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医師の労働問題 パンドラの箱を開けよう
2019年03月10日(日)
医療タイムス3月号 医師の労働問題 パンドラの箱を開けよう
どこに行っても働き方改革が話題になりますが、よくやく医師の残業時間も議論されています。
現在、地域医療を担う病院の医師や研修医の残業時間の上限を1860時間とする案が提示されています。
しかしこれは一般労働者の過労死ラインの2倍近い長時間労働を容認する凄い数字です。
週1回程度の当直を含む週6日勤務、1日14時間働き当直明けも昼まで働くという数字です。
産業保健においては月80時間残業が過労死ラインと言われていますが、医師は別枠とされているのです。
しかしもし月80時間を遵守すると産婦人科医療や救急医療の現場は完全に崩壊します。
開業医にとっては後方支援病院が無くなることなので決して無関係な話ではありません。
また前も書きましたが、医師一人で24時間365日対応を前提とする在宅医療は労働環境から考えると論外の施策です。
もっとも事業主には労働基準法が適応されないのでもし過労死しても犬死に扱いです。
在宅医療の推進ももはや美談だけでなく労働環境を土台にしない限り浸透するわけがありません。
一方、医師の労働時間の国際比較では日本の医師は欧米よりずっと長時間労働であることは有名な話です。
欧米ではナースプラクテイショナー(診療看護師)やフィジシャンアシスタント(医師の補助者)がいる、という背景もあります。
また人口1000人当たりの医師数とベッド数に関しては、OECDの資料によると入院ベッドは多く、医師数は少ないという話も有名です。
こうした基礎知識も医師全体で共有しておくべきです。それでも日本の医師は過重労働に「耐えている」というべきでしょうか。
しかし「不勉強で甘んじている」という見方もされます。
突き詰めればそもそも医師は聖職なのか労働者なのか、という議論にもなるでしょう。
いずれにせよ医師以外の職種の働き方改革が進むにつれ、医師の過重労働傾向はさらに悪化することは必至です。
だから今こそ、医師の労働問題を医療界として真剣に議論すべきです。
救急医をはじめとする過酷な労働環境で頑張っている勤務医の命を守ることも開業医の仕事です。
筆者は、10年前に「パンドラの箱を開けよう」(エピック、梅村聡氏との共著)とうい本を書きました。
この「パンドラの箱」とはまさにこの労働問題のことです。過重労働のため亡くなった医師や遺族の想いを
このタイトルに込めましたが、時期が少し早かったのかもしれません。
医師の労働問題はお役所から指示されるのではなく医師側から前向きな提案を戦略的にしていかないと良い方向には行かないでしょう。
地域や診療科ごとの医師の偏在問題や勤務医と開業医のバランス問題も、医師の側から声を上げないと間違った方向に進むでしょう。
そのためには、勤務医と開業医がまずは一体となることです。すなわち医師会活動の最重要課題として推進されるべきです。
また医療安全の土台でもあります。
時代は変わります。働き方も変わります。医師だけが例外であることはあり得ません。
たくさんの障壁がありますが、今こそ市民に強いメッセージを発する時です。
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セブンイレブンも深夜営業の是非が、問題になっている。
コンビニのオーナーも24時間365日拘束されている。
人口減少のなか、特に労働人口減少の中、深夜勤務者を
確保できないのは世の中の流れであり、仕方がないこと。
吉野家やすき屋も店舗によっては24時間営業を見直す時期。
コンビニも外食産業もそんな大きな転換点に来ていると思う。
その意味で勇気を出して発信されたセブンイレブンの店主はエライ。
誰かがパンドラの箱を開けないと世のシステムは変わっていかない。
深夜の数時間、コンビニを閉めても多くの人は困らないはず。
そろそろ方向転換すべきだ。
一方、医療は人命を扱うので、そう簡単に24時営業を止められない。
在宅医療だって24時間対応は不可欠でコンビニと同様にはいかない。
だからこそ知恵と工夫が必要。
だからこそパンドラの箱を開けるべき時。
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