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緊急事態宣言解除を喜ばない人たち
2020年05月25日(月)
今日、東京圏も緊急事態宣言が解除される見込みだ。
大阪圏は解除されて徐々に日常を取り戻しつつある。
しかし、世の中には、解除を喜ばない人たちがいる。
大阪圏は解除されて徐々に日常を取り戻しつつある。
しかし、世の中には、解除を喜ばない人たちがいる。
僕の今日(日曜日)1日。
1)朝起きると「コロナ携帯」にメールが入っていた。
「36.5度の微熱が2週間続いて、不安だ」と。
典型的な「ステイホーム症候群」だと思われた。
30分ほど電話したら安心さされた。
日曜朝からのボランテイア。
2)昼前に親子二人から「初診オンライン診療」の依頼が舞い込む。
親子二人、と聞いただけでこれも「ステイホーム症候群」濃厚。
なんと36.8度程度の微熱が2ケ月間も続いている、と。
よく聞くと、「2ケ月間、全く自宅に閉じこもっている」と。
コロナが怖くて、どうやっても、外に出られないらしい。
典型的なストレスによる高血圧と微熱ケースと思われた。
50分ほどかけて、「コロナではない」「外に出たら改善する」
ことをとくとくと説明して、納得して頂いたようだ。(たぶん)
「緊急事態は解除されたので、マスクして散歩してもいいのですよ」
「国はなんてことをするの。もっと緊急事態のままにしておいて欲しかった。
外に出たら若い人が沢山いて、うつされるかもと思い、出られません」と。
思わず、「ルバング島の小野田さん」の顔が浮かんでしまった。(古い?)
ステイホームを叫ぶのはいいけどこのような人も必ずいるのだ。
3)午後からは、数件の往診を悠々と回った。
ある介護施設に行くと、まだ面会謝絶の厳戒態勢が続いていた。
施設管理者2人としばらく、話したけど、彼らも浮かない顔だ。
2ケ月以上、全員を一切外出させず、太陽を浴びることもゼロと。
ああ、それだけでも、認知症とフレイルが悪化するよう。
「先生、第二波はいつ来るのでしょうか?」
「さあ、そのうちくると思いますけど」
「でしょう。ならば、なぜ緊急事態宣言をその時まで延長しないの?
私達は、一人でも感染者が出たらすべて終わりの立場なんですよ」
「そやなあ。集団感染が出た介護施設の報道を見たら、皆、そう思うわな。
でも発熱患者さんが出たら、フェースシールドやガウン着るんでしょ?」
「私達にそんなお金はありません」
「オンライン面会はやっているの?」
「あれ、手間がかかるんです。そんな人件費、ありません」
「そうかあ、でもしスタッフも大変やなあ。足りてるの?」
「ギリギリです。彼らもコロナを持ち込んだらいけないから自主隔離してる」
「ええ?もう緊急事態宣言が解除されたから、緩めてもいいんとちゃうの?」
「いや、ここで出たら全部パーです。昨日もスタッフに絶対に遊びに
行ったり、家族以外と食事を禁止することを強く言ったばかりです。
先生、国にもっと長く、緊急事態を出すように言ってくれませんか?」
「分かりました。ブログに書いておきましょう。誰か読んでいるかもね」
「私達は6月が怖いのです。もし出たら、全部終わりなんです」
ここにも解除を喜ばない人たちがいた。
4)日曜日の夕方からは、必ずSOSの電話がかかってくる。
同じ道を3往復しながら、あちこち往診を巡ることに。
意識レベルが低下したという患者さんを、往診した。
家族は近くに住んでいるけど、2ケ月間面会謝絶だ。
子供も最近の親を見ていないので、電話してもピンとこないと。
脳梗塞が疑われたが、まだ若いので、病院をあたることにした。
どの病院も「コロナではありませんね?」と聞かれるが、
「発熱がないのでたぶん、ありません」としか言えない。
この施設でも「解除して欲しくないよう」と言われた。
どの施設も戦々恐々で、必死のパッチなのだ。
5)腹が減り、肉が食べたいと思いたち「いきなりステーキ」に入った。
せっかく解除されたのだから「日常」を味わいたくなったのである。
席の配置は昔のままで、三密みたいだけど、
スタッフの数のほうが客の数より多かった。
なかにはマスクをしていない店員もいて、驚いた。
まあ若いスタッフたちにはコロナは他人事だろう。
すると横に若者4人組がドカドカ入ってきて
一人がタバコ咳をしながら、大声で雑談して。
思わず、「ジロッ!」と若者の顔を見てしまった・・・
「マスクくらいしてよ。おじさん殺す気!?」
コロナ禍で、そんなイザコザがあることは知っているが、
まさか自分が瞬間的にせよそう思ったこと自体に驚いた。
見渡してみると、私以外は全員若者で、平均年齢は30歳。
この店では唯一の老人で、私が場違いな場所に入ったのだ。
私はここにいる人間の倍も生きているんだ。
思わずステイングの「イングリッシュマンインニューヨーク」が
聞こえてくるようき気がしたが、急いでマズイ肉をかきこんだ。
ここでは自粛解除が歓迎されていた。
その後、1時間おきにいろんな電話が入る。
・痛みがある
・バイタルが悪化
・眠れない
・10日間便秘していて不安・・・
常に危険な在宅患者さんが人が数人くらい、おられる。
だから日曜日の夜は毎週、大忙しになる。
人間は休日になると、そして深夜になると、
患者さんも家族も介護スタッフも不安になる。
今日一日だけで、オンライン診療を10件以上やったことになる。
日曜日は時間があるので、ついつい1件1件が長くなってしまう。
明日からは、しばらくコロナを忘れて日常診療に埋没したい。
それにしても、介護施設対策が国の施策に完全に
抜け落ちていることを、国はどう思っているのか?
まあ、なんも考えていない?
いや、考えたくもない?
介護施設を守るのは、かかりつけ医の仕事。
でも、方針くらいは示してほしいな。
方針が無いなら、私が勝手に作ろう。
明日の夜に話す。
PS)
コロナチャンネル#036
これ以上死者を出さないため、今やるべきこと
https://youtu.be/_LTT7tY0DdU
コロナチャンネルは、5月31日で一旦終了しようかと考えています。
熱心に視聴頂いている皆様に、この場を借りて、御礼を申し上げます。
明日は、久々に国立認知症大学をZOOM講演します。→こちら
診療直後のぶっつけ本番なので、くれぐれも、オフレコでお願いします。
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この記事へのコメント
昨日のニュースで病院が倒産し始める、と医師・経営者が発言しておられました。
外来型小規模(中規模)病院でしょうか。 コロナ患者を受け入れて、院内を分離したり減圧したり
と様々な対策をとり、コロナ流行2次3次にも備えているが、現在は感染ピークを過ぎたので
部屋が空いている状態。一方で外来患者は来ない。国に費用負担を求める内容の話でした。
企業や飲食店の倒産だけでなく、病院も、とは複雑です。
コロナチャンネル#036・熱きメッセージを拝見しました。
この小休止な期間中に、国が迅速に動いて欲しいです。
Posted by もも at 2020年05月25日 06:33 | 返信
ステイホーム症候群は思った以上に深刻ですね。
日本人は真面目な方々も多いので、本当に2か月間、自宅から1歩も出ない事を順守する人もいます。
政府・首長・専門家(感染症の疫学に関する)とにかくステイホームを連呼するだけでフォローなし。
あえてステイホームのデメリット、負の側面を指摘したりする、有識者は誰一人いません。
ステイホームに異を唱えようものなら、非国民扱いされそうなムードです。
どんな事にも副作用というものがあり、それは時に深刻なものになりえます。
追伸)「いきなりステーキ」の後「マズイ肉をかきこんだ」の記載はいずれかを編集カットしたほうがいいです
Posted by マッドネス at 2020年05月25日 10:23 | 返信
スティングに反応してしまいました。脳内でサビの部分と間奏のサックスが鳴り響いております♪
コロナへの警戒感の温度差、年代問わず。昨日は夕方の散歩中、行きつけの喫茶店をのぞいたら
第二の人生世代のおじさん同士がマスクなしで絶賛お喋り中。他には数える程のお客さんで十分に離れて座れるし、
久々に美味しいコーヒーを一杯と思ったけれど・・・落ち着いて味わうのはビビりの私には無理~
喫茶店に友人知人同士で、黙ってお茶するなんて中々でしょうし、今だからこそお喋りしたい気持ちもわかります。
ちょっとでも売り上げにと、紙パックのアイスコーヒーを買い物してそそくさと帰りました。
宣言解除で羽を伸ばせる人もいれば、そうでない人も。介護施設の方のお話を読んで、不公平を感じます。
いずれはお世話になるやもしれない介護のこと、エライ人たちは現場の状況をご存じでおられるか。
父や義母の介護中、同じように老親を抱えた友人知人と「上の人らはどうせエエとこに入れて、いいお世話が受けられるから、下々のことはわからんわ」と、愚痴こぼし合っておりました。
また「3密」を気にするあまり、外出支援が必要な高齢者や障害者の方が介助者を頼みづらく、助けたい側も感染リスクを恐れて控えざるを得ないままです。視覚障害者支援のボランティアをしている知人によれば、自治体から福祉センター再開の連絡は未だないとのこと。
人との接触が避けられない医療・介護・育児・障害者福祉等の従事者が、安心して業務や活動に臨めるようになるには、その方たちのご家族にまで自粛を強いずに済むようになるには、お一人で外出できない方が遠慮なく助けを求め、助ける方も躊躇なく手を差し伸べることが出来るようになるには、どうすればよいのでしょう。
長尾先生がずっと提言され、今回特にコロナチャンネル#036で強く強く仰られている「感染症法2類から5類へ」
これが叶えば、以前のようには戻れないとしても、誰もがそれなりに安心して生活できるようになりますか。
拡散力はナノレベルで恐縮ですが、先生のお声の伝播に加わります。
カレンダーの予定では昨日24日~今日25日「兵庫県 聖火」。書いた当時のワクワク感も遠い昔のようです。
Posted by taco at 2020年05月25日 11:08 | 返信
いきなりステーキでのマズイ肉を掻き込んだ に笑ってしまいました
確かにあそこはお金を出さなければ、筋っぽい肉で、割高感満載ですからね
マズイ固い肉を無性に噛みたくなったり、顎を鍛えたいときに入るお店ですよ
安いハンバーグが一番お勧めです
Posted by 匿名 at 2020年05月25日 11:50 | 返信
度々失礼します。
キョンキョン恰好いい!! 「いよっ姉御!!」と呼びたくなる。
「 #さよなら安べ総理 」
やっぱり言わなくちゃ、声に出さなきゃ(^-^)
Posted by もも at 2020年05月25日 02:23 | 返信
先生のメッセージ毎回見て(全回) 今回のコロナ以外にも人体の不思議さなど色々な勉強をさせていただきました。5月いっぱいで一旦終了とのことで残念です。 又不定期でもかまいませんので、たくさんの情報を教えていただけたら嬉しいです。 先生の明るい素敵なお顔を見てお話を聞けることで心が安心するんです。
情報発信の時はぜひブログで通知してくださいね。
Posted by 宝塚のスミレ at 2020年05月26日 11:44 | 返信
お疲れ様です。
国立認知症大学・ZOOM講演は盛り上がりましたでしょうか。
介護業界からの発信が少ない、控えめな気がするので、このような「オンライン○○」を使って
公に向けて発信していかれるのが得策ですね。
コロナチャンネル#038を見ました。
これまでコロナ報道をマメに見てきましたし、政治家発言にアンテナを伸ばしてきましたが、
「介護」に関してが、本当に少なかったと思います。
4月頃でしたか、ニュースで報じられた、関東内の介護施設で院内感染が発生したのを知りましたが
責任者の悲鳴に等しい訴えには、病院以上に現場対応が厳しいと理解できました。
人手不足と次々に熱発する利用者さん対応とが、大変な事態、どうなるのか、ハラハラするばかり
でした。公的介入が無ければどうにもならないと思いましたが、その後、どうなったか、
どう対処されたかは報道を目にしませんでした。
近い時期に、公的な知的障碍者施設の院内感染には、国の介入対処が早かったと思いました。
どちらも通常時のスタッフ数だけでは無理だと思います。
Posted by もも at 2020年05月27日 12:29 | 返信
長尾先生 いつもありがとうございます。
このコロナ禍で、長尾先生のブログだけが頼りですと言っても、過言ではありません。
政治は、緊急事態宣言をするときは、感染のことしか言わない。解除するときは、経済のことしか言わない。
宣言するときに仕事を奪われる人たちのことを無視し、解除される時にこれからも感染を恐れる高齢者や持病のある人を無視している。
ファクトフルネスで先生の話されたこととてもよくわかります。
緊急事態宣言が出されたから、感染者が減ったのか?というのはずっと疑問でした。
結局は、3月半ば過ぎには、欧米諸国が海外渡航を禁じ、日本国内に海外旅行者が激減したことが
感染収束に一番効果的だったと考えるのが筋が通っていると感じてしまいます。
アベノマスクは、まだ届いていません。
感染所2類の話は、ニュースでは人ことも報じられていません。
拡散力は低いですが、fcebookと、lineで友達に紹介して、動画を見てもらいました。
ブログの記事も紹介していましたが、動画で話される方が説得力があってわかりやすかったと
感想もらいました。
長尾先生、お体にお気をつけて、これからもよろしくお願いします。
Posted by sue at 2020年05月27日 11:49 | 返信
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