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広域紋別病院で平穏死の講演
2019年11月01日(金)
オホーツク地区にある「広域紋別病院」で平穏死の講演をさせて頂いた。
神秘的な風景と山の幸など、なにもかもが初体験で、感激しっぱなしだ。
紋別は想像以上に洗練された人口2万人の半都会で、海の幸に癒された。
神秘的な風景と山の幸など、なにもかもが初体験で、感激しっぱなしだ。
紋別は想像以上に洗練された人口2万人の半都会で、海の幸に癒された。
関西労災病院に勤務していた循環器の名医である粟田先生が
一念発起して紋別の病院に赴任されて半年、それで呼ばれた。
250人の市民には、平穏死の話をした。
ここには在宅医療はまだほとんどない。
病院のスタッフにはもっと外に出るように要った。
紋別こそ、総合診療と専門医療の両立が目指せる。
53歳の院長と45歳の副院長は素晴らしいコンビ。
3次会は午前2時半まで続き、存分に語りあった。
以下、有料メルマガ(まぐまぐ)から一部抜粋。
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北海道から東京へ戻る空の上でこれを書い
います。機内のテレビでは先ほどから、東京五輪の
マラソン・競歩札幌開催決定のニュースが流れてい
て、不機嫌な都知事の顔が大写しになっています。
東京でのマラソン観戦を楽しみにしていた人には残
念なニュースかもしれません。しかし、今年の夏の
東京の暑さを考えると……私は今年の夏休みはすべ
て東京で映画『痛くない死に方』のロケに立ち合っ
ていたので……明け方とはいえ、人間が走る温度と
湿度ではなかった、と断言します。医者の立場から
いえば、出場者全員に「ドクターストップ」をかけ
たいところです。ここは是非、都民ファーストでは
なく、選手ファーストとしていただきたいと強く願
います。選手に病人が続出し、前代未聞の悲惨なオ
リンピックになるよりも、いっそのこと、すべてを
北海道でやったらどうか? 昨日、初めての紋別に
行き、今はそんな想いです。
学生のころ、たった5万円で友人達と北海道をまわ
ったことがあります。あれから、40年近く。講演
会や学会で自分がこんなに何度も北海道に来られる
ことになるとは、思いもしませんでした。
いつもは講演会のスタート時間ギリギリに入りるの
ですが、紋別はなんと羽田間一日一往復しか便がな
いのです。そのため、珍しく、夜の講演なのにお昼
から現地入りをしました。
学生の頃、先の貧乏旅行で通ったことがあるとは思
うのですが、泊まるのは初めての紋別です。
空港まで、広域紋別病院のスタッフの方が出迎えて
くれました。空がきれい。海の色が優しい。
初めての紋別めぐり。漁港で大きなカニの爪のオブ
ジェが出迎えてくれました。紋別の語源は、この街
を流れる藻鼈川(モベッ川)が由来だといいます。
モベッとは、アイヌ語で「静かな川」という意味だ
そうです。カニ爪オブジェの後ろに、確かに穏やか
な川が海へと流れていました。河口のあたりを、驚
くほどたくさんのカモメが飛び交っています。
今はちょうど、鮭の産卵期。産卵を終えて死んだ鮭
が上流から流れてくるわけで、その鮭を待ち構えて
いるのです。熊は泳いでいる鮭を待ち構えますが、
カモメは死んだ鮭を「待つ」。さらにカモメに食べ
られた残りの鮭の亡骸は、再び海へと返り、オホー
ツク海の美味しい魚やカニの栄養源となっているは
ずです。そしてそれらを、人間達が獲りにいく…。
きっとそれは、遥か昔、アイヌの時代から変わらぬ
光景なのでしょう。
しかし、今年はサンマの不漁がニュースになるほど
で、美味しい魚貝の宝庫であるオホーツクも年々、
魚が獲れなくなっているそうです。それは、人間が
自然界の「待つ」というルールをすべからく忘れて
しまっているからではないだろうか?
そんな光景を見たからでしょうか、この日の講演は
待つことがテーマとなったように思います。自分よ
りもずっと年若い院長やドクター、看護師さん達を
相手に、死の壁を「待つ」ことの大切さについて、
お話をさせていただきました。誰も来ないんじゃな
いかと思っていたら、ホテルの会場はほとんど満席
に。車を飛ばして、遠軽から来てくれた、大学時代
の同級生もいました。嬉しかったなあ。
その先生が、講演会の終わりに、こんな質問をして
くれました。
「在宅医療を始めたのですが、この広い土地では、
24時間365日対応とはいえ、すぐに駆け付ける
ことはできません。どうすればいいのでしょうか」
私は、
「それが正解なのです」
と答えました。お看取りにすぐに駆け付けなければ
在宅医療が不可能というわけではありません。
むしろ、その逆です。私は、よほどのことでない限
り、夜中に、患者さんが旅立ったという電話が入っ
ても、あえて、すぐには駆け付けないことにしてい
ます。その方が、家族だけで最後の「あわいの時間」
を共有することができるからです。私は夜が明けて
から死亡確認に伺います。
「家族からクレームは来ないのですか」と言われるの
ですが、むしろ、その逆。「おかげでゆっくりとお別
れができました」と感謝されることの方が多いのです。
それは勿論、そこに至るまでに何度も話し合いをし、
死の壁についてもしっかり説明しているから。事前に
伝えるべきことを伝え、信頼関係ができていれば、
死ぬ時に医者はいらない、いや、むしろ邪魔なのです。
だから、都会よりもむしろ、物理的に駆け付けること
のできない地方のほうが、在宅でのお看取りは家族で
大切な時間を過ごせる可能性が高いと思います。
大切なのは、死の壁を待つこと……そんなことをかつ
ての同級生に向かって、お話させていただきました。
その同級生は、同級生だったけど他の大学に入ってか
ら医学部を目指した方なので、70歳から遠軽の地で
在宅医療を始めたといいます。
人手の足りない街において、きっと、いてもたっても
いられなくなり、在宅医になる決意をされたのだろう
と察します。私は最近、「やめどき」ばかりを考えてし
まいますが、70歳から在宅医を始めるという彼の笑
顔に、「まだまだ仕事をしろ!」と言われたような気が
しました。医療の本質は、いま、地域の中にあります。
来てくださった方、遅くまで飲んでくださった仲間達、
本当にありがとう。私で役に立てることがあるのなら
これからも協力します。
紋別は海のイメージがあるが、山もすぐそばにあり、
とても美しいところだった。展望台で海を眺めていた
ら、山の方から光が差してきて、光のシャワーを浴び
た。まるで天孫降臨のような神々しい光の帯が降りて
くる。北の大地で、先月行った沖縄の、首里城の復興
を祈った。大きな建物が炎の中で朽ちていくのは、ま
るで人間の死に様を見るように胸が締め付けられる。
死傷者が出なかったのが何よりだが……、沖縄の人は、
悲しみにくれているだろう。デニーさん、頑張って!
これが、ガリンコ号。
紋別市街地。この写真の中央に公立紋別病院がある。
オホーツク空港から10分。
海は凍らないはずなのに、
なぜ流氷ができるのか?
どこでできた氷なのか?
なぜここに辿り来るのか?
地元の人は流氷は嬉しいのか?
「流氷科学講座」とか「高山蝶」って凄くない?
なんと講師の渡辺先生は尼崎在住とのことだ。
ここの海鮮ドンブリは旨すぎる。ミニゴルフ場は無料
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