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介護施設にも医療は要る
2019年05月04日(土)
在宅患者さんがいるので、GWもずっと仕事だ。
24時間365日働いているのでいつもと同じ。
電話が鳴るので映画館は出口近くしか座れない。
24時間365日働いているのでいつもと同じ。
電話が鳴るので映画館は出口近くしか座れない。
当院の在宅患者さんのうち、介護施設の人は2割だ。
しかし電話が鳴るのは、8割が介護施設からである。
つまり、介護施設が私の電話を鳴らす確率は、自宅のなんと25倍ということ。
なぜ、25倍もの大きな大きな差があるのか?
1)医療知識が乏しい介護職が多い
2)その割には、バイタルサインだけは測りまくる
3)そして少しでも異常値が出るとパニックになる
4)発熱、嘔吐、転倒が、三大要件だが、備えていない
充分予想される急変に対して、基礎知識がない
5)介護訴訟が怖いので、全例119番して、
主治医には事後報告と定めている施設も
以上は、介護施設が悪いのではない。
介護政策に原因があると思う。
政治家と官僚の責任、である。
・介護施設は元気な高齢者が入るところ
・だから医療は飾り程度でいい
・夜間はヘルパーだけで充分対応できる
・在宅医に連絡すればいいだけ
・あるいは、なんでも119番すれば家族に訴えられない
・在宅医の報酬も、自宅の4分の1で充分だろう・・・・
そんな認識は全て誤りである。
介護施設にこそ、安心のための医療が必須なのだ。
本来、医療の呪縛から逃れられるのが介護施設の良さ、なのだろうが
現実には、家族からの医療需要が膨大なので介護側も対応を迫られる。
本人の意思より家族の意思が優先する国(世界中で日本だけ)においては
仕方がない、誰も止められない傾向なので、それに対応するしかない。
適切な慢性期医療がないと、なんでもかんでも急性期病院に送り
病院は疲弊し、医療経済は悪化し、人生会議など有名無実となる。
こんな単純な事実を政治家や官僚は、直視しようとしない。
現場を知らないエライ人の意見だけで政策決定されている。
医療と介護の連携と言われるが、厚労省内の老健局と保険局の連携ができない。
政治家は厚労行政を「政治主導」するだけの知恵も力もない。まさに力不足だ。
ああもったいないと思う政策が多すぎる。
でもそれを実行できる政治家は、いない。
「介護医療院」が大きなヒントになろう。
まだ出来たばかりで、多くが半信半疑だ。
「介護医療院」の趣旨を理解すれば、
正しい方向であることが分かるはず。
介護三施設だけでなくサ高住も有料老人ホーム
なども、介護医療院に転換すべきではないかな。
そして一馬力の開業医ではなく病院のようなマンパワーのある医療機関が
介護医療院の医療マネッジメントをする時代が到来するような気がする。
残念な意見だとも思うが、現実を直視すれば、そうせざるを得ないのでは。
介護崩壊を防ぐためにも、医療人がしっかりバックアップすべきだと思う。
以上のことは何度も講演したり、書いてきた。
日本慢性期協会の仕事を受けているのもそんな理由からだ。
在宅と病院の橋渡しをするという重大な任務があると思う。
例えば10月25日(金)10:00~11:30には、
東京ビックサイトでそんな講演をする予定になっている。
令和の課題は、「介護施設における医療」である。
PS)
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この記事へのコメント
初めまして。知的障碍者施設に勤めています。高齢者施設ではありませんが、2時間に1回の見回り。頭を打てばすぐ緊急通院。でも、一緒に暮らしている89才の母の部屋を夜間に開ける事は、ほとんどありません。高齢なのでいつ何があっても仕方がないと母も私も思っているし、知らない間に亡くなっても、警察が入る事はあっても、まぁ仕方ないかと・・・でも、職場では、「様子見で・・・」と言って、何かあれば、保護者からも、施設からも責任が問われてしまいます。それが、怖いのです。疎遠の家族に限って何か言ってくる気がします。夜勤の私も2時間に1回見回ってもらわないと、死んでるかも・・・(笑)
Posted by いっぽ at 2019年05月04日 10:28 | 返信
長尾先生
お疲れ様です。大田区でお泊り付きデイサービスを運営しております。
まさしくその通り医療を知らない介護士ばかりです。人手不足もあり事業所を閉鎖するなどこの2年間の間にありました。
やっと大田区地元の高瀬クリニックの院長先生やおだやか診療所の上野院長の患者さんを受け入れにより医療を勉強をさせていただき、職員の安定と介護な面白さを身体で感じる事ができる職員が育ち雇用の安定を確保されました。お陰様で認知症に強いデイサービスができました!是非、遊びに来てください!
Posted by 屋代千恵子 at 2019年05月05日 06:32 | 返信
如何に死ぬのか、如何に生きるのか、を他人任せにし過ぎる世の中だと痛感します。
働き手として、労働力を社会へ注ぐという社会貢献を果たしていると、家庭や家族の
ために費やす、個人の時間が失われていくジレンマを承知しています。
家庭を持ったため、4人の親を看送りました。高齢者家族を抱えた時に、施設等の機関に
お世話にならなければ、生活が成り立たないという家族側の事情を知っています。
一方で福祉や医療の現場側で働く者として、被介護者の一部始終を見ていると、また
その家族の在りようを見ていると、様々なエゴイズムが蔓延しているのを垣間見ます。
それでいいのだろうか? 何かが違うのではないか? と疑問を抱いたまま働いている
働き手は五万と存在するのではないかと思います。
ただ、皆言えないのです。大なり小なり、守秘義務を自覚しているのです。
肉親を預けたならば、それなりに「他者を思いやる努力」が必要だと思います。
身内を自分で面倒見ることが出来ずに、他人の手に委ねるのですから、全てが万全に
何事もなく、ただ眠るような死を静かに被ることができる、という幻想を抱くのは
ムシが良すぎる気がします。自分自身が面倒を見ることが出来ずに放棄したのですから。
そもそも人の死とは、「静かに眠るように」という幸運を得ることができるのは、
神と仏のみぞ知る、というふうに思います。
Posted by もも at 2019年05月05日 03:17 | 返信
わたしも…
映画館は いつも 出入口です
施設に入れば安心説…そんなのはないです
そもそも医療と介護という二つに分けてしまったこどが原因ですよね
医療職は おうちで過ごすことってどういうことなんだろうと学ぶべき!
介護職は 数字にとらわれるのではなくて 見て 聞いて 感じて フィジカルアセスメントを学ぶべき!
誰の意思決定支援?
→ご本人が穏やかに過ごせるには 何ができるのか 一緒に考えましょうよ
Posted by 宮ちゃん at 2019年05月06日 10:33 | 返信
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