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成績発表しまーす!

2020年06月06日(土)

GWにやった全国公開在宅テストの成績発表です。
104人もの方から応募があり、満点が10名も。
実はこの問題は今春の医師国家試験だったんです!
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全国公開在宅テスト・正解と解説



問1
78歳の男性、食欲不振、体重減少と全身倦怠感を主訴に来院した。2年前に膵頭部癌で切除術を受けたが、1年前に肝と肺への多発転移を指摘された。本人および家族ともにこれ以上の抗癌治療を望まず、通院していなかったという。1カ月前から食欲不振と5㎏の体重減少をきたし、1週間前から全身倦怠感も認めるようになったため再度受診した。疼痛や不眠を認めない。身長167㎝、体重38㎏、体温36.0℃、脈拍80/分、整、血圧100/68mmHg、呼吸数14/分、癌悪液質と診断した。
この時点での対応として正しいのはどれか。
a    NSAIDを投与する。           b      抗うつ薬を投与する。
c    抗癌治療を実施する。        d      直ちに高カロリー輸液を行う。
e    在宅ケアに関する患者の意向を聞く。
 
【正解】e 正解率99%
【解説】
  1. 癌性疼痛などの痛みを訴えていないため、この時点でのNSAIDの投与は不要である。
  2. 不眠症を認めず、抗うつ薬の投与は不要である。
  3. 1年前に抗癌治療を中止しており、受診時に希望をしていないため、抗癌治療の実施は不要である。
  4. 癌悪液質による衰弱であり、本文から本人・家族の要望もないため、直ちに行う必要はない。
  5. 治療を中断していた患者が衰弱して来訪したことから、今後のことを相談してくることをふまえて、在宅ケアや緩和医療に関しての意向を聞くことが重要である。
 

問2
82歳の男性、胃癌の終末期のため自宅で最期を迎えたいという本人と家族の意向に従って在宅で緩和医療を受けていた。前日の主治医による診察時には傾眠状態であり、かろうじて呼名に反応がみられた。今朝、妻から「息をしていないようだ」と訪問看護ステーションに連絡があり、主治医が看護師とともに自宅を訪問した。呼吸は停止しており、心拍は確認できない。対光反射はなく瞳孔は散大している。他の身体所見に不審な点は認められない。
 
対応として適切なのはどれか。
a    救急車を呼ぶ。              b      警察に通報する。
c    心肺蘇生を行う。            d      自家用車で病院に搬送する。
e    死亡確認し、死亡診断書を作成する。
 
【正解】e 正解率99%
【解説】
  1. 自宅で最期を迎えたいという本人と家族の意向に反する。
  2. 検案により異状死の可能性があれば警察に通報するべきであるが、そうでなければ通報は不要である。
  3. 本人・家族が望んでいない医療であり、すべきではないし禁忌肢に近いと思われる。
  4. 自宅で最期を迎えたいという本人と家族の意向に反する。
  5. 医師が検案して診察中の疾患による死亡であると判断すれば、病院に搬送せずとも死亡診断書の作成が可能である。
 

問3
78歳の女性、Alzheimer型認知症と骨粗鬆症があり、グループホームに入所中である。月に1回の訪問看護を受けている。昨夜から39.0℃の発熱と湿性咳嗽があり呼吸困難を訴えていると、今朝、施設の介護福祉士から病院へ連絡が入った、電話を受けた看護師がバイタルサインを聞いたところ、JCSⅡ_10、体温39.8℃、脈拍120/分、整、血圧78/60mmHg、呼吸数30/分であった。
この情報を受け取った担当医が指示する内容として適切なのはどれか。
 
a    NSAIDを服用するように指示する。
b    直ちに救急搬送するように指示する。
c    午前の外来診療終了後に再度連絡させる。
d    水分を十分摂り、安静にするように伝える。
e    定期訪問診療を予定している明日まで様子をみるように伝える。
 
【正解】b 正解率42%
【解説】
  1. 発熱の原因は肺炎と考えられるので、肺炎の治療をしない限り解熱しない。また、意識障害の患者に薬を内服させることは誤嚥の恐れがあり危険である。座薬による投与はさらに血圧を下げる可能性があり危険である。
  2. C) d) e)
急病患者についての問い合わせがあって、直ちに診療すべきが、様子をみてよいかを判断する問題、判断の要点はバイタルサインの異常である。血圧の低下があって頻脈と意識障害を伴っており、ショック状態が示唆されるため、直ちに救急搬送し、集中治療が必要である。
 


問4
人生の最終段階(エンド・オブ・ライフ)における医療およびケアの意思決定について適切なのはどれか。
 
a    患者本人の意思が確認できない場合は家族の意向に従う。
b    患者本人の意思が確認できる場合は患者の意向を尊重する。
c    患者が認知症の場合は患者本人の意思が確認できないと判断する。
d    患者本人の意思決定能力の判断には精神科医の診察が必要となる。
e    患者の配偶者と実子の意見が対立する場合は配偶者の意見を優先する。
 
【正解】b 正解率93%
【解説】
  1. 患者の意思を確認できず、家族が患者の意思を推定できる場合はそれを尊重し、できない場合は家族・医療ケアチームで最善の方法を話し合い方針の決定をする。
  2. 患者の意思を確認できる状態であれば、本人の意思が尊重される。
  3. 認知症であっても意思が確認できないと判断するべきではなく、本人の意思を推定し、尊重する。
  4. 意思決定能力の判断に精神科医の診察は必須ではないが、判定が困難な場合は相談することもある。
  5. 特定の家族の意思を優先することはしない。
 
問5
医療機関に通院中の患者が自宅で突然死した場合について正しいのはどれか。
 
a    死体検案は警察が行う。
b    司法解剖には遺族の承諾は必要ない。
c    監察医が行う解剖には遺族の承諾が必要である。
d    最終診察から24時間以内であれば死体検案は必要ない。
e    死体検案で異状が認められる場合の届出義務は医療法で規定されている。
 
【正解】b 正解率22%
【解説】
  1. 捜査機関(警察)が行う死体の見分が「検視」で、文字通り体表から犯罪の痕跡を探すものである。死体検案は「警察医」が警察からの依頼を受けて行うものである。
  2. 裁判所の令状に基づいて強制的に行う司法解剖では、遺族の同意は必要ない(「刑事訴訟法」第168条)。
  3. 監察医の解剖にも遺族の承諾は不要である(「死体解剖保存法」第8条)。遺族の承諾が必要なのは、病理解剖と承諾解剖である。
  4. 通院中の患者が自宅で突然死した場合は、異状死に該当するため死体検案が必要である。
  5. 異状死体は警察に届け出る(「医師法」第21条)。一方、医療事故による予期しない死亡例は、医療法に基づいて警察ではなく、まず医療事故調査・支援センターに報告する義務がある。


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全国公開在宅テスト 集計
 
★参加者:104名
       医師 3名、看護師 19名、ケアマネ 10名、その他介護職 9名
       コメディカル 19名、一般の方 45名
 
平均点:71.3点
 
★高得点者(敬称略)
※お名前、住所が明記されていない方には賞品の発送ができませんことをご了承ください。
   今日から2週間以内に発送します。


●80点 44名
(北海道)
髙橋 小枝子、幸田 宏美、治部 由美、あみばば、
(岩手県)
横島 正紀、
(山形県)
中澤 直美、
(群馬県)
名前なし、小屋 ゆかり、
(栃木県)
中山 晴美、
(埼玉県)
荒居 晴美、
(東京都)
佐藤 俶子、塩原 未知代、生島 清身、國府田 廣子、
(神奈川県)
うさこ、安野 奈津子
(大阪府)
宮崎 三重子、稲葉 稔彦、kororin、北村 英子、みゆん、田阪 光生、
(兵庫県)
匿名希望、藤本 智恵子、上田 めぐみ、J・O, 森 祥子、越智 玲子、
下岡 友美、キャンナス甲子園、牛込 友美子、富山 清子、切原 由美子、
浦川 智也、石田 朋子、山崎 さおり、島田 晃代
(岡山県)
高山 晴彦、小竹 享子、三浦 俊明、
(山口県)
木村 友紀、森澄 稔子
(福岡県)
K・A、平野 明子、
 
●100点 10名
(北海道)
くさなお、
(群馬県)
羽鳥 宏子、
(東京都)
榎本 浩典、中山 美由紀、佐藤 正己、馬貝塚 統子、
(兵庫県)
久美子、武田 啓一、伊東 史雄、
(福岡県)
梶原 英二、


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出題は今年の「第114回 医師国家試験問題」です。
 
正解率
問1 99%、問2 99%、問3 42%、問4 93%、問5 22%
 
さすがにこのブログ読者は問1、2は理解されています。
問3はかなり専門度が高く、
問5は法律の知識がないとできないようです。


ほとんどの方が医師国家試験に合格している、ことになります。
市民やか介護スタッフも高得点。

反対に、現役の医師は、不合格だったりして。
試しに大病院の医師にやってみてください。

今後、医学生は、このブログや私の本を読んだ方がいいかもね。



PS)
コロナチャンネル#048

発熱、肺炎。コロナを見抜くには?  
https://youtu.be/7dk67MOMWQs



クリニック屋上で歓送迎会をやった。

「マスクを外した顔を初めて見た」
入職者もスタッフもおなじこと。

1人の感染者も病欠者も出さずに、
第一波を、とりあえず乗り越えた。


IMG_4519.jpg

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この記事へのコメント

80点だったようなのに名前がないです…。

Posted by ぴちょん at 2020年06月07日 01:29 | 返信

待っていました~! 結果発表
こんなにワクワク待つことなんて何年ぶり?

しかし、残念。2つ間違えてしまいました。
直感を信じるべきでした。学生時代のテストでも、書き直して間違えるタイプでした。(笑)

問1、問2、問4は迷わず回答。(先生のおかげ)
問3は、【NSAID】【JCS】とは何ぞやと思い、ググりました。
【NSAID】お薬かぁー。
【JCS】ジャパン・コーマ・スケールの略。日本で主に使用されている意識障害の深度分類とありました。なるほど、意識レベルという事?と、思いながら更に読み進め。
覚醒度によって3段階に分け、それぞれに3段階ある事から、3-3-9度方式とも呼ばれていたそうです。(さんさんくど)かいなぁーと思いながら、『Ⅱー10』は何の意味?
更に読み進めると、表が出てきました。
【Ⅱ】とは刺激で覚醒するが、刺激をやめると眠り込む状態と書いてありました。
Ⅱー10、Ⅱー20、Ⅱー30とあり、問題のⅡー10は、普通の呼びかけで容易に開眼するとありました。この容易に、に引っ掛かりました。まだ、大丈夫意識はあるぞーと。
【Ⅰ】の方もちゃんと読めば、Ⅱの度合いをもう少し読み取れたはず。血圧も低いしなーと気になりながら何度も問題を読み返しました。
しかし、認知症もあり安易に場所を変えるより慣れた場所での治療かなぁーと、まずはNSAIDのお薬が先かと思い、最初に思ったbをやめ、また迷い、散々迷った挙句に答えをaに。(優柔不断)
そして、もう1問の間違いは、問5。
これも調べたのですが、読み込みが甘かった。
通院中で自宅だし、と思いdにしてしまいました。突然死がポイントだったのですね。

残念気分が収まらず、つまらない書き込みになってしまいましたが悪しからず。

先生のサイン入りの本が欲しかったーーーーーーーーー…。
いい年して、欲をかいてはいけませんね
本は買います。(^0^)

夢は散ったが、今日1日をまた頑張ろう!!
先生、今日もありがとうございました。

Posted by 轟 瞳 at 2020年06月07日 02:52 | 返信

正解させていただき本当に本当に嬉しいです。先生のブログを拝見させていただく事が私の毎日の楽しみです。実家の86才の父がレビーで入院しもう2年以上になりますが正月以来面会にも行けず心配な毎日を過ごしています。製薬会社からたくさんお金を貢いでもらっているような大病院の先生ではなく長尾先生のような人間として父を診てくれる先生だったら‥と思いながら父を助ける事ができない自分の無力さを嘆いてばかりいます。看護師の姉にもこのブログの話をしたら興味を持っていたのでみてくれるといいなと思います。先生の本も丸ちゃんの本も大好きなのでサイン本、とても楽しみにしています。ブログで自分の名前を見つけた時はここ何年かで一番嬉しい瞬間でした。本当にお忙しい毎日と思いますがこれからもブログが続く事を願っています、私にとって先生とこのブログは大切な生きる糧になっていますので。ありがとうございました。

Posted by 羽鳥宏子 at 2020年06月07日 06:54 | 返信

80点はあるだろうと思っていましたけど、60点しかなかった。
医師国家試験ねえ。へえ!
呼吸困難があれば救急車だね。 
私の母の場合は、お医者さんが「家族がいない時に死んだから孤独死だから遺体解剖することになるけど、いいかな?」と私の同意を求めていらっしゃったのと、CTスキャンで大動脈解離と診断されたので、強制的に遺体解剖と思いませんでした。長尾先生が「救急車を呼ぶな!!」としつこく言っているのにねえ(笑)。

Posted by にゃんにゃん at 2020年06月07日 09:36 | 返信

本が届きました。ありがとうございます
これからも長尾先生のブログを拝見し、認知症、終末期医療、人生会議、平穏死などについて勉強し周囲に伝えていけたらと思います。このようなクイズを出していただけるとめちゃ勉強になります!

Posted by 生島 at 2020年06月29日 04:06 | 返信

遅くなりましたが、無事に本が届きました。
この度はお忙しい中お気遣い頂き、そしてこのような楽しい企画を催して下さり本当にありがとうございます!
この本がこうして我が家に来てくれたのも何かのご縁、自分で読むのはもちろん、家族にも読んで貰えたら良いなと思ってます。

Posted by 中澤直美 at 2020年07月07日 01:04 | 返信

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