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怒りをどう収める?
2019年05月30日(木)
日本医事新報社からためになる本が出た。
「医師のためのアンガーマネジメント」。
なんと発売早々に、重版したという。
「医師のためのアンガーマネジメント」。
なんと発売早々に、重版したという。
発売前の予約段階で、
Amazon医学一般関連書籍新着ランキング1位、
医学教育売れ筋ランキング1位に。
そして、既に重版(2刷り)に!
(Amazon)
https://www.amazon.co.jp/%E5%8C%BB%E5%B8%AB%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%AB%E3%82%99%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%82%B7%E3%82%99%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88/dp/478495838X/ref=zg_bs_tab_pd_bsnr_1?_encoding=UTF8&psc=1&refRID=BWKKTYSQ1ADH1KAJJJ3E
(医事新報社)
https://www.jmedj.co.jp/book/search/detail.php?id=1870
私も2ページ書いている。→こちら
要は、敵前逃亡、である。
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私のアンガーマネジメント 長尾和宏
僕は幼少時から今ももっとも怒りのコントロールができない人間である。一人の人間として、一人の医師として過去の自分の数えきれない怒り爆発を振り返った時、思わず泣きたくなる。たとえ1割でもアンガーマネッジメントができていたなら自分の人生はまったく違ったもっと素晴らしいものになっていただろう、という自分自身への激しい「怒り」がまたこみあげてくる。下手なゴルファー同じで反省と後悔の繰り返しである。「先生の活動のモチベーションはなんですか?」という質問には、「怒りです!」と即答しているが負け惜しみにすぎない。町医者として日々多くの患者さんと接し、多職種を指導し、100人を超えるスタッフを管理していて「もうこれ以上、怒りを抑えられない!」と震える瞬間が毎日のようにある。しかし絶対に「爆発」させてはいけない。それでも不覚にも時に、爆発してしまうのだが。しかし還暦を過ぎて徐々に「怒り」に対して鈍感になってきたことが実に喜ばしい。まことに情けない話であるが僕のような重症患者には加齢以外に治療法はないのかな、と半ば諦めている。こんな自分であっても今とりあえず生きていること、そして医師として診療できていること自体が、怒りの先にある最後の一線だけは超えずになんとか耐えた結果なのかなとも思う。
どうやっても相性が悪いとしか言いようがない患者さんが定期的に来院される。カルテでその名前を見ただけで正直吐き気を催す。毎回怒りを抑えながら診療することが相当なストレスになっているからだ。そもそも僕はその人が苦手だけど相手は私のことをそれほど苦手だとは思っていないのだろう。本当に苦手なら来るはずがない。ならば、いっそわざとキレようかと思う時があるが、そう考えられること自体まだ余裕がある。患者さんとの問答が堂々巡りになることがある。そんな時、私はその場を逃げるように出ることにしている。具体的にはトイレの便座に座るとか駐車場に停めてある車の中に用もなく駆け込む。看護師には「ちょっとトイレ」と言い残して。そこで一息でも二息でもつくだけでも少しは怒りが収まってきて大難を回避している。
職場内にも地域にもどうやっても相性が悪い医師や看護師やケアマネがいる。もちろん相手もそう思っていることだろう。理事長かつ院長なので心のどこかで「自分のほうが偉い」と思っているからだろう、職員と意見が激しく相反した時はついつい上から目線言葉になったり時に暴言を吐くこともある。もちろんその結果は最悪で修復は極めて困難である。特に酒の席だとお互いの感情がエスカレートする可能性があるので、危険だ!と思ったときは話題を故意に逸らしている。たとえば音楽や芸能界の話題や時にシモネタに逃げる。数えきれない失敗を経て、物事にシロクロつけようと考えること自体が怒りを生むことに気が付き始めている。もっともっと寛容にならないといけない、と毎日言い聞かせている。その結果、相反する争点から話題をそらすクセがついてきた。「曖昧な関係もそう悪くない」とか「適当な距離を置いたほうがいい」ことに気が付きはじめている。
以上、僕のアンガーマネジメントとは衝突が起きそうな場からいったん「逃げる」ことである。まさに「怒り」を感じたら敵前逃亡につきる。3.11の被災地支援に関わった経験から各地で「防災とは逃げることである」と説いてきたが、アンガーマネッジメントもどこか似ている。
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PS)
今日も大忙し。
昼飯を食べる間も、トイレに行く間も無い。
その間に、数えきれないほどの「ちょといいですか?」が入る。
怒るよりはまだいいだろうと、「無視」。それしか手がない。
怒りよりかは、無視したほうがまだまし。
しかし、だから嫌われる。
そこにいきなり知らない新聞記者からの携帯が鳴る。
患者さんか家族からの電話かな?と思い、出てしまった。
「介護施設で事故が多発していますが、長尾先生はどう思いますか?」
「そりゃ、お前らが間違った記事ばかり書くからそうなるのやろ。
そもそも事故やないやろ。お前らが事故にしたいだけやろう。
それとも介護施設は悪くないって、書いてくれるのかい?」
「いや、前者で記事にしたいと思っていまして・・・」
「忙しいからもうええわ。あんたは私の本を読んで出直したほうがいいで」
「そうですか。でもあと3分だけ・・・」
「あほか。もう20分も話してるやないか。ええ加減にせーよ。
そもそもあんたは誰や。失礼やろ、いきなり携帯に電話してきて」
「だからもう少しだけ、私の話を聞いてください・・」
「ブチ!」、と切れそうになるが、ぐっと我慢して静かに電話を切る。
この我慢は、還暦の余裕か、ただのボケか?
朝からご飯も食べずに、仕事、公用、臨時往診、新規の往診3件と
頑張っているのに、こんな電話をしてきても平気なのは、A新聞だ。
こんな時のために、この本を何度でも読んでおこう。
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この記事へのコメント
先生の文章はウソや飾ったところがなく、まっすぐなので、読んでいて気分がスッキリします!
Posted by 小梅ちゃん at 2019年05月30日 07:31 | 返信
毎日、わたしも怒っています
誰のための行動なのか?考えた時に 私の仕事は どこまでいってもご本人の意思決定支援に基づいてのケアだと思っています
なのに トンチンカンな不思議な多職種連携というしがらみに潰される…
心の中では「このヤロー!」と思い
うちのスタッフからが 「言ってやればいいじゃん!」と言われる
だけど
言ってやればいいじゃん!っていうのは自己満足で
そうじゃないんだと自分に言い聞かせ
相手に伝えてこそ 言ってやったになる…と
怒りを抑え、いつも宮ちゃん劇場が始まります
心は怒ってますが 怒れくる相手に なんとか わかってくれるように
お話を聞き、相手の思いを汲み、そこから患者さん、利用者さんの願いを伝え
何とかできないか…との提案をしていきます
わたしの仕事は 患者さん、利用者さんが穏やかに過ごせるようにケアをすることなんです
ケアマネさんのプランがどうのこうのなんて 私には関係なし
ヘンテコなお医者さま様のプライドなんて 私には関係ないです
だけども
あなた様方が 患者さん、利用者さまの人生を握っているなら 怒りは抑え 宮ちゃん劇場をやってみせます
Posted by 宮ちゃん at 2019年06月01日 12:14 | 返信
初めて長尾先生にお目にかかったのは、何年か前の兵庫県介護支援専門員協会の研修会で「在宅医療」についての講演会で講師としていらっしゃいました。
「皆さんは口ビルを使ってキスをするのでしょけど、私はそんなことはしません」と仰ったので「変なお医者さんだ」と思いました。長尾先生は、恋愛真最中だったのでしょう。まもなくご結婚なさいましたからね。二度めは宝塚SORIOでの講演会で、私は、その日の朝は神戸で介護支援専門員協会の研修会があって、家で母が寝ていたし、少し遅刻しました。遅刻しますと事務局に断っていたのですけど、教室に入ると、係の女の人に「前の席に座って下さい、どーぞ、どーぞ」と言われて狭い椅子の間をガタガタ言わせて座ると長尾先生が、怒りの頂点みたいな目で睨みつけていました。その時は何も言われなかったのですけど、あとで車座に座って皆で自分の体験談を話していると「ケアマネジャーは、ヤクザだ。そうだね君?」と私に仰ったので、こわくて「はい」と答えました。それでも「何だ怖い医者だなあ」と不満に思いました。ご主人を胃がんでなくした奥様が、在宅で過ごしたいと言うご主人を介護した時、若い在宅医療のお医者さんが「胃瘻をします」と仰いました。すると癌拠点病院の看護師さんが「そのお医者さんがいらっしゃった時、私も行きます」と言って下さって、若いお医者さんに「癌末期の患者さんには、胃瘻をしてはいけません」と言いました。それから看護師さんとお医者さんが喧々諤々の論争をして、看護師さんが勝ちました。」と言う経験談でした。私は何のことか分からず「へえ?」と聞いていました。長尾先生が「その看護師は優秀だね。癌細胞は胃瘻や点滴で栄養を付けると患者はもっと苦しむんだ」と仰ったので、びっくりしました。変なお医者さんは、臨床的なことをよくご存じのお医者さんなんだと思いました。そんなわけで、始めて御目にかかった時から怒られていますけど、在宅医療や介護の事をもっと知りたくて、できるだけ研修会に参加させて頂いています。
Posted by にゃんにゃん at 2019年06月04日 05:37 | 返信
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