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心肺蘇生の不実施が導入されそう

2019年05月13日(月)

東京では、心肺蘇生の不実施が導入されそうだ。→こちら
本人意思を尊重の方向に確実に向かっている、気がする。
しかし国は「患者は意思表示するな」という見解である。


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心肺蘇生、不実施導入へ 本人意思尊重…東京消防庁、年内にも

5/12(日) 7:11配信

産経新聞

 自宅などで心肺停止状態に陥ったときに、蘇生(そせい)措置を受けずに最期を迎えたい-。高齢者本人が事前にそう希望していたにも関わらず、救急隊が蘇生措置を実施するケースが後を絶たない。こうした本人や家族の意思を尊重しようと、東京消防庁は年内にも、かかりつけ医らの指示による心肺蘇生の不実施(DNAR)を導入する方針を固めた。出場現場での待機時間の短縮など、救急隊の負担軽減も期待できるという。

 ■2時間待機した救急隊

 救急隊によるDNARは心肺停止状態になった末期がん患者らに対し、本人や家族の意思を受けて蘇生措置や救急搬送を行わない対応だ。自宅に駆けつけた救急隊は心肺蘇生の開始後、家族らから事情を聴いて本人の意思を確認。地域のかかりつけ医らの指示を受けて最終的に決定する。

 消防法で定められた消防の救急業務は救命を前提としており、DNARは従来と異なる概念の対応になる。これまでも主治医らによる指示で蘇生措置を中止することはあったが、現行の運用では、救急隊は蘇生措置の中止後も医師に直接引き継ぐまで現場から撤収できなかった。

 DNARを希望し、東京都内の自宅で今冬、心肺停止になった末期がんの高齢女性のケースでは、119番通報を受けた救急隊が女性の主治医に連絡を取り、現場での心肺蘇生を中止。だが、未明の時間帯で医師の到着が遅れ、救急隊は約2時間にわたって待機せざるを得なかった。

 都内の救急隊出場件数は過去10年間で約15万件増え、昨年は80万件を超えた。特に75歳以上の搬送者が急増しているという。出場現場での待機時間の短縮は喫緊の課題で、東京消防庁は今年2月、救急隊の活動指針にDNARを導入する方針を決定した。

 導入に伴い、蘇生中止の意思確認は重要度を増す。東京消防庁はDNARを家族などから自発的に要望が出た場合に限り、救急隊側が主導することはしない。また、普段から患者の状態を知るかかりつけ医か、その連携医から指示を受けることを前提にするという。

 ■家族らの心理的負担も

 総務省消防庁が昨年実施した実態調査では、DNARへの対応方針そのものを定めていない消防本部が54・4%に上る。既に導入している自治体消防では、救急隊員に助言する立場の救急隊指導医の指示でも中止できるとするところもある。このような状況の中、東京消防庁はより厳密なルールを定めたといえそうだ。

 DNARの導入は高齢者本人や家族にとってもメリットが大きい。現状では医療機関に搬送されて死亡した場合には、延命措置など望まない医療行為に伴う心理的・経済的負担がある。

 森住敏光救急部長は「現場で活動する救急隊も、救命の使命と本人や家族の希望との間で板挟みになっている」とDNAR導入の意義を強調する。



 ■かかりつけ医への事前伝達不可欠

 東京消防庁が導入方針を決めた「心肺蘇生の不実施(DNAR)」は、最期まで自宅で暮らしたいと希望する高齢者とその家族に、事前の意思表示の必要性が浸透するかが制度運用の重要なポイントになる。在宅医療が専門の恵泉クリニック(東京都世田谷区)の太田祥一院長(58)は「医療の代理人となるかかりつけ医に対し、自身の最期についての希望を伝えておく文化を根付かせる必要がある」と指摘する。

 厚生労働省が平成29年度に実施した意識調査では、末期がんで回復の見込みがないと診断された場合について、69・2%の国民が「自宅で最期を迎えたい」と回答。その一方で、DNARを含む終末期の医療について家族と話し合ったことがある国民は約4割(25年度調査)だった。病状悪化などで意思決定ができなくなる場合に備え、事前指示書を作成していたのは8・1%にとどまった。

 心肺停止状態になること自体にもリスクがある。太田氏によると、心肺停止から5分以内に心肺蘇生を開始し、AED(自動体外式除細動器)を使用しても、1カ月後の社会復帰率は4割程度。5分以上経過すれば脳に障害が残る可能性が高まり、家族の負担が増す結果にもつながる。

 太田氏は「法律のトラブルであれば、弁護士が代理人になるのが当たり前。医療については、かかりつけ医に事前に自分自身の最期についての希望を伝えておくことで、その希望通りの対応が期待できる」と指摘する。


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この太田先生は、2年前まで「リビングウイルやDNAR」に反対していた。
第1回在宅救急研究会では太田先生た横田理事長と激しいバトルがあった。

果たして、2年後、彼らの意見は明らかに変わったようだ。
私の主張が理解されたようで、嬉しい知らせだ。

以下は、ある雑誌に投稿予定の草稿だ。
毎日、こんなことを考えている。

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心肺蘇生を望まない終末期患者への救急隊の対応  長尾和宏
 
 
看取りのはずが警察沙汰に
在宅看取りであったが慌てた家族や近所の人が119番すると、救急隊による心肺蘇生が開始されたという話を時々聞く。119番するという行為は、もし心肺停止であれば蘇生処置を開始してくれという意思表示でもある。救急隊は心肺停止に対して必ず蘇生処置を開始することが消防法で定められている。もしそうしなければ、後のメデイカルコントロールによる検証により処罰されることすらある。蘇生処置に反応せず死亡が確認されると警察に連絡されることもある。通報を受けた警察は事情聴取や現場検証を行う。このように在宅看取りのはずが警察沙汰になった、という話をよく聞く。そうなると家族は何か悪いことをしたのでは、という錯覚に陥る。大きなトラウマとなり悩み続ける人もいる。筆者もこれまで1300件以上の在宅看取りのなかで数件、苦い経験をした。警察沙汰になればせっかくの在宅医療も後味が悪い。
警察沙汰になってしまう原因はいくつかある。まずは市民が在宅看取り寸前に119番することの意味を理解していないことだ。在宅医が緊急対応をしていないこともある。また多くの医師が看取りの法律である医師法20条を正しく理解していない、ないし誤解していることもある。医師法20条と殺人疑い死体の警察届け出を定めた医師法21条を混同している医師は多い。筆者は、「看取り搬送」後の「在宅医の霊安室往診」を是正するために病院の医師に看取りの法律の説明をしているが多くの時間と労力を要する。さらに救急隊との連携がとれていないことも大きい。
 
蘇生しながらの確認作業
総務省消防庁の統計によると、救急搬送人員数のうち最も多い年齢区分は高齢者(56.7%)である。搬送人員に占める高齢者の割合は過半数を超え(56.7%)、最も高い年齢層は75~84歳(22.6%)である。その中には当然、心肺蘇生の対象となる人も少なからず含まれている。一方、リビングウイル(LW)や事前指示書(AD)を書いて人生の最終段階において心肺蘇生を望まない(DNAR)市民が増えている。現在、文書でそうした意思表示をしている国民は3.2%いると推計されている。LWやADには当然ながら、DNAR指示も含まれている。しかし現実には終末期患者さんが急変した時に、家族、隣人、介護スタッフなどが反射的に119番をすることがよくある。駆け付けた救急隊はこうしたDNARを表明している終末期患者さんにどう対応するべきだろうか。
東京都消防庁の諮問機関である「救急業務懇話会」は今年2月、「かかりつけ医による患者の意思確認と指示があれば蘇生処置を中止する」との答申をまとめた。東京都消防庁は来年度からの運用を目指しているという。また、総務省消防庁の検討会の18年度報告書では蘇生中止の基準は示していないものの心肺蘇生を中止する運用を行っている消防本部の対応状況を紹介している。その上で家族や本人が蘇生を望まない事案について今後、検討を進めていくことを明記した。このように救急隊の対応についての議論が活発化している。とりあえず蘇生処置を施しながら、LWと終末期であることの両者が確認できれば蘇生を「中止」してもいい、という方向にある。つまり蘇生をやるかやらないかの二者択一ではなく、やりながら確認作業をして場合によっては蘇生中止もあり得る。つまり救急隊も本人の意思をできるだけ尊重する裁量を持つ方向に変化しつつある。
人生の最終段階には主に3つの病態があることが広く知られている。そのうち、がんと老衰の在宅看取りにおいては蘇生中止という命題は生じにくい。一方、慢性心不全、肝硬変、COPD、慢性腎不全などの臓器不全症においては終末期の判断が決して容易でないことが少なくない。家族がどこまでも蘇生処置を強く望む場合もある。在宅医や病院の専門医と家族を含めて丁寧な話し合いをしていたらトラブルにはならない。しかし臓器不全症の終末期において、蘇生処置を施しても回復不能であるという判断を下すことは時に相当な難問である。だから臓器不全症こそが比較的元気なうちからしっかり人生会議を繰り返しておくべき病態である。LWやADを土台にしたきめ細かい話し合いを積み重ねた先に蘇生中止があると考える。そうした土台が築けていないと救急隊は消防法とLWの狭間に悩み、疲弊する。
 
 
介護施設での心臓マッサージ
 自宅での看取りは医師・看護師と家族が話し合いを繰り返すことで可能となる。特に遠くの家族と早くから充分な対話をしておくべきだ。充分なコミュニケーションを図ることで看取り周辺のトラブルは避けられる。一方、グループホームや老人ホームなどの介護施設における看取りにはそれぞれのハードルがある。家族と話し合う機会を持ちにくい。また看取りの経験が皆無という介護施設も少なくない。グループホームにおいては半数以上の施設が1例も経験していないのが現状だ。そもそも介護スタッフへの看取りの教育は充分でない。また人出不足が深刻化する介護現場では、無資格者が当直していることもある。
 90代の老衰の入所者が息を引き取った、との連絡を受けた。しかし遠方にいたために「4時間ほどかかるけど今から行きます」と話して施設に向かった。果たして到着時に介護職員が女性に馬乗りになっていた。なんと4時間もの間、何人もの介護職員が交代で強力な心臓マッサージを続けていたのだ。看取りの説明はしたものの「心肺蘇生は不要」を話していなかったことに気が付き、悔いた。先に到着した家族からのプレッシャーもあったのだろう。しかし119番しなかったことには感謝した。
 70代の入所者が息を引き取りそうだ、との連絡を受けて駆けつけると先に救急車が到着していた。事情を説明してお引き取り頂いたが、はやり施設の新米スタッフが慌てて119番していた。ケア会議を何度も行い施設看取りを確認していたつもりだったが、気が動転したとのこと。それ以降、「看取り患者さんには呼吸が止まっても119番しない」ことを介護スタッフ全員に周知している。
 
 
 
演劇は市民啓発に有用
近畿二府四県からなる近畿在宅医療推進フォーラムは、数年前から演劇を用いた在宅療養の市民啓発を行っている。16年には多職種からなる劇団「死期」あらため「劇団ザイタク」が、新神戸オリエンタル劇場において「ピンピンコロリなんか無理なん知っとう?」を上演した。在宅医が救急隊や警察役を演じ、分かり易いと好評であった。18年には尼崎市と大阪市でそれぞれ「独居の認知症」と「末期がんの在宅看取り」も上演した。忙しい多職種が練習のために集まることは大変だが、関西風のアドリブを散りばめた演劇は好評である。これらの演劇はDVDやYou Tubeで全国に啓発している。在宅看取りや施設看取りの現場において多職種や家族への説明に活用している。在宅医療の市民啓発はいまだ不十分である。特に「蘇生中止」や「119番の意味」を分かり易く伝えるためには「演劇」という手法は有用である。
「無用な救急搬送」や「無用な検視」を減らすためには、在宅と救急、そしてできれば警察との三者の連携を強化する必要がある。そこで在宅医や救急医らが中心となり平成29年に「日本在宅救急研究会」を立ち上げた。私もその一人である。平成30年には「日本在宅救急医学会」となり、今年は9月7日(土)に第2回大会を都内で開催する予定である。地域包括ケアの推進は在宅と病院の連携という話だけではない。多職種や行政との連携が必須であるが、救急と警察との連携無くして成立しない。官民の壁を超えた横の連携こそが地域包括ケアの土台であると考える。

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