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医療崩壊が改善してもタライ回しが続く理由

2020年05月06日(水)

わが街でのコロナ感染は、かなり収束しているようだ。
しかし「発熱者」はまだまだタライ回しになっている。
これは、医療崩壊ではなく「診療拒否」と呼ぶべきだ。


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毎日、朝一番から続々とメールやコロナ携帯が鳴る。
かかりつけの患者さんと地域の初診の患者さんから。

「37度前後の熱が2~3日続いて息苦しい」と。

保健所に電話しても門前払いである。
37.5度X4日間を満たさないからだ。

こんなヘンな規則も今週改善されるらしいが。

保健所は「どこかの病院に行きレントゲンを撮ってもらえ」という。
しかし何軒電話してもGW休みだし、発熱者は受け付けていないと。


ようやく長尾クリニックを見つけ出して、私と携帯電話で話す。
最近は、保健所が直接「長尾クリニックに行け」と指示すると。

悩ましいのは、高齢者施設や老人ホームでの発熱者だ。
施設内感染を恐れて保健所に電話するが、門前払いだ。

これも家族が私と話すことになるのだが、「万一、肺炎があって
PCR陽性なら強制入院になり面会謝絶で今生の別れになるかも」と。

家族は、それを望まないが、施設管理者は追い出しを強く望む。
要介護高齢者や施設入所者の発熱の扱いには神経をすり減らす。


いずれにせよ、発熱難民がGWも続々と集まってきて格闘することに。

でもなんでこんな事態になるのか?

単純である。

SARSやMARSや結核と同じ二類感染症に、今も
新型コロナが指定されている、からではないか。


もしもPCR陽性者が出ると、保健所から営業停止を命じられ
地域の風評被害にも晒されるので、どこも診療拒否、となる。

最初から新感染症にすれば、その後、より柔軟に対応できたのではないか。
新型インフル特措法を適応しなかったために緊急事態宣言が1ケ月遅れた。


初動対応の遅れと指定感染症の縛りが、患者さんと医療現場を混乱させている。


では、この法律の責任者は誰なのか?
気になるので一生懸命に調べてみた。

結論から言えば、コロナ対策の責任者は不在である。
グルグル変わるのは責任の所在を明確にしないため。


改ざんや隠蔽ばかりで、重要な文書管理がなされていない国家である。
だから初動対応の遅れで今、大きな損失がある責任の所在も隠されてる。


誤解を恐れずにいえば、現在の混乱の元凶は法的根拠にある。
たとえばインフルと同じ扱いにすれば診療拒否は起こらない。


せめて、80歳以上や要介護者や施設入所者は
感染症法2類という扱いを、緩和してはどうか。



言論紙などに何度も書いてきたが、まったく反応がない。
政治家はみんなややこしい問題から逃げ責任を取らない。


現在、医療崩壊はほぼ改善した。
しかしタライ回しは続いている。

政治家は、重症者のことしか考えない。
しかしいきなり重症になる訳ではない。

その前に早期発見することが大切。
その何十倍も軽症者がいるのにね。


コロナ以外の病気で発熱する人も、いくらでもいる。
不安からパニック過呼吸になりそれで熱が出る人も。

それに対応するのも医療の役割ではないのか。

開業医は、コロナの重症化予防の最前線である。

政治家は下町でおきている混乱も見た方がいい。





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我々が発熱患者を断るわけ
 
匿名
 
2020年5月6日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp
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COVID19感染症による医療現場の報道を数多く見る毎日となりました。多くの専門家が今までの対策について問題なかったと繰り返しています。しかし、現場で実際に外来患者を診療している立場では、多くの問題点を日々感じております。
 
我々はいわゆる発熱外来(コロナ外来)を最初から開いていました。当初は緊急入院レベルのみに限定されていたPCR検査基準が、東京都ではかなり緩和されています。大変ありがたい事ですがやはり今でも医師が必要と判断した場合とされており、多くの場合無症状の患者にはPCRは行われません。
 
一方で全く発熱等を含め症状の無い患者で、別の目的で行ったCT検査にてウィルス性肺炎を疑わせる所見を認めることがあります。先日、発熱が1~2日で治まった後にコロナ外来を受診した患者がいました。CTではわずかですがウィルス性肺炎像を認めたため、PCR検査を提出させていただいたところ陽性が確認されました。
 
また、一部の大学病院外来でのPCR検査やクリニックでの抗体検査で感染者数がより多く、6%前後がすでに感染していた可能性が指摘されています。これらのことから考えられることはやはり無症状患者は少なからずいることです。
多くの専門家はこのような無症状患者をPCRで掘り出すことは無意味と言っており、同様のご意見を持つ医師も多いようです。本当にそうでしょうか。
 
今、救急患者のたらい回しと言う報道を良く見ます。救急病院の長として本当に心を痛めています。
我々は発熱救急患者をただ診たくないから断っているのでは無く、現在入院中の患者の安全性が担保できないから断っているのです。骨折でお引き受けした患者が、実は感染者で院内感染が起きた、脳血管疾患で救急搬送された患者が感染者で院内感染が起きた等の事例は全国で報告されています。
 
救急現場ではどのような状態の患者が来るかわかりません。「常にスタンダードプリコーションをすれば大丈夫だ」と言われていますが、重症患者であれば緊急で気管内挿管が必要になる場合もあります。今、当院ではコロナ感染症の患者が紛れ込んでいても良いように救急現場ではフル装備で対応しています。
 
PCR検査は結果確定に少なくとも24時間以上かかるため、現実的にはその場で感染者か否かを決める手法はありません。入院を要する場合、疑い症例では必ず個室隔離が必要であり、救急隊からの連絡を受けた段階で個室が無ければ受け入れ不能と言わざるを得ません。
 
大部屋に疑い症例を入院させた場合、もし感染者であれば院内感染は必発です。また、発症しなくてもPCR陽性が判明した時点でその部屋の全患者、対応した医療スタッフは濃厚接触者として2週間の隔離を要します。
「受け入れて精査した上で判断し、コロナ感染症疑いなら再度転送すれば良い」との指摘があります。今、すでにコロナ病床が満床に近いと言われており、コロナ疑い患者は昼でも転送困難であり、夜間は特に転送先が見つからないのです。
 
無症状患者がすでに市中に多数いることが判明しており、救急患者からの院内感染が多発し、コロナ病床不足による転送先が無いと言う現状で、救急医療機関が発熱や呼吸苦等コロナ感染症が疑われる患者の受け入れを個室の有無で決めていることが、なぜたらい回しと言う報道になるのでしょうか。
 
現在、市中病院の患者層は高齢化しており、80代、90代で各種基礎疾患を持つ患者さんが大多数を占めます。彼らは感染すると非常に高い死亡リスクを負っています。だからこそ我々は、個室隔離が出来ない環境ではコロナ感染が疑われる患者の救急受け入れを行わないのです。今の患者を守るための苦渋の選択であることをご理解ください。
 
このことで医療崩壊と言う論議があることには違和感を覚えます。病床数と利用可能スペース(ハードウエア)と医師、看護師等の医療スタッフ(ソフトウェア)は各々の病院で異なります。
個室を多く持ち、人員も豊富な医療機関が率先してこれらの疑い症例をトリアージし、その後PCR陰性が確定したら専門診療可能な医療機関に移すという仕組みを作れば医療崩壊は起きません。
 
現に一部の大学病院や感染症が有名な公的病院はコロナ診療に軸を置き、一般患者の制限を始めています。その中で発生するコロナ陰性の急性期治療患者を、他の医療機関で診療するというフローを作れば、トリアージ医療機関には余剰スペースが出来、結果として救急発熱患者は受け入れられ、たらい回しは起きなくなります。
 
このような取り組みを行うためには広域での対応と政策としての対策が必要です。コロナ診療を行う病院が足りない。コロナのベッドが無いから民間にも診療できる病院を増やして対応すべきと言う論議もあります。
 
感染症専門医や呼吸器内科専門医の数は少なく、多くは公的センター病院や大学病院に医師が集中しており、中規模民間病院には僅かな人数しかおりません。
対案として民間病院に大学病院等から感染症専門医を送り民間でも診療できるようにすると言う意見があります。しかし、民間医療機関には公的補助金は無く中小企業同様に金銭面での余力は少なく、看護も医師も最低限で診療しています。ここに専門家が来てもスペースも無く、補助する人員も無いので、十分な力を発揮することが出来ません。他の専門領域同様に専門医は多数いる施設こそ力が発揮できると思います。民間で重症化した患者を診る体制を作るより、センターに重症患者を集約する方針の継続が望まれます。
 
医療現場を守るためには広域での医療機関の有機的な協力関係を国策として即時に行っていただくことが重要であり、早急な対応を切に望みます。

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この記事へのコメント

サービス付き高齢者住宅(サ高住)

3月、外出禁止。
4月、いきなり不要不急の外泊と外出禁止。プラス家族の面会も禁止。5月、まだまだ外泊、外出、面会禁止。
職員さんは政府の発表に、てんてこ舞い。

勇気を出して何度かお願いしてみました。
直射日光に当たらせて欲しいと…。
日当たり抜群の敷地内さえも歩かせて頂けない。
とても残念。太陽がもったいない。

当然ながら職員さん方は必死でコロナ対策大作戦奮闘中。
もちろん家族として、感謝の気持ちは忘れていません。
しかし、本日連れ出す事にしました。
施設側の「戻って良いよー」許可が出るまでは戻らない事を条件に外泊をやっと承諾して頂けた。
いつまた戻れるかは?施設の方針次第。

人生、常に試されている気がします。

偶然にも、ユーチューブお題と重なり、また元気を頂きました。
今日も、長尾先生ありがとうございます。

Posted by 轟 瞳 at 2020年05月07日 04:56 | 返信

欧州ではやはり高齢者施設、ナーシングホームでの集団感染~死亡が多いようです。
それで死者がものすごい数になってますが、社会活動できる年齢の人々が大量に死んでいるわけではないようです。ただしあちらは尊厳死が定着?しているので、日本と違って高齢者施設での感染死はマスゴミに騒がれることもないようです。
近年、毎年起こっている台風や線状降水帯による大水害や数年に一度起こる大震災を人間は止める術はまったく持ち合わせていません。流行する疫病も自然災害とほぼ同じです。
人間ごときがコントロールできると考えるほうが愚かなのかもしれません。
ウイルスをコントロールできるはずだと人間が考えること自体がおそらく間違いなのでしょう。
日本より優れているはずの欧州は日本の何倍もの死者が出ています。
米国にはCDCという優秀なはずの対策機関がありますが、7万人超も死者が出ています。

Posted by マッドネス at 2020年05月07日 12:28 | 返信

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