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停電2晩目の認知症
2018年09月06日(木)
							台風一過とはいかず、あちこちはエライことになっている。
一番困ったことは広範囲の停電であるが、特に認知症の人
が、停電下の環境で暮らすためには、様々な課題がある。
						
						一番困ったことは広範囲の停電であるが、特に認知症の人
が、停電下の環境で暮らすためには、様々な課題がある。
昨夜、停電下にある人工呼吸器の患者さんを避難させた。
停電が6時間を超えると、命にかかわる。
1人は朝に帰宅出来きたが、1人は帰れないので入院になった。
私は朝起きたら、事態はさらに悪化していた。
・JRがまだ開通してない
・信号機が作動してない
・落下物がまだ除去されていない
・道路はどの道も(大き目な道は)渋滞
思うように通勤も往診もできない渋滞、だ。
昨日渋滞で訪問を諦めた家は、今日こそは。
さて、広範囲(160万人とか)の長時間の停電で
どんなことが起きるのか、是非知っておいて欲しい。
・開業医は診療できない(電気もカルテも見られない)
・介護施設も営業できない(食事も風呂もダメ)
・だからデイサービスもショートステイもダメ
・だから、あちこちに移送させないといけない
・在宅患者は自宅しかないが、暑くて家におられない
・しかしコンビニや食堂も、停電で営業していない
・だから飯を食べることができず、風呂も入れない・・・
コンビニはどこも長蛇の列など大混乱。
しかし、食べ物の棚には何もない。’悲)
忙しい外来と研修医指導を終えて、昼からの介護認定審査会に出席すべく隣のセブンイレブンで、いつものように3分メシを買いに行ったが、無残。
仕方なく開いたばかりの吉野家に入ったら、満席の上に、弁当を買う列だ。
3分で食べられる牛丼並を注文したが、後から入ってきた男が暴れ出した。
「どないなっとんねん。満席やのに弁当なんかやめろ!!」
と机を強く叩き喚き散らし、コップの水が隣にいる私にもかかった。
慌てた店員が、私の「並盛」を隣のオッサンの前に置いてしまった。
オッサンは、それを一口食べて「俺は大盛りや」とまた騒ぎ出した。
慌てた店員が「済みませんでした」と平謝りで、その大盛りを捨てた。
「ああ、なんでもいいからワシはあと1分しか無い」と内心、祈った。
すぐ隣で暴れるオッサンにビビリながら、1分で牛丼をかき込む。
「牛丼を食べるだけでなんでこんな苦労するの」と情けなくなる。
芥川龍之介の「蜘蛛の糸」を思い出しながら、車に乗り込んだ。
多くの信号機が消えているか、点いていても「あっちむ向いてホイ」状態。
いろんな車や自転車と交錯しながら、定刻3分前に審査委員会に到着した。
最近の介護認定プログラムは、本当に分けがわからないもの。
たとえば「移動の見守り」と入れると介護ポイントが下がる。
こんなショウム無い会議に莫大な税金がつぎ込まれている。ホント、無駄だ。
でも昨日の午後2時(台風直撃の瞬間)も審査会をやっていたと聞き驚いた。
それから、数件の往診や訪問診療で走り回る、と言いたいところだが、
信号無しの渋滞で思うように進めず1時間遅れでも全てが終わらない。
夜診に20分遅れで戻り、終われば再び訪問診療をしてから胃ろう処置。
その後、介護施設の管理者と1時間半の打ち合わせで、一応、業務終了。
ラーメン屋も閉まっているので、「すき家」に入ると貼り紙があった。
「カレー、牛丼、みそ汁のみ」とのことなので、カレー、を注文した。
ここで、23年前の阪神大震災の時を思い出した。
あの時も食べ物が無く、「犬」のように彷徨った。
カレー、おにぎり、炊き出し、の想い出が。
さて、今日、停電した家の認知症の人はどうなったか。
暑い室内で1日いると不安定になり様々な症状が出る。
夜になると真っ暗な部屋を「怖い!!」と動き回ろうとする。
要は、とても大変な状態になるのだが、行き先が無いのだ。
東日本大震災の時も同じで、認知症の人は避難所を追われる。
私の映画「無常素描」のラストシーンも車の中で暮らす認知症の人だった。
特に興奮している認知症の人は、昼間はできるだけ外をウロウロ
させて疲れ果ててバタンキューという睡眠を目指すことが大切だ。
長期間の停電が予想される時は、初日から「災害弱者避難所」を造るべき!
そして認知症の人は、「夜」が問題なので、過ごす場所の確保が急務だ!
明日から市役所がなにか考えるそうだが、「予約制」と聞いた。
当院も「予防医療センター」を認知症に開放することを決めた。
何度電話しても安否確認できな在宅患者さんがいるので心配だ。
でも固定電話は、停電すると通じなくなることを知って欲しい。
かと言って携帯電話もたとえばジェイコムは今も通じない。
ちなみに、ジェイコムの家はテレビもパソコンも使えない。
室外機が壊れる野で、電気が通ってもエアコンは使えない。
みなさん家におられないので、外をウロウロするしなない。
私は、テレビが映らないので、観られない。
被災者に肝腎な情報が届かないのが、災害。
結局、ラジオが一番確実なようだ。
夜の灯りは携帯電話だけだが、充電ができないのが難点だ。
断水家庭も多く、2重苦での自宅生活は3日くらいが限界か。
なによりも認知症の人はみなおかしくなるので要注意である。
信号機の乱れを想うと、復旧までに1週間はかかるのか。
関西空港には今なお、3000人が閉じ込められている。
昨日にポーランドの学会から帰阪予定だった当院職員から
たった今、メールが届いた。
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今回のポーランド行きでは、24日の出発の時は台風20号の欠航の影響で、直接は関係なかったのですが、1時間以上の遅延と、今日の朝関空に着く予定で、ヘルシンキに着いた時は予定通り運行の予定でしたが、タンカーの事故を見て電光掲示板を見ると日本語で「欠航」と表示されていました。
とりあえずカウンターで、成田行きを予約しましたが、あとの伊丹便は満席でしたので、再度福岡空港行きに変更して戻ってしました。
再度の変更で時間もなかったので荷物を心配しましたが、無事到着していました。
今、新幹線で帰っている所です。
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もし1日早く関空に帰っていたら、今頃、まだ関空に缶詰になっていただろう。
いや私の別の知人が今、まさに関空に閉じ込められているが気の毒でならない。
今回は大災害だ。
私は1000人の死者が出ると予想していたので、燃える自動車や
座礁したタンカーの映像を見ても、さして驚かなかった。
東日本大震災の時、岩手県釜石市で、堤防を乗り越えて民家の屋根に
座礁した大型タンカーを観て、インタビューした映像が映画になった。
「自然は常に人間の想像をはるかに超える」
これも、高台に建つ宮城県女川町立病院を観た時に心に刻んだ。
今後、必ず、いろんな災害がある。
「防災医学」も立派な医学である。
沢山の命を救える医学、である。
今回を教訓に明日から備えたい。
PS)
テレビの台風報道は、今日までだけど、
広島・岡山も忘れてはいけない。
ひとつ、嫌なことを思い出した。
23年前の地震も神戸
そして今回の台風も神戸、だった。
神戸が頑張ること。
そんな運命なのか。

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この記事へのコメント
多少の停電はあるかもと思いましたけれど、長すぎですね。関電はお詫びしているけど、一体何が何だか分かりません。
ENIOSのお兄さんも、十三の家が今でも停電で「今朝は、水を浴びて出勤したけど、寒いのなんのって!帰りには、西の宮のスーパー銭湯に入って帰りたい」と苦笑していました。
電気が無くてお困りの方がいらっしゃったら、我が家はごみ屋敷ですけど、今のところ電気はありますから、来ていただいて結構ですよ。
でもほんとにごみ屋敷なんです。
Posted by にゃんにゃん at 2018年09月06日 04:32 | 返信
長尾先生と看護師さん達、どうもありがとうございます!!あのひどい台風の中、走り回ったスタッフの皆様、さぞ怖かったことでしょう。わたしは一人で家の中でじっと嵐が治まるのを待つことしかできなかったから。先生、お願いです、少しだけでも体休めてください。先生が倒れちゃったらみんな悲しみます。
Posted by ふーちゃん at 2018年09月06日 08:06 | 返信
関西の台風21号災害にしても、北海道地震にしても、電力行政がお粗末だなあと思います。
福島の原発事故の際にも、関西電力と東京電力の周波数は違うので、関西から関東地区に電力を送電できなかった。現在は、中部地区にトランスを設置して周波数を替えて送電できるらしいですけど。東京電力はドイツ式で関西電力はアメリカ式とか、聞きました。
今回の北海道の電力も、個々の火力発電所によって、周波数は違うので、全部を一緒にすると事故が起きるというので、全部を停めたと言っていました。何故周波数を違えたのか不思議です。
蓮池透氏が、ビジネス社から「告発ーー東京電力は万死に値する」と言う本を出して(①核のゴミ、高レベル放射性廃棄物の最終処分場がない。②「世界一厳しい基準」は、大嘘である。③避難計画の不備は人命軽視である。と力説しています。
関西電力に関しても、湯川秀樹博士が、「原子力委員会に入ったけれど、政府や資本家があまりの無恥状態で金儲けばかり考えているのに驚き、原子力委員会を辞して」密かに原発反対運動をしていました。
その教え子の神戸大学の中川教授と奥さんの中川慶子園田女子大学教授が「原子力発電の危険性を考える会」と言う組織で関電に訴えていらっしゃったのですけど、妨害されるばかりで神戸大教授のご主人も病に倒れて亡くなられ、慶子元教授も癌になって未だ頑張っていらっしゃいます。
この度の21号台風も、停電さえ無ければ、被害はもっと少なくて済んだのではと思います。
経済問題でも、「この国は95%の確率で破綻する」と浅井隆と言う評論家が言っています。
「我が国の政府の借金はGDPの240%にも達し、先進国中の最悪を更新し続けている。日銀が国債を爆買いして支えているが、それも限界に近づいてきた。無理やごまかしは永遠に続けることは不可能だ。この国が10年以内に破綻する確率は95%と言ってよいだろう。」と言っています。
私は、ラビ.バトラと言うパキスタン人でアメリカの大学の教授とこの浅井隆と言う人の共著を読んでリーマンショックの前に株を売る抜けました。でも今回の日本経済の破綻を乗り切れるかどうかわかりません。カジノ法案の強制的法律成立化を見ると、アメリカ政府の命令で安倍首相が亡国の政治をしているのだと思います。
Posted by にゃんにゃん at 2018年09月08日 09:44 | 返信
ググると「停電の時、電気で動く医療機器を使う在宅療養中の人はどうしたらいいのか」と言うテーマでNaoko Iwanaga(岩永直子さん)が書いています。
https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/teidentaiou-kawashima
で、上手く見る事ができますでしょうか?
Posted by にゃんにゃん at 2018年09月08日 08:17 | 返信
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