- << 後悔のない前立腺がん治療
- HOME
- 進化した日本透析医学会 >>
このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com
メンズヘルス診療のすすめ
2019年07月03日(水)
メンズヘルス診療を学び、その成果は患者さんに還元できている。
開業医でも、いや、開業医だからこそできる、診療領域だと思う。
医療タイム7月号(電子版)に、そんな想いを書いてみた。
開業医でも、いや、開業医だからこそできる、診療領域だと思う。
医療タイム7月号(電子版)に、そんな想いを書いてみた。
医療タイムス7月号 メンズヘルス診療のすすめ 長尾和宏
昨年からメンズヘルス診療に取り組んでいる。性差医療として、女性外来が広く取り組まれているが、抗加齢医学会で講演を聴いたことがきっかけで男性に特化した診療にも取り組むことにした。かねてから女性よりも寿命が6年も短い男性こそ保護すべき性ではないかと漠然と思っていた。年々短くなっているといわれるY染色体は絶滅機種とも言われる。生物学的にはオスは「できそこない」だとも聞いていた。
昨年末、自分が主催するトークイベントでTVでおなじみの生物学者の池田清彦先生と対談する機会があった。その時のテーマは「オスは生きてるムダなのか?」。広く生物の世界を見渡せば、すべての種において女性優位である。オスはメスの存続のためだけに存在する哀しい性のようだ。オスなしでメスだけで子供が生まれる、つまり単為生殖が可能な生物種もいる。池田先生の解説を聞いているうちに暗い気持ちになった。最後に池田先生に質問した。「じゃあ、オスはなんのために存在するのですか?」。池田先生は「単為生殖だけだと子孫はどうしても画一的になる。多様性を獲得するためのアクセントがオスの役割かな」と話された。
そういえば町医者として診ている患者さんの3分の2は女性である。男性はどこにいった?といつも思っている。そう、男性にも医療の恩恵に預かって欲しい、という想いが強くなった。そこでまずは、LOH症候群(加齢男性性腺機能低下症)診療から始めた。いわゆる男性更年期障害だ。女性の更年期障害との違いは2つある。女性はほぼ全員が更年期障害を経験するが、男性では一部だけで決して全員でない。次に、女性の更年期障害は50歳前後と決まっているが、男性のそれは40~70歳代と広範囲にわたっている。熊本悦郎先生は男性更年期を「秋の長雨」と表現される。
さて診察では問診であたりをつける。LOH症候群はうつ病と間違いやすい。なんとなく元気がない不定愁訴の男性が来ると、EDや朝立ちの有無も必ず問診する。LOH症候群を疑ったら遊離テストステロンを測定し診断を確定する。治療法は3ケ月程度のホルモン補充療法を主体に漢方薬や前立腺肥大症があればタダラフィルなども使う。
この1年間で少なくとも5人の男性にとても喜んで頂いた。うち2人は、がん治療後の難治性のうつ状態であった。がんは完治したものの、がん治療がPTSDとなりそのストレスでLOH症候群に至ったと推定される症例であった。がんは完治したのに会社に行く気力がなく、いわゆる「ひきこもり」状態に。がん専門医も精神科医も赤旗をあげたと泣きついてこられた。予想どおりLOH症候群であり、治療により諸症状は劇的に改善した。元の仕事に復帰できた笑顔を見るたびに「メンズヘルス診療を学んで良かった」と心底思う。生活習慣病のように完治しなにくい病気と違い、LOH症候群は劇的な改善がある病態だ。その詳細は9月26日の第25回「泌尿器領域の医療とケア研究会」で講演する予定だ
8050問題が話題になっている。また60万人いるひきこもりの半数は中高年であるという。そうした報道に接するたびにその中にLOH症候群が一定割合で潜んでいるのではと思う。メンズヘルス診療は今後、大きく展開する可能性を秘めている。そして普通の町医者でも明日からでも取り組める診療領域だと思う。
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
医療タイムスは、春から電子版に移行した。→こちら
記事を読みたい方は有料になるが申し込んで欲しい。
- << 後悔のない前立腺がん治療
- HOME
- 進化した日本透析医学会 >>
このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com
コメントする
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL: