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糖尿病と認知症
2020年01月12日(日)
糖尿病に認知症を合併した人が多く
血糖コントロールに困ることがある。
ビグアナイドが使える人は、まずは考慮すべきだ。
SUは低血糖リスクで使いにくいので、DPP4阻害薬が多い。
私が感じる問題点は
1 新しい基準値(糖尿病学会と老年医学会共同)をまだ知らない
医師が多い。一般内科医や白内障手術をする眼科医が知らない。
HbA1c7.5%でも、「手術ができないので教育入院を」とくる。
2 米国では、認知症のある高齢者糖尿病の管理目標は無い、と聞くが
日本でも、高血糖でアシドーシスになるとき時だけ介入でもいいのでは。
3 独居の認知症の在宅患者にインスリン4回打ちで返すのはやめて欲しい。
最悪は、胃ろうか1600Kcal注入してのインスリン4回打ち。
強化療法は、若い人のもの。つまりインスリンのやめどきがある。
4 吐いても吐いても食べ続けるタイプの認知症で、高血糖性アシドーシス傾向
にある人は、BOTないし、訪問看護師が週1回GLP-1製剤を打つ程度で対処。
5 結局、「認知症がある超高齢者の糖尿病学」は若者とは別物であるのに
まだそうは認識されていないし、研究も提言も不十分であることが問題。
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糖尿病と認知症
昨今、サルコペニア(筋肉量の減少)が注目されている。
歩行速度低下と握力低下(㊚26kg㊛18kg)が診断基準だ。
一方、フレイル
・身体的(サルコペニア)
・心理的(認知機能低下)
・社会的(貧困など)
3者の中心、重なる部分が本当の「フレイル」。
一方「ダイナペニア(筋肉量が減らなくても筋力が低下」
が大切であるとも言われこれが認知症と密接に関連する。
糖尿病は、フレイルの大きな原因になる。
サルコペニアにはロイシンの摂取が重要。
〇65歳以上の糖尿病患者さんは
・正常 65%
・MCI 30%
・認知症 5%
つまり、高齢者糖尿病の3人に一人が認知症(ないし予備軍)。
〇認知症の病型の内訳
・アルツ 20%
・脳血管性 20%
・両方 40%= これが一番多い
・その他 20%
〇糖尿病患者さんの認知症危険度
・ロッテルダムスタデイが一番有名
脳血管性は 2.0倍多い
アルツ型は 1.9倍多い
・日本では久山町研究が有名
脳血管性は 1.8倍
アルツ型は 2.1倍
結局、認知症リスクは「約2倍」と言っていい。
〇糖尿病性アルツハイマー
=糖尿病の早期に出る:注意力が落ちる
〇糖尿病性認知症(Biessels)=アルツ+脳血管性の混在
(糖尿病性認知症) アミロイドパチー<タウオパチー
その治療は、フレイルやダイナペニアへの対応
〇糖尿病と認知症の悪循環
低血糖(-)の糖尿病患者さんの 17.6%
低血糖(+)の糖尿病患者さんの 34.4%
と低血糖がある人のほうが認知症リスクが3倍高い。
一方、認知症のある人は、2倍低血糖をきたし易い。
血糖は低すぎても高すぎてもいけなが、どちらかというと
低い(低血糖)のほうが問題である。
〇久山町研究では空腹時血糖ではなく食後2時間血糖値で
3倍の差がついた。=「血糖値スパイク」との関連が深い。
〇一方、Jカーブの存在(Crane N Eng J Med 2013)
空腹時血糖160=HbA1c7.5%が、変曲点である。
〇MAGE(血糖のゆらぎ)がMMSEと相関する(Rissol)
βアミロイドカスケードにインスリンが関与(Giepen 2000)
〇脳は血糖値にも血中インスリンにも感受性が高い臓器。
脳内インスリンの大半が末梢性インスリン由来である。
〇インスリンは脳血液関門(BBB)を通過して
血糖を脳内に能動輸送している。
高インスリン血症の人は脳内インスリン濃度が低値。
つまり、「Down reguration」がかかった状態である。
〇アルツハイマー病での研究
・髄液中のインスリン濃度は低下
・末梢血中インスリン濃度は上昇
つまり、「高インスリン血症」がアルツハイマー病と強く関連
(Craft S Neourorogy 2005)
〇低インスリン、つまり「IDE」。
IDEは筋肉と肝臓にありAβも半分分解する。
IDEが無くなるとAβが脳内に貯まる。
インスリン抵抗性改善薬は効果がある?
欧米での「点鼻インスリン」の治験
=インスリンはすべて脳内に移行する
(末梢血の血糖値に全く影響されない)
APOE(-)のアルツにはよく効くとのこと
〇「臭い」によるアルツハイマー病の早期診断
臭いキットで、12種類の臭いのうち5以下。
臭いの中枢=臭球は海馬の直ぐ近くにある。
臭いをキーワードにした認知症研究に期待。
NGF(神経成長因子)の点鼻薬は有効である
(Jack CR Lancet 2010)
〇SCI(主観的記憶障害)とは(Reisberg B 2008)
MMESは正常だけど、変化の自覚がある段階。
SCIへの介入試験が注目されている。
〇3型糖尿病
Aβのオリゴマーがインスリンレセプター
にひっついてその作用をブロックしてしまう。
〇インスリンジレンマ
アルツにおいては、インスリン情報伝達系が破綻している。
(Bedse Front Neuro 2015)
〇最近は、GLP製剤が効く!?(Bomfim JCI 2012)
DPP4阻害薬も!?(Rizzo JGADSM 2014)
〇Metabolic-Cogniteive Syndorome という概念 (イタリア)
種々のリスクファクターのドミノの結果が認知症、と考える。
〇WHOが定めるハイリスク因子(Barnes Lancet Neuro 2011)
幼小児期の教育がアルツ予防にもっとも大切だ
リスクの順番
・低血糖
・タバコ
・非活動
・うつ病
・高血圧
・糖尿病・・・・と続く。
実は高血圧のほうが高い。
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この記事へのコメント
新しい基準値についてリンク文書の
「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標について」文中に
①血糖コントロール目標は患者の特徴や健康状態:年齢、認知機能、身体機能(基本的ADLや手段的ADL)、併発疾患、重症低血糖のリスク、余命などを考慮して個別に設定すること。
この、・・などを考慮して「個別に設定する」こと・・が、どのような病気についても必要ではないかな、と強く感じる。血液検査などの数値で一律に線引きすることは「悪しき管理」ではないか?
私は患者側なので、そういった「悪しき管理」による「一律同様の投薬治療」と「一律同様に医者の指示に服従する」人生は、イヤである。
しかしなぜ我々一般国民は、一律同様な治療しかできない医療者に、一律同様に管理されて生きなければならないのだろう?
なぜ医者は、検査結果数値によって一律に線引きし、(製薬会社は異なるが)一律同様な投薬治療しかできないのだろう?
そうしないと医者をクビになるのかな? 誰によって? 国家によって? 国の方針に従わないと医者はやっていけない?
標準治療、基準値、将来の認知症早期発見、オレンジプラン、成年後見制度普及、etc, ぜ〜〜〜んぶ全部、一般国民を一律同様に管理するための「国の方針」。
つまりは、全体主義の萌芽が、医療から始まっているのではないか?
Posted by 匿名 at 2020年01月13日 04:43 | 返信
簡単です。
医者に行かなければ良いだけの話。
匿名さんも医者に行かなければ一律に管理され、治療されることはありません。
あるいは医者にかかったとして、一律にやって治らないものは個別にやっても治らないので、「ああ、こりゃ治らんな」と自覚したらそこで医師行くのを止めるとかですかね。
馬鹿正直に健診受けて医者に行ってってやってたら餌食になるだけですよ。
Posted by 匿名 at 2020年01月14日 05:30 | 返信
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