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リビングウイル裁判 東京高裁でも全面勝訴

2019年10月30日(水)

リビングウイル裁判の二審判決が東京高裁で言い渡された。
一審と同じように日本尊厳死協会の主張がほぼ全面的に
認められて、一審に続いて、国(安倍総理)は敗訴した。
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刑事でもない、民事でもない、行政訴訟。

物事の判断を問う裁判。

どんな裁判なのか、ひとことで言うと

患者が自分の意思(リビングウイルLW)を書くと医師の訴訟リスクは
1)高まる?
2)低まる?

みなさんはどちらだと思いますか?

私たちは。2)だと思い、LWの普及啓発を続けてきた。

しかし国は、1)を主張し、LWを書くことを否定してきた。


3年越しの裁判。といっても、物事の判断を問う「行政裁判」。

今年2月、東京地裁は、私たちの主張を全面的に認めた。

しかし国は控訴期限ギリギリの2週間後の真夜中になんと「控訴」してきた。

信じられない!! いったい何を考えてているねん?

国は、「人生の最終段階の医療は患者ではなく医師が(ガイドライン)で決める」
という主張であるが、みなさんはどう思いますか?

「患者は黙って医師に従え」と。
「終末期は医師がガイドラインで判断する」と。


それを問う裁判の二審判決も私たちの主張に軍配があがった。
詳細は新聞等で報じられるだろうが、当たり前の判断である。


原告 日本尊厳死協会の岩尾理事長
被告 国の安倍総理



一審判決も二審判決も当たり前の判断なのだが、
そもそもなんでこんなことをしないといけないのか。

実は、こんな裁判を3年もやっていること自体、総理も内閣府の閣僚も一切知らない。
内閣府の一役人が、なんらかの思い違いで、間違った判断を出し続けているのだろう。

政治を見ていて分かるように、内閣府は機能していない。
しかし政治家はこの2審判決をちゃんと勉強して欲しい。


18時から弁護士会館の記者会見場で、協会関係者5人で記者会見をした。
メデイアは、こうした基本的問題にどれくらい関心を寄せてくれるのか。

今日も完勝。
でもなんで、こんなことまでしているのか。しなきゃいけないのか。

この国の大きな矛盾を、ずっと感じている。


これがこの国の終末期医療の現実である。
世界からは、2000年以上遅れている。


しかしこんな根源的な命題を、メデイアは絶対に報じない。
遠い国の安楽死を「美談」として報じて、国民はすぐ踊る。

このブログででも、少しでも現実を知って欲しい。
今日また、患者さんの権利は一歩だけ前進したので、良かった。

人権団体の役員として午後の診察を休診にして記者会見に臨んだ。
こんな事情だったので、どうかお許しください。



PS)
振り返ると、私はどうも、裁判に強い、ようだ。

前回は、尼崎警察と尼崎地検が身内の犯罪のもみ消しを指摘した裁判。
これは検察審査会での逆転判決を経て、最高裁までいったが勝訴した。

そして今回のリビングウイル裁判も一審、二審とも勝訴。

争いごとは大嫌いだけど、国の悪事はちゃんと暴いておきたい。

国を相手にした裁判は。これで、3連勝。

と偉そうに書いているが、勝ったのは、患者の幸せを願っている
土肥弁護士、友納弁護士、岩尾理事長はじめ、皆様のお陰である。





2019年10月31日
 
公益法人認定申請に係る不認定処分取り消し訴訟の結果について
一般財団法人日本尊厳死協会理事長 岩尾総一郎
 
2019年10月30日午後、東京高等裁判所において、内閣府公益法人認定審査会が行った公益不認定処分を取り消した第一審判決を維持する判決が出されました。
当協会は1976年に設立された任意団体を母体とし、2015年、一般財団法人に組織変更して現在に至ります。当協会は終末期における自己決定権の行使として一人一人が医療のあり方を選択できる社会の実現を目指し、終末期における医療選択の自由についての
  • 普及啓発、
  • 調査研究・提言、
  • 尊厳死の宣言書(リビング・ウイル)の登録管理
の3事業を中核事業として活動を続け、現在10万人を超える会員を擁しています。
当協会はこれらの活動をさらに進めるため、2013年と15年にわたり、内閣総理大臣に対し公益法人認定申請を行いましたが、結論として、認定法5条1号、および8号の非該当、つまり、協会の3事業は公益目的には該当せず、いずれも不認定とされました。特に2回目の不認定理由に挙げられた「当協会を公益法人として認定すると、終末期医療に携わる医師を誤った判断に誘引する等の悪影響を与える」という点は当協会として到底承服しがたく、この2回目の不認定処分を不服として、2017年6月8日東京地方裁判所に対し、同処分の取り消し及び認定処分の義務付けを求めて提訴しました。
第一審は当協会の主張を認め、公益認定処分における行政庁の裁量権を否定し、「当協会のリビング・ウイルの存在が医師に何らかの法的不利益を与える可能性がある」という処分理由を事実誤認と判断し、当協会の3事業は公益目的事業であると認めました。なお、義務付けについては棄却されております。
そして、昨日、10月30日の控訴審判決でも第一審判決の判断を維持し、当協会の公益法人認定申請の不認定とした国の処分を違法としました。控訴審判決は、処分の取り消しに関して、当協会の主張をほぼ全面的に認めたものであり、かつ、当協会の活動、特に当協会発行のリビング・ウイルの有用性などについて踏み込んだ判断をしています。これら当協会の主張が高等裁判所にて受け入れられたことは、大変喜ばしいものと考えております。
一方、義務付け請求については受け入れられず残念ではありますが、想定の範囲でもありました。当協会としては、本控訴審判決について、原則上告する意思はありません。国に対しては本判決の内容を厳粛に受け止め、速やかに当協会に対し公益法人として認定することを求めます。

























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この記事へのコメント

当然の勝訴かと・・しかし国は、最高裁に上訴するのでしょうね。

Posted by 小澤 和夫 at 2019年10月31日 10:03 | 返信

「身の丈」や「雨男」発言での野党の追及はいかがなもんでしょうか?
揚げ足取りに終始している野党はもう結構 国民もお腹いっぱいです
まあ権力に立ち向かう野党をあさま山荘事件や革命のように楽しんで居られるご年配の方もいらっしゃると思いますが。
尊厳死などの死について、国を動かすにはやっぱり国会議員しかないように思います。
抗認知症薬の適量投与を実現する会の名誉会長である山東昭子先生や、長尾先生ともご交流のある長尾敬先生などは医療についてのご関心も高いとみております。
国壊議員 いいえ失礼しました 野党をはじめとする国会議員は揚げ足取りに終始しているため、このような論議はできないものとみています
腐っても与党 今の与党でないと国が壊れます

Posted by 匿名 at 2019年10月31日 12:22 | 返信

尊厳死には賛成ですが、尊厳死に関連する法体系をきちんと精査しなければ、やはり現場サイドは訴訟リスクを抱えると思うのだが。
①リビングウィルがある状態ではいかなる処置もしないのか。(急病、事故、自損行為等に関わらず)
②リビングウィルを確定させるには情報が乏しい又は時間がかかる場合の救急や救命での判断、処置。
③リビングウィルがあるが、家族の意見との相違が緊急性の高い病態時に発生した場合。
これらの対応が現場にはついて回ります。
法が許すならば書いたら最後、原則本人が取り消さなければなにも処置しなくても文句言えないシステムにしてほしい。

Posted by 匿名 at 2019年11月01日 06:23 | 返信

尊厳死などという用語は現場にはいまだに浸透していません
尊厳死・平穏死・安楽死など、死に関する用語が多く、キャッチーな安楽死がメディアに取り上げられ、安楽死党などという泡沫政党まで出てくる始末です

まずは尊厳死をはじめとする用語の整理、メディアの正しい刷り込みが必要と考えます
私の勤める施設では、唯一リビングウィルを訴えている方は、「AEDは行わない・酸素投与は行う}という救命をするのかしないのかどっちつかずな指示となっております。
医師もリビングウィルを知らないんだと思います。

Posted by 老健職員 at 2019年11月01日 12:04 | 返信

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