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コロナ禍に伴う認知機能悪化と「シャムズ」

2020年08月15日(土)

コロナ禍に伴う認知機能悪化と「シャムズ」
が気になってしょうがない僕は、オカシイ?
そんな想いを日本医事新報8月号に書いた。
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日本医事新報8月号   コロナ禍に伴う認知機能悪化と「シャムズ」   →こちら
 
 
介護施設は再び監禁状態に

 第二波が地方にも広がる中、再び医療崩壊が懸念されている。今回、コロナ蔓延に伴う「認知症悪化」と「シャムズというメンタル不調」について述べたい。
感染者の7割は若者であるが重症化リスクが高いのは高齢者である。そのため特に高齢者施設においてはクラスター発生や集団感染を過度に恐れるあまり、入所者はたとえ自立している人でも監禁状態になっているところを見かける。多くの病院も再び面会謝絶になっているが、高齢者施設では面会だけでなく一歩も外に出られないので入所者に相当なストレスがかかっている。本人の意に反して閉じ込められると必ず認知機能が悪化する。高齢者はなおさらである。中等度以上の認知症の人はそもそもコロナ禍が理解できない人もいるが、それが理解できる人への監禁は認知症悪化の最大要因となる。

施設内感染防止のために「移動という尊厳」を犠牲にすることはある程度仕方がないことかもしれない。しかし日中に中庭で日光浴をしたり人通りの少ない道や公園などの散歩など何らかの代替案を示し実行するべきである。残念ながら「移動という尊厳」に配慮できる経営者や介護スタッフは現時点では少ないようだ。

秋以降、インフルとコロナの同時流行が懸念されている。そうなると監禁がさらに長期間に及ぶ可能性がある。すると当然のことながら、コロナ死よりも監禁による認知機能悪化、サルコペニア、フレイル、ADL低下、そして誤嚥性肺炎といったほうが多くなるのではないだろうか。現時点でもすでにコロナ死よりも自殺者のほうが多いのではと噂されている。今後、コロナ死よりも増えるであろう「コロナ関連死」のほうが気になって仕方がない。後者は時間をかけて進行するので、それなりの対応が可能である。そのためにはコロナ禍が及ぼしているストレスを想像する力が必要だ。
 
 
「シャムズ」の啓発を

 連日、テレビなどのマスメデイアはコロナ報道を繰り返している。それをずっと観ていると自ずと過度な不安に陥る。その結果、コロナに感染していないのに「イライラ」、「倦怠感」、「うつ」など体調不良やメンタル不調に陥る。今そうした不調を訴える人が増加している。おそらくコロナ感染者よりもずっと多い数だろう。南多摩病院総合内科の國松淳和先生はそうした新型コロナ禍におけるメンタル不調を、シャムズ(CIAMS:COVID-19/Coronavirus-induced altered mental status)と命名している。緊急事態宣言下、私は本誌で「ステイホーム症候群」への警鐘を鳴らした。1ケ月も家に閉じこもっていれば様々な不調に陥ることは当然である。しかし第二波の真っただ中の今、知っておくべきは、「シャムズ」であろう。シャムズを理解するだけでも不安定な精神症状はかなり軽快する。圀松先生は『コロナのせいにしてみよう。シャムズの話』(金原出版刊)という本を緊急出版されている。シャムズらしき患者さんを診たらこの本を勧めている。特に高齢者や介護職員には、今こそ「シャムズ」を啓発すべきだと思う。

 
介護職員にもPCR検査を

 外来診療において6月あたりからコロナ相談で来院される人の中でも介護職員が目立つ。問診するとどう考えてもコロナというよりも「シャムズ」を疑う人が多い。入所者や職場に迷惑をかけたくない気持ちが強すぎる真面目な人がシャムズに陥りやすい。うつが悪化して休職に至る人もいる。ただでさえ人手不足に喘いでいる介護現場の今後がさらに心配である。

 医療崩壊ばかりが強調されているが介護崩壊も切実である。介護あっての医療で特にコロナ禍においては両者を両輪と捉えるべきだ。先日、テレビで介護職が不足した介護施設に病院の看護師が応援にかけつけているシーンを見かけたが、まさに悪循環そのものである。また東京女子医大の看護師大量辞職報道に象徴される看護職の離職も問題だ。もちろん医療従事者の中にもシャムズが増えている。

 結局、コロナ禍において医療職と介護職が安心して就労するためには、PCR検査を積極的に行える体制を整備するしかないのではないか。諸般の事情でPCRが難しければ抗原検査でもいいだろう。介護施設ではそんな検査はできないので医療機関との連携を強化することは必須だ。今こそ、医療介護連携を推進する好機と捉えたい。そして介護職の離職を止めるための投資とエールを医療関係者にも求めたい。
 

 
7段階モデルで介護職に安心を

 国際医療福祉大学の高橋泰教授は新型コロナ感染の7段階モデルを提唱した。ステージゼロからステージ6までの7段階に分類し、各ステージに至る確率や要因を「見える化」している。日本における死亡率が低い理由の1つが自然免疫にあるとする。欧米と比べて日本の場合、新型コロナに暴露した人が他者を暴露させたとしても大半が自然免疫で処理され、軽症以上の発症比率は低く、それゆえ抗体陽性率も低い。新型コロナ感染の特徴のひとつは獲得免疫の立ち上がりが遅いことだ。一方、インフルはウイルス自体の毒性が強く、暴露(体内に入ること)、感染すると、発熱、咳、鼻汁、筋肉痛など明らかな症状がすぐに出る。そして、発症後2日から1週間で獲得免疫が立ち上がり、抗体が産生される。一方、新型コロナは抗体の発動が遅い。インフルと比べて新型コロナウイルスは「おとなしい」ウイルスと表現している。初期から中盤まで、暴露力は非常に強いが、伝染力と毒性は弱く、体内に入り込んでも、多くの場合は無症状か、いわゆる風邪の症状程度で終わるからだ。しかし、1万人から2.5万人に1人程度の確率で、サイトカイン・ストーム(免疫システムの暴走)や血栓の形成を中心とした重篤化を引き起こすので油断はできない。しかし第二波における感染症対策においてはインフルを模倣した感染モデルから脱却する必要性があると感じている。

 私は自分のクリニックの職員たちに「新型コロナは毒性が弱いために、生体が抗体を出すほどの『外敵』だと認識せず、大半は自然免疫で処理している」、そして「獲得免疫が動き出すまでもなく自然免疫で新型コロナウイルスを処理して治癒している場合が多いのでは」と説明している。すると「不安が少し軽くなりました」と答えるスタッフが多い。同様に訪問診療している介護施設のスタッフたちにもそう解説しているが、同様の感触を得ている。さらに自然免疫を高める食事やウオーキングの啓発も毎日、行っている。高橋教授の7段階モデルが広く知られて評価されるまでには時間を要するだろうが、多くの臨床家の皮膚感覚と合致している。コロナをやみくもに怖がるのではなく感染モデルを意識して対策を練るほうが合理的であろう。7段階モデルの理解は介護スタッフのシャムズ対策にも有効であると思われる。
 

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言ってもしょうがないけど、暑いですね。

夏バテしないようにするには(もちろんコロナにも)
沢山寝るしかないと思う。

しかしそれでは太る。。
だから食事は抑えて、軽く運動。

漢方なら、補中益気湯かな。

お盆は、お墓参り、読書、瞑想、
映画、そして仕事だね。





PS)

コロナチャンネル#118

コロナと戦争   強毒化する「同調圧力」
https://youtu.be/M4AQT1mk7n4


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この記事へのコメント

終戦記念日の今朝、コロナチャンネル#118を拝見している時に丁度、先生のサイン本が届きました。本業のクリニックでのお仕事に加えて、テスト採点から発送手続きまで、先生やスタッフさんの思いのこもったお手数に改めて感謝申し上げマス!8月9日の「餓死裁判」については、勝手に自分の宿題にしてしまって、未だ書き込みに至らず。色々思うこと思い出すことが多々ありながら、暑さでアタマがボンヤリしてます。
お盆期間中は県内を車でウロウロしていますが、コロナ禍のストレスに加え猛暑で若干鈍っているのか、交通事故寸前ヒヤリハットな場面に毎日のように遭遇、1日に3回の日も。助手席で心臓バクバクです。クルマもバイクも自転車も歩行者も、感染予防・熱中症予防と共に、外出時はどなた様もお気をつけて往来されますように。

Posted by taco at 2020年08月15日 11:39 | 返信

数字だけ見るとインフルエンザ並かそれ以下になっているような気がしますが、コロナ脳の方々は「コロナになるとひどい後遺症が起こる」ことを心配されているように思えます。だから風邪扱いできない。その合併症の中には「疲労感」とかシャムズ相当のものもあるのでなんだかなあ、ですが。

合併症もない元気な中高年の人が急にコロナになって心臓を悪くした、みたいなことが頻繁に起こるのであれば問題ですが、どうも想像ができません。できるだけ早く「内臓系合併症」の頻度を発表してもらいたいです。

Posted by 広島の赤牛 at 2020年08月15日 12:41 | 返信

長尾先生
また、思考の整理が出来ました。

さすがの暑さで、なかなか歩けておらず、太りました。いかん。
しかし、暑すぎる。
日没、チャンスを狙い5分でも歩くと、気持ちが変わります。
あごかけマスクと、水分持って!

今日も、ありがとうございます。

Posted by 匿名 at 2020年08月15日 12:43 | 返信

「同一圧力」これが日本人の心身を蝕む、諸悪の根源だと思います。
認知症の治療薬1つとってもこの同町圧力によって、多くの方々が薬害で犠牲になったと思います。
製薬会社と御用学者によって医師会や学会を通じて、特定の薬を使え、必ず増量しろという圧力。
フランスによってあっけなく覆されましたが。
コロナ感染対策に関しては、WHOやCDCの専門家の意見に屈せず、みなマスクをつけた日本が米国に勝りました。後で専門家は修正を余儀なくされましたね。今頃マスクつけはじめても遅い?
「専門家が言う事だがら」と盲目的に信用するのはもうやめましょう。同じ失敗を繰り返さないように。
専門家の意見こそまず疑わなければならないし、別の視点から監視しなければならないですよ。

Posted by マッドネス at 2020年08月15日 02:09 | 返信

8.15この時期、「白旗かかげた少女」(沖縄)と「焼き場に立つ少年」(長崎)を想い出す。少女のあとに続く日本兵。少年の背に死せる弟か妹。
8.15追悼式、「戦陣に散り戦禍に倒れ」。他人事のような、擦り切れたレコードを聴く。
アジア各地の山や海に餓死・感染死した皇軍兵を放置して「靖國の英霊に誠をささげる」という「政治屋」集団。皇軍に糧を奪われ強姦され殺されたアジアの女性たち。

数日前のNHK世論調査で、「(敵国)領域内攻撃阻止能力を保有すべき」50%、「保有すべきでない」27%、「分からない・無回答」23%。
「真珠湾攻撃」という「敵基地攻撃」(先制攻撃)をやってから79年。アメリカの若者たちの間では、「原爆投下は誤りだった」に逆転したという。戦後75年の日本とは真逆だ。
軍人軍属補償60兆円(朝鮮人・台湾人日本兵0円)。民間被害者0円。「1億総特攻から1億総ざんげ」。「国民ひとしく受忍すべき」。
なにごとも「完全かつ不可逆的に解決済み」が好き。
「軍隊」は、国民の生命を守らない。「沖縄戦」や「満州・朝鮮開拓民」を見よ!
 いまや「戦力を禁じた憲法」を尻目に「自衛隊」予算は、「安保環境」を理由に膨張を続ける。防衛相によれば、韓国も「敵基地攻撃」の対象だそうだ。

コロナ禍で、確実に「戦後」は過去のものとなり、10年前のことも75年前のことも100年前のことも「忘却」のかなたに。
日本人の「国民性」だけは、変わらないのだ。

Posted by 鍵山いさお at 2020年08月15日 10:00 | 返信

選挙のためですよね。2類指定感染症→5類 に変更して、本当の事を明かされては困るからでしょう。
何せ秘め事が好きな政府、抱え込み、権力行使、Bigデータ掌握はコロナ対策よりも向こうに目的あり。
個人情報掌握のための2類指定。国民がシャムズ的心理思考で取り乱していた方が好都合? とさえ。
台湾は民間出身の優秀なIT専門家を大臣に据えて、物資の在庫情報まで見える化していた。
事実を整然と明らかにしさえすれば、国民は安心して行動するし、心穏やかに規律を守る。
コロナに由来するイジメにも、政治として、すぐに反応し、子どもを守った。
情報をオープンにする事は、民主主義の基本。なんで、そんな当たり前ができないのか、日本の政治。

Posted by もも at 2020年08月15日 11:11 | 返信

高齢者施設なら「罹って死んでも仕方ない」のですけどね。インフルでも風邪でも弱ってる高齢者はなんでも死ぬものですし、死んだらそこが寿命です。しかしまあなかなかそこまでは達観できませんね。
そもそもインフルに比べるとコロナは良い病気だと思います。インフルは若い人や子供も死ぬときがありますがコロナは高齢者しか死なせません。親死ぬ子死ぬ孫が死ぬ、の順番をきっちり守ってくれてるわけで、こんなありがたい病気はありません。

Posted by 匿名 at 2020年08月16日 12:03 | 返信

日経夕刊に「看取りは自宅で・・・コロナが変えた最期の風景」という記事が載っていました。
日本看取り士会の柴田会長によると、病院での面会が制限され自宅での看取りを希望する人が倍ぐらい増えているそうです。
未曾有の感染症は、死との向き合い方を改めて問いかけていると書いてありました。

Posted by 主婦 at 2020年08月16日 09:49 | 返信

「親死ぬ、子死ぬ、孫死ぬ」ではなく、「孫死ぬ、子死ぬ、親死ぬ」でしたね。孫誕生で頼まれた禅師の「額」は。匿名さん。

Posted by 鍵山いさお at 2020年08月16日 10:48 | 返信

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