・かなり遠方に住む６０代の知人、喫煙歴なし
・１週間前から３７．０～３７．３度の微熱と咳が続く
・家族に抗がん剤治療中の人や新生児（孫）がいて家族内感染が心配


本人は、「自分はコロナに違いない！」と保健所に電話するが
相手にされず、近所の開業医で連日、ビタミン剤点滴を受ける。

「昨日から息苦しい」と相談あり。

パニックになっているので「安心させよう」と思い、
CTを撮ると、両側にわずかにスリガラス様陰影が・・・







ｓPO2は、９９％で、CRPは、０．２で、白血球は３９００．

治りかけ？
でも１週間続く。


悩ましい・・・・

自覚症状があり、CTで両側肺に僅かな肺炎像。
もちろんCOVID19の可能性は、充分ある。

１時間かけて説明したけど、今後は家族がパニックに。
また１時間かけて説明し、自宅内隔離をしてもらう。

別の部屋で生活して、トイレには注意してね、と。

保健所に言うか言わないか迷う。
どうせPCRやっても出ないけど。


しかし２類感染症なのでPCRを要請しないといけない。
迷ったあげく本人とも相談し遠くの保健所に電話した。

珍しく数回目に電話が通じた。

「PCRまで１週間～１０日間待って頂いております」

笑ってしまった。
その間に自然治癒するなあ。

本人も家族も、まだ死の恐怖に脅えまくっている。

テレビで「PCR検査を待っている間に死亡した」
という報道が、市民の不要な恐怖を煽っている。

その日から、朝夕、体温や咳の報告がコロナ携帯に届く。
微熱や咳はしつこいが、これがいかにもコロナらしい。

携帯のショートメールは便利だ。しかし・・・

「とにかく１週間、安静にして待ってください」

「待てません。死んだらどうするんですか？」

「１００％死にません。保証します。もし不安なら
　いつでもこのコロナ携帯に電話してください」と。

すると１分後に電話が鳴った。


正直、毎日、同じ話の繰り返しでうんざりだ。
不安に寄り添うにも相当なエネルギーが要る。


「保健所からPCR検査の電話があっても断ってもいいですか？」

「いいんじゃない。改善傾向だし。そもそもPCRしてもまず出ないし」

「いや、違うんです。もしコロナと分かったら会社をクビになるんです」

「そやね。じゃあ、回復したからと説明して断って下さいね」・・・・



普段の外来と在宅診療や新規の在宅や緊急往診の傍ら
こんな「コロナ対応」も細々としているが、悩ましい。

なんでかな？

ずっと考えていたが、答えがだいたい分かった。


こうした患者さんへの対応を考える部門が、厚労省にも官邸にも無く
まさに無政府状態の中、大量の発熱患者さんが「放置」されている。

何度も書くが、１月２８日に「二類感染症」に指定したまま、
現実を見ないで放置している国家が悪く、誰も悪くないのだ。

マスクや１０万円や１００万円に踊らされて、肝心の「死の恐怖」
に対する具体的説明や対処法を示さない国家が絶対間違っている。

しかし歴史を振り返ると、国家は命を守ってくれない。

自分の命は自分で守るしかないのが。感染症の歴史だ。

緊急事態というからには、医師の裁量を増やすべきだ。

こんな悩ましい時代に当たってしまったね。

一緒に悩み、新しい時代を一緒に楽しもうね。


PS)

2020/05/02(土)　 #014 一番のクラスターはトイレだった
https://youtu.be/JIVwG0l12_M


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