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アルコール依存症、がなぜ分からない

2019年07月19日(金)

医療の細分化には大きな弊害が潜んでいる。
病気の本質が見えなくなると患者が損をする。
何人もの専門医にかかっても誰も本質に気が付かない。
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血糖管理は、糖尿病専門医が、
腎機能低下は、腎臓病専門医が、
高度貧血は、血液内科専門医が、
認知機能低下は、神経内科専門医が
肝機能低下は、肝臓病専門医が、
電解質異常は、総合内科専門医が、それぞれ診ていると。


そんな患者さんが、友人に付き添われて外来に現れた。

まだ40代なのに歩けない、日づけも分からないという。

私は1秒で分かった。

アルコール依存症、であると。

詳細に問診すると、やはりそうだった。


依存症を治さないと死んでしまうと説明。
死なないためには、完全断酒しかないと。


それぞれの専門医は、それぞれの領域の入院を勧めているとのこと。
おそらくアルコールのことに気が付いていないのか、関心が無いのか。


私は精神病院への入院を強く勧めたが強く拒否。
断酒の意思はあると。

結局、在宅医療で断酒治療をやることになり、断酒できた。

順調に元気になってきた。
体力も回復するので在宅も2ケ月で卒業できる・・・


最近、そんなアルコール依存症の人をよく見かける。
依存症の時代、だと毎日感じる。

しかし露くべきは、どの医者も依存症に気が付いていない。



枝葉末節はよく見えるので、薬剤で補正しようとする。
しかしコトの本質は、まったく見えないのが現代医療。

まさに、木を見て森を見ず。

アルコール依存症が分からない、気が付かないなんて信じられない。
患者さんからは言わないので、察して、詳しく問診するだけなのに。


一方、こんなこともあった。

アルコール依存症→急性肝障害→肝性脳症で、集中治療室に入院した患者さん。

1年半、毎日、意識レベル低下し、アミノレバン3袋内服と点滴を続けている。

在宅医療を依頼されて、1時間ほど問診して気が付いた。

この人は
・アルコール依存症でも
・肝硬変でも
・肝性脳症でもない、と。

生まれつきのアミノ酸代謝異常、尿素サイクルの酵素欠損症だと。
ズバリ、「高シトルリン血症の可能性が高い」と説明した。

しかし1年半もの間。いくつかの病院で、何十人という色々な専門医たちにかかっていて
誰もそんなことを言わないのに、初対面の町医者がそんなこと言っても信じてもらえない。

3回目の問診で私は確信したので、
「高シトルリン血症の確定診断ができる医者を紹介するからそこに行って」と頼んだ。

最初は本人も家族も半信半疑だった。
しかしドンピシャ、私の診たてどおりだったので、信頼してもらるようになった。

途中でかかっていた専門医たちに「長尾先生がこう言っている」と説明したら
全員「そんなはずがない」と否定し、私の言動に怒ったそうだが、そんなもの。


今は、アミノレバンも不要、意識レベル低下も皆無になり、どんどん元気に回復。

人工透析も離脱できそうなので、透析医が一番怒っているそうだが、仕方がない。

前医からの「依存症→肝硬変」を、次の医師も信じて疑わないまま1年半が経過。


・パーツ、パーツに分かれすぎて、全体像を見られなくなった現代医療。

・医学だけで、生活や仕事のことが診られなくなった現代医療。

・「疑うこと」が科学の基礎であることを教えない現代医療。


なんとかするには、「本物の総合診療を本気で推進する」しかないと思う。
そう願い、8月24日(土)に東大で、総合診療セミナーをやる。→こちら

興味のある医師は、参加して欲しい。
一緒に立て直そう。




PS)

明日は、在宅医療のカリスマである太田秀樹先生が尼崎に来られる。→こちら

多職種の方には、是非、「在宅と栄養の話」を聞きに来て欲しい。
もちろん私も世話人としてシンポジストに加わる。


昨夜は上本町のシェラトンホテルでの多職種連携の会に呼んで頂いた。
第1回目も私で、第二回目も私。大変光栄に思い、頑張ってお話をした。

懇親会では「第三回目も長尾先生に」と言われて驚いた。
同じ研究会に3回連続で呼ばれることは前例が無いのでは。

嬉しかったので、後輩を連れて夜遅くまで飲んだ。




























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※本ブログは転載・引用を固くお断りいたします。

この記事へのコメント

長尾先生は、全国各地を飛び回っているだけかと思いましたけど、凄いですね。
サー.アーサー.コナンドイルみたい。
ゼネラル.ドクターですね。

Posted by にゃんにゃん at 2019年07月20日 06:14 | 返信

 先生のような町医者がめったにいないのが現実です。かかりつけ医と言っても頼りになる医師が少なすぎる。「木をみて森が見えない」医者ばかり。前立腺患者が腰が痛いと言うとまず骨転移を疑う。どのように痛いのかなどと訊く医者は少ない。関連病しか頭にない。人の身体は複雑で多様だ。森を見ないと
見えてこないものがあることにも気がつかない医師が多いのです。 先生の場合は、特異なほどです。
外国も同じ傾向にあるようです。「医者は現場でどう考えるか」(HOW DOCTORS THINK)石風社発行 ジェローム・グループマン著を読んで、日本はもっとひどいな・・と思いました。
 先生のような人が、日本を引っ張っていってくださることを心から期待しております。
患者も勉強不足な人が多すぎます、それは呆れるほどです。だから、医師の不勉強を見破れないのでしょう。もたれ合っている医師たちと、お任せ主義の患者たち。それでいて、主張だけは強い両者です。

Posted by 中原武志 at 2019年07月20日 09:47 | 返信

アルコール依存だけでなく、薬物依存のほうが深刻。それをアシストしているのは他ならぬ医者。
内科医・精神科医・整形外科医などなど。そうとは知らず薬を買うために今日も日参する患者たち。
患者なのか?薬物依存症なのか?もはやどちらなのかよくわからない。
国民皆保険制度が壮大な薬物依存大国を生み出したとも言えるかも。

Posted by マッドネス at 2019年07月22日 11:06 | 返信

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