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おひとりさまが家で平穏死する10の条件

2019年08月29日(木)

年々、おひとりさまが確実に増えている。
おひとりさまでも、自宅で最期まで暮らせる。
そんな現実を公論8月号の連載に書いてみた。
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月刊公論8月号
おひとりさまが家で平穏死する10の条件  → こちら


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月刊公論9月号  老衰が死因の第三位に
          おひとりさまが家で老衰死する10の条件
 
老衰が死因第三位へ
厚生労働省が公表した2018年人口動態統計によると、老衰による死亡数が脳血管疾患による死亡数を上回り死因の第3位になった。老衰は1947年をピークに減少傾向が続いていたが、2001年以降、死亡数・死亡率ともに増加。2018年には脳血管疾患に代わって死因の第3位に躍り出た。
しかし老衰の本質はいまだよくわかっていない。つまり「老化」そのものが医学的にまだ明確に定義出来ていない。そもそも人はなぜ老いるのか。なにをもって老いと呼ぶのか充分に解明されていない。では老衰という病態は無いのか、と問われたら答えはもちろんNOだ。どう考えても「老衰」としか表現できないような最期がある。当たり前だが、人間も動物も同じで、長生きすれば自然に徐々に枯れるように衰えて迎える最期がある。在宅医療に従事していて超高齢であるほど老衰と書きやすいが、まだ70歳台であっても老衰と書いたことがある。早老症という病態が知られているが、そこまでいかなくても老い方には個体差がかなりある。たとえ同年代であっても年を取るほど老いかたのばらつきの幅は大きくなる。老衰の取り扱いに関しては今後、さまざまな議論が必要である。
 
老衰を知らないメデイアと司法
亡くなる場所によって、あるいは死亡診断書を書く医師によって死亡病名がかなり変わる。明らかに老衰と思われる死亡でも、医師によっては肺炎や心不全と書くことがある。大病院に勤務する医師のなかには「老衰」と書かないことを信条としている人もいる。人が死ぬからにはそこに必ず病気があるはず、という考えである。
 介護施設では終末期になれば点滴を絞って看取ることは、当然のことである。自然な脱水を見守るのがいわゆる平穏死、ありは尊厳死である。しかし「点滴を絞ったから亡くなった」という書き方で報じるメデイアがある。終末期以降は点滴を絞ったほうが圧倒的に苦痛が少なく長生きするのに、「点滴を絞ったから亡くなった」というニュアンスで大々的に報じている。また最期まで口から食べて、誤嚥性肺炎を併発して亡くなった場合も事故として報じる。もし自宅で亡くなれば美談になるのだろうが、介護施設だと家族が「食べさせたから亡くなった」と理由で施設を訴えることがある。そして老衰を理解しない司法は多額の賠償命令を下している。こうした間違った司法判断が、介護現場をさらに疲弊させ悪循環に陥っている。また死亡診断書に老衰と書くと怒る家族もいる。高齢者の人工透析非導入や終末期の透析中止による尊厳死を、あたかも殺人や安楽死であるかのように報じるメデイアも同様だ。このように尊厳死を理解しないメデイアや司法がこの国の終末期医療を歪めている。
 
 
老衰死・10の条件
 老衰で死ぬためには、まずは平均寿命まで元気で生きることが必要条件だ。おひとりさまが家で老衰死する10の条件を知っておきたい。
 
1 リビングウイルを表明する 
「延命治療を拒否します」という意思表示、つまりリビングウイルを元気なうちから表明しておく。日本尊厳死協会に入会すれば2000円で作成できる。

2 合鍵を渡す
もしおひとり様なら合鍵をつくり在宅医療スタッフにも預けておきたい。呼び鈴を押しても返答がない時、慌てたスタッフや家族や隣人が119番した結果、警察沙汰になることもある。孤独死にならないためにも鍵の問題は大切。

3 老衰を知るケアマネと訪問看護師
老衰に理解があるケアマネ・訪問看護師を探しておきたい。老衰の看取りの経験が無いスタッフは老衰を怖がる。

4 遠くの子供とよく話し合っておく
せっかくリビングウイルを書いても日本はその法律が無いので遠くの長男長女に否定されることがよくある。だから普段から子供との話し合いが不可欠だ。しかし親の老いを受け入れられない子供が多い。だから「親の老いを受け入れる」という拙書を読んでもらうといい。

5 夜間のトラブルに備える
24時間電話対応できる主治医や訪問看護師を探しておく。夜間の発熱に備えて解熱剤などの頓服薬を用意しておきたい。

6 人生会議を繰り返す
ケア会議やケアカンファレンスの毎に、人生会議を繰り返すことが大切。枯れていっても延命治療を行わないことをご家族と多職種で共有しておく必要がある。

7 点滴をしない、最期まで口から食べる
老衰は枯れるような最期。しかし最期まで口から何かしら食べて飲める。だから点滴をしないことがなによりも大切。枯れることができれば痰や咳で苦まない。「脱水は老衰の友」と書いた紙を冷蔵庫の扉に貼っておきたい。

8 119番しない
看取りと決まったら呼吸が止まっても119番しないことが大切。慌てて119番すると無用な心肺蘇生が行われたり警察沙汰になることがある。看取りの法律(医師法20条)をご家族や介護スタッフで共有しておきたい。

9 看取りの実績のある医師や施設を選ぶ
老衰を理解しない医師もいるので、老衰の看取りの実績のある医師や施設を選ぼう。詳しくは私が監修した週刊朝日ムック「最期まで自宅でみてくれるいいお医者さん」をネットで購入されたい。

10 死後の準備もしておく
「終活」が盛んだが、亡くなった後のことも生前に準備しておくと家族も覚悟ができてイザという時に慌てない。葬儀屋さんとよく話し合ってから亡くなる人もいる。
 
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この記事へのコメント

10の条件ありがとうございます。べbb教になりました。
でも、尼崎市では身元保証人のない方の入院入所について、マニュアル作りを検討していますが、
市として、社協の保証人制度や、生前に葬儀を決める政策や、銀行の保証制度やをする気がありません。
神戸市に保証人制度や、生前に葬儀を決める政策や銀行の保証制度等の資料を送付しましたら、社協から、政策を検討しますと、お礼が来ました。尼崎市でも、おひとり様を守る政策が欲しいと思います。よって、市長や7議員に提案しました。

Posted by ミネカヨコ at 2019年08月30日 07:35 | 返信

おひとりさまのお看取り…
24時間対応している訪問看護が疲弊しない体制作りが必要です
訪問看護が 「入院だよね」「施設だよね」と 口火を切らないで欲しいと願っています

お看取りの経験の少ないケアマネさん、ヘルパーさんだって 不安なんです
多職種連携と言われますが 単なる連絡、報告だけではなくて
多職種間の支えを強めていくことが大事ですよね

その背景に
朝8時、訪問したヘルパーさんが息をしていない利用者さまを発見、そこに入っている訪問看護に電話し
訪問看護から在宅医に電話した
すると 訪問看護から救急搬送してくださいと折り返し電話があった
ヘルパーさんは119番して 救急車が来るまで 救急隊の指示で心臓マッサージをしたそうです
そのまま 搬送先で死亡確認になりましたが
ヘルパーさんは 亡くなる人を見たことも初めてです 心臓マッサージをしたのも初めてです
ヘルパーさんは今も うつ状態っぽいです

なんで 訪問看護は来なかったのか!
なんで 在宅医は来なかったのか!
「痛い在宅医」「痛い訪問看護」ですよね

Posted by 宮ちゃん at 2019年09月01日 09:20 | 返信

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