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製薬マネーと薬と医学部教授
2020年08月07日(金)
製薬マネーと薬と医学部教授は、癒着だらけである。
その実態を報じ、あるべき姿を論じるシンポジウム。
誰でもネットで無料で観られるので、ご覧ください。
その実態を報じ、あるべき姿を論じるシンポジウム。
誰でもネットで無料で観られるので、ご覧ください。
8月8日(土) 13:30~16:306です!
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医療ガバナンスNEWS ▽製薬マネーデータベース
2017年度版 オンラインシンポジウム▽
2020年8月5日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
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ワセダクロニクル 千金良航太郎
医療ガバナンス研究所とワセダクロニクルは本日、製薬マネーデータベース2017年度版を公開し、8月8日(土)にオンラインシンポジウムを開催します。シンポジウムの予約は不要ですので、ふるってご参加ください。
https://www.wasedachronicle.org/articles/docyens/e12/
去年に引き続き、今年もなんとか製薬マネーデータベース公開を続けることが出来ました。いつもご支援を頂いている皆様のおかげです。本当にありがとうございます。
僕は現在早稲田大学の5年生です。ワセクロには去年の4月から参加しています。入って早々、製薬企業を数社を割り振られ、保存もコピーもできないデータをひたすらスクリーンショットで記録していく・・・僕のワセクロライフはそんなデータベース作成から始まりました。
しかし何十万件もある膨大なデータを10人弱の作業メンバーに割り振り、いつもトイレからの臭気が鼻をつく事務所(サークルの部室のほうがまだ広いです)で、死んだような眼でパソコンのスクリーンに向かいあっていると、日に日にワセクロに向かう足取りは重くなっていきました。
それでも僕がワセクロを続けようと思えたのは、ここに集まるメンバーたちが全員、本気で何かを変えたい、世の中の不条理を一つでも減らしたいという志を持った最高に尊敬できる人達だからです。
「この人たちとなら頑張りたい」。いつもそう思います。
ワセクロのメンバーには、少数だからこそ、お互いの背中を任せ合う絆があります。そして目に見えずとも、僕たちを支援して下さる寄付者の皆様にもそんな絆を感じています。ですから皆様も、どうか同志として、私達を支え続けて下さい。
本日のデータベースの公開に合わせて2018年度版データベース作成資金を集めるためのクラウドファンディングもスタートしました。
https://motion-gallery.net/projects/db2018
去年のクラファンでは思うように資金が集まらず、もし今年度も資金が集まらなければ、これから継続してデータベースを作成することは出来なくなります。編集長の渡辺以下、みな貧しくギリギリの場所にいます。
どうか、これからも一層ご支援頂きますよう、ご協力お願い致します。
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【東洋経済オンライン20200805】製薬71社が大学に年200億円も寄付金払う事情 製薬会社・大学別奨学寄付金ランキングを公表
https://bit.ly/2XOdF27
【ワセダクロニクル20200805】データベース新年度版を公開、寄付金項目も追加_8月8日にオンラインシンポ「医師は製薬会社の歯車か」
https://bit.ly/3ice8md
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実は、私も会場にいる予定だ。
裏方なので映像には映らない。
こんな時代だからこそ、世界中どこにいても
このイベントをネット中継で観ることができる。
毎日、薬の整理の相談が多い。
なんでこんなに薬を使うの?
それはね、医学部教授になってもあまり楽しいことは無いので
薬屋さんの宣伝マンをやっているうちに薬信者になるのからよ。
PS)
コロナチャンネル #110
「やっぱデマやねん」by 吉村イソジン知事
https://youtu.be/xtZvrgT_5f4
以下、MRICより転載
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発熱体験記
帝京大学医学部
吉田誠
2020年8月6日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
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私は東京の医学生だ。幼いころから自然豊かな土地でのびのびと暮らしてきた。スポーツが大好きで、小中高はサッカーやバレーボールに励んでいた。
夏休みに突入し、ものすごく暇だった私は東京にある研究室にてインターンをさせてもらっていた。
7/14朝起きると何となく倦怠感を感じていたが、朝特有のだるさだと思い、インターン先へ。お昼ご飯を食べ終えた頃、喉の違和感を覚え、鏡をみた所、喉の左側扁桃の一部がつぶれて真っ赤に腫れ上がっている。すぐに治るだろうと高を括っていたため、誰にも相談せず午後の作業に取り掛かった。研究所には医療従事者や医学生がいたのですぐに相談しておくべきだった。午後3時頃帰宅のため高輪ゲートウェイ駅から山手線に乗る。乗車後すぐに寒気を感じ始める。寒気はひどくなっていき震えが止まらない。頭痛も始まった。自宅に着いたのは午後四時。着いた途端、ベッドに倒れこむ。
四時間後の午後8時、目を覚ます。頭と体の節々が重く痛い。体を起こすのにもあまりにも辛い。体温を測定したら39.7℃の熱が出ている。水を少し飲んで10分ほど様子を見る。一人暮らしをしている事もあり、今晩乗り越えられるのかと不安に感じ始める。10分後再び測定するも39.7℃。頭痛やだるさもひどくなっていく。たまらず夜8:30、救急要請を行う。
症状を伝えると、まず濃厚接触歴の有無をきかれた。無いことを伝えると、「すぐにそちらに向かいます。」とのこと。10分後、救急隊から電話をうけ、再び濃厚接触者でないことの確認を行う。3名の救急隊員が廊下まで駆けつけてくれ、内2名が部屋に入る。3名とも真っ白な防護服を着ていた。体温や指先の酸素を測るバイタルチェックを行いつつ、いつからどんな症状があるか聞かれる。確認が済むと救急車へと案内してもらう。
救急隊員は近くの病院に電話をかけ、搬送先を探してくれる。その間は指に機械をつけられ酸素濃度などのバイタルチェックをしていた。症状を伝え、ガイドライン上、濃厚接触者でないと伝える。しかし医師から、
「コロナの可能性があるね。」
この一言で救急隊員の対応が変わった。そして何より病院側の対応が変わったように感じた。症状を伝えていた救急隊員が、コロナに感染している疑いがあると病院側に伝えるようになったのだ。それを聞いた病院側は当然、受け入れに難色を示す。搬送を断られるまでの時間が圧倒的に短くなったのだ。
医師の一言でこんなに対応が変わってくるのかと感じながら、救急隊員は、病院への搬送を断られ続けている。病院aでは、「受け入れはするが、人工呼吸器がない。それでも良いのか」と救急隊員を介して、聞かれる。大丈夫と伝えるも、「本当に大丈夫なのか。万が一のこともあるから、語気を強めてもう一回言って」と電話越しに医師の声が聞こえた。結局その病院も断念。
この時点で5つ以上の救急医療機関に断られ、30分以上は経過していた。
東京都には、5つ以上の救急医療機関に断られ、20分以上搬送先が決まらない場合、新型コロナ疑い救急医療機関に指定された2次医療機関が受け入れるという東京ルールがある。その説明をうけ、東京ルールに従って病院Aへ搬送してもらう。
10分後病院Aへ到着。幸いにも診察室へはすぐに案内された。救急隊員の1人と私が診察室に入る。後から看護師と医師が1名ずつ診察室にはいる。救急隊員は、濃厚接触歴がないことと症状を医師に伝え診察室を後にした。感染の恐れがある中、とても丁寧に対応をしてくれた。
診察ではまず胸の音を聴かれ、扁桃の腫れも確認してもらう。その後、溶連菌とインフルエンザの検査をしますと告げられる。どちらかに引っ掛かってくれればと思っていた。とにかくコロナにだけはなってないよう願っていた。結果は、どちらも陰性。すると別の年上だと思われる医師が呼ばれた。「溶連菌じゃなかったか。どうしようか。」よばれた医師の声が聞こえる。しばらくの間、診察室には緊張感が漂っていた。すると、扉を少しだけ開けて顔だけ出した状態で、呼ばれた医師は説明を始めた。
「症状的には扁桃腺炎なので、抗生剤と解熱剤をもらってお帰りください。」
肺の音も異常がなく呼吸器症状などもないのでコロナだとは考えにくいという。衝撃を受けた。インターン先ではいろんな方と既に接している。また、帰るにしても寮に住んでいるため食堂やトイレ、風呂は共有である。不明の状態のままでは、研究所は活動ができなくなるし、寮でのクラスター発生も十分考え得る。不安であるし、はっきりさせないといけない。PCR検査をお願いする。
本当にするのね?それだけ聞かれてPCR検査はすんなり受けられた印象。
あ~と言いながら、左鼻に綿棒が入る。
PCR検査の感度は低く感染していても陽性を示さない偽陰性の確率が高い。ならば回数で補おうという考え方がある。実際に、NBAでは期間中毎晩、選手全員がPCR検査を受ける予定だ。
そこで検体を採取した後、PCR検査を2回受けることは出来るのかと尋ねる。しかし、「救急では生きるか死ぬかの対応をする。それはできない。」と断られる。流石に無茶なお願いだった。診察室を出る。
診察室から出ると会計。保険証を忘れたため4万6千円。
カードを持っていたが現金しか使えないようで持っていた1000円を渡した。後で保険証を持ってきて残金を払えば良いという。
水を買おうと思い守衛さんに販売場所を聞くと、よほど辛そうで同情してくれたのか分からないが、お金を受け取り自動販売機まで買ってきてくれた。優しさに救われた。本当に有難かった。抗生剤と解熱剤が処方されており、薬を待っている間は、座るのもつらく横になっていた。
薬を受け取った時点で夜11時。タクシー会社の一覧から順番に電話するが、すでに営業は終了しているか、今現在で病院の近くをタクシーが走っていないためダメだと言われるかで、一台も捕まらなかった。しょうがなく歩いていくことにした。
頭痛をはじめとした全身の痛みと倦怠感は、変わらずにあるどころか増している。熱が39℃の中歩くのは初めてだった。背中を伸ばす程元気はなく、歩幅も小さく、足踏みのテンポも半分ほどになる。通りすがる人は誰もいなく、静かで暗い道を進み、13、4回休んだ末、寮に着いた時には、日付が変わっていた。
ところが、携帯には、有難いプレゼントが届いていた。親やインターン先の方が心配のメッセージをくれていたのだ。皆さんは話を丁寧に聞いてくれ労いの言葉をくれた。気持ちがかなり落ち着いた。
特に上先生は症状を詳しく聞いてくれ、コロナの初期症状と照らし合わせコロナじゃないよと教えてくれた。思いつめていた私は少し安心する。
しかしPCR検査の結果が判明するまで分からない。既に研究所内で多くの人と接しており、広めていたらどうしよう。同じ寮に住む学生に感染させていたらどうしよう。不安な事考えているうちに眠っていた。
朝7:00目を覚ます。熱があっても起きる時間は変わらなかった。
寒気と倦怠感、筋肉痛を感じる。39.1℃あるものの、だるさは3割ほどに減り頭痛は取れていた。しかし学生寮に住む私はどう過ごせばいいのか分からず不安になる。風呂やトイレ、洗面所、食堂などほとんどの部分が共有スペースになっているのだ。陰性を証明できない限り、使用するわけにはいかない。
すると、管理会社から連絡が入り、スタッフルームに移動してくださいと言われる。スタッフルームは一階の出入り口近くにあり、トイレと風呂がついている。これなら誰とも接することなく過ごせる。
起きてから1時間ほどで再び眠くなり、夕方に起きる。体温は37.9℃になり寒気がなくなっていた。しかし、感染しているのかどうか、不安に思う気持ちは、昨日から全く変わらない。
飲み込む際、喉が痛いため、固形物はもちろん食べることができず、この日、口に出来たのは水200mL程だけだった。一人暮らしのため、直接会って苦痛を共感してくれる人はいない。
もっと 早く結果が分かれば、その分、実家に帰ってゆっくり療養することができるのに。そんなことも思いながら眠りについた。
7/16目が覚めた時には、体調が確実に良くなっているのを感じる。体温は37.5℃。
体調が良くなったものの、気持ちは落ち着かない。本日はPCR検査の結果が分かると医師から伝えられていたのだ。
しかし体は休養を欲していたのか、2時間ほど起きた後は、夜まで眠っていた。12:00頃の不在着信を確認する。
検査結果の電話だろうなと思い、すぐに折り返した。
「PCR検査の結果が出ました。今から、伝えるのは大丈夫ですか。」
との前置きがある。
陰性だった。
最初は、「そうだったんだ」くらいに感じた。すぐに、親やインターン先の方に報告し、みな良かったねと言ってくれた。親は明日迎えにいくから待っててねと連絡してくれた。陰性が出て本当に良かったなと実感し始める。
さらに実家から、食べ物が届いていた。喉が痛かった自分にも食べやすいものばかりで、3日ぶりに栄養を取りこめた。
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新宿・コロナ検査記録「無症状でも陽性反応」「陰性でも不安」
この原稿は幻冬舎ゴールドオンライン(6月6日配信)からの転載です。
https://gentosha-go.com/articles/-/27203
医療法人社団鉄医会ナヒ?タスクリニック新宿 院長
濱木珠恵
2020年7月29日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
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●医療者を対象に新型コロナのlgG抗体検査を行った
筆者は、新宿駅に直結する内科クリニックの院長をしている。 1月から広がった日本国内での新型コロナウイルスの流行は、3月中旬から4月にかけてピークに達したのち、地域差はあるものの徐々に新規の患者数は減ってきた。
このコロナ禍において、総合病院の医療者の友人たちから「新型コロナ感染者の診療を続ける中で、自覚症状がないけど自分も実は感染しているかもしれない。不安を感じる」といった声が聞かれた。
そこで、筆者のクリニックでは、医療者や介護福祉関係の方々を中心に、4月から新型コロナのIgG抗体検査を行うことにした。当初は、対象を医療者に限定していたものの、当院で抗体検査ができるという話を聞いた方々から数多くの問い合わせをいただくようになり、4月27日からは、対象を一般の人にも広げている。
●新型コロナの「抗体検査」に意味はあるのか?
抗体検査について、疫学的な調査でしか意味がないと言う人たちもいる。新型コロナは、感染者の8割が軽症もしくは無症状と言われており、感染が疑わしい人にPCR検査を行うだけでは、無症状者を含めた感染の全体像を掴むことができない。
それに対して、一定期間を遡って過去の感染の有無を確認することができるIgG抗体検査は、今年1月からの間と仮定して、市民全体のうちどれくらいの割合で感染が広がっていたかを調べるのには適した検査だ。
神戸市立医療センター中央市民病院や、大阪市立大学、東京大学なども、自施設の受診者の大規模な検査を行い、それぞれの抗体陽性率を出している。
医療機関によって、検査対象となった患者集団の背景は異なるため陽性率も差が出るが、それも含めて目安として分析していけばいい。IgG抗体検査は、疫学的な調査に有効な検査方法のひとつであり、その使い方には筆者も賛同する。
しかし、抗体検査が、検査を受けた個々人にとって無意味なものかといえば、筆者はそうは思わない。なぜなら、検査受付開始直後に来ていた方々の話を聞くと、この検査が必要だったことはとてもよく理解できるからだ。
●検査を受けられず「ずっとモヤモヤしている人たち」へ
ある50代の方は、3月に発熱があった。その頃に一緒に食事をした友人が、会食の数日後に新型コロナと診断されたと、後になってから聞いたらしい。「もしかすると自分の発熱も新型コロナだったのではないか」と確認したくて検査に来ていた。友人と会ったときはお互い症状がなく、濃厚接触者としては扱われなかったそうだ。また発熱も37度前半であり、PCR検査にはいたらなかったと言う。IgG抗体検査は陽性反応が出た。「今は特に問題もなく生活しているが、ずっとモヤモヤしていた」そうだ。
また別の20代の方は、同じ店で働く仲間数人が、3月下旬あたりから次々と発熱し、 中には匂いが分かりにくくなっていた方もいたと言う。「さすがにおかしいと思って窓口に相談してみたが、混んでいて検査ができる状況ではないようだった。新型コロナは疑わしいけど、若いので咳とか息苦しいとかの症状がひどくなければ自宅待機で様子をみてって言われた。TVとかで検査できないのは知っていたから仕方ないと思ったけど、やっぱり本当はどうなのか確認したくて」。 結果は、陽性であり、「そうだと思っていたから、検査で確認できてよかった」と言っていた。
ここでPCR検査数の多寡について議論するつもりはない。ただ、発熱があったがPCR検査を受けられなかったので気になっていたと言う人は多かった。検査を受けたくてもなかなか受けられない時期や地域があったのは事実で、確定も除外もできずモヤモヤしている人たちは一定数いるはずだ。
●「偽陰性なのでは…」不安のループから抜け出せない
ある高齢者は、4月半ばから1ヵ月近く体調不良が続くことを心配し、内科を受診した。動くと胸が苦しいと言うが、心電図に異常はない。呼吸状態も安定している。よく聞いてみると「新型コロナにかかっているのではないか。4月には心配で大学病院を受診しCT検査もした。少し陰影があるけどたぶん大丈夫だと言われて、でも結果用紙にはCOVIDは否定できないとも書いてある。心配だ、死ぬかもと思って不安になる」と言う。
もしも4月から感染が続いていればもっと悪化しているはずなので、体調不良は別の症状だろうと伝えたが、「PCR検査もしてもらって陰性だったけど、そのときに偽陰性のこともあると聞かされて、実は感染していたのかもとずっと心配している」と不安のループから抜け出せない。結局、抗体検査でも陰性だった。
筆者も通常なら、病気を疑っていない症例で、不安を解消したい目的だけの検査には意味がないと思う。だが新型コロナはまだ未知な部分も多い。このような不安を持つ人にとって検査する意義はあるのだ。もちろん、抗体検査後には、肝心の体調不良についての診療を続けている。
●「もしかして抗体をもっているのでは?」という期待も
こんな例もある。年末にでかけた中国への家族旅行で、家族共々、高熱が出たと言う。 「インフルエンザ検査は陰性だった。もしかして、あれが新型コロナだったら、今後、ちょっと安心できるのではないかと思って」とのことだったが、結果は家族全員が陰性であった。未感染であり、また仮に既感染であったとしても2回目の感染がないとは証明されていないので、引き続き感染に気をつけるようにお伝えした。抗体がないことは残念そうではあったが、それでも「これから気持ちを仕切り直しできますね」と言ってくださった。
総合病院で働く医師からは「症状は出ていないが、あれほど新型コロナの患者さんと接していて、感染していたかどうか気になる。中和抗体かどうかまだ確認されてないけど、抗体があるかどうかは知りたい。感染しても重症にはなりにくいかなと思って安心できるし」と言われた。陰性で、淡い期待は脆くも打ち砕かれていたけれど。
●まったくの無症状なのに「陽性反応」だった30代
一方で、まったくの無症状だが「職業柄、大勢と接点があるので」と検査を受けた方で陽性になることもある。たとえば、大勢の子どもたちと接する職業で、自覚症状もなく、また周囲にも新型コロナと診断された方はいなかったという30代の方がIgG抗体陽性だった。分からないものだ。見るからに健康そうな方であり、おそらく症状の出ない不顕性感染だったのだろう。本人も驚いていたが、筆者も検査結果を二度見した。
ご本人には「抗体があるので以前に感染していた可能性がある。症状がないから、時期や誰からというのは分からない。一般的に、麻疹などはIgG抗体があればその後の感染を防げるが、新型コロナに関して2回目の感染を防御できえる“中和抗体”というものなのかどうかはまだ不明だ。仮に自分の感染が防御できても、手などを介して他の人へウイルスを広げてしまう可能性はある。なので、抗体があったことに油断せず、今後も手洗いなど感染予防は心がけてほしい」と説明した。
新型コロナに限らず、体調不良について病名がついたり病態を説明されたりすれば、すっと腑に落ちて気が楽になる人は多いと思う。安心のために全員に検査をせよとは言わないが、検査を希望する人が多いのは、未知のことが多い感染症を「自分ごと」として捉えている現れではないだろうか。今後の感染予防の注意喚起と併せて抗体検査をしていくことに、それなりの意義はあると考えている。
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新型コロナPCR検査はクラスター追跡と重症の患者さんに対してだけでいいという考えを改めない厚労省(続)
わだ内科リニック
和田眞紀夫
2020年8月4日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
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前回の記事(http://medg.jp/mt/?p=9747)では、症状がありながら保健所のPCR検査が受けられなかった警察官の例をご紹介したが、そこで問題があると感じられた点を整理すると、警察官のような公共性の高い仕事に従事している人でも特別な検査ルートがあるわけではなくて一般市民と同じ基準で検査の是非が決められていること、症状がある方で医師が検査の必要性を認めて依頼しても保健所ルートの検査は約束されたものではないことなどであった。
1.PCR需要の内容による分類とそれぞれの対応
新型コロナPCR検査の対象者を一律の基準で選別しているためにこのような不都合なことが起きているものと思われる。PCR検査の需要ごとに整理・分類をして、それぞれの需要に見合った対応をとるべきではないか。主なものを列挙すると、
1)公衆衛生:クラスター追跡(濃厚接触者)、空港の防疫(行政検査)
2)医療:症状のある患者さんの診断・治療(医療保険)
3)院内感染・高齢者施設内感染等の防止:施設従事者の監視的意味合いの検査(公費負担)
4)警察・消防・学校・保育園などのエッセンシャルワーカーの監視的意味合いの検査(公費負担)
5)渡航予定者:諸外国への入国条件を満たすための検査(いわゆる陰性証明書)(自己負担)
6)プロスポーツ選手・関取り、演劇や音楽家などのスクリーニング検査:(自己負担)
7)会社、旅行者:日々の通勤・勤務、旅行前の安心のための検査(自己負担)
これだけの需要をすべて満たすためには、やはり1日少なくとも10万件から100万件の検査供給体制を整える必要がある。前記事にも書いた通り、特に公衆衛生と医療は切り離して考えるべきであり、同じ基準で対象者を選別しているために混乱を招いている。医療の現場では症状のある患者さんには速やかに検査が行えるようにすべきだし、公衆衛生の面においても高齢者と接触する機会の多い職種や公共性のある仕事に従事する方々に対しては監視的な意味合いでの定期PCR検査を反復して行う必要がある。
感染拡大防止は何のために行っているのか、その目的がいつの間にか曖昧になり、感染拡大防止自体が目的になりつつある。コロナ感染のために命を落とす人をいかに少なくするかということが本来の目的であったはずで、世界のこれまでの情勢を見ると、亡くなる方の大多数が院内感染や施設内感染で起きている(つい最近の東京都の発表でも、これまで亡くなられた方の51.7%が病院など施設内感染だったと報告された)。このことを考えると、実は(3)の院内感染・高齢者施設内感染等の防止のための施策が最も重要なはずである。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の提言(7月16日)では、一人でも感染が確認された場合は濃厚接触者以外でも行政検査の対象とするとされているが、そのような方針では到底間に合わない。これらの施設従事者の監視的意味合いの検査は定期的に反復して実施し続けなければならない。日本の公衆衛生学的視点からの対策で最も欠落しているのはこの部分である。
付記:この記事の投稿中に、大変参考になるネット記事が投稿されましたので、是非ご参照ください。
「はびこる「PCR検査拡大は不合理」説を公衆衛生の第一人者が論破!【偽陽性の問題はほぼ100%ない】 PCR検査の徹底的拡大こそ「経済を回す」」 WHO事務局長の上級顧問 渋谷健司キングス・カレッジ教授
https://bunshun.jp/articles/-/39414
2.PCR検査の供給体制の現況
ところで肝心のPCR検査の供給体制はどうなっているのだろうか?
東京都のホームページには検査実施施設として以下のものが挙げられている。
(東京都の「都内の最新感染動向」サイトの「モニタリング項目」 →「モニタリング項目(4)」→(注)参照)。
https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/
(1)東京都健康安全研究センター
(2)PCRセンター(地域外来・検査センター)
(3)医療機関での保険適用検査。
このうち(1)は都道府県に所属する地方衛生研と呼ばれる検査施設で、東京都の場合は健康安全研究センターという呼称で呼ばれているものであり、いわゆる保健所ルートの主たるPCR検査施設である。コロナの感染当初、この検査施設のキャパシティーがすぐに満杯になってしまって検査難民が続出したため、都内の各区と区医師会が共同して草の根運動的に急場をしのぐために設立したのがPCRセンターである。残念ながらいわゆる保健所ルートの健康安全研究センターでの検査割合は最近になってもわずかに増えているだけで、大半を医療機関等が行った検査に依存していることがわかる。
(東京都の「都内の最新感染動向」サイトの「その他 参考指標」 →「検査実施件数」参照)。
https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/
PCRセンターで取られた検査はどこで処理をしているかというと多くは民間の検査会社に依頼している。したがって東京都の検査枠が増えているのは民間の検査会社における検査枠(すなわち保健所の許可なく行える検査、医師の判断によって行われている検査)が増えているためである。
3.PCRセンターの問題点
PCRセンターは保健所ルートの検査キャパシティーがない分をカバーして大いに役立っているのだが、いくつかの問題点を抱えている。各区の医師会に所属の開業医や診療所のスタッフが当番制で出向いていって業務にあたっているところが多く、医師会員とスタッフの有志によって支えられている。あくまで急場しのぎであって、長期にわたって維持し続けられるものではないことが問題だ。もう一つの問題はそれぞれの区によってPCRセンターの設置方法や規模がまちまちなことだ。多くは医師会と区が共同で開設しているが、中野区などは保健所が保健所敷地内にPCRセンターを設置していてセンターの運営に参加している珍しいケースだ。杉並区は4つの基幹病院の中に検査スポットがあるだけで狭義の意味でのPCRセンターは存在しない。ちなみにPCRセンターでの検査費は都が全額助成しているので無料で受けられるが、PCRセンターの運営にかかる人件費や設備費は区が出費しており、数千万円から億単位の出費を余儀なくされている。
PCRセンターの最も大きな問題点は、各区によって検査キャパシティーがバラバラであることだ。報道によれば世田谷区では1日に300件、新宿区あたりでも数百件の処理能力があるようだが、杉並区では70件、中野区では60件、練馬区ではかつて存在したPCRセンター(6月いっぱいで閉鎖)の1日の処理数は40件であった。また、多くのPCRセンターは毎日検査できるわけではなく、平日の2~3日間で検査時間も限定して行われている。多摩地区などの都下ではPCRセンターが設置されていない市町村も多く、PCRセンターが設置されているのは都心部に隣接する武蔵野市、三鷹市、調布市、あるいは八王子市など一部の市に限られている。
これらPCRのセンターとは別に大学病院や研究部門を備えた総合病院などもPCR検査に協力しているが(例えば板橋区の日大板橋病院は1日60件までの検査を実施している)、すべての区市町村にこういう施設があるわけではない(これらの施設が上述した東京都の分類の(2)に属するか(3)に属するかは不明)。
このようにPCRのキャパシティーは地域によってまちまちであるのに各区の行政は基本的には独立していて横のつながりがなく、区によっては原則区民限定としているところもある。もともと草の根運動的に発足したシステムなのでやむを得ないところではあるが、やはり東京都がリーダーシップをとって地域差を補う総括的なシステムを構築しないかぎり検査難民は後を絶たない。
5.唾液のPCR検査の実態
筆者が所属している練馬区では、この2週間ぐらいの間に診療所で実施できる唾液のPCR検査が急速に広がっている。練馬区医師会が東京都と集合契約を結ぶことによって診療所での行政検査が実現した。とはいえ保険適用で行う検査と位置付けられており、健康保険の支払い割合によって患者さんの自己負担がある(東京都からの一部助成される)。都との集合契約はすでに多くの区市で締結されており、また東京だけでなく埼玉、千葉などの関東エリア、さらにはら全国に急速に検査体制が拡大しつつあるとのことだ。
6.唾液PCR検査のメリット・デメリット
基本的には健康保険適用の検査なのだから、病気の人、すなわち何らかの症状がある人だけが対象で、無症状の人(濃厚接触者を含む)や公衆衛生対策の要望からの検査(クラスター追跡など)は含まれないはずである。これらに該当していてもひとたび症状が出てくれば医療の対象になる。
検査方法は非常に簡単で患者さん自身で速やかに採取してもらえるので、医療関係者の感染のリスクもほとんどない。ただし、70歳上の方は唾液が少なくて必要量(約2cc)がなかなか取れないことがある。小学生以下の学童なども採取がなかなか難しく、鼻咽頭粘膜からの通常のPCRの方が望ましい。
感染症法の指定感染症のために検体の運搬には指定の3重容器に梱包して運ばなければならない。この運搬用の容器が急激な需要の拡大によって既に在庫不足の状態に陥っていて、当院でも今週オーダーした50検体分の容器が入荷されない。特にバリアパウチと呼ばれる2次容器を作成しているのは全国で1社のみで、製造が追いついていない(ちなみに行政検査でありながら容器代約2000円は診療所の持ち出しになっている。)
指定感染症という縛り付けを解除すれば、自宅での検体採取や郵送による運搬も可能になり、簡便に検査ができるようになる。これまで在宅介護の高齢者などはPCR検査が受けられない状態のまま切り捨てられてきたが、唾液のPCRなら容易に検体を提出することができる。どうしても感染症法の枠を外さないのなら市町村が巡回バスなどで検体を回収をするシステムも検討されてしかるべきだと思われる。PCRセンターの項目では区ごとの縦割り行政の弊害と東京都のリーダーシップの期待について言及したが、東京都の対応が遅いのであれば、せめて隣接する区同士が相互乗り入れ制度を検討してもよいだろう。
最後に、現在の少なくとも東京においてPCR検査を支えているのは地方自治体それも市区町村であり、国は都道府県に丸投げしていて、東京都も行政検査の認定と検査費の助成は行うものの、実質的な作業はさらに下の市区町村に任せている。このような状況で1日のPCR検査数を10万件から100万件行うことなどは到底期待できない。そもそも厚労省にPCR検査拡大する意思がないことが根本的な問題なのだ。
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この記事へのコメント
勉強になります そう言うことだったのかと納得です。
Posted by 薬剤師 井澤康夫 at 2020年08月07日 09:34 | 返信
大学教授とか学会理事という役職につくには、いかに製薬会社からカネを引っ張ってくる能力があるかどうかがカギ。多くの製薬会社からカネを引っ張れる教授は学会でもエラソーにできるし、そのおかげで薬提灯論文(多くは部下に書かせる)を量産できるので、学会の会長とか常任理事にしてその分野の権威と呼ばれます。外資系製薬会社とつながっていれば、製薬マネーで国際学会へ頻繁に出席できて、海外の同じ御用教授と親しくなれる。本人の学術的プライドとは反比例するように製薬会社の広報に堕していく。製薬会社が多額の広告費を投じているTVなどメディアに呼ばれて世間的に有名になる。それを見て信じた患者が外来に殺到しすぎて、診療に忙殺されて、一部患者は冷たくあしらわれる。教授と近つく事に成功した患者は製薬マネーで運営された患者会の会長職を与えられる。明日のシンポジウム楽しみです。
Posted by マッドネス at 2020年08月07日 11:32 | 返信
入院中医局の前で1,2時間黒服のお方が立っておられました。エレベーターに乗ると黒服の団体さんとよく乗り合わせました
看護婦さんがあれって迷惑ーとつぶやいていらっしゃいました
Posted by ドンドコドン at 2020年08月08日 08:10 | 返信
ワセダクロニクルの、オンラインシンポジウム、楽しみにして、画面を見ていましたのに、妨害の書き込みがあって、突然中断してしまいました。
オンラインも、かえって不便ですね。
コロナ肺炎ウイルス真っ盛りの東京へ出かけて行かなくちゃ、お勉強もできないのかも。
Posted by にゃんにゃん at 2020年08月09日 05:52 | 返信
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