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祖母の看取り

2020年04月18日(土)

久々に、いつもの話題も。
病院での看取りを後悔と。
きらめきプラスの3月号。
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きらめきプラス3月号の連載



昨年病院で死亡した祖母への対応で今も両親が後悔している。

一家全員でリビングウイルを作成し、普段から何度も人生会議を!  →こちら


長野市でリンゴ農園をご両親一緒に営んでいる息子さん(27歳)からのご相談です。

Q)
祖母(享年83)が去年の12月に病院で亡くなりました。脳梗塞になり、9月に病院で手術。その後、祖母の意識はほとんど戻ることもなく、病院は祖母に経鼻経管栄養を行ないましたが、知らされていなかった両親は、祖母が以前から延命治療はしないと言っていたことを思い出し主治医に相談したところ、「すでに、栄養補給については経鼻経管栄養が処置されており、倫理上の問題から中止することはできない。これは延命ではなく治療行為です」と言われたといいます。また病院からも「これは病院の方針です」と言われただけで詳しい説明はありませんでした。その時は両親が祖母を看ていたのであまり深く考えていませんでしたが、病院側の対応に問題はなかったのでしょうか。祖母が亡くなって3カ月が過ぎようとしていますが、両親は祖母のことをいまだに後悔しているようで、祖母の話がでると母はいつも泣いています。最近、新聞に「終末期の治療方針について、患者や家族が医師らとあらかじめ話し合う ACP が医療現場で広がっている」という内容の記事を読みましたが、いま私が思うことは、先生も以前お話しされていたACPはこの総合病院にはなかったのではないかということ。そして、先生がいつも書かれているように普段から家族で延命治療のことなどを話し合って意思を共有しておくことが大切だということを痛感いたしました。両親と相談して尊厳死協会に入会することを検討しています。これで両親も少しは前に進めるのでないか感じていますが、先生からも何かアドバイスをいただけないでしょうか。よろしくお願いいたします。
 

  1. 大好きだった祖母の最期についてお孫さんが旅立たれて3ケ月たった今も想いを寄せていること自体に、天国のおばあちゃんはとっても喜んでいるかと思います。実はよくある相談なのですが、時系列にしてお答えしていきます。
  • 入院時の病状説明の時に人工栄養の話は出なかったようですね。救命や手術で生かすことに懸命で医者もその先のことを考える余裕が無かったのでしょう。ただ手術前後における点滴や経管栄養はごく普通の(救急)医療であり、延命治療ではありません。しかし意識が戻らなかったり、食べられない状態が何ケ月か続くと、それはいわゆる「延命治療」と呼び名が変わっていきます。特に明確な基準はありませんが、2、3ケ月後も植物状態ででも生きていれば素人でもそのように受け止めることになります。
  • 一般に経管栄養や高カロリー点滴栄養が2週間~1ケ月以上続いて長期予後が期待できる時には、栄養ルートは胃ろう栄養に変更します。そのほうが本人のQOL(生活の質)がいいからです。しかし祖母さまの場合は、医師は「そう長くは生きられないのでは」とか「全身状態が悪いので胃カメラを飲んで胃ろうを造設することは本人の負担になるしリスクもある」と考えて、経管栄養のままにしておいたのでしょうか。
  • お父様が祖母の意思を思い出して経管栄養の中止を申し出ても医師は「これは治療行為です」と説明した気持ちは分かります。その時点ではより長く生きて元気になる可能性があったわけです。医者として「良かれ」と思ってやっている行為に対して「延命治療」と言われると反発する気持ちは分かります。「病院の方針」というのは病院経営者が「一度始めた延命治療を中止すると後で家族から訴えられる可能性がしないように」と考えるからでしょう。そんな指示を出している病院もあります。昔の病院、保守的な病院です。院長のお考えでそのように説明する病院がまだ大半かと思います。
  • しかし経管栄養の中止ができないかと言えばそうとは限りません。日本老年医学会のガイドラインに示されているように複数の医師が「死が近い」と判断して人生会議をして家族も希望すれば「差し控える」ことも選択肢とされています。この「差し控え」とは中止ないし栄養量を減らすという意味です。しかし人生会議のやり方が分からない、面倒くさい、法律がない日本では後から訴えられるかもしれないなどの理由で差し控えを避けることのほうが多いでしょう。そもそも病院経営者からみれば、いったんそのような状態になればただ寝かしておくだけで日々お金が入ってきますから言葉は悪いですからいいお客さんです。だから敢えてそんな面倒くさい事、経営的に自分の首を絞めるようなことはしません。
  • 国を挙げて人生会議の啓発が盛んです。病院でも在宅でも人生会議が大切、だと言われていて研修会も各医学会も「人生会議一色」です。しかしこれを「本物の会議」だと勘違いしている人が多くいます。私は300回以上、人生会議の講演をしてきましたが、人生会議とは「自由な対話を繰り返すというプロセス」です。対話なのだから当然、コミュニケーションスキルが鍵です。しかし医師は総じて分かり易いコミュニケーションは苦手です。だから私は人生会議は「ケアマネと看護師が主導する」ことを広く提言してきました。近く、そうした本も出ます。
  • リビングウイルが人生会議の核であるにもかかわらず、国は2019年11月までは本人の意思よりも医学会のガイドラインを重視するという姿勢でした。しかしここに根本的な間違いがありました。本人意思の尊重はヒポクラテスの時代から医療の基本であるのに日本だけが本人の意思を軽視してきました。それが人生会議が言葉だけに終始し患者さん本人と家族の幸せに寄与していない理由です。つまりメデイアも医学会もリビングウイルを伏字にしている限り人生会議はうまくいかない、ということです。本人意思が不明な時は家族が代弁してあげてください。日本尊厳死協会に入会するということはリビングウイルを表明することです。現在、家族の署名も頂いた事前指示書型のリビングウイルです。是非一家全員で作成したうえで人生会議をしてください。天国のお祖母ちゃんも喜ぶはずです。

 
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

コロナ騒ぎの中、病院や施設からの脱出者を受け入れている。

なかには、8ケ月間も手足を縛られて、経鼻栄養で、最期に
胃ろうを拒否して帰ってこられた人を訪問した。



私が着くまでに、もう食べていた。
私が着いてからも、ガツガツ食べた。

私は、病院から「絶対に抜いてはいけない」と
厳しく命じられていた栄養チューブを、抜いた。

ケアマネさんも同席。
一部始終を録画した。

私の仕事は、1本の管を抜くだけ。
たった1分で、要介護5から要介護1か2に下げられる。


家族は聞いてきた。

「この8ケ月は何だったんでしょうか?
 胃ろうを勧めた消化器内科の先生は間違っているのですか?」

「間違った判断をされていたと思います」

「どうして?」

「いろんな先生がいるのです」

「でも、全く逆じゃないのですか?」

「そうですね」

「だから、どうしてそうなるのですかあ?」

「その医者が、アホだからです。(ああ、言っちゃった)」

「どうしてですか?納得いきません」

「・・・。アホがアホを教えているからです’(また、言った)」

「そんなんでいいんですか?みなさん困っているのでは?」

「そうでしょうね。私も困っているのですけど・・・」



ちなみに、その病院はいわゆる一流病院です。

総入れ替えしないと、「病気」は治りません。




PS)
久々にいつもの記事に戻った。

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この記事へのコメント

その医者が、アホだから
そろそろ「その医者」ではなく、
「一流と言われている」XX病院のZZ医師がアホだから、と、固有名詞にしませんか?
名指しされると、XX病院やそこのZZ医師は、どう反応するのかしらね?
長尾ブログなんか、読んでないかしらね?
読んでなければそれも結構。
読んでる人たちがXX病院を受診しなくなれば不幸な人が減ります。
名指しすると訴えられる?
アホだと言われて訴訟を起こすアホはいないと思いますよ。

Posted by 匿名 at 2020年04月18日 01:41 | 返信

先生、大変な時ですのに、いつもの話題をありがとございます。思考が整理出来ます。

私、凡人は疲れがたまりすと思考が停止してしまったり、堂々巡りになったりします。
長尾先生のパワーは『強靭な脳ミソ』にあり。と、勝手に素人分析。どんなご苦労があっても、思考が止まらない。だから信頼されるお医者様なのですね。

昨今のテレビでの演説の方々の思考は、もはや止まりかけているのか?止まっているのか?加齢か?逆回転か?
凡人には理解に苦しみますが、前に進むしかない。

気分転換にと思いたち、折り紙で飛行機を作る本を購入しました。
(先生の教科書も近いうち購入いたしますよ。ゴマすり 笑)
紙飛行機、外で飛ばしたら、いい大人がとなりそうなので、暫くは狭い家のなかで飛ばしてみます。
ブログはありがたく拝読させて頂いておりますが、どうぞ先生もお好きな音楽一曲だけでも聞かれるお時間を是非とも作って下さい。
今日もありがとございました。

Posted by 轟 瞳 at 2020年04月18日 02:50 | 返信

今日の先生のブログを見て勇気を頂けました。 私は延命治療を拒否する99歳の母親が入院している鎌倉のある病院と戦っています。 2019年2月より中心静脈カテーテルをつける事が前提条件でした。  私は遠い県に住んでるので、近くの延命治療しない、老人ホームが空いたので申し込み、2019の12月に病院のソーシャルワーカーに転院をお願いしました。 その二日後、危篤だから紹介状を書けないと、連絡があり 私は泣く泣く、申し込んでいたホームに事情を説明して、キャンセルお願いしたら、優しいスタッフが(自然に逝かれようとしている人に又酸素吸入は酷い)といっていただき、励みになりました。 酸素吸入は本人が望んでいませんと、鎌倉の病院長も兼ねている担当医に話そうとしても、ソーシャルワーカーが医者に合わせてくれず、三ヶ月近くになります。理由は私が知識を持ってるからとか。

Posted by 匿名希望 at 2020年04月18日 12:15 | 返信

肉親の看取りへの後悔。一昨年4月に義母が、腰椎破裂骨折による脊柱管狭窄症のため手術を受けました。しかし転院などで入院生活が続くうちに弱っていき、翌年3月に最期は急性腎不全で80歳で亡くなりました。臨終にも間に合わず病院で一人で逝かせてしまいました。
遺品整理で「平穏死10の条件」初版本を発見。義母が元気だった頃、ある日突然「何かあっても延命治療はしなくていい」と言い出したので戸惑ったのですが、本を見てようやく理由が分かりました。同時に、願っていたであろう「自宅で平穏死」とは程遠い終末期だったので、何とも言えない思いでした。生活は普通にしていても、悶々としたものはずっと抱えたままです。

義母を見送ってから「人生会議」を知り、いずれ自分にもかかってくることなので、昨年は「死の授業」や「人生会議」の講座にも参加しました。今年もどこかで参加できればと思っていたのですが・・・
新型コロナに落ち着かない日々。「いつもの話題」で我に返り、まだ白紙のままだった「リビングウィルノート」を開いてみた次第です。

Posted by taco at 2020年04月18日 05:33 | 返信

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