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摩訶不思議な介護認定審査

2018年12月27日(木)

介護認定審査員を長くやらせていただいているが、
正直、今でも分からないことだらけで、歯がゆい。
それにしても介護認定審査は摩訶不思議だと思う。
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介護認定審査とは、コンピューター判定に対して
5人の審査員が合議して、「忖度」をする行為だ。


要は、上げたり、下げたり、人間が微調整をする。
調査項目の欄にどう入力するかで判定が大きく変わる。

ところが、下手に入力すると反対の方向に行く。
コンピューターのプログラムはかなり意地悪だ。

要介護度を上げようとしたら、下がったり
下げようとしたら、反対に上がったりする。

たとえば「上着の着脱」の項目を、「見守り」から「一部介助」
に変えると、「要支援2」がいきなり「要介護2」になってしまう。

「徘徊」という項目を「ある」にすると要介護が下がることも。
「歩けるのだかいいんじゃないか」という意図なのかなあ。

でも徘徊は困ったことではあるのだけど。
徘徊が差別用語になり「一人歩き」と改名されたけどどうなるのか。

入院中に認定調査をするとだいたい2階級特進となる。
ベッドに縛りつけて介助食なら、そうなるわな。

入院中の患者さんの「外出頻度」や「金銭管理」という項目は
不要というか全くナンセンスだと思うが、それで大きく変わる。

入院中に要介護5という認定が下りた人が
家に帰った途端に「自立」に戻る人もいる。

ケアマネは自社の介護サービスをウンと入れ込む。
月に35万円もの公費が、続々と投入されていく。


透析中の要介護5の95歳の意見書を読んでいたらめまいがした。
年間医療費500万円と介護費500万円で合計1000万円だ。

誰がこの1000万円を負担するのか。
お金は天から降ってはこない。

いつも思うのだが、今の介護保険制度は早晩破綻するだろう。
え?もう破綻しているって? まあそうかも、ね。

医療制度も、同じだ。
長く続くはずがない。

だから「こう改革すべき」と発信してきた。

その根底には「人間の尊厳と経済は自然に両立する」という信念がある。
「相反するはずだ」と思う人が大半なのだろうけど、そうではないのだ。

それを伝えるべく、「平穏死」の本を書いたり、リビングウイルを
啓発する団体でボランテイア活動をやっている。


介護認定審査は、摩訶不思議な世界だ。
ハッキッリ言って、無駄。


現代らしく、忖度を含めてAIに任せるべきである。
そして簡略化して、訪問看護はすべて医療保険に。


空を眺めながら、「今、ここ」を刻んでいた。
20年後には、もうこんな世界は無いはずだ。















また、要介護1は、2つしかない。
「認知の1」か「不安定の1」だけ。

どちらも無ければ、要支援の次は要介護2となる。
ああ、「ただの要介護1」は、何故無いのかなあ。
















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※本ブログは転載・引用を固くお断りいたします。

この記事へのコメント

自分一人で、起きれる、立てる、歩ける、横になれる、寝返りを打てる、箸やスプーンで食べれる、トイレへ行ける、風呂にも入れる(背中や足先など洗えない部分はあるけど)、見える、聞こえる、話せる、会話が成立する、けれども、自分一人では生活できない。
なぜか。
自分一人で生活させると危ない。
なぜか。
日常生活をずっと家族に頼って生活してきたから。
たとえば、戸締りをしない、火の元無頓着、金銭管理をしない(カネが要るときに奥さんからもらう。銀行へ行ったことがナイ)、掃除・洗濯・炊事などの家事を一切しない、自分の仕事や趣味範疇の買い物は自分でやるが、日常の飲食物や衣類やトイレットペーパーなどの買い物をしたことがない、だから、物の値段を知らない・トンチンカンな金銭感覚を持っている。
昨年90歳で亡くなった私の父は、そういう人でした。
女性でこのようなタイプは珍しいと思いますが、男性は結構な数が、居ます。
今後、こういったタイプの男性も、徐々に減っていきます。
まずは、やればできる能力があるのにやらなかったゆえにできない、これは一種の廃用症候群ですが、こういった症状の大半を占める「人間のオス」が自立できれば、家事ヘルパーの需要は激減します。

一見、活動的で健康な81歳の男性の告白。「オレさ、寝たきりになったら奥さんに蹴飛ばされるんじゃないかって。毎日、目が怖いんだよ。(家事を)やらなきゃいけないって、わかってる。でもさ、できないのヨ。一歩が踏み出せない。手伝わなきゃいけないって、わかってるンダ。でも、できない。」
この心理って何だろう?
昭和なオトコのプライド?

Posted by 匿名 at 2018年12月27日 03:41 | 返信

「人間の尊厳と経済は自然に両立する」
そうあってほしい・・・
人口の構成がこれだけ変わる事は、チョット調べればわかる事なのに、
継続不可能な制度を平気で作る。

Posted by うーん at 2018年12月27日 04:34 | 返信

デイサービスの要支援の認定が問題のような気がします。
最近では整形外科などが運営する施設で、治療にきた高齢者に介護保険証もってこさせて、自院が運営する施設に誘導しているのが目立ちます。

必要性がある場合もあると思いますが要支援認定されない場合、自治体の運営する地域包括センター等に恫喝して認定をもらい施設を利用できるようにしているそうです。

どこまで支援するかの線引きは難しいと思いますが、営利を第一に追求すれば手間のかかる介護より、少しの世話ですむサービスを選択するのは容易に想像できます。

要支援1で月に一割2,000円ちょと、1回5000前後?

Posted by 不思議 at 2018年12月27日 02:46 | 返信

 私の義母は転倒骨折で入院しました。入院当日の夜(救急車で緊急搬送)、せん妄があり看護師さんにたいへんお世話になったそうです。それで、リスパダールが出されたのですが、(当然)効くはずがない。このままでは、医療連携先の精神科病院か施設に入れるしかないと、ソーシャルワーカーが言う。一方、院内の精神科医は、向精神薬を色々試してみるという。
 
 
 このせん妄ならば、リバスタッチ(1.125mg、4.5mgの1/4)でせん妄は治まるハズ。そう目論んで、なんとか処方してもらい、それまでのせん妄はまったく無くなりました。何故、せん妄と断定したのかというと、元々日常生活はちゃんとできており、MCI(軽度認知障害)程度の可愛らしいボケがある程度なので、認知症によるものではないと判断したからです。
 
 
 ソーシャルワーカーの勧めで、入院中に新規の介護認定を受けることに。家族が心配になるほどボケていたので、「要介護3」の認定が出ました。
退院に前後してケアマネは、住宅改修、訪問看護、介護ベッド、認知症対応デーサービスをケアプランに組み込みました。ところが、そのすべてを義母が頑なに拒否。最終的に使ったのは、住宅改修(浴室に手摺り設置)のみです。
 
 
 あれから約半年以上が経過し、現在の義母は従前とまったく変わらない生活ぶりです。次の認定調査では間違いなく要支援になるでしょう。介護保険を使わずに済んでいるから、要支援で構わないのです。


もし、あの時(せん妄が出た時)、「治療は、先生にお任せします」と言っていたらどうなったか ・・・・ ? 
 ■向精神薬による不適切な治療で認知機能やADLが悪化。
 ■介護サービスを、給付費の上限まで利用
 ■施設に入らないにしても、家族の介護負担増大


 入院期間中はどうしても介護認定の結果は介護度が上がってしまうようです。しかし、被保険者本人が持ち合わせている生活能力は、在宅に戻れば回復する可能性は大いにあります。ただし、不適切な治療でなければ・・・!

 結局、現在使っている医療費は、入院前にかかりつけ医に通っていた時のまま。ただし、継続して使っているリバスタッチ(1.125mg)の約80円(4.5mg製品の単価の約1/4)が増えた。これは、せん妄対策ではなく、長い目でみたボケ防止。そして、介護給付費はゼロ。

 医療保険も介護保険も、使うことは権利ではあるももの不必要な使い方をしないという義務もあるのではないか? 両保険制度ともに破綻に瀕している現状では、保険料納付の他に「できるだけ使わない」という義務も課せられているように思います。


 だから言いたい、「介護家族・施設介護者が賢くならんとアカン!」
 
 

Posted by YOSHIKI at 2018年12月28日 12:44 | 返信

介護保険って
どのくらい介護の時間が必要ですか…という判定なんですよね

…となると
同じ状態でも お一人暮らしの方は 介護度が出てこないんです
もう少しヘルパーさんに助けてもらえば おうちでも過ごせるのに 助けてくれる方がいないために
結局施設入所を選択せざるを得ない現状があります
施設が悪いって言っているわけではないんですよ
自分の家に いろんな想いがあるんです
それに お寿司が好きなんです

選べる自由 欲しいで〜す

Posted by 宮ちゃん at 2018年12月29日 09:00 | 返信

デイサービスで働いています。
時折、要介護1か要支援レベルの方が、なぜか要介護5とか4とかになられるケースに遭遇します。なぜでしょうか。不思議でなりません。明らかにおかしい。行政へ通報するべきか悩んでいます。
本人が演技していて、ケアマネもグルで、調査員は???デイサービスも巻き込まれてる???
どうしてこういうことがまかりとおるんでしょうか。

私共のデイサービスでは地域復帰、退院支援の一環と考え、積極的に退院直後の高齢者も受け入れています。多くは大した期間をかけず元気になられて要介護度も軽くなられています。それが当然のことだと思います。そのためのサービス提供者でありたいと思っています。

Posted by デイサービスではたらいています at 2018年12月29日 10:46 | 返信

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