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ナラテイブを多職種で共有できらた最高!だよね
2019年02月04日(月)
医療タイムス2月号 ナラテイブを多職種で共有する 長尾和宏
私事で恐縮だが、昨年末に30年以上診てきた患者さんを訪問看護師さんとご自宅でお看取りさせて頂いた。102歳、老衰だった。このようにきわめて長い期間、しかも人生の最期にまで寄り添うことができることが町医者の醍醐味だとあらためて感じた。患者さんや家族と深い信頼関係を築くコツは一にも二にも生活や人生観を知ることだ。その人の「ものがたり」にじっくり耳を傾けることが大切。患者さんの想いに共感できることが「かかりつけ医」の条件であろう。お看取りはその延長線上にある結果にすぎず、目的ではない。かかりつけ医の仕事の大半は高齢者診療である。外来診療も在宅医療も総合診療であるが、複数の疾患を有する高齢患者さんのマネッジメントは疾患別ガイドラインどおりには決していかない。病気の枝葉末節にとらわれることなく、生活や予後をも俯瞰した判断が迫られる。そこで活躍するのがナラテイブである。
秋田県医師会は在宅医療・介護連携ICTツールとして「ナラテイブブック秋田(自分手帳)」を開発した。「ナラテイブ=本人のものがたり」で、「ブック=まとめる」という意味だ。電子カルテによる医療情報の共有とは別物である。そもそもこれは連携のための情報共有ではなく、本人が主体となった記録管理システムである。本人の想いを言葉だけでなく写真や絵も添えてクラウドシステムに書き込んで造られるナラテイブブックは、本人と家族はもちろん関わっている多職種も閲覧している。昔からある言葉、「患者中心の医療」を現代版に具現化されたものだ。ナラテイブブックに関する詳細は秋田県由利本荘医師会のHPにアップされているので興味のある方は是非とも参照して欲しい。ナラテイブが多職種で共有されることで在宅看取りにまで至るケースが増えることは自然な帰結である。
通常の電子カルテは医療情報の記録媒体であり、ナラテイブをほとんど考慮しない仕様である。しかし後期高齢者や終末期患者さんにとって最も大切なものはナラテイブだ。そんなナラテイブデータは常に更新されるべきである。ケア会議の席で本人の意思を尊重し多職種で何度も話し合うべきだ。昨年、ACPの愛称が人生会議と決まった。しかしいきなり「人生は?」と問われてもあまりにも漠然としすぎて何から手をつければいいのか分かりにくい。しかしナラテイブブックは人生会議そのものだと思う。ACPとはナラテイブ診療と表裏一体だ。なおナラテイブブックの課題は運営費用やビジネスとして成立し得るかどうかだという。いずれにせよ秋田県の新しい試みを注目したい。
冬の時代の診療所経営は「かかりつけ医」として選ばれるかどうかで決まる。それは「ナラテイブ診療」そのものではないのか。そしてもし多職種間でナラテイブ情報を共有できれば地域包括ケアは格段に進むだろう。さらにたとえば日本医師会がナラテイブ情報も充分加えた電子カルテを開発して、「かかりつけ医」の条件にしてはどうか。お叱りを受けるかもしれないが、診療報酬で誘導でもしないとナラテイブ診療の普及は容易ではないと感じている。
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インフルは、どうやら峠を越えたような感覚。
しかし日々の仕事は目が回りそうな忙しさ。
年々、仕事量が増える一方なので少し心配。
いや、自分がノロマになっただけなのか。
いずれにせよ、ナラテイブを一生懸命やると夜遅くなる。
もっとナラテイブを!!
でも、もっと睡眠を!
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この記事へのコメント
「ナラティブ=本人のものがたり」に寄り添う長尾先生を容易に想像できます。
それ故に、数千件もの平穏死を添い遂げてこられた御実績を納得することができます。
けれども、それをデータベース化したりとか、経験談を元にして真似てみるとかの話は
少し違うような感じもします。
「人間関係」の構築術ですから、それは唯一無二な方法とでも言いましょうか、
そのノウハウを伝術するものとは違うような気がします。
あくまでも、「意思疎通と信頼関係の構築」= 人と人とのハート♡ の物語ですから。
対・個人です。上手くは言えませんが、生涯の中で親友と呼べる人を見つける事ができるか
否かというような、キャパシティー的な問題ではないかな、と思います。
Posted by もも at 2019年02月06日 10:16 | 返信
社会福祉士はナラティブアプローチという手法を使うことがあります。先生のおっしゃるナラティブは本当に大切だと思います。
でも、私は高齢者の介護業界にいますが、現場では日々の業務に追われてナラティブにあまり目が行っていない気がします。
だからどう支援すればいいのか分からなくなる場面も少なくないです。
お一人お一人のナラティブにもっと注目すれば、介護する方も困ることも無くなるのにと思うのですが、、。
Posted by 尼崎の社会福祉士 at 2019年02月07日 08:46 | 返信
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