このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com

NHKは安楽死を報じる前にすべきことがある

2019年06月05日(水)

NHKスペシャル「彼女は安楽死した」を3度観た。
視聴率狙いのNHKの姿勢にヘドが出そうになった。
安楽死を美化する前にやるべき報道が山ほどある。
2つの応援
クリックお願いします!
   →   人気ブログランキングへ    →   にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へ
 
 

問題点を書き出してみよう。


1 誰でもスイスで安楽死できるわけではない。
  日本人がスイスに行ったら安楽死できる?
  
  そんなことは無い、と思う。

  デイグニタスはが外国人(ドイツ人や英国人)を受け入れているが、
  ライフサークルはそもそも外国人を受け入れてないのではないのか。

  いったんスイス人にならないと、スイスの安楽死法は適応されないのでは?
  51歳の女性はソウル大学卒業と報道されていたが韓国経由でスイス人に?

  日本人がスイスで安楽死したら、国内法では殺人罪では無いのか?
  本当に日本人がスイスに渡れば、「ようこそ!」と安楽死させてくれるのか?

  国際法について一切触れずに報じたが、
  誤解が広がり混乱するのではないか?


2 日本の主治医や看護師が登場しないのは何故?

  新潟の大病院(神経内科)に入院されていたが、そこの主治医や看護師は何をしていたのか?
  まさか「はいはい」と安楽死の依頼状を書いたの?その病院には緩和ケアは無いのかな?

  誰か止めてよ!と思った。
  私の元にもデイグニタスへの紹介希望の方が来られるが、丁重に断り、緩和ケアを行っている。


3 安楽死の基準を満たした、ってなんなん??

  安楽死の基準を満たしたから安楽死した、と報じていたが、意味不明だ。
 
  たとえば「耐えがたい苦痛」とあるが、新潟の緩和ケアはそんなレベル?
  スピリチュアルケアは? エンドオブライフケアは? 臨床宗教師は?

  私が主治医なら、絶対にあんな形での安楽死はさせない。
  彼女は、笑顔も、会話も、食事も可能で、耐えがたい苦痛とは思えなかった。

  もし「耐えがたい」というならば、それはスピリチャルペインやトータルペインか。
  であれば、緩和ケアスタッフが、総力をあげて対応すべきだが、それは無かったの?


4 家族は心底、納得していなかった。

  家族は最後の最後まで「本当にこれでいいのか」と迷っていた。
  今でも自問自答している。

  本人もあそこまで行って(だn(断崖絶壁の先端に立ち)、後に引けなかったのでは。
  最後に彼女が点滴をスタートさせる瞬間、後悔しているように映ったのは、私だけか。

  カメラが入ることで後に引けなくなった可能性が1%でもあれば
  放送倫理上、失格である。


5 対比で出された50歳の女性に失礼じゃないか。
  
  なぜか人工呼吸器を装着していている同年代の女性も出ていた。
  わざと苦痛の表情や暗いイメージを強調しているように映った。

  しかも「外泊を許可された」と、あたかも自由を奪われているかのような解説だ。
  在宅で呼吸器をつけて食べている多系統萎縮の患者さんは、みんな笑っているよ。

  安楽死を美化するための対照として、ざわざ出したのであれば
  50歳の患者さんにあまりにも失礼ではないのか。まさに偏向。


6 ALS協会や障碍者団体の意見をなぜ届けないのか?

  尊厳死に反対している、ALS協会や障碍者団体や全日本宗教連盟や日本弁護士会
  の有識者の意見を出さないのか?
  あるいは安楽死に反対している尊厳死協会の見解をなぜ聞かないのか。




7 安楽死はやっぱ、良くない

  私が、彼女のようになれば安楽死を希望するかもしれない。
  TVを観た多くの人は彼女の気持ちを理解・共感しただろう。

  しかし、 である。

  結論から言えば、安楽死は良くない。
  あらためて、そう確信した。

  あの女性は、あの時点で死ぬ理由などない。
  医師としては、絶対に死なせてはならない。
 
  登場した女医さんとは2回、会ったことがある。
  しかし直感で、敢えて彼女とは話をしなかった。

  それで良かった、と思った。
  あれは日本の医者の仕事ではない。


8 大いなる偽善

  多くの日本人が安楽死に賛成、という調査結果がある。
  それに迎合したのが、今回の安楽死賛美だったのでは。

  しかし、所詮、偽善ではないのか。
  多くの国民を錯覚させた罪は重い。

  今、日本がどんな状態なのかを報じるのがNHKの使命だろう。
  国営放送なのでそうあるべきだ。

  ゴルフに例えるならば、スコアが200のへぼゴルファーに
  「あなたもスイスに行けばプロゴルファーになれる」と錯覚させた。

  そうではなく「貴方の実力はド下手なので、基礎からやろう」
  という内容を報じるのが国営放送の使命でないのか。

  大いなる偽善が状況をさらに悪化させる。

  毎日新聞の透析報道と同じで、罪は深い。
  その意味ではNHKも残念ながら同レベル。


  胃ろう、巨泉、鎮静、安楽死、と加速度的に劣化している。
  とうとうNHKは死んだなあ、と思った。

  サザンを紅白のトリにしたのも、これで帳消しだ。


PS)

51歳の女性を想い、泣いた。

本当に素晴らしい女性で、この世で会いたかった。

日々、同じ想いで同様の在宅患者さんに接している。

今日も一緒に泣いてきた。

私はあんな医療は認めない。


そんな想いを、6月8日(土)18:30~19:30に
酒を飲みながら語ってみたい。→こちら

透析生活10年目になるグレート義太夫さんと
人気者・玉ちゃんの前座をっしっかり務めたい。

0608sinnjyuku.jpg










  








  


 






2つのランキングに参加しています。両方クリックお願い致します。皆様の応援が日々ブログを書く原動力になっています。

お一人、一日一票有効です。

人気ブログランキングへ ← 応援クリックお願い致します!

(ブログランキング)

にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へ ← こちらもぜひ応援クリックお願い致します!

(日本ブログ村)

※本ブログは転載・引用を固くお断りいたします。

この記事へのコメント

番組からすると、ミナさんは恐らく在日の方でしょう。
「安楽死」と言うより、韓国人と日本人の死生観の違いを浮き彫りにしただけの番組だと思いました。
周りの人達とのつながりを大切にして、次の桜を見るまで一生懸命に生きようとするのが日本人です。

Posted by ハナミズキ at 2019年06月05日 09:07 | 返信

はじめまして。
私は姿勢と歩き方を仕事にしており、今、先生の本を読んでいます。
本の中で、馴染みの地名が出てきたので調べてみたら、なんと先生の医院が我が家の近くにあるじゃないですか!
勝手に親近感を感じております。これからも素敵な本を楽しみにしております。

Posted by のにこ at 2019年06月06日 07:54 | 返信

私は彼女のブログを時々見ていました。
私も取材の影響のことが気になり、再放送で見返したり3年分のブログを読み返してみました。
どのタイミングで取材が始まったのか知りたかったのです。
大量のアルコールと104錠の安定剤を4月に飲んで入院生活になったこと。
2か月後に国立の療養型のある総合病院に移って11月末には次のところに移る予定だったこと。
入院中に安楽死の本を目にして著者の宮下洋一氏にメールした縁で女性セブンの取材を受け特集に載ったこと。
そのことでテレビの取材を受けたこと。
取材は10月
スイスの団体にメールをしたのは8月だったとわかりました。

私も彼女の死はあまりにも早すぎると感じました。
彼女も今ではないという思いがあったのではないかと思います。
でもスイスでやる以上体力のある今じゃないと無理だったということでしょう。
本当に残念です。


Posted by ノバ at 2019年06月06日 11:49 | 返信

番組を見ました。
亡くなられたご本人やご家族の苦しみや悲しみを思うと言葉を失ってしまいます。
ただ、番組のあり方については疑問がたくさん。
あれほど短い時間で何を報道しようとしたのでしょうか。
マスコミって怖いな、、と思いました。

Posted by 尼崎の社会福祉士 at 2019年06月07日 09:52 | 返信

NHKの意図は?
あの短い時間で言い切れるテーマではないはず。
あの方をサポートする医療・福祉スタッフは?

次回の選挙で「NHKからナントカ党」応援するかも?

Posted by はてな at 2019年06月10日 10:34 | 返信

患者の自己決定権を尊重することは大切だと思います。ただ、人間のなすことですから、完全な自己決定などはむずかしいということ、そして自己決定の内容は、いつも変わりうるし、誤りうるものです。一方死は不可逆的で、取りもどすことはできません。ですから死の選択はできるだけ慎重に、例えばオレゴン州の尊厳死法でも最低2回15日以上の間隔での相談と2日間の待機が必要です。ところが、この医師は「もし彼女がスイスに住んでいて長距離移動しなくてすむのなら、こんなに早く死を選ばなくてもよかった」といいながらも、たった2日だけ猶予を与えて、「点滴のストッパーを外してもよい」と彼女に許可を与えてしまうこのくだりに、とても怖さを覚えるのです。点滴のストッパーを管理するのは本来医療者であるはずなのに、患者に渡すということは医療者がすすんで外しているのと同じことではないでしょうか。この放送を見て、なぜ誰もそのことを言わないのかが不思議です。
参考『「死ぬ権利」保障する安楽死、持て囃され方に違和感』
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56934

Posted by シレンチオ at 2019年07月15日 07:04 | 返信

1日平均50人自殺をしているのが日本の現実です
真剣に議論される問題だと思います

Posted by 匿名 at 2019年08月09日 06:26 | 返信

コメントする

                                               

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:

このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com


過去の日記一覧

安楽死特区

糖尿病と膵臓がん

病気の9割は歩くだけで治るPART2

男の孤独死

痛い在宅医

歩き方で人生が変わる

薬のやめどき

痛くない死に方

医者通いせずに90歳まで元気で生きる人の7つの習慣

認知症は歩くだけで良くなる

がんは人生を二度生きられる

親の老いを受け入れる

認知症の薬をやめると認知症がよくなる人がいるって本当ですか?

病気の9割は歩くだけで治る!

その医者のかかり方は損です

長尾先生、近藤誠理論のどこが間違っているのですか

家族よ、ボケと闘うな!

ばあちゃん、介護施設を間違えたらもっとボケるで!

抗がん剤 10の「やめどき」

「平穏死」10の条件

胃ろうという選択、しない選択

  • 長尾クリニック
  • Dr.和と一緒に仕事をしませんか?
  • 長尾クリニックメールマガジン まだまだ知らないDr.和情報がてんこもり!
  • にほんブログ村 病気ブログ 医療・医者へ

  • 尼崎市の訪問看護ステーション

  • ケアマネセンターながお

  • 一般社団法人日本尊厳死協会関西支部