続けているだろう。
僕は、もうこの国に未来はないと判断した。
少なくとも現状を変えなければ、必ず陥落する。そしてこの現状を変える流れは、今の所ない。もしかしたらもう手遅れかもしれない。僕の読みが甘くて、もう引き返せないところまできているのかもしれない。
かつて栄えたスペインが、今や若者の失業率が3〜5割の国に成り下がってしまったように、日本も「かつて栄えた国」になる気がして、仕方がないのだ。
だから、僕は医者をやめる事にした。
まだやめてはいないが、あと5年以内にはやめる。もしくはダラダラとアルバイトだけ続けながら生きていくと思う。少なくとも常勤では働くつもりは無い。
沈みゆく船に乗って、一生懸命漁業に心血を注ぎこめるほど、僕の心や体は強くない。
このWebページでは、僕が医師として、内部から見た医療の世界と、医師や看護師が今後どうしていくべきか、僕の意見を書き綴っていこうと思う。
------------------------------------
この書き手、日本尊厳死協会を知らないと思う。あるいは知っていてもバカにしている。そういう「医者」を、私も何人か見てきました。

Posted by 匿名 at 2018年09月01日 02:43 | 返信

難しい事なので、よく分かりませんけど、私の知人の元看護師でケアマネジャーも「看護小規模多機能となんて言う施設ができたら、就職したい」と言っていましたけど、現場は大変です。
何だかお偉いさんや政治家や、国家公務員は高い給料をもらってるのに、ナンでもかカンでも現場に責任がしわ寄せされるみたいに見えます。
近未来に必ず来る東南海地震に備えて、自治会会長は、大わらわです。「防災委員に入って下さい」と呼びかけはあるのですけど、どれくらい責任が取れるのか不安です。お医者さんや、看護師さんにも入って欲しそうなんですけど、皆忙しいです。私も若し防災委員に入るのなら「ヘルパー2級」で入ろうと思います。できるだけの事はしますけど、責任の重い事は、自信がありません。
なんだか、何もかも上の人達が責任取らずに、現場ばかりに、しわ寄せが来るようで怖いです。

Posted by にゃんにゃん at 2018年09月01日 11:19 | 返信

ps. 医師という仕事柄仕方ないとはいえ、私はこれまでずっと利用者のご家族にとっては聞きたくない、認めたくないであろう辛い話ばかりしてきました。そんな話しをする私に憎しみを抱く家族もいらしたと思います。辛いことを聞かされる家族の身になって、心して話しなさい、と天が私に伝えているのかもしれません。こちらが話したいことを一生懸命に言うとき、私は語調が強くなってしまう傾向があるみたいで、過去に一歩的だとか高圧的だとか私が思ってもみなかった言葉をなげつけられた事があり,すごくショックでした。慈しみ深い人間を演じるように、言い方を工夫していかねばと思います。人は人の言葉一つに深く傷つけられるということを今回のことで再認識いたしました。しかし、毅然とした態度をとることも大事なので、怒りをうまくコントロールして、ちゃんと対応したいと思います。長尾先生のうけてこられたいじめに比べたら、どってことない、と踏ん張れます。感謝します。先生、みんなの為にも、長生きしてください、お願いします。

Posted by 遠い声 at 2018年09月02日 11:58 | 返信

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