このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com

誤った鉄剤注射

2018年12月22日(土)

陸上選手が成績アップのために組織的に鉄剤注射をしていたという。
それを受けて陸連は「原、則鉄剤注射中止」という方針を発表した。
貧血がない人にも鉄剤注射をしていた医師は、間違っていると思う。
2つの応援
クリックお願いします!
   →   人気ブログランキングへ    →   にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へ
 
 

「貧血」の大半は鉄欠乏性貧血である。

鉄欠乏貧血の診断には血液検査が必要。
・ヘモグロビン値低下(12以下)と
・血清鉄の低下(当院ではフェリチン値)の2つの確認は必須。

鉄剤補充は、経口投与が大原則だ。
しかし吐き気で飲めない人がいる。

軽度な人なら鉄分を多く含む食事や
サプリメントで、様子をみればいい。

・経口投与が無理
・ある程度、緊急性がある人だけ、鉄剤注射の適応がある。

当院では、鉄剤注射を行う人が時々いて普通に行っている。
・ヘモグロビン値が6~7
・胃切後で、鉄の吸収ができない、人などに行っている。

補充量は、事前予測できる。
経口剤なら3ケ月間とか
注射なら10回だけけとか。


その時点で貧血の改善を評価しながら行う治療行為である。
あくまで足りないものをお補い、少しだけ「貯金」も残す。

ここまでは医療の常識。

だから今回の陸上部全員が監督の指示で
・貧血の有無に関わらず(検査もせずに)
・強制的に打つ行為は、医学的にも倫理的にも間違っている。


以下、鉄剤を過剰に投与したらどうなるのか、という話に移る。


35年前、顔が真っ黒な助成か紹介入院となった。
近くの整形外科医で「貧血」と診断されて、週3回、3年間、鉄剤注射を受けていた。

腹腔鏡で肝臓を視たら、見事に「真っ黒」であった。(ブラックリバー)
肝硬変に近い臨床像であり、全身に鉄が沈着していた。

鉄を尿に出す注射(デスフェラール)をして、尿にどれくらい鉄が出るか測定した。
その治療を続けたが、効果はあるものの、一言で言うならば「焼け石に水」だった。

その人は不幸な転機をとった・・・・

3年間も打っていた医師を許せない、と思った。
どんな医者やねんと思ったが、まだ25歳だったので言えなかった・・・

鉄=善、というイメージがあるようだが、そうとは限らない。

たとえば、C型肝炎では肝臓に鉄があると肝炎が増幅される。
炎症の基質になるのが「鉄」で過剰だと、炎症を惹起する、

現在の特効薬が出るまではインターフェロン注射以外に
「鉄除去食」を一生懸命教えて、明確な効果を得ていた。

だから、過剰な鉄投与は、全身の臓器、特に肝臓に沈着して
臓器障害を起こすので、やってはいけない。有害なのだ。

鉄剤の過剰投与により活性酸素が増加する。
つまり害のほうが大きくなるのだ。


医療は、
利益>不利益、の時にだけ提供するものであり
不利益>利益、であれば、辞めるべきは当たり前。

鉄補充においても「やめどき」が存在する。
不必要な人にやっても百害あって一利なし。

鉄剤も、抗がん剤も抗認知症薬も
糖尿病も高血圧の薬も全部同じだ。


テレビ朝日から連絡があったので、30分間、以上の話をした。
往診の移動をしながら、車の中でハンズフリーで気軽に話した。

それがそのまま、放送された。
切り取られて、僅か20秒に。

181220TV 報道ステーション 鉄剤注射 5min06sec
https://youtu.be/DODpX3nvddo
 
181220TV 報道ステーション 鉄剤注射  1min53sec
https://youtu.be/bvzNLfr6KD0


車の中での独り言のような談話が、全国ネットで流れた。
切り取られるとこんな形になる。話した内容の3%だけ。

恥ずかしい・・・

一般の人のなかには誤解している人もいると思うので
誤解を解くためにも、今日のブログで紹介しておこう。


それにしても「選手全員に鉄剤を打っていた」医師は情けない。
医学だけでなく、医の倫理の視点からも、問題があると考える。



PS)
毎日、2つのクリック、よろしくね。
クリスマスも、雨の中も、仕事です。

昨夜も看取り往診だったが、遣り甲斐がある。

訪問看護師さんが天使に見えた。










































2つのランキングに参加しています。両方クリックお願い致します。皆様の応援が日々ブログを書く原動力になっています。

お一人、一日一票有効です。

人気ブログランキングへ ← 応援クリックお願い致します!

(ブログランキング)

にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へ ← こちらもぜひ応援クリックお願い致します!

(日本ブログ村)

※本ブログは転載・引用を固くお断りいたします。

この記事へのコメント

昨日、スーパーでヨーグルトを買うときに、「鉄分補強」をアピールしているヨーグルトが何種類かありました。
ヨーグルトに過剰になるほどの鉄分を入れることはないのでしょうが、
ヨーグルトはヨーグルトだけで余計なものを入れない方が良いのではないかしら。
最近、日本人は鉄分不足だから鉄分サプリメントを飲みましょう、といった宣伝もあります。
なんとなく胡散臭い。

Posted by 匿名 at 2018年12月23日 03:07 | 返信

本当に、鉄欠乏性貧血であれば、石黒伸先生の仰るように「鉄の魚」を鍋に入れておかずを炊くとか、鉄板で炒めるのであれば、副作用は無いのでしょう?
それにしても、認知症の原因でアルミニウム説が有力ですけど、テレビで鉛中毒も認知症の原因になると判明したと言っていました。
鉄もあんまり取りすぎると良く無いのでしょうね。

Posted by にゃんにゃん at 2018年12月24日 02:26 | 返信

コメントする

                                               

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:

このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com


過去の日記一覧

糖尿病と膵臓がん

病気の9割は歩くだけで治るPART2

男の孤独死

痛い在宅医

歩き方で人生が変わる

薬のやめどき

痛くない死に方

医者通いせずに90歳まで元気で生きる人の7つの習慣

認知症は歩くだけで良くなる

がんは人生を二度生きられる

親の老いを受け入れる

認知症の薬をやめると認知症がよくなる人がいるって本当ですか?

病気の9割は歩くだけで治る!

その医者のかかり方は損です

長尾先生、近藤誠理論のどこが間違っているのですか

家族よ、ボケと闘うな!

ばあちゃん、介護施設を間違えたらもっとボケるで!

抗がん剤 10の「やめどき」

「平穏死」10の条件

胃ろうという選択、しない選択

  • 長尾クリニック
  • Dr.和と一緒に仕事をしませんか?
  • 長尾クリニックメールマガジン まだまだ知らないDr.和情報がてんこもり!
  • にほんブログ村 病気ブログ 医療・医者へ

  • 尼崎市の訪問看護ステーション

  • ケアマネセンターながお

  • 一般社団法人日本尊厳死協会関西支部