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岡江久美子さん・・・

2020年04月25日(土)

昨夕に訃報を聞いて、今日夕方には骨で帰宅。
信じられない出来事で、夢を見ているようだ。
岡江久美子さん、素敵な笑顔をありがとう!
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さすがに、こたえる。

昨夜の有料メルマガ(まぐまぐ)のQ&Aから、一部抜粋。



死のQA 0423
コロナリスク? 抗がん剤治療が怖いです


Q)
お忙しいところ恐れ入ります。私は、今年1月に乳がん手術をした者です。67歳です。
ステージ2でがんは取りきれたとのことですが、念のため、抗がん剤をしましょうといわれ、今、通いで抗がん剤を受けています。
コロナのニュースを聞くたび、抗がん剤治療を受けていると免疫力が落ちているので、罹ったらひとたまりもないのではないかと怯えています。とても不安なので、できれば抗がん剤をやめたいです。
今、抗がん剤をやめるべき人とそうでない人を教えてください。どうか、抗がん剤治療中のすべての人に、長尾先生からコロナ予防へのアドバイスをお願いします。



A)
結論から言えば、主治医とよく相談して必要と思われる抗癌剤治療であれば受けてください。今日も抗癌剤治療を受けている患者さんが何人かおられます。そのなかには白血球が少ない、極度の免疫不全状態で、しかもほぼ寝たきりの人が介護タクシーで病院に行き、外来抗癌剤治療を受けて帰ってこられます。私は毎回、そのまま死んでしまうのではないかと心配でなりませんが本人は驚くほど元気です。人間の生命力ってすごいなぁ、といつも思います。教えられます。医学常識では説明できない患者さんもおられます。
現在、多くの病院でがんの手術の多くは延期になっています。また、内視鏡検査をはじめとする種々の検査も自粛しています。しかし、どの病院もそうでしょうが抗がん剤治療だけは普通に行われているようです。

コロナ感染が心配だから抗がん剤治療を中止したり延期したという話はまだ一度も聞いていません。もちろん書籍に書いたように「抗がん剤のやめどき」というものはあると思いますが、それにはコロナ騒動とは関係ないようです。もちろん、抗がん剤治療中の方はコロナ感染のリスクが高いグループに入ります。さらに抗がん剤もある基準以下になれば受けられません。病院との往復の交通機関の中や、在宅での生活における感染予防は非常に重要です。人混みには行かないでください。しかし、必要と判断された抗がん剤治療は受けられた方が良いと考えます。
意外かもしれませんが、以上が私の見解です。
ただ、ステージ2ということなので、補助化学療法、つまりダメ押しの抗がん剤だと思います。その必要性に関して、主治医とよく相談してください。また乳がんとのことなので、ホルモン剤による治療なのか、いわゆる副作用の強い抗がん剤なのかもよく相談して決めてください。やるにせよ、やらないにせよ、あなたが納得することがいちばん大切です。
 
----------------------

ところで・・・・

昨日、俳優の岡江久美子さんが新型コロナウイルス感染による肺炎のため亡くなったというニュースが飛び込んできました。私も含め日本中の皆様が驚いたかと思います。あんなに元気な人が・・・と。少し落ち着いて岡江さんの結果を振り返りたいと思います。

岡井さんは昨年末に乳がんの手術を受け、1月末から2月末まで通院で放射線治療を受けていたそうです。すなわち一連のがん治療がコロナ感染に大きく関係していたかと思われます。健康人がコロナで亡くなったのではなく、がん治療中の人がコロナで亡くなったと受け止めるべきです。

まず、体内にがんがある人のことを担がん状態と呼びます。まず、それ自体が免疫機能が低下した状態です。そして抗がん剤や放射線で治療するとさらに免疫機能が低下します。岡江さんは放射線治療の副作用である放射線肺炎を併発していたという報道もあります。どれくらいの間、がん治療の影響が残るかは抗がん剤の種類や量、そして放射線治療の線量や照射部位によって異なります。一概に述べるのは難しいのですが、がん治療後、概ね2~3ヶ月は免疫機能が低下した状態と考えてください。ですから、もしも発熱してコロナかなと思った時には、医師に真っ先に自分の既往歴や治療歴を告げることが大切です。


今回の新型コロナは、高齢者と持病がある人が重症化しやすいことがよく知られています。糖尿病や高血圧が有名ですが、中国での解析で、もっと怖い基礎疾患がわかっています。それはがんと慢性閉塞性肺疾患です。がんがあると3.5倍で、慢性閉塞性肺疾患は2.7倍のリスクになります。一方、糖尿病と高血圧はそれぞれ1.6倍です。いかにがんがコロナのリスクになるか、おわかりだと思います。岡江さんが身をもって教えてくれたわけです。
 

もう1点どうしても言っておきたいことがあります。志村けんさんも岡江さんもどんな“かかりつけ医を”もっていたのでしょうか。岡江さんは乳がん専門医以外にかかりつけ医がいたのでしょうか。訃報に接し、一番に思ったことです。

国も日本医師会も「かかりつけ医制度」を推進しています。私のクリニックも“かりつけ医”として登録しています。実際、かかりつけの患者さんが夜中に急病になった場合、電話をかけると看護師が問診して私にメールが届きます。それを見た私は患者さんに電話をかけます。電話で済むことがほとんどです。私は患者さんの息遣いで酸素不足があるかどうかを判断します。“かかりつけ医”とはいつでも往診をしてくれる医師ではなく、電話で気軽に話せる医師のことです。皆様もぜひ“かかりつけ医”を持ってください。どんな医師がかかりつけ医なのかサイトを見ればで簡単にわかります。参考までに東京都のかかりつけ医のサイトを示します。https://www.tokyo.med.or.jp/citizen/counseling/primary_care

このサイトで自分の地域の“かかりつけ医”を見られるはずです。各県にあります。それでもわからなければその医師に直接聞いてください。「先生はかかりつけ医に登録していますか?夜中に急病になった時、電話で相談できますか?」と。


今朝、岡江さんの“かかりつけ医”がテレビで語るということで思わず見てしまいました。ある大学病院の心臓外科の偉い医師でした。何ケ月毎に通院されてコレステロールの薬を処方していると言われました。私はこのテレビを観ながら怒りが込み上げてきました。岡江さんは本当にこの医師を“かかりつけ医”だと思っていたのでしょうか。もしそうであれば、この“かかりつけ医”に責任があるのでは、と思いました。 その医師は岡江さんの診療歴をペラペラ話していましたが、そもそもこれは医師法違反かつ個人情報保護法違反です。そして自分には責任が無いと思ってテレビに出ている無神経さに呆れました。その医師は“かかりつけ医”ではありません。きっと岡江さんも“かかりつけ医”の意味を知らなかったのでしょうね。もちろんテレビ局も。ほんとうは“かかりつけ医”の存在が命を救うことを伝えるべきです。

実は志村さんも同じでした。“かかりつけ医”とは大病院の偉い専門医ではありません。広い医学知識を持ち、気軽に電話で相談できる医師のことです。保健所に電話してもPCR 検査はなかなか受けられません。東京大学に入るよりも狭き門です。しかし、“かかりつけ医”が保健所に「この人は様子がおかしい。呼吸状態が悪いからすぐにPCR 検査を!」と言えば順番飛ばしですぐに受けられます。医師であれば電話で少し話すだけでも酸素不足が分かります。“かかりつけ医”は PCR 検査のトリアージ役を担っているのです。志村さんも岡江さんも、ちゃんとした“かかりつけ医”を持っていれば命を落とすことはなかったはず。こういう後出しジャンケンは本意ではありませんが、あまりにも理不尽なのでここだけは明確な意思を持って書きます。皆様も是非、気軽に電話で相談できる“かかりつけ医”をお持ちください。もしもいなければ、“かかりつけ医”を早急に探してください。


国はかかりつけ医制度を推進しながら、こんな大切な時になぜ“かかりつけ医制度”を広報しないのか不思議で不思議でなりません。昨日、官房長官は「PCR 陽性者で自宅待機している人は何人いるのか?」との質問に、「わかりません」と答えました。信じられません。開いた口が塞がりません。PCR検査の感度は50%です。だからもしも陰性と判定されてもコロナ感染している人が沢山います。いわゆる“隠れコロナ”です。私はそんな人たちをコロナ携帯で毎日メールや通話でフォローしています。それは、“かかりつけ医”として当然の仕事です。PCR陽性者は病院に入院させられますが、ホテルや自宅待機を命じられる人もいます。埼玉県ではその間に亡くなった男性が報じられました。本来は自宅待機時にも“かかりつけ医”をつけて慎重に経過観察すべきです。さらに、PCR陰性と分かった瞬間に野放しになることも大問題です。コロナ感染が否定されたわけでもありません。すでにPCR陽性者の10倍もの感染者がいると推定されているのに、PCR陽性者だけしか把握していないことは大問題です。指定感染症の管理体制として根本から間違っています。そういった想像力の欠如した政府には絶望しかありません。

私は“かかりつけ医”に関する本を2冊書きました。「その医者のかかり方は損です」(青春出版社)と、「大病院信仰 いつまで続けますか?」(主婦と生活社)。是非参考にしてください。最初の質問からずれてしまいましたが、たまたま乳癌の質問だったので岡江さんの死、そして“かかりつけ医”についても、ここだけの話をさせていただきました。

今、岡江さんが骨になって自宅に帰ってきた映像を観ました。ついでにもう一言。もしも自分が志村さんや岡江さんの主治医だったら・・・・
それほど悔しいのです。


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この記事へのコメント

新型コロナウイルスにかかると肺炎になりやすい。そして肺炎の画像も独特のようだと先生は書かれています。 全くその通りだと思っています。 ただ・・日本であまり言われていないのですが・・
アメリカ発の情報では、新型コロナウイルスにかかると、猛烈に血栓ができるといいます。
その血栓で肺がやられてしまうのかもと思ってます。肺に影響を与えるのですから、上半身の血栓ではなく、下肢の血栓だろうと思います。 私自身が肺塞栓症ではいどうみゃくの半分が詰まっていますから、
常にパルスオキシメーターを携えておりますが、自宅待機の軽症患者が突然のように亡くなった原因は、
肺炎というよりも、肺塞栓症だった可能性が高いと考えています。 軽症で自宅待機で、あまり動かない・・余計に血栓ができるでしょうし・・。血栓という奴は難儀なものです。陽性の人には、あらかじめ
ワーファリンを服用させた方がよいのかもと思ったりしますが、それはそれなりに、難しいのでしょうか。

Posted by 中原武志 at 2020年04月25日 03:39 | 返信

 普段からかかりつけ医師と相談すること予防と養生に心がけることですね☆

Posted by 薬剤師 井澤康夫 at 2020年04月25日 04:18 | 返信

直近の米国からの報道によると、コロナ重症患者で肺炎に分類される人は3%だそうです。

人工呼吸器を使うと80~90%が死亡する。治療成績が極端に悪い。

大半は低酸素症で、口鼻に酸素マスクを当てるだけの単純な酸素吸入が一番いい。

高濃度ビタミンCが、回復に強力な役割を果たす。Cを投与しない薬剤投与は成績が悪い。
ニューヨークの病院でもC投与している。
封じ込めに成功した中国・韓国からの臨床報告に基づく。

New York Timesをはじめ主要メディアで繰り返し報道されていることなのに、
以上の情報が日本の新聞で完全黙殺されている理由がわかりません。
どなたか教えて下さい。

Posted by 憂国人 at 2020年04月25日 11:25 | 返信

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