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遺伝子パネル検査が6月から保険適応に!

2019年05月31日(金)

遺伝子パネル検査が、6月から保険適応になる。
抗癌剤医療の精度は、飛躍的に向上する方向に。
そうなると問題は、医療費(健康保険)である。

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ゲノム医療幕開け 

がん関連遺伝子検査保険適用へ 差別には懸念  →こちら

 

 
 
 
がんゲノム医療の流れ

 



患者の遺伝情報(ゲノム)を治療に生かす「がんゲノム医療」を巡り、厚生労働相の諮問機関、中央社会保険医療協議会(中医協)が29日、がん関連遺伝子を調べる「遺伝子パネル検査」について公的医療保険の適用を了承した。来月1日から保険が使えるようになる。手術や化学療法などで改善しなかった患者にとって新しいがん治療の幕開けは福音だが、効果が見込める患者はまだわずかだ。不十分な診療体制や遺伝子差別への懸念など、課題も山積している。【酒井雅浩、御園生枝里】

遺伝子検査で最適治療薬

 

「できる治療が一つずつ減っていくことが不安だった。遺伝子パネル検査で新しい薬が見つかり、治療を受けることができてうれしい。効果が続けば生きていける」。肺がんの一種、肺腺がんを患った清水佳佑さん(37)=大津市=はこう言ってほほ笑んだ。

 
 
遺伝子パネル検査は、遺伝子を高速で読み解く装置「次世代シーケンサー」で、100~300個のがん関連遺伝子を調べる=東京都中央区で、酒井雅浩撮影

 2000年代初めに登場した肺がん治療薬「イレッサ」が、特定の遺伝子に変異があると有効であることが分かり、がんの原因となる遺伝子を特定し、効果が見込める薬を選ぶ治療法が一般的になった。だが、費用など患者の負担を考えると、可能性の低い遺伝子まで検査を広げることは難しかった。パネル検査では、遺伝子を高速で読み解く装置「次世代シーケンサー」で100~300個ものがん関連遺伝子を分析し、変異がないか調べる。

 清水さんは、17年4月に転移のあるステージ4の肺腺がんと診断された。8月に近畿大病院でパネル検査を受け、「HER2」と呼ばれる遺伝子に変異が見つかった。限られた肺腺がんの患者にしかみられない変異だ。今年2月から臨床試験に参加。3週間に1度、抗がん剤の点滴を受け、3カ月後のコンピューター断層撮影画像では、転移した脇や首などのがんが半分程度に縮小した。

「打率の低さ」に難点

 

 中医協は、保険適用を決めたパネル検査の価格を56万円とした。患者の自己負担は1~3割、月ごとの負担に上限を設ける高額療養費制度を使えばさらに抑えられるが、対象は標準治療で結果が出なかった固形がん(血液以外のがん)の患者に限定した。パネル検査が、その時点で奨励される最善治療の標準治療になるには成功率がカギだ。がんゲノム医療に携わる医師や研究者は「(効果的な薬が見つかるという)打率が低いことが最大のネック」と口をそろえる。国立がん研究センター中央病院の臨床試験では、パネル検査を受けた患者187人のうち、効く可能性のある治療薬が見つかった患者は25人とわずか13%だった。

 
 
がんゲノム医療の中核拠点病院と連携病院数

 臨床試験で遺伝子変異が見つかり、治療薬を服用した肺がん患者の60代男性は、新たな抗がん剤を投与して一時は症状が改善したが、5カ月後、副作用によって治療の継続が難しくなり、自宅療養に切り替えた。治療に当たる臨床医は「標的となる遺伝子に働く薬がそろっているわけではない。『がん治療を劇的に改善する』と言うためには創薬を進めることに尽きる」と話す。清水さんも「患者の命をつなぐ治療の選択肢を増やして」と訴える。

 ただ、保険適用が認められたパネル検査で調べる遺伝子は全体のごく一部だ。新薬など治療の選択肢をもっと増やすためにも、がん関連遺伝子などを新たに見つけ出す必要がある。このため政府・与党は「限られた遺伝情報だけでは創薬に不十分」として、患者の遺伝情報全体を網羅的に調べる「全ゲノム解析」の本格運用に乗り出す。「3年間で10万人」を目標に、関連予算を盛り込むよう調整する方針だ。

結果まで「致命的な」1カ月

 

 厚労省は、遺伝子パネル検査を受ける患者数を「当面は年数千~1万人程度」と見込み、今秋にも受け入れの体制が整うとしている。だが、がんゲノム医療に携わる臨床医は「対応できる病院数を増やしても、専門医を取り合うだけ。患者に早く、適切な治療を届けることにつながらない」と懸念する。

 
 
遺伝子パネル検査のため、患者の検体を準備する=東京都中央区で、酒井雅浩撮影

 がんゲノム医療では、国内の9都道府県にある11施設を、検査や結果分析、人材育成や研究開発を担う「中核拠点病院」に指定。患者側の窓口となる「連携病院」は、全都道府県に156施設を設けている。

 遺伝子解析は外部の検査機関に依頼するケースが多く、中核拠点病院は結果を基に、がん治療や遺伝子の専門医による会議で検討し、治療方針を決める。連携病院は、方針を受けて治療に当たるという流れだ。

 現状では、患者に結果が届くまで3~4週間かかる。厚労省は、検査と分析、治療方針の決定を担う「拠点病院」について、9月にまず30施設程度を新設する方針だ。「年2万人程度の患者受け入れが可能で、検査対象となる全ての患者に対応できる」としている。

 
 
抗がん剤の年間売上額

 しかし、専門医会議に携わるがん専門医は「標準治療を終えた後、治療に耐えられる患者は年最大7万人との試算がある」と話す。「標準治療のなくなったがん患者にとって、1カ月は致命的な時間。保険適用により、希望患者が増えれば、検査は全て無駄になる恐れがある」と指摘する。

個人情報扱いに課題

 

 個人情報の取り扱いも大きな課題だ。遺伝子検査で患者本人だけでなく、家族まで遺伝性のがんを発症する遺伝子を持っていることを発見してしまう恐れがあるからだ。パネル検査では、そうした遺伝子が10個程度含まれる。

 
 
遺伝子を高速で読み解く装置「次世代シーケンサー」=東京都中央区で、酒井雅浩撮影

 「将来がんになる可能性が高い」という遺伝情報が、結婚や就職、民間の生命保険や医療保険に加入できないなどの差別をもたらす危険性もある。遺伝情報に基づく差別を巡っては、米国が08年に差別禁止法を作り、保険や雇用分野で差別的扱いを禁止した。ドイツやカナダなども法的に禁止項目がある。日本でも、超党派の議員連盟が国会提出を目指す「ゲノム医療推進法案」に、遺伝差別の防止規定を盛り込むことを検討している。

 NPO「がんサポートかごしま」の理事長、三好綾さん(44)は、27歳の若さで乳がんとなった。一般的になった遺伝子検査を昨年受けた時、「遺伝性のがんだった場合、家族に伝えるかどうか、事前に相談しておいてください」と医師から告げられたという。幸い自身は遺伝性のがん関連遺伝子に異常はなかったが、「患者が病気のこと以外に負担を強いられる。遺伝性だと知ったら、より悩みを抱えてしまう」と懸念。ゲノム医療に対応した専門の遺伝カウンセラーを、各病院に配置することを求めている。

医療費押し上げも

 

遺伝子パネル検査について、患者らからは「治療の可能性を広げるため、手術後の病理検査時など早期に受けられるようにすべきだ」との意見がある。だが、標準治療が残っている段階では「不要な検査」となり、医療財政への影響も避けられない。

 医療費に対する薬剤費比率は1998年以降、2割程度で推移しているものの、パネル検査のような新技術や高額薬の登場で今後、医療費全体を押し上げることが懸念される。

 日本の医薬品取引を網羅する医療コンサル大手「IQVIAジャパン」によると、18年の抗がん剤の売上額は、前年比9・6%増の1兆2001億円。過去最高となった。「キイトルーダ」は前年比155・1%増。18年末、傷ついた遺伝子の修復機能が低いことが検査で判明した場合、臓器にかかわらず使用できることが初めて認められ、さらに売り上げを伸ばすことが予想される。

 また、5月には一部の白血病などに効果がある治療薬「キムリア」の公的医療保険の適用が始まった。薬価は1回3349万円と過去最高額を記録。高額療養費制度により、年収約370万~770万円の患者の負担は約41万円で、残りは公的医療保険からの支出になる。

 こうした流れを受け、厚労省は、薬の費用がその効果に見合うかどうか分析する「費用対効果」という手法を16年度に試行的に始めた。今年度から本格導入する。

 小黒一正・法政大教授(公共経済学)は「費用対効果では、1人当たりの標準的な治療費は小さいものの、総量が多く、市場規模が大きい薬はコントロールが難しい。診療報酬改定に合わせて薬価を引き下げ、医療費を抑制してきたが、いずれそれも限界がくる」と指摘。医療財政再建に向け、「薬の治療への有効度に応じて自己負担割合を見直すなど抜本的な制度改革が不可欠だ」と訴えている。  

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遺伝子パネル検査は56万円、初の保険適用、患者1人1回
 

がんゲノム医療中核拠点病院等に限定、検査結果の「C-CAT」への提出も

橋本佳子(m3.com編集長)
 

 5月29日の中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)は、遺伝子パネル検査としては初の保険適用となる2つの検査の保険償還価格を決定した。

 保険適用されたのは、中外製薬の「FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル」と、シスメックスの「OncoGuideTM NCC オンコパルシステム」。いずれも、検査実施料は8000点、検査判断・説明料は4万8000点。合計で5万6000点(56万円)となる。保険収載は6月を予定。

 市場規模のピークは販売5年目と予測。予測販売金額は、「FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル」年間75億円、「OncoGuideTM NCC オンコパルシステム」73億円だ(資料は、厚生労働省のホームページ)。

 診療側と支払側双方の委員から、エキスパートパネルの標準化と質の向上など遺伝子パネル検査の実施に当たっての体制整備、がんゲノム情報管理センター(C-CAT)への遺伝子のシークエンスデータ等の提出に当たっての患者への説明と同意、データ等の管理体制などについて、徹底するよう要望が挙がった。点数については異議が出なかったが、支払側からは今後、対象疾患等が広がった場合に点数を見直すべきなどの意見があった。C-CATへの提出をはじめ、遺伝子パネル検査の保険適用の要件は、4月24日の中医協総会で整理していた(『遺伝子パネル検査の保険適用、C-CATへの情報登録が要件へ』を参照)。

遺伝子パネル検査の流れ(厚労省資料)

 2つの遺伝子パネル検査とも、特定保険医療材料の扱いではなく、既存技術料の枠組みで評価された。

 「FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル」は、固形がん患者の腫瘍組織検体(細胞診検体 を含む)から抽出したゲノムDNA の遺伝子変異情報(データ)を解析するプログラム。包括的なゲノムプロファイルの提供、すなわち、324のがん関連遺伝子の変異等(塩基置換、挿入/欠失、コピー数異常、再編成)の検出結果、マイクロサテライト不安定性の判定結果、およびTumor Mutational Burdenスコアの情報提供などが主な機能。一部の遺伝子変異等については、医薬品の適応判定補助を目的とするコンパニオン検査が可能。コンパニオン検査として用いる場合は、疾患によって点数が異なる。コンパニオン検査時のデータを用いて、遺伝子パネル検査に移る場合は、検査判断・説明料(4万8000点)のみが算定できる。詳細は今後、留意事項通知で示す予定。

 「OncoGuideTM NCC オンコパルシステム」は、固形腫瘍の腫瘍細胞を検体とし、100 以上のがん関連遺伝子の変異等を検出するがんゲノムプロファイリング検査に用いる医療機器等として、薬事承認または認証を得ているシークエンサーシステムを用いて、包括的なゲノムプロファイルの取得を行うシステム。

 2つの遺伝子パネル検査はいずれも、算定は患者1人につき1回で、標準治療がない固形がん患者または局所進行や転移が認められ標準治療が終了となった固形がん患者が対象。実施は、がんゲノム医療中核拠点病院、がんゲノム医療連携病院、それに準ずる医療機関として指定を受けている保険医療機関に限定され、学会のガイドラインに準拠する、多職種によるエキスパートパネルで検査結果を検討するなど、複数の条件が付く。検査後は、遺伝子のシークエンスデータ、解析データ、臨床情報等を、患者の同意に基づき、医療機関または検査会社等からC-CATに提出することなどが求められる。

 患者への説明「手順書」が必要

 日本医師会常任理事の松本吉郎氏は、C-CATへのデータ提出をはじめ、4月24日の中医協総会で確認した事項の徹底が必要だとした。「C-CATへのデータ提出は、大変重要であり、患者に重要性をしっかり理解してもらうことが必要。担当医によって説明が異なることは問題」とし、対応マニュアル作成を求めた。

 厚労省保険局医療課企画官の古元重和氏は、「手順書を整備し、その内容に沿って主治医が患者に説明できるように取り組んでいきたい」と回答。

 松本氏は、29日に同じく保険適用になった「オンコマインTM Dx Target Test マルチ CDx システム」(ライフテクノロジーズジャパン)」について、4つの遺伝子変異等を同時に検査できることから、「検体が少なくて済むというメリットはあるが、既に別個にコンパニオン検査として認められており、臨床的な観点からは新規性がない」とも指摘。遺伝子パネル検査も含め、次回改定において遺伝子検査の在り方の議論が必要だとした。

 「市場が拡大したら再算定を」

 全国健康保険協会理事の吉森俊和氏は、次の3点について要望した。(1)エキスパートパネルの質の確保と病院間格差が生じないような体制整備、(2)手順書等に基づく、主治医から患者への丁寧な説明、納得を得た上でのC-CATへのデータ提出と2次利用についての同意取得、(3)C-CATにおける情報管理の徹底――だ。

 健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏は、「OncoGuideTM NCC オンコパルシステム」では、治療薬選択につながったのは13.4%だったというデータを踏まえ、「これだけ見ると、保険適用は時期尚早かもしれないと直感的に思うが、保険適用されデータ蓄積されれば、この数値がどんどん上がっていくことが想定されたのだろう」と指摘。

 その上で、ピーク時の予測患者数が2つの検査を合せて約2万6000人に上ることを踏まえ、エキスパートパネルも含めたがんゲノム医療中核拠点病院等での体制整備のほか、C-CATのデータの2次利用の法整備について質問。

 古元企画官は、約2万6000人はピーク時の予測であり、当面は数千人程度の規模であると予想されるとし、「それには対応できる体制になっている」と回答。またC-CATから第三者への提供は厳格な審査を経て行うとし、そのルール作りも含め、2次利用の体制整備は、C-CAT等で検討をしていくことになると答えた。

 さらに幸野氏は、「ピーク時の市場規模予測が、75億円もしくは73億円と想定されている。これが拡大する可能性はあるのか」と質問。古元企画官は、「今回の推計は、標準的な治療が終了した患者が対象。今後、例えば、対象となる症例数は変わり得る可能生はある。その際、単価を見直すことも含めて議論していただくことになる」と答えた。幸野氏は、市場規模が拡大した場合には、医薬品と同様の考え方で、拡大再算定のような仕組みを検討すべきと求めた。

保険適用された医療機器(2019年5月29日の中医協総会資料)
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つまり、保険適応は、次のステップへの土台に過ぎない。
そう認識すべきだ。

現在の抗がん剤治療は、非効率的で暴力的だ。
だから、近藤誠理論が市民にはバカウケする、

バクチ治療は、もうやめよう。
医者もその事実を認識しよう。


目指すべきは、精密医療。


PHP出版「抗がん剤がきく効く人、効かない人」(→こちら
に詳しく書いたとおりである。


いずれにせよ、どこまで公的保険でカバーするのか、
という命題が年々大きくなる大きくなるのは必然だ。

個人的には、がん医療には混合診療を認めるばきだと思う。











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