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谷田憲俊先生を偲ぶ
2019年12月11日(水)
前・日本ホスピス在宅ケア研究会理事長の
谷田憲俊先生が旅立たれれて2ケ月が経過。
谷田先生の業績は多方面に渡り凄い先輩だ。
谷田憲俊先生が旅立たれれて2ケ月が経過。
谷田先生の業績は多方面に渡り凄い先輩だ。
谷田先生とは何回も飲んだ。
いつも笑顔だった。
でも、世間話ばかりで、難しい話をしたことはない。
きっと「こいつはアホやから」と思われていたはず。
本当におおらかな人で、どこにエネルギーを
蓄えているのか、全く分からない、9歳先輩。
・生命倫理
・緩和ケア
・スピリチャルペイン
・がん告知
・インフォームドコンセント
・感染症、などのなどの著書を残されている。
お勧めは
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谷田先生を偲び、日ホスのMLから、引用させて頂く。
優しい文章だ。
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医師の白衣は権威の象徴? それとも信頼の証?
谷田憲俊
日本ホスピス・在宅ケア研究会理事
医師の白衣について考えたことありますか
アメリカでは、医師と患者がファースト・ネームで呼び合うとされます。そのフランクな関係から、白衣姿より私服姿の医師を患者は好むと推測できます。一方で「白衣性高血圧症」という病態があって、患者が医師に威圧を感じるストレス故の高血圧と考えられます。また、施設訪問診療で同じ医師でも白衣姿と私服姿とでは入所者の反応が異なり、白衣姿で現れると患者に緊張感が高まるという観察者のコメントがあります。
これらの現象には患者・医師関係のあり方が関連しており、医療の成果や質の改善につながる大切な課題です。実は、古代ギリシャの医聖、ヒポクラテスが医師の服装について記していました。曰く、「医師は自らを清潔に保つようにしなければならない。見苦しくない服装を付け、匂いのきつくない香水を用いなければならない」と。ちなみに、医師の白衣は、19世紀の終わり頃に導入されました。その理由は白衣が清潔感を与えるためでした(感染症予防に有用という証はない)。結局、医師の白衣は権威の象徴なのでしょうか。あるいは、医師への信頼の証なのでしょうか?
調査結果は何を語るのか?
私の知る限り、医師の服装に対する患者の思いについてアメリカ発の3編の報告があり、患者は私服姿より白衣姿を好むとあります。ただし、最新の詳細に検討した研究では(BMJ Open 2018;8:e021239)、そう単純ではありません。
全体では白衣姿、次いで作業衣+白衣姿が好まれ(それぞれ44%、26%)、特に内科医は一貫して白衣姿が好まれました。ところが、女医は白衣姿が好まれず、外科医は白衣姿以外の男性医師が好まれました。また、白衣姿はプライマリ・ケア医や病院内科医が患者に好まれ(それぞれ44%、39%)、逆に救急医や外科医は作業衣姿が好まれる(それぞれ40%、42%)という結果でした。救急医や外科医で次に好まれたのは作業衣に白衣を羽織った姿でした(それぞれ34%、23%)。
ちなみに、「白衣性高血圧症」は、医療機関を訪れる緊張故の血圧上昇で、白衣は無実と判明しています。
白衣の意味合い
アメリカなどには白衣式があって、医学生が臨床実習に入る際、白衣を授与し医師を目指す者としての自覚を促します。その時、「ヒポクラテスの誓い」が斉唱されたりします。看護師にとって医師の白衣式に相当するのは戴帽式で、ナイチンゲール誓詞が斉唱されます。日本でも医学生の白衣式は広まりつつあります。
自覚を促すのが白衣ということは、白衣は権威の象徴であり、信頼の証でもあると示唆されます。ここでは「権威の象徴」と「信頼の証」は表裏一体でしょう。いずれも患者が感じることであり、医師はそのことを自覚して患者の利益になるような診療姿勢が大切と思います。
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多剤服用は止めましょう
谷田憲俊
日本ホスピス・在宅ケア研究会理事
多剤服用は日本だけでなく、世界共通の問題です。欧米諸国も日本も薬事行政当局が多剤服用を避けるよう努力しています。アメリカでは、削減する標的として具体的にスタチン(コレステロール低下薬)やPPI(胃酸分泌抑制薬)、ベンゾジアゼピン(睡眠剤や安定剤)、喘息・慢性閉塞性肺疾患薬、過活動膀胱薬、抗認知症薬、中枢性筋弛緩薬、降圧薬、サプリと抗菌薬の適正使用が挙げられています。最近は非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の使用が増えて問題となっています。それらの使用に当たっては、短期間の使用にとどめる、認知/行動異常の出現に注意、高齢者や女性は少量を用いる、抗うつ剤との併用を避けることが勧められています。しかし、実態はそれら勧告への違反が多く、その原因は医師の不適切な処方でした(JAMA Intern Med 2018 Jul 16; [e-pub])。
ただし、医師ばかり責めるわけにいきません。調査によると、医師が勧めれば90%以上の高齢者は服薬中の薬を減らそうと思いますが、それら薬剤は必要だと考えており、減らすのは容易でないのが実状です(JAMA Intern Med 2018 Oct 15; [e-pub])。また、アメリカ人は診察の後、どんな薬も、特に抗菌薬がもらえることを、薬なしで帰されることより良いと考えます(JAMA Intern Med 2018 Oct 1; [e-pub])。
人々を薬好きにした主因は医師です。薬害は特殊な薬より通常の薬剤によるという報告もあります(Ann Fam Med 2015;13:472)。いずれの研究も服用する薬は可能な限り減らした方がいいと、当たり前のことを告げています。なお、日本は前述のアメリカの削減候補薬剤リストに抗うつ薬と抗インフルエンザ薬を加えなければならないでしょう。近代医学の父、ウィリアム・オスラーは「医師の最初の義務の一つは、薬を飲むなと大衆を教育することだ」と言っており、今の医師にこそ求められる箴言です。そして、何より賢い患者でありたいものです。
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PS)
看取りが続く。
眠れない日々。
「小説 安楽死特区」の見本が届いた。
自分で言うのもなんだが、面白い。
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この記事へのコメント
予約はしないけどどこかで買います。
Posted by 匿名 at 2019年12月11日 02:49 | 返信
はじめまして。匿名での投稿、ご容赦ください。学生の時に谷田先生にお世話になりました。退官講演にも伺いました。
こちらのブログで訃報を知りました。ご冥福をお祈りしております。
Posted by 匿名 at 2023年01月20日 06:46 | 返信
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