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本物の地域包括ケアを目指して

2019年01月11日(金)

「地域包括ケアシステム」という言葉が生まれて10年以上が経過した。
全国1700市町村それぞれがそれぞれの地域の理想を求めている。
しかし、本物の地域包括ケアが構築された地域を私はまだ知らない。
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1月、2月、3月も全国を飛び歩くことになる。
現場をやりながらなので、結構、大変な作業だ。

全国津々浦々どこに行っても医師や行政はこう言う。
「いやー、当地区の地域包括家はまだまだです」

私は必ずこう言う。
「いや、1年中、全国を回っていますが、どこもまだまだです」。

しかし国家レベルから見れば「地域包括ケア」しか手段が無いのだ。
1700の市町村があれば、1700通りの地域包括ケア、がある。

在宅医療はその中核をなす。
そして総合診療の中のひとつに在宅医療がある。

昨日は、日漫協の理事会に出席した。
療養病床のDPC化の是非や地域包括ケア病棟について熱い議論を聞いていた。

私は8月24日(日)の「総合診療を推進する会」の後援依頼をし承認された。
在宅も慢性期病院も、医師は総合診療のスキルを高めなければいけない。→こちら


そんな中、先日、在宅医療の先駆者である黒岩先生から手紙が届いた。
1月12日(土)の「地域包括ケアの会に来るように」と書いてあった。→こちら

私は尊敬する先輩から命令されると、従順に従ってしまう。
というわけで、明日は長浜市講演だがそれがが終われば、黒岩先生の元に駆けつける。

黒岩先生は東大医学部だが、全共闘世代だ。
チラシにも匂いがプンプンする。

黒岩先生のことを知らない人のほうが多いだろう。

以下は4年前に在宅医のMLに黒岩先生が書かれた檄文。
そんな黒岩先生と久々にお会いできることが楽しみだ。

そして翌日は、杉並区で講演。
同級生や後輩が来てくれるので少々緊張する。


@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@



全国の地域で奮闘している若い在宅医の皆さんへ
 
在宅医療の充実・発展を心から願い、大きな病院医療の流れに抗して、また病院との
新たな関係を求めて、孤軍奮闘からようやく、同志とのネットワークを築き、さらなる前進を
目前にしていたこの時節に、今回の厚労省の暴挙とも言える、在宅診療報酬の改定(改悪)が
政策として提起されたことに対して一言述べさせていただきます。
 
この件に関しては、メール等を介して、多くの方々より意見が述べられています。
多くの方々は意見の前に呆然としたのではないでしょうか。
 
この改訂への驚きは、その減額の数値に対してではありません。
平成24年より“在宅ケア安心元年”と称して、超高齢社会の最後のカードとして「地域包括ケアシステム」を
提起し、その基軸として在宅医療を位置付け、在宅推進の同志として振舞ってきた厚労省が、
事前に何の相談もなく、事後にその方針の説明もない態度への、いわば裏切り行為への驚きだと思います。
 
こうした理不尽な手法に対しては、まず私たちの理念を確認し、原則的に対応する以外ないと思います。
そこで私はこの事態に対して箇条書きに論点を提示させていただきます。
 
1、厚労省(国)は、地域包括ケアシステムを目標として政策を展開してきました。このシステムの核心として、
  医療・介護等に加えて「住まい」をトップに提起しました。
 
 その「住まい」を家(在宅)の役割を拡大して、密着型を提案し、実行してきました。
 
 特にグループホーム、小規模多機能がそうですが、それだけでは不十分でサ住高などを推奨してきました。
 
 これらすべて同質とは思いませんが、グループホームや小規模多機能を例にとれば、自分の家と
 どちらを住まいとしても在宅であり、時には在宅以上に安心できる“住まい”になっています。
 
 こうしてようやく出来た新しい“住まい”に対して、在宅(家)と密着型への在宅管理料まで大きな差をつけることは、
 密着型の理念を根本から崩すものになります。また医療サービスに差をつけることを要求するようなものです。
 
 集合住宅の往診料は差があってもいいのですが、高齢者にとって家も密着も同じように思い暮していることに、
 その管理料に差をつけることは、人権にもかかわる重大な事態だと思います。
 
2、厚労省は、この大胆な減額を、しっかりした説明もなく断行することは、在宅を担ってきた良質な医師たちへ
  不信感を植付けたと思います。医療行政がこれまで朝令暮改だとはいえ、今回の不条理な改訂は、 
  行政への信頼を失わせ、新たに在宅の仲間を増やすこともできなくなると思います。 
 
  二階にあげておいてハシゴをはずすと同様です。
 
3、悪者がいたからといって、ふつうの人も同様に罰することは、連帯責任をとれということになります。
  かつての日本軍隊で小隊の1人でも不心得者がいれば、全員を罰する悪しき風習と同じになります。
 
  まず説明し、改善を勧告し、当事者の浄化能力を引き出す態度をとるべきと思います。
  制度が生み出した“悪”を制度で取り締まっても、本質的な解決になりません。
  それが行政の悲しいところでしょうか。当然、医師の倫理観・良心と努力で解決する以外ないはずです。
 
4、さらにおそまつなことは、一度出してしまった改訂方針を、舌の根もかわかぬうちに手直ししたことです。
  良き在宅医も結局“お金”で働いているのだと印象づけることにもなりかねません。
 
 
  そもそも最初に提示された報酬案はいったい何だったのでしょうか。無知と蛮勇が生み出したものか、
  もしかしたら一寸高尚な“お芝居”だったのでしょうか。
 
5、まとめれば
 1)地域包括ケアシステムの中核である“住まい”づくりの理念から逸脱したこと。そして“住まい”で
   医療サービスに差をつけるといった、人権問題にも及びかねない行為であったこと。
 
 2)説明責任もとらずに医師(医療者)にも利用者にも大きな不信関係をつくってしまったこと。
 
 3)あわてて手直ししたことは、一層行政への不信をつのらせ、在宅医もお金でなんとかなると
  思わせるおまけまでついてしまったこと。
 
6、そのうえで、多くの皆さんが提案しているように、今後在宅医療が国の戦略として医療政策に
  位置付けられた以上、国は在宅実践者と話合える関係をつくらねばならないと思います。
  
  在宅医療は本来、診療所の外来から、医師との信頼関係を通して往診が生まれ、それが
  制度として在宅医療になったと思います。だからこそ、地域完結型の医療として、病院との
  連携をとればその骨格ができるものです。
 
  一方往診に特化した方法は、ともすれば病院の補完物になり、地域完結型、安心して暮らせる
  地域づくりとはかなり違ったものになるのではないでしょうか。
 
  主として診療所・かかりつけ医の当然の役割として、在宅医療が充実することを期待したいと思います。
 
最後に、3月16日毎日新聞が、こうしたゴタゴタとは関係なく、現在の医療政策批判の記事を載せています。
「朝令暮改の病床再編」を大見出しとして、介護型療養病床の復活を論じ、そのうえで中見出しで
「在宅医療受皿広がらず」で結んでいます。
 
これは実態を言い当てていますが、ただひと言、在宅医療は病院の受皿ではありません。
 
むしろ在宅医療が土台で、病院は必要に応じて、その土台の上に存在する医療資源です。
 
 
全国の同志諸君、行政の暴挙を乗り越えて、日本の医療の充実、国民の仕合せのために
 
がんばりましょう。
 
 
平成26年3月18日
 在宅医療推進会議 会長代行
 在宅療養支援診療所連絡会 前会長
 在宅ケアを支える診療所・市民全国ネットワーク 名誉会長   黒岩卓夫
 

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