このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com
乳がんのリンパ節転移
2019年05月24日(金)
乳がんの治療や予後は、リンパ節転移の程度で規定されている。
リンパ節転移有りとか無いとか簡単に言うがそう単純ではない。
本当に有るのか無いのかを判定するには、遺伝子診断が必要だ。
リンパ節転移有りとか無いとか簡単に言うがそう単純ではない。
本当に有るのか無いのかを判定するには、遺伝子診断が必要だ。
1 乳がんのリンパ節転移
病理診断でリンパ節転移を診断している。
病理医が、リンパ節の切片を顕微鏡で診て判定している。
しかし取ったリンパ節を全分割するのは大変なので
1~3つの切片を診て判定している場合が多い。
リンパ節の極く一部にだけあっても、(ー)と判定される場合がある。
つまり見逃される場合だ。
あるいは、(+)と判定されても、ごく僅かだけに留まる場合もある。
(+)だから奥のリンパ節も機械的に取ると過剰医療になる場合がある。
サイトケラチン17での判定が検討されている。
全部の全切片を調べるのは難しいし現実的ではない。(OSNA)
しかし、OSNAがマイナスであれば、ほぼマイナス。予後がいい。
リンパ節転移をすべて廓清する現行の方式ははどうなのか。
手術や抗がん剤は、過小でも過剰でもいけない。
リンパ節転移無しの患者さんの予後予測は意外に難しい、
ここで遺伝子診断の技術を使うと、精度がよくなる。
海外ではoncotype DX(40万円)
セラノステイクス研究会のHPがとても参考になる。→こちら
2 乳がんの切除断端の新しい検査法
切除断端にがんが有るか無いかの判定は重要だが、
これもリンパ節同様に、正確に評価するのは難しい。
アクロレインプローブを用いた検査が検討されている。
酸化ストレスがかかるとアクロレインが産生される。
細胞内に入ったものが赤く光る、という原理の検査。
手術場内で1時間以内(30分程度)で判定できる。
しかし手術がDPC(包括制)なので、やる病院は少ない。
3 パネルシークエンス
がん遺伝子の変異を調べることだ。
(イルミナ社など)
がんの遺伝子型と抗がん剤のマッチングだけでなく、
実は乳がん術後のモニタリングにも応用できる。
CEAやCA15-3などの腫瘍マーカーよりも、ctDNAの検索で
がんの再発を早期発見・早期検出したほうが早期治療できる。
パネルシークエンスをすべば4割の患者さんには、
新たな治療法が提案できることが分かっている。
現在は自費検査であるが、保険適応が近い。
使われるパネルは、2種類になりそうだ。
遺伝子パネルについて分かり易い文章を書いたのでご参照を。→こちら
また拙書、「抗がん剤が効く人、効かない人」(PHP)も参照。
【結論】
乳がん患者さんのリンパ節転移の有無を正確に判定することで
過小医療やか過剰医療が回避でき、患者さんの幸せにつながる。
効率のよい抗がん医療を実現するために、遺伝子パネルの
一刻も早い保険適応を待っている。
関西は東京より遅れている。
すぐに調べたい患者さんが何人かおられるのに、歯がゆい。
PS)
今夜、政治家さんの前で医療の話を小一時間することになった。
本当はこんなことをお願いしたいが、分かってもらえないかな。
このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com
コメントする
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL: