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多様な一日

2020年03月30日(月)

コロナの厄介な特徴は、多様性にあると思う。
経済ヤクザのように、タチの悪い振る舞いだ。
まあ今日も、いろんなことがあったなあ・・・

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午前1時半にやっと、寝床に入った。

午前3時、在宅患者さんの家族から
息が苦しくて死にそう、との電話が。

電話ごしにもゼーゼーが聞こえきて
意識レベルも低下しているようだ。

死にそう!?

もしかしてコロナ???


ご家族は90代の親の救急搬送を強く希望された。
救急病院に電話したけど、なかなか返答がない。

午前3時半、やっと病院から電話がかかってきた。
「当院はコロナで一杯で心臓でも受け入れ不能です」

次の病院にまた電話して、いろいろ事情を説明した。
ようやく「受け入れOK]」を頂き患者宅に電話した。


これでやっと眠りにつけると思いきや
また、患者宅から電話がかかってきた。

「意識が出てきて、入院を嫌がっています」

ええ?
「救急隊も搬送の必要がないと言われた」とも。

そうか落ち着いたのか。
でも、ここで往診しなかったら「痛い在宅医やなあ」と目が冴える。

結局、少し様子を見ることでご家族は納得されたのが午前4時前。
以前、往診し利尿剤を打ったことがあったが、今回は経過観察に。



朝、クリニックに着くと、普段は無口な看護師さんが話しかけてきた。

「先生、志村けんさんが亡くなったそうです!」

看護師さんにも、よほどショックなニュースだったのだろう。
その後、志村さんの話題が30回位あり、インパクトが大きい。

みんな怯えている。
しかしそれがコロナ。。


午前中最後の患者さんは、初診の若い女性。
病院で肺の悪性腫瘍を疑われているとの事。

なんと私の「安楽死特区」を抱いて、サインを求められた。
どうやら、平穏死か安楽死かを願って、来てくれたようだ。

病院のCTを見ると、コロナ肺炎ではないことは明白だ。
しかし、今時、咳をすると電車にも乘れないとのこと。

病気による息切れもあるのが、実に紛らわしい。
私は理解できるが、知らない人は誰でも怖がる。

病院で咳こんで倒れたら、看護師さんも怖がって起こしてくれなかったと。
病気はともかく自力で外出できないので在宅医療の申し込みをして頂いた。


昼休みは
1)在宅患者さんのカンファレンス
2)睡眠薬の勉強会
3)新型コロナ対策の講演(毎日、やっている)
4)4月1日からの診療報酬改定の説明、
などで、あっという間に14時を越えてしまう。

スタッフたちと丁寧に職場巡視をして、換気対策を議論した。
床面積は1000平米(300坪)を超えているので大変だ。


窓開けや換気扇のルールを作り、クレベリンの置き場所を
20ケ所以上指定するなど徹底的な空気感染対策を指示した。

15時すぎ、ようやく午後の在宅に出発!

一人めの末期がんの患者さんは、免疫不全なので
1ケ月間もA型インフル陽性が続jいているが元気。


次にある老人ホームは、1ケ月以上、完全監禁状態。
クルーズ船どころではない、厳戒態勢が続いている。

部外者の私は毎回、額で体温を測られる。
毎回、36.2度くらいで、老人体温だ。

毎週、手洗いの後、マスクをもらうのが唯一のマスクだ。
しかし今日はマスクが枯渇しるのか配給が途絶えて残念。

その患者は、膿瘍のために発熱している。
しかし施設は「発熱」を、異様に怖がる。

毎週、「コロナではないよ」と同じ説明を繰り返す。
もちろん抗生剤で膿瘍の治療をして炎症は軽快傾向。

しかし1ケ月以上、牢屋のように監禁されているので
患者さんも介護者もどんどん衰弱していくのが悔しい。

ベランダやテラスでの体操を提案するも規則で絶対ダメ、と。
小さな施設なら経営者に直談判するが、大型株式会社の経営。

社長に自分の「歩行本」を見せて、考えを改させようかなあ、
と一瞬思うが、大企業は一介の町医者の意見など無視される。


次に、午前中に来られた初診の患者さんの家にたどりついた。
机の上にエンデイングノートやリビングウイルが置いてあった。

まだ若いのに・・・
まだ手はあるだろうに・・・


患者さんの「覚悟」を知り、自分を頼って頂いたことに感謝。
さっそくモルヒネによる緩和ケアを開始し色々とアドバイス。

その間も、携帯電話は鳴りやまない。
業務連絡、患者相談、出版社、マスコミ、政治家からの相談・・・・

その後、認知症2名や末期がん3名の家でもコロナの話をした。
10分遅れで夕方の診察に入ると、「ダルさ」の患者も3名ほど。


そういえば、午前中もダルさや息苦しさの患者さんが4名ほど。
まさにロシアンルーレットのように息が抜けない診察が続く。

中には過重労働の結果、メンタルダウンした方の復職相談も。
4月1日から復職する書類を整えて、様々なアドバイスもした。

午前と午後で精神科の相談も数件あったし、暴力行為での
措置入院の相談もあったし、結構激しい精神病も診ている。

その間に精神病院に措置入院させられた生活保護の患者が
自宅に帰ってくるそうなので、家族の不安にも耳を傾けた。



最後の患者さんは、リンパ腺がグリグリ張れている様な人だった。
どう見てもコロナではないが、どう見ても本物の「病気」である。

そういえば先週もコロナかと思いきや、EBウイルス感染症に
よる発熱と脾腫と肝障害の患者さんがいて、実に紛らわしい。

この季節、先入観を捨てながらも、流行病もどこかで考えながら
総合的に思考し誤診をしないことが求められるので難易度が高い。

横にいる医師に、そう教える。
当院に居ると自然に鍛えられる。


19時半に診察が終わると看護師が泣きそうな顔で
「先生、消毒用アルコールがありません」と来た。


「仕方ないやん、無いもんは無いし。気管チューブを
 スパゲテイーのように毎日、鍋で茹でて煮沸消毒や」

「ALSの患者さんにそんなこと言えません(怒)」

「じゃあ、残り少ないアルコールをさらにチビチビ使うしかないなあ」

「院長やったら、どこかからマスクやアルコール位調達してよ」
というスタッフの声が聞こえるような気がするが、本当に、無い。

医療機関には、マスクも消毒用アルコールも無い(調達できない)。
国はええ格好して中国にプレゼントしていたけど、自国民を見てよ。

政府は末端の意見にも耳を貸したほうがいいのでは。
御用学者のいう事だけでなく、もっと現場を見てよ。

当たり前だけど、通常業務もやっているんだよ。
非常時だから、という言い訳は通用しないんよ。


20時、認知症の人のデイサービスから帰宅を待ち受けた。
転倒して頭部を打撲したそうだが、コロナではなさそう。

その後、3軒ほど、認知症を回ったが、
どこでもコロナの話で盛り上がった。

22時、最後の在宅患者さんは100歳をとうに超えている。
肋骨部が痛いと訴えるので、骨しょう症かヘルペスと説明。

しかしヘルパーたちは、「心配なので入院させて」と言う。
今、肋骨痛だけで入院するとどんなことになるのかを説明。

介護の人は毎日、毎晩、「何かあったら入院」させて、
自分の目の前から不安材料を消し去る癖があると思う。

「今、こんな状態で入院させたらそれだけで弱るし、院内感染も」
 と説明しても病院志向が強いし、多数決で負けそうになる時も。


車の中のテレビニュースで、毎日、○○人死亡、とやっている。
しかし当院だけでも、今日だけでも、2人が亡くなられている。

コロナではなく、いわゆる誤嚥性肺炎。

ほぼ毎日、在宅か入院先で、誰かが亡くなっている。
私たちにとっては、死は日常で、仕方がないことだ。

だから「なぜ、コロナだけ特別扱いなの?」と思う時も。
全部かけがえのない命であるが、人間、死ぬときは死ぬ。

志村さんが身をもって教えてくれた格好になった今日だが、
私達は25年間、病院死も加えると数千の死に向き合っている。

仕事は、もちろん「死」だけではない。


がんの早期発見
生活習慣病の管理
沢山の認知症診療
甲状腺疾患の発見
メンズヘルス医療・・・

膨大な日常診療の中に埋もれながらの、コロナ診療。

と言っても当院では、まだコロナ症例は一例も無いし
コロナでの死亡もゼロであるが、いつまで続くのかな。

コロナがあっても、在宅緩和ケアは変わらないし、
コロナがあっても、ユマニチュードも不変である。

町医者の1日は、実に多様だ。


毎日、どこに行っても、誰かにこう聞かれる。

「コロナで忙しいでしょうねえ?」

「まあね。ボチボチでんな」

そうとしか答えようがない、多様な1日。
そんな昼も夜も無い生活が、25年間続く。

コロナも既にいっぱい変異して、実に多様。
多様な相手には、多様な思考回路が必要だ。




PS)
もしも消毒用アルコールがあれば、誰か譲ってください。

人工呼吸器を装着している患者さんが喜ばれます。

人工呼吸器やECMOも大切だけど、もっと基本的な
マスクと消毒用アルコールなども国は考えて欲しい。








































































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この記事へのコメント

そうですね。忙しい医療機関ほど消毒とマスクが枯渇します。ガウンや防護服もないでしょう。
そもそも感染症を診療できるだけの備品が全然ないので、コロナがオーバーシュートする以前に、医療崩壊してくるのではないか?感染防護に必要な備品を医療現場に届けられない事が一番の問題です。
中国・台湾・韓国と比べても感染対策に関しては著しくお粗末であり劣悪そのもの。
今回のことで、周辺諸外国に比べて日本が医療後進国であるということを痛感させられた気がします。
こんな国で働く医療現場、特に病院勤務の方々は本当に惨めではないでしょうか?
今後は永寿総合病院のような病院クラスター連鎖が増えるのではないかと思います。
医療が崩壊すれば、経済対策どころではない。そのことを誰もわかっていないようです。

Posted by マッドネス at 2020年03月31日 09:53 | 返信

長尾先生が綴って下さらなければわからない現場の実情、知らせて下さり有難うございます。
病でなく人を診ていらっしゃる先生の、休む間もなく動いておられるご様子に、
先生にすがって来られる患者さんやご家族、介護スタッフの方々の窮状も、
拝読して胸が詰まります。そうですね。コロナだけではないんですよね。

それにしてもタバコと肺炎、新型コロナの重症化との関わりについてですが
新聞やニュースでも深く掘り下げているところは、私はこれまで見当たらず。
志村けんさんの嗜好歴に触れることで、それで意識が高まるかどうか。
丁度明日から法改正で、行きつけの喫茶店も全面禁煙に。スポーツ新聞片手に
「今日のうちに吸っとこう」と火をつける連れ合いを前に、痰がらみの咳をするオッちゃん達を横に
「お国の偉いさん!この際本気で「煙害撲滅キャンペーン」をやってよ」と心の中で叫びます。

志村けんさんの訃報に、全員集合時代から楽しませてもらってきたので
気持ちがダウンし抵抗力が削がれる気持ちですが、それではウイルスの思うつぼなので
こちらのブログを拝見しながら、日常を送れる有難さを思い、
マイナスムードに心が感染しないよう自分を奮い立たせます。

長尾先生、時間を削り身を削りで本当に大変と思いますが、どうかこれからも発信し続けて下さい。
1日1票しかないのが残念ながら、今日もポチッと応援します。

Posted by taco at 2020年03月31日 12:13 | 返信

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