- << 睡眠と免疫
- HOME
- 介護崩壊を防ぐのは医療者の役割 >>
このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com
PCR検査は医師以外でもいいのでは?
2020年05月09日(土)
PCR検査は医師がやることになっている。
それは誰がどこでどのように決めたのか?
それだけを行うプロ、がやった方がいい。
それは誰がどこでどのように決めたのか?
それだけを行うプロ、がやった方がいい。
インフルのたいてい看護師がやっている。
なんでコロナはダメなのか?
医師がやって陽性が出たら、医師に罰則がある可能性がある。
だから、医師は、自分の医療機関ではみなやりやりたくない。
PCRセンターならやってもいい。
しかし1回だけのド素人医師がやれば、検体採取が下手で
本当は陽性なのに陰性に出る可能性があるのではないか。
「軍医」みたいな医師がやるきだ、という医師がいる。→こちら
いや、PCR検査専門の認定技師さんがやれやればいいという声も。
歯科医師も加わっているが、上手そうな気がするな。
一番上手いのはインフルで慣れている看護師さんだ。
****************************************************************************************************************
新型コロナウイルスのPCR検査用検体採取を専門看護師・認定看護師にも許可して検査件数を増加させるべきだ
愛知県がんセンター名誉総長
大野竜三
2020年5月9日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
---------------------------------------------------------------------
わが国が他の先進国と比較してSARS-CoV-2のPCR検査が極端に少ないことが問題になっている。事実、2020年5月3日現在の累計検査件数は人口100万人当たり1,435件であり、イタリアの34,879件、ドイツの30,400件、アメリカの20,674件、イギリスの16,644件など累積感染者数が多い国は勿論のこと、わが国より感染者数が少なく、かつ、ほぼ封じ込みに成功した韓国の12,307件、香港の20,940件、台湾の2,675件に比べて極端に少ない 。(1)
台湾は日本の検査件数のほぼ倍しかないのに封じ込みに成功しているではないかと疑義を挟む方もおられるかもしれないが、台湾の累積患者数は100万人当たり18人と非常に少なく、日本の100万人当たり115人の16%ほどである。したがって、確認患者一人当たりの検査施行数は台湾が148.6件、日本は12.4件となり、日本の12倍もの検査をしていることになる。
こうした背景もあり、2020年4月30日にイギリスのBBC NEWSは、東京在住で日本語が十分に話せない外国人が、相当な症状があるにもかかわらずPCR検査を受けるのに、たらい回しされ、如何に苦労したかを報告し、日本の検査数の少ない実状は世界中に恥をさらすこととなった 。(2)
これに関連し注目すべき論文が出た。2020年5月1日発行のJAMA Internal Medicine電子版に発表された台湾CDCの優れたprospective case studyの成績である。Covid-19患者100名の濃厚接触者2,671人を追跡したところ22名の二次感染者が見つかった。患者は2020年1月15日に台湾で最初にCovid-19と診断されてから3月18日までの間にPCR検査で陽性となった連続的な100名である。なお、同研究における濃厚接触者とは、症状発現の4日前からPCR検査によって診断が確定された日までの間に、感染防御手段を講じることなく15分間以上患者と接触した人と定義されている。
興味深いことに、患者の症状発現4日前から発言後5日までの間に濃厚接触した1,818人中に二次感染者22名全員が含まれ、発症後6日以降に濃厚接触した852人中には二次感染者は見つからなかった。発症4日前から発症前日までの濃厚接触者735名中10名、発症当日から3日後までの濃厚接触者867名中9名、発症後4日から5日までの濃厚接触者216名中3名が感染しており、発症6日以降ではゼロであった。家族内感染率は4.6%、家族外感染率は5.3%。年齢別感染率は40~59歳が1.1%で一番高く、60歳以上は0.9%であった。
これらの結果が示したのは、Covid-19患者は症状発現前からSARS-CoV-2を他人に感染させているものの、発症6日以降には感染能力はなかったということであった 。(3)
台湾CDCがprospectiveに行ったこの優れた調査研究は、我々には衝撃的ともいえる結果を示している。なせならば、わが国で、Covid-19流行初期からとられてきた37.5℃以上の発熱が4日以上続いた場合にPCR検査をするという方針が誤っていたことになり、早急にこれを改める必要があることを教えているからである。
わが国のSARS-CoV-2のPCR検査件数の少ないことはCovid-19流行当初から指摘され、国会でも何度も討議されており、検査体制が徐々に整えられてきてはいるものの、容易には検査を受けることができない状況にあることは事実であり、2020年5月4日のテレビ報道番組の幾つかでも指摘されていた。
PCR検査そのものは、民間検査センターの検査能力で十分可能となっているが、検体採取ならびに検体運搬体制、特にマンパワーがボトルネックになっているとの弁明が聞こえている。
我々が日常業務で利用している民間検査センターの迅速な業務や宅配業者の利便性を考えると、検体運搬体制に問題があるとは到底思われないので、最大のネックは検体採取体制にあるのではないかと推定される。
事実、厚生労働省は2020年4月26日に、患者からの検体採取を時限的・特例的な取り扱いとして、歯科医師にも認めることを決定した。この決定を聞いて、驚いたのは筆者だけではあるまい。6年間の歯科医学教育を受けて国家試験に合格した歯科医にはPCR検査用検体を採取する資格が与えられておらず、これまでは、採取すれば違法だったのだ。
緊急事態宣言が出される非常事態の渦中で、このような厳しい規制が敷かれている国はおそらく日本だけではないだろうか。アメリカ合衆国では、ほぼ間違いなく、検体採取は医師ではなく、nurse practitioner と呼ばれる看護師かphysician assistantと呼ばれる資格のある助手たちが行っており、加えて、最近街の薬剤師も行っているようだ。イギリスでも間違いなく看護師も行っており、韓国もドライブスルーで検体を採取しているテレビ映像の説明では看護師とされていた。
わが国でも、日本看護協会の努力により、卓越した看護を実践できる専門看護師や水準の高い看護を実践のできる認定看護師が養成されている。厚生労働省は、この緊急事態において、専門看護師ないしは認定看護師にSARS-CoV-2のPCR検査用検体採取を認めるべきだ。熟練した看護師であれば、検体採取は15分程度の訓練で問題なく習熟できる業務である。もちろん、危険手当を含むなんらかの報酬も支払うべきであろう。
専門・認定看護師の協力により、PCR検体採取件数は大幅に増加すると確信しており、これにより、速やかにCovid-19流行の制圧ができるものと期待したい。
(1) https://www.worldometers.info/coronavirus/
(2) Wingfield-Hayes B: Coronavirus: Japan's low testing rate raises questions https://www.bbc.com/news/world-asia-52466834?xtor=AL-72-%5Bpartner%5D-%5Bjb.press%5D-%5Blink%5D-%5Bjapanese%5D-%5Bbizdev%5D-%5Bisapi%5D
(3) Cheng HY et al: Contact tracing assessment of covid-19 transmission dynamics in Taiwan and risk at different exposure periods before and after symptom onset. JAMA Intern Med. 2020 May 1, PMID: 32356867.
- << 睡眠と免疫
- HOME
- 介護崩壊を防ぐのは医療者の役割 >>
このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com
この記事へのコメント
日本のPCR検査については七不思議的要素があって、どこまで信じられるのかも問題です。
安倍首相は、当初から1日に2万件を目指すと言いながら、それは掛け声にもならないほど
現実とかけ離れています。官邸政治になっていて、下からの声がもう届かなくなっているの
でしょう。 安倍首相とテレビ会議に出た山中教授は、「全自動検査機を使えば、もっと検査数
を増やせます。私のところだけで30台もあります。検査ができる人材もたくさんるのに、いまは
自粛で自宅待機中です。全国の大学が協力すれば、一日い10万件の検査が可能です」と、発言し、
首相は「考慮しておきます」とだけ、言っていました。
そのご、この山中発言に対して異論が出ていました。感染症の専門家たちから、基礎医学の
方達が、たくさん検査機を持っていても、新型コロナウイルス検査に直ぐに携われるはずがない。
感染症に対する備えが違いすぎるからだ・・と、仰っていました。セクショナリズムの壁が感じ
られる発言のようにも思っています。
そこが、インフルエンザとは大きく違うのだということでしたが・・。 それよりも、日本の
千葉県で作られている全自動検査機が、ヨーロッパで大活躍し、在日フランス大使館から感謝状まで
届いているのに、日本では、まだこの検査機が承認されていません。2月に厚労省に申請が出されて
いますが・・。
この会社は千葉県松戸市の「プレジョン・システム・サイエンス」社で、Ⅻ PULUS 機です。
スイスのロシェから発売されていて、新型コロナの当初から注目されていた検査機です。
既得権益を守るためでしょうが、国民を守るためなら、特別承認してもよいだけの実績ををもって
いるのにと残念です。 ま・・PCR検査に関しては、分母が伏せられていたり・・分からないことが
多すぎます。 特例でホテルを使えるようにするなど・・いくらでも「特例」は、都合よく出されて
いるのに・・という思いです。最初から、そういう取り組みをしておけば「医療崩壊」の心配も
かなり緩和していただろううに・・と、思ってしまうのです。 大阪府の知事はよく頑張っていますね。
4選の知事を選んだ兵庫県民は・・・どう思っているのでしょう。
Posted by 中原武志 at 2020年05月09日 02:27 | 返信
「PCR検査」をめぐるアホ首相と専門バカ副座長のぐだぐだは聞き飽きた。
海外で出来ることが日本で出来ない理由もわかった。
日本製の全自動リアルタイムPCR測定システムが、ドイツ、フランス、イタリア、アメリカ、韓国で活躍しているのに、日本では1台も活動していない理由もよく分かった。
感染症以外の分野の学者が、「新型コロナウイryスの蔓延に関する一考察」なる論文を発表した(理論物理学・小田垣孝5.5)。
「新感染者数が1割になるまでの日数」が興味深い。
(1)8割自粛 23日
(2)都市封鎖 18日
(3)検査4倍増 8日
(4)検査2倍増と5割自粛 14日
Posted by 鍵山いさお at 2020年05月09日 08:24 | 返信
PCR検査を行うのは医師ではなく臨床検査技師では?
PCR検査を医師が行うことになっているという主張の根拠は何でしょう。
Posted by 匿名 at 2020年06月09日 11:34 | 返信
コメントする
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL: