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ポストコロナの開業医 

2020年05月27日(水)

医療タイムス5月号は「ポストコロナの開業医」で書いた。
第二波、第三波が来てからの「ポスト」なのだろけども、
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医療タイムス5月号  ポストコロナの開業医 
 
 第二波が来ても来なくても、開業医における診療はもう元の形には戻れないだろう。たった3ケ月であっと言う間にポイントオブノーリターンを越えた。コロナ禍の威力を痛感している。すでに多くの医療機関が苦境に陥っている。しかし飲食店のように休業要請があったわけでもなく当然、補償などない。それなりの工夫をしながら嵐が過ぎ去るのを待つしかない。あるいは新しい生活様式ならぬ「新しい診療様式」を模索することになる。一般の事業と同様に、医業経営もかなり柔軟かつ大胆な転換をしないと生き残れないだろう。 

 すでに1万軒以上の開業医がオンライン診療に登録している。従来組に加えて新規参入が大幅に増えているようだ。コロナ禍が政府の思惑を後押しする構図になっている。業者を利するだけで厚労省はすぐに「ハスゴを外す」と様子見だった開業医も参入している。そこに5月20日、厚労省は「初診からのオンライン診療は年末まで続ける」と発表した。第二波を想定した凄い通達である。これでオンライン診療はさらに加速する。多少診療報酬が安くても背に腹は替えられない、と開業医の方針転換を促している。

「初診はオンラインで、2回目からは対面で」という開業医もいる。どうやら、初診からのオンライン診療はオンラインお見合いと同様に「きっかけ」と考えたほうがいいのかもしれない。いくら日本医師会が誤診の危険性を指摘しても患者側の需要が勝っている。医療需要は市場が決める。従来ではあり得ないことが起きてしまうのがポストコロナ、なのだ。

 一方、在宅需要も伸びているようだ。院内感染や施設内感染を恐れたり面会させてもらえないと嘆く家族が病院や施設から在宅に戻す動きが全国的に見られている。コロナは介護界の需給関係も大きく変えつつある。近くだったら往診くらいしようか、と思い直して在宅医療に新規参入する開業医が増えそうだ。在宅医療の診療報酬はすでに下降局面にあり今後、上がることはないだろう。すでに大幅に引き下げられた施設在宅でさえも、外来患者数の減少を補うべく引き受ける開業医が増えるかも。そしてこれは書かないほうがいいもかもしれないが、在宅医療にもオンライン診療が恒常的に入ってくる可能性がある。今回、4月ないし5月の緊急事態宣言下での感染拡大を防ぐための緊急措置として許可された在宅オンライン診療であるが、平時にも拡大される可能性があるのでは。当然、在宅医療一件あたりの診療報酬はさらに低下する。

 結局、コロナ禍で外来患者数が減れば減るほど、オンライン診療や在宅医療で補おうとする動きが活発になるはずだ。その結果、何が起きるのか。2つが頭に浮かぶ。

 ひとつ目は、外来と在宅の垣根をオンラインが取り払らっていく。「診る」という基本動作に「移動」という煩わしさを加味したものが在宅医療の診療報酬である。しかしオンラインという文明の利器が「移動」という手間の対価を大幅に下げた。外来と在宅とオンラインの診療報酬の差異は年々縮小して、最終的には「ほぼ同価近く」になるのではないか。 

 2つ目はその結果、コロナ禍で一旦フリーズした地域包括ケアが再構築される可能性が高まってきた。ケア会議も人生会議もポストコロナではオンライン化されるかもしれない。結局、コロナはこうした潜在的な課題に対して強引な回答を要求してくる。診療所経営者はそんな大きな波から逃げるのか、上手に受け入れるのかの選択に迫られている。




PS)
コロナチャンネル#038

宣言解除! 介護施設はこの先どうなるの? 
https://youtu.be/V_dPVbpV-R0

 

5月31日で一旦終了予定。

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※本ブログは転載・引用を固くお断りいたします。

この記事へのコメント

コロナチャンネル、毎日楽しみにしています。
そろそろ辞めようかと仰っていましたが、
私は是非続けて欲しいです。
コロナだけじゃなくても、今後も長尾先生チャンネルとして
継続してもらえたら嬉しいです。
よろしくお願いします。

Posted by 歩美 at 2020年05月27日 11:42 | 返信

長尾先生、いつもコロナチャンネルを配信くださりありがとうございます。毎日楽しみにしています。コロナチャンネルを5月で一旦終了されるとのことで、とても寂しいです。もっと長尾先生のぼやき、失礼しました、お話を聞いていたいです。
私は整形の病院に勤めているMSWです。病院も神経質になっているし、患者さんもスタッフも神経質になっていますので、私も自分自身がコロナうつになるかと思った時期もありました。たまの仕事休みでTV見てると、悲壮感あふれるコロナ情報ばかりで気が滅入りましたし、ヒステリックに怖さを語る人が周りにいて何を信じればいいのか分からなくなりましたが、コロナチャンネルを毎日聞けたおかげで、すっかり元気に仕事できるようになりましたし、正しく知ることによって、怖さはなくなりました。
本当に感謝しています!
これからもずーーーと続けていただきたいです!

Posted by 牛込 友美子 at 2020年05月27日 12:15 | 返信

長尾先生、毎日ブログとYouTubeをありがとうございます。最初の頃はコロナの報道を見たり聞いたりすると不安感が強く心臓がバクバクしながら熟睡したのか、してないのか分からない毎日でした。しかし先生の発信して下さる情報を聞くにつけコロナと冷静に向かい合うことができ夜も眠れるようになりました。いつ、どこで自分や家族がコロナに感染するか分からないとした上で怖いのはクラスターです。
クラスターを起こさないためには初動が肝心なのでしょう。ゾーニングは具体的にどのようにやると良いのでしょうか。基本的な考え方など解説お願いしたいです。どうぞこれからもお体大切になさって下さい。

Posted by 匿名希望 at 2020年05月27日 09:08 | 返信

コロナ過が一服した今こそ、厚生労働省は人生会議を推し進めるべきではないでしょうか。今後の第2波や第3波に備えて高齢者とその家族は、高齢者(親)の最終段階における医療・ケアについての話し合いをしておくべきでしょう。人工呼吸器は使うのかなど・・・。その時、家族の話し合いに絡んでくるのが、かかりつけ医や在宅医でしょう。
これからの医療は命を助けるだけではなく、命をどのように終えるかについても対応すべきではないでしょうか。高齢者が「死ぬべきタイミングで救急医療により命を取りとめ、その後の介護地獄から家族が介護殺人を犯す」という悲劇は、現代医療が発達し過ぎた故の矛盾ではないでしょうか。

Posted by 丘の上の変人 at 2020年05月27日 10:37 | 返信

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