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コロナのエビデンス集vol2

2020年04月09日(木)

毎日毎日、コロナに関する論文が出ている。
道北勤医協 旭川北医院の、松崎道幸先生が
まとめられたエビデンス集を共有させて頂く。
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以下、医師向けの記事です。

松崎先生はいつも「拡散自由」と書かれているので
今回、vol2であるが、今後もまとめて紹介させて頂く。


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コロナウイルス文献情報とコメント

2020年4月2日

lコロナ迅速診断キットは、発熱呼吸器症状を主訴としてERを受診した患者のCOVID-19診断には不向き(診断感受性2割以下)

l中国と韓国の年令別罹患率死亡率の比較(若者に感染率が高い。日本も油断するな)

コロナ迅速診断キットは、発熱呼吸器症状を主訴としてERを受診した患者のCOVID-19診断には不向き
Cassaniti I, Novazzi F, Giardina F, et al. Performance of VivaDiagTM COVID-19 IgM/IgG Rapid Test is inadequate for diagnosis of COVID-19 in acute patients referring to emergency room department [published online ahead of print, 2020 Mar 30]. J Med Virol. 2020;10.1002/jmv.25800. doi:10.1002/jmv.25800
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1002/jmv.25800

【要旨】
インフルエンザ迅速診断キットと同じ原理のCOVID-19迅速診断キットVivaDiagTM COVID-19®の実臨床における診断感度を調査した結果、COVID-19感染確定例の入院7日目では、PCRに比べた感染検出感度は72%だった。しかしCOVID-19感染と確定された患者におけるER初診時PCRは72%が陽性だったが、同時に行われた迅速診断キットの陽性率は18.4%にとどまった。発病間もない場合、臨床の場におけるこの迅速診断キットのCOVID-19感染症診断感度は20%に満たなかった。したがって、この迅速検査によってCOVID-19感染を否定することはできない。このような「偽陰性」は感染による抗体価上昇が遅れて生ずることによると思われる。




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コロナウイルス文献情報とコメント

2020年4月5日

l重篤なCOVID-19感染患者に対する回復期血漿投与(コロナ感染から回復した患者さんの血漿を人工呼吸器をつけた重症の患者さんに輸血すると、病状が改善し、3人は退院でき、2名の方も病状が安定しているという報告)

 
重篤なCOVID-19感染患者に対する回復期血漿投与
Shen C, Wang Z, Zhao F, et al. Treatment of 5 Critically Ill Patients With COVID-19 With Convalescent Plasma [published online ahead of print, 2020 Mar 27]. JAMA. 2020;e204783. doi:10.1001/jama.2020.4783

【要旨】
COVID-19感染によりARDSを併発した重篤患者を対象とした。選択基準:①抗ウイルス剤投与によっても重要肺炎の進行が止まらず、高いウイルス濃度が継続していること;②Pao2/Fio2 <300(動脈血の酸素濃度/吸入酸素濃度:通常の室内気の酸素濃度は20%なのでFio2は0.2。純酸素吸入なら1.0)高濃度の酸素を投与しても血液に酸素が十分行き渡らない状態);③人工呼吸器治療。この基準に合う5名の患者にCOVID-19感染患者の回復期血漿を投与した。治療は2020年1月20日から3月25日までの間に深圳の第3人民病院で行われた。
COVID-19に対する特異抗体(IgG)が1000倍希釈でもELISAで検出され、中和抗体力価が40以上であるCOVID-19感染治癒患者から入院後8~22日に採取した血漿を用いた。体温、臓器障害の程度、Pao2/Fio2、ウイルス量、血清抗体価、ECMO治療の推移などをモニターした。
投与された患者は36~65歳で、男性3名、女性2名。全例人工呼吸器治療と抗ウイルス剤、メチルプレドニゾロン投与を受けていた。血漿投与後、5名中4名で体温は正常化し、血液の酸素濃度も改善した。ウイルス量も12日以内にゼロとなった。ARDSも改善し、3名では2週間後人工呼吸器治療から離脱できた。3名は入院51,53,55日後に退院した。他の2名も投与後37日の時点で病状が安定している。



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コロナウイルス文献情報とコメント

2020年4月6日

lCOVID感染患者の内視鏡検査に伴う感染性飛沫防止用マスク
l新型コロナパンデミックを境に医師という生業(なりわい)のとらえ方がすっかり変わった(投稿)


 
新型コロナパンデミックを境に医師という生業(なりわい)のとらえ方がすっかり変わった(投稿)
Giulio M(イタリアDESIO病院一般外科医)et al. Being a doctor will never be the same after the COVID-19 pandemic [published online ahead of print, 2020 Mar 30]. Am J Med. 2020;S0002-9343(20)30216-3. doi:10.1016/j.amjmed.2020.03.003

先月、北イタリアを襲った伝染病は誰もが驚く激烈さだった。この文章を書いている時点で、イタリアでは20603人が感染し、1809人が死亡し、2335人が回復した。しかし、ICUには1672人が入院中だ。ロンバルディア地方では10043人が感染し、767人がICUにいる。
 
この病魔が猛烈な勢いで広がったため、地域のすべての病院が、一般診療や専門診療をやめて、「COVID-19対応に専念できる体制」を作らなければならなかった。延期が可能な治療はほとんど延期され、救急部門だけが診療を継続した。しかし、発熱と呼吸困難を訴える患者が押し寄せ、感染者数は日を追って増加した。通りに人影はなく、営業している店はない。子供たちは外に出られず、患者を搬送する救急車のサイレンだけが、終日鳴り渡っている。


病棟はCOVID第一病棟、COVID第二病棟などに名前が変わった。すべての医療スタッフは今までと違う役割を果たす必要に迫られた。外科医は呼吸器疾患の勉強をやり直し、産婦人科医は非侵襲的人工呼吸器具の取り扱いを受け持ち、循環器疾患専門医はICU担当医となった。診療科、専門分野の区別は過去のものとなった。
 
COVIDのパンデミックは、イタリア中の医師に、医療とはそもそも何なのか、われわれはなぜ患者を診るのかという根本的な問いを考える機会をもたらした。われわれが提供する治療の本質は患者を支えることであり、治療結果の良し悪しは、それぞれの患者の固有の状況によって決まることが多い。われわれ医師ができることは、患者に寄り添い助けることに尽きる。
 
病気とたたかうとは、知性とリアリズムと、いざという時の思い切った判断によって患者に必要なことを行うことであると改めて確認したい。われわれはCOVIDのパンデミックによって、いのちが医師の手にある(医師ならどんな命も救うことができる)という思いあがりが間違いであることを改めて思い知らされた。われわれには最前線の塹壕に身を潜め、すべての病める人々をケアする役割がある。われわれが医師になったときに教えられたが、その後忘れている初心を思い出そう:時に癒し しばしば支え 常に慰む(アンブロワーズ・パレ)


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コロナウイルス文献情報とコメント

2020年4月7日
今回はコロナをやっつける薬の話です。両方とも「マクロライド」系の薬が効きそうだという話です。ただし、しっかりとした臨床試験はこれからなので、結論はまだ相当先でしょう。

lCOVID-19感染に対するマクロライド投与:有望な治療法となりうるか?
lFDA承認薬剤のイベルメクチンはCOVID-19の増殖を抑える

 
COVID-19感染に対するマクロライド投与:有望な治療法となりうるか?
Ohe M(JCHO札幌病院内科), Shida H, Jodo S, et al. Macrolide treatment for COVID-19: Will this be the way forward? [published online ahead of print, 2020 Apr 5]. Biosci Trends. 2020;10.5582/bst.2020.03058. doi:10.5582/bst.2020.03058

【 Biosci Trendsへの Letter要旨】
COVID-19感染のパンデミックに対して新薬の開発が急がれているが、抗ウイルス作用がある既存の薬剤についても、単独あるいは併用投与の試みが進んでいる。その中でも最近注目すべき報告が見られた。Gautretら(マルセイユ大学感染症部門)は、COVID-19感染者を①6名:ハイドロクロロキン(HC;200mg×3回/日 10日間)+アジスロマイシン(1日目500mg、2~4日目250mg/日)、②14名:HC単独投与、③16名:対照群(HCもアジスロも非投与)に分け、ウイルス量(鼻腔咽頭スワブのRT-PCR検査を毎日実施)を測定し、治療効果を検討した。
結果:治療開始から6日目の時点で、HC+アジスロマイシン群ではRT-PCRが全例陰性化した。一方、HC単独投与群では57.1%、対照群では12.5%の陰性化にとどまった。(①と②③の差は有意;p<0.001)②群のうち6日目でもRT-PCR陽性の患者一人に対してアジスロマイシンを投与したところ、RT-PCRは陰性化した。
考案:この知見は、マクロライドとりわけエリスロマイシンがCOVID-19感染に有効である可能性を示唆している。アジスロマイシンがCOVID-19感染に有効であるメカニズムは明らかにされていないが、マクロライドがインフルエンザウイルス感染に効果があることは確立しているので、低薬価のエリスロマイシンをCOVID-19感染の治療だけでなく予防に使用することも考慮して良いのではないかと思われる。マクロライドの単独あるいは他系統の薬剤との併用投与がこのパンデミックをもたらしているウイルス感染症を世界的に制圧する上で有望であると考える。


FDA承認薬剤のイベルメクチンはCOVID-19の増殖を抑える

Caly L(王立メルボルン病院 感染症免疫研究所), Druce JD, Catton MG, Jans DA, Wagstaff KM. The FDA-approved Drug Ivermectin inhibits the replication of SARS-CoV-2 in vitro. Antiviral Res. 2020 Apr 3:104787. doi: 10.1016/j.antiviral.2020.104787. [Epub ahead of print] PubMed PMID: 32251768.
 
【要旨】
lイベルメクチンにCOVID-19増殖を抑える作用があることが実験で明らかになった。
lCOVID-19感染細胞にイベルメクチンを単回投与すると、48時間後のウイルス増殖量が5000分の1に低下していた。
lイベルメクチンはFDA承認の寄生虫駆除薬であり、適用拡大は容易である。イベルメクチンはWHOのエッセンシャル薬剤に加えられており、全世界で容易に投与できる。
参考:ウィキペディア】

イベルメクチン(: ivermectin)は、マクロライド類に属する物質。腸管糞線虫症の経口駆虫薬疥癬毛包虫症の治療薬でもある。商品名はストロメクトール(日本ではMSD社製造、マルホ社販売)。放線菌が生成するアベルメクチンの化学誘導体。静岡県伊東市内のゴルフ場近くで採取した土壌から、(ノーベル賞受賞者)大村智により発見された新種の放線菌「ストレプトマイセス・アベルメクチニウス」(Streptomyces avermitilis)が生産する物質を元に、MSDが創薬した。

 
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コロナウイルス文献情報とコメント

2020年4月8日

lCOVID-19血清抗体価の時間的変遷(PCRは早期診断向けだが、3割は漏れる。迅速検査キットは早期診断できない)
l武漢に建設された応急病院に入院した重症でない患者(non-critically ill patients)の臨床所見(在宅やホテル隔離の「無症状者」がどのような臨床経過をたどるかの一例)

COVID-19血清抗体価の時間的変遷

Jin Y(Deparment of Clinical Laboratory, Xixi Hospital of Hangzhou, Hangzhou 310023, Zhejiang, China.),et al.Diagnostic value and dynamic variance of serum antibody in coronavirus disease2019. Int J Infect Dis. 2020 Apr 3

【要旨】
COVID-19感染確定例43名の血清抗体価(IgM、IgG:化学発光免疫測定法)の変動を追跡した。RT-PCRと比較した場合、COVID-19感染診断におけるIgM、IgG抗体の感度は48.1%、88.9%、特異度は100%、90.9%だった。IgM抗体陽性率は、感染中期まで増加しその後減少。IgG抗体は感染中期に100%となり、いずれの時期でもIgM抗体陽性率を上回っていた。IgM抗体価は経過を通じて大きな変動がなかった。RT-PCR陰性化後のIgG抗体価はそれ以前の2倍となっていた。
ウイルス抗体の測定は、COVID-19感染診断の有用な検査法である。IgG抗体の陽性率と力価はIgMよりも高かった。

※訳者コメント:次ページの陽性率変動経過が役に立つと思います。発病初期には、IgMもIgG抗体も陰性のことが多く、発病から日数が立つとRT-PCR陰性化が始まります。両法の組み合わせが確実な診断に役立つと思います。



【松崎考察】COVID-19のIgGやIgMの迅速検査キットはすでに商品化されている。
発病から5日以内では、コロナに感染した人のPCR陽性率は7割程度に過ぎない。迅速検査のIgGやIgM陽性率はその半分以下である。
これらの検査が陰性でも、症状があって、肺CTに間質性肺炎があれば、コロナ感染を強く疑うべきだろう。


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長尾のコメント
コロナウイルス文献情報とコメント
2020年4月9日

l妊娠中のCOVID-19感染:108例の報告(母体・児に大きな影響はないようだ)
l韓国におけるCOVID-19感染者7755例の臨床的特徴(20代に多い傾向は日本でも要注意)
l韓国のCOVID-19感染者30名の接触者2370名の検診結果(家庭内濃厚接触者のおよそ1割に二次感染の恐れあり)

妊娠中のCOVID-19感染:108例の報告

Zaigham M, Andersson O. Maternal and Perinatal Outcomes with COVID-19: a systematic review of 108 pregnancies. Acta Obstet Gynecol Scand. 2020 Apr 7.

【要旨】
妊娠中のCOVID-19感染が母体と新生児に及ぼす影響をまとめた。2020年2月12日から4月4日までに公表された報告論文を検索しRT-PCRで確定診断された症例を分析した。18論文の108例のCOVID-19感染妊娠例が抽出された。妊娠第3期妊婦の68%に発熱、34%に咳、59%にリンパ球減少、70%にCRP増加が見られた。91%で帝王切開が行われた。3例が妊娠中にICU治療を受けたが、死亡者はいなかった。新生児死亡と子宮内死亡がそれぞれ1例見られた。
ほとんどの妊婦は大きな合併症なく出産後退院したが、COVID-19感染による重症化と周産期死亡がゼロでなかったことは事実である。COVID-19感染妊婦に対する注意深いモニタリングと新生児への感染予防が重要である。

韓国におけるCOVID-19感染者7755例の臨床的特徴
COVID-19 National Emergency Response Center, Epidemiology and Case Management Team, Korea Centers for Disease Control and Prevention. Coronavirus Disease-19:The First 7,755 Cases in the Republic of Korea. Osong Public Health Res Perspect.2020 Apr;11(2):85-90.

【要旨】
2020年3月12日までに、7755例のCOVID-19感染者が発見され、66例が死亡し死亡率は0.9%となった。高齢者と併発症のある者の死亡率が高かった。感染者は20代の男女にとびぬけて多かった。


韓国のCOVID-19感染者30名の接触者
2370名の検診結果
COVID-19 National Emergency Response Center, Epidemiology and Case Management Team, Korea Centers for Disease Control and Prevention. Coronavirus Disease-19:Summary of 2,370 Contact Investigations of the First 30 Cases in the Republic of Korea. Osong Public Health Res Perspect. 2020 Apr;11(2):81-84.

【要旨】
韓国では初期感染者30名の接触者2370名の0.55%(95%信頼区間0.31-0.96)に二次感染が発生した。中でも家族内では接触者119名中の感染者は9名で、感染率は7.56%(3.7-14.26)となり、他の国の報告と合致した傾向だった。家族内感染は地域におけるCOVID-19感染拡大の主要な原因である。北京で最初に発見された262症例のうち133例(50.8%)が家族内感染だった。米国では12例の濃厚接触者445名のうち0.45%に二次感染が発生したが、家族内濃厚接触では10.5%(2.9-31.4)に二次感染が発生した。


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長尾です。

家庭内感染にも気をつけないとね。
家が一番「三密」」かも。

 
PCRやIgG抗体は感度に難がある。

一方、CTは有用で、実用的だと思う。

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