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祖父を在宅介護したいという高校生

2019年10月21日(月)

きらめきプラス11月号の連載は祖父を在宅介護
したいという高校生からの質問に、お答えした。→こちら
自分ができる範囲内で介護すればいい、と思う。
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きらめきプラス11月号
 
静岡県浜松市で、祖父、ご両親と暮らしている高校1年の女子高生からのご相談です。
 
Q)
6月に78歳の祖父が脳の血管が切れて救急車で運ばれました。手術はうまくいき、現在病院に入院中ですが、右半身麻痺になり、ほとんどしゃべることが出来なくなりました。食事が取れないので点滴をしています。いまは病院でほとんどベッドの中で過ごしている祖父ですが、入院前は少し認知症がありましたがとても元気で、いつも家族と一緒に行くカラオケを楽しみにしていました。意識はあるのでお見舞いにいくと、私の顔をみて少し笑顔になりますが、とてもつらそうです。いま両親は病院と相談して、祖父を家で介護するための準備をしています。大好きな祖父に長生きして欲しいので高校1年の私にもできそうな介護の方法を教えていただけませんでしようか。よろしくお願いします。


 
A)
立派なお孫さんですね。感心しました。もう高校生なら帰宅後の自分の時間の一部を使って大好きな祖父さまの介護はある程度はできると思います。そのようにしている高校生のお顔が何人か浮かびました。そういえば中学生がやっている場合もありますね。お祖父さまはおそらく要介護3~5だと想像します。特養に入所するという選択もありますが、在宅療養を選択されようとしているのですね。それならば、介護保険を上手に利用してリハビリをしっかり行い、口から食べる食支援などがポイントになります。4つ挙げてみましょう。
 
 
  1. 胃ろうにしてから家に帰ろう
病院では高カロリー点滴をされているようですが、それば病院側の理由です。急性期病院なら「とりあえず高カロリー点滴、とりあえず鼻からチューブ」となる場合がよくあります。また療養病床なら胃ろうは経営的に不利なので、高カロリー点滴が施されることが多くあります。しかし本来、人間にとって一番優れた人工栄養法はなんといっても「胃ろう」です。胃ろうは胃カメラで20分もあれば簡単に造れます。もし家に帰るのであれば早期に胃ろう栄養に変更してください。
もちろんご両親と主治医とよく相談してください。自宅での胃ろうの注入は家族が簡単にできます。貴方もできます。ちなみに高カロリー点滴は家族は触れませんし、管理が煩雑で在宅向きではありません。家に帰ってからではなく病院にいるうちに胃ろう栄養に変更してください。
 
2)リハビリの準備をしましょう
 病院にひき続いて自宅でもリハビリが大切です。座位や立位の訓練は主に理学療法士(PT)さんが行います。リハビリもあるデイケアのことを「デイケア」と呼びますので、それをお勧めします。そして体のリハビリに加えて食事のリハビリも大切です。嚥下評価や嚥下訓練は言語聴覚士(PT)が専門です。いまから数少ないSTさんを探しておきましょう。というのもPTさんと比較してSTさんは少ないのでなかなか見つかりません。あるいは摂食嚥下に熱心な歯科医や歯科衛生士さんに関わって頂くのもひとつの方法でしょう。

 脳卒中が起きた部位にもよりますが、急性期には嚥下機能が低下していても慢性期に嚥下リハビリをしっかり行えば、人によってはトロミ食などを食べることが可能になる方が沢山おられます。簡単に諦めないでください。大好きなカラオケは摂食嚥下に有効です。自宅で試してみてください。まずはSTさんの指導のもと、半分口からで半分胃ろうからを目指しましょうか。食支援に熱心な在宅医を選びましょう。生きることは食べること。食べることは生きることです。
 
 
3)いいケアマネさんを探してください。
 在宅療養を成功させるコツは、いいケアマネ選びにかかっています。もちろん主治医選びも大切でしょうが、それ以上に大切なのがケアマネ選び。ケアププランに本人と家族の希望を上手に反映するのがケアマネの仕事です。そのためには話をよく聞いてくれる親切なケアマネが必要です。ケア会議や人生会議に熱心なケアマネさんにしてください。デイサービスやショートステイの活用でもケアマネさんの力量が問われます。どんなケアマネがいいのかは、ご近所の口コミがとても参考になります。あるいは自宅の管轄の「地域包括支援センター」で相談しましょう。またもし在宅医が決まっているなら在宅医が連携を取り易いケアマネを紹介してもらうのもいいでしょう。

 人生の最終段階に向けて本人・家族の意向を尊重すべく、医療・介護スタッフが集まって対話を重ねる「人生会議」が国を挙げて謳われています。ケアマネさんは、主にケアプランの検証を行うケア会議を招集することが仕事ですが、その際に人生会議を行ってもらいましょう。是非とも人生会議にも積極的なケアマネを選んでください。
 
 
4)在宅医療ついて勉強しておこう
 これから増える「在宅医療」や「在宅介護」の仕組みについて勉強しておきましょう。各地で在宅医療の講演会が開催されていますが、高校生は時間的に行けないかもしれませんね。私が監修した週刊朝日のムック「さいごまで自宅でみてくれるいいお医者さん」をネットで買ってください。たった1000円で大切な情報が効率的に得られます。詳細は書きませんが、私は在宅医療や医者選びに関する市民向けの本も数冊書いています。ブログやメルマガでも活きた情報を発信していますので参考にしてください。

 大切なことは病院か施設か在宅かの3択ではないことを知ってください。施設と在宅と行ったり来たり、なかには8割施設で2割在宅という方もおられます。在宅療養において大切なことは家族が抱えすぎないことです。まして貴方はまだ高校生なのでやるべきことが沢山あります。貴方のすべての時間を介護に捧げることはおそらくお祖父さまは望んでいないでしょう。未来の夢に向かって努力している姿こそがお祖父さまへの最高のプレゼントです。当たり前のことですが、貴方がどのように介護に関わるのかについて今一度ご両親とよく相談して決めてください。

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