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深夜の電話
2020年08月21日(金)
深夜の電話はほとんどが介護施設からだ。
介護士は、微細なことでも連絡してくる。
これが毎晩続くと、こちらが死ぬ・・・
介護士は、微細なことでも連絡してくる。
これが毎晩続くと、こちらが死ぬ・・・
午前2時。
寝入ったころに、電話が鳴る。
ドキドキしながら、シドロモドロで出る。
「はい」
「○○施設のヘルパーの○○です。
Aさんの体温が36度8分です
「それで?」
「バイタルは異常ありません」
「解熱剤は要りませんか?」
「要らないです。様子見て下さい」
「はい」
午前3時、別の施設からまた電話が鳴り、負傷兵のようになって出る。
「○○さんの意識がありません!」
「ええ?本当? 大きな声で呼んでみてください」
「○○さーん。○○さーん。」’という声が聞こえてくる。
・・・
「今、目を覚ましました!」
「良かったです。意識が無いのではなくただ寝ていたんですね」
「そのようです・・・」
「では引き続き寝てもらって下さい。まだ午前3時だからね」
「はい、分かりました」
午前4時、別の施設からまた電話が鳴る。もう限界だ。
「今、見回りをしたら、○○さんがベッドから床に落ちてました。
ベッドに戻しましたが、怪我もなく、バイタルも異常ありません」
「良かったですね。で、なんのために僕に電話してきたの?」
「会社から何かあれば必ずすぐに医師に報告するように言われているので」
「じゃあ、報告だけ?」
「そう、報告だけです」
「それは何のため?」
「当直日誌に、医師に報告した、と書くためです」
「それは誰のため?患者さん?それとも貴方のため?」
「会社の決まりですから、そうしないと怒られます」
「はあ?」
午前6時に、別の施設からまた電話が鳴る。もうこちらが死にかけだ。
「○○さんが息をしていません!」
「えええ?死んでいるの?」
「そのようです」
「本当?昨夜はどんな様子だった」
「徐々に弱ってきたけたけども、夕食は少し召し上がりました」
「じゃあ、自然死だね。朝一で行くので慌てないで待っていてください」
その20分後に、また電話が鳴った。
「こちら、○○署の刑事ですが」
「えええ?」
どうやら慌てたヘルパーが119番をしたようだ。
到着した救急隊が自動的に警察に連絡したようだ。
救急隊と警察に、徐々に衰弱していたので老衰による
自然死であろうことを、必死で説明して、退散を促す。
24時間365日、携帯電話を持っているとこんな夜もある。
そんな生活を、25年間以上続けている僕は「アホ」である。
いろんな人からよく聞かれる。
「何時間くらい寝ているのですか?」
「よく寝ていますよ。8時間タップリ!」
こんなふしだらな生活をしたことない人に説明しても何の意味もない。
めんどくさいので、適当に答えるのだが、食い下がって来る人がいる。
「本当は、あまり寝ていないでしょう?」
「まあ、そうかな。日によるね。でも寝る日は8時間タップリ」
これで質問者は納得してくれる。
いずれにせよ、こんな介護職員のために
本を書いたり、講演をしてきた。(昨夜も)
国立認知症大学という私塾で講義もしてきた。
しかし必ず「網から漏れる」ヘルパーがいる。
株式会社が経営している施設では、「介護課訴訟回避」
のためなら、医者の命なんか関係ない、と思っている。
暑さにかまけて、ついつい愚痴ってしまった・・・
昨日は、2つの講演をした。
1)維新の会の厚労部門会議で「高齢者の孤立と孤独死」について。
いろんな有名議員から貴重な質問をたくさん頂いた。
鈴木宗男議員や石井苗子議員と、直接話ができる
ZOOMって凄い装置だな、とあらためて感心した。
2)あるヘルパー事業所で「119番と平穏死」の講演。
忙しい時間帯なのに皆さん一生懸命に聞いてくれた。
「僕は教えることが生き甲斐なんだなあ」と思った。
3)昼に2つの取材があり、夜は尊厳死協会関西支部の理事会。
関本雅子理事の息子さんの在宅ホスピス医が本を出された。
がんになった緩和ケア医が語る「残り2年」の生き方、考え方
→こちら剛君とは知り合いであるが、僕は彼を尊敬する。
彼の生き方は多くのがん患者を変える、だろう。
PS)
コロナチャンネル#124
コロナ時代だからこそ、最期は自宅で過ごしたい!
https://youtu.be/zkKaZ3PLE6g
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この記事へのコメント
何かあると現場に責任を負わせるシステムですからね。認知症の婆さんかドーナツを喉に詰まらせて死んだら介護士や看護師のせいとか。
そりゃ防衛的になるでしょう。介護士だってこんな電話意味ないと知ってるけど、連絡せずにいて死なれでもしたら下手したら逮捕ですから。
高齢者が施設で死んでもどうでも良い、くらいに国民のマインドが変わらないと駄目ですね。
Posted by 匿名 at 2020年08月21日 04:04 | 返信
100才近い母施設入居12年。.胃瘻と意識無し
世話をしている兄弟があれはもう人間でなく物みたいだと心房細動が起こっているのと
肺炎の気配有りと施設から病院に入院したと。延命治療はしないで自然死ににしてくださいと返事しました
先生のブログ読んでなかったら決断とかできず解からなかったと思います。。親鸞聖人が大好きでしたからどうか安らかにとお願いします。。施設の方のお世話で体が固まり寝たきりなのに床ずれは一度もありませんでした
Posted by エトセトラ at 2020年08月21日 08:22 | 返信
自責と他責を意識するようになったのは、家庭を持った後に働いた時。
職種と時代と自分の年齢が、所以していると思う。
それは、自責を常に念頭に置いて行動しなければならないという意味。
医療界のヒエラルキーは好まないけれど、『責任』の所在を明確にするためには
致し方無いし、視点を変えれば、各人が自責を全うしているからとも言える。
売れない営業マンは、他責思考が災いしているという。影で顧客の悪口を言う営業は
成長しないし、人間性が透けて見えるのだろう。
今の世の中、どこかで自責を考える仕組み・機会を持たないと、色々崩壊していきそう。
ただ、政治を司るところが、自分の非を認めない、改めない、そんなことばかりだから、
無理もないのか?と諦めの境地にもなってしまいそう。
深夜の電話の経緯については、元を辿れば、利用者家族が何かと言うと訴えるという他責思考が
災いしているからだと思う。自分の手を離れた時から、自責を考える家族は居るのかどうか?だ。
長尾先生が被っている皺寄せは、施設の在り方・体制にも依ると思うけれど、医師の働き方改革が
言われる時代になったのですから、せめて契約事項に明記して、施設職員である看護師が
ある程度の受け皿になる仕組みに変えないとダメじゃないですか?御身大切にして下さい。
追伸:
長尾先生が説き、実践なさった尊厳死・平穏死・在宅医療 は、生きること・死ぬこと の自責を
問う機会でもあったのかな、と思いました。
Posted by もも at 2020年08月22日 12:50 | 返信
私が先生を初めて見たのはテレビでガン末期の在宅患者さんの横で優しく微笑む姿でした。まるでその患者さんの家族のように、出しゃばらず画面の隅で見守っていました。当時私は本屋でたくさんの先生の本をお見かけし、とても有名な方だと思っていたので最初は同一人物だとわからない程でした。医者は金のためではなく人のために働くものなのだと、先生を見ていると常に感じます。言うのは簡単ですが実行てきる人はなかなかいません。
Posted by 匿名 at 2020年08月22日 06:04 | 返信
おはようございます。
株式会社が経営している施設では、「介護課訴訟回避」
のためなら、医者の命なんか関係ない、と思っている。→そうかもしれないです、お医者さんの命より、
入居者の命より、会社の経営が一番大事なのでしょう!売上上げる為に必死で、介護職員も長続きしない事多々
人手が足らないのに、離職率高いし......
暑いとそれだけで、気が滅入ります。グッチー(愚痴)書いてください。
先生も、油断しないよう水分補給してくださいね。
先生は自由な休み時間はないのですね。辛いなぁ
私も、しょうがない事が続いてます。手続きことの煩雑さなんとかならないか!
要介護5に受診はほんまに大変なんです!暑いし!グッチーです。
Posted by rico at 2020年08月22日 08:31 | 返信
長尾先生が「ふしだら」で「あほ」なら、よっちゃんはどうなるのかな
よっちゃんは睡眠時間が2時間
こんなエピソードまであった
ワールドツアーでトラブり、ムカついて「死ぬまで仕事してやる」
周りのスタッフは逆切れされるので他っておくしかない
ファンが「頼むで寝てくれ」の連発
長尾先生だけでなく、みんな一緒です(私は除く)
「コロナ時代の医療の9割は家族ため」と「深夜の電話」は笑いました。
本当に面白くて一人で大笑い
午前4時の電話のスタッフさん,「網から漏れる」ヘルパーさん、私だ
「風当りはある」のも、みんな一緒です
特に長尾和宏ドクターは有名人でみんなの人気者だから
でも、「削除」「検閲」を知らない人で、長尾先生のことを待っている人たちが沢山いることは間違いがないと思います
ニコニコ笑ってその人たちは言います
「先生、難しいことは分からないけど先生の元気な顔を見たい。先生だけが頼りだから」とか
「先生、自分の最後は頼むで」とか
そんな、声が聞こえませんか
私には聞こえます
先生は尼崎の町医者です
聴診器を肩に掛けて走りまくっている町医者
Posted by ナオミ at 2020年08月22日 08:33 | 返信
関本剛先生の御著書一気に読みました。
ぴんころ劇団での颯爽とした、若き爽やかな医師、、、私が抱いていたイメージ通りの
方なんですね。当事者の言葉は重いです。素晴らしい人間性に感服しました。
どうか、抗がん剤が効きますように、、、毎日祈ります。
Posted by ルナース at 2020年08月27日 05:29 | 返信
早速、関本剛先生の本を取り寄せて一気に読みました。不謹慎ですが、こんなイケメンさんで医師で…なぜ!と涙が何日も出てきました。 今日同居の85歳母に見せたら表紙だけで泣いていました。私は、だからね、すぐ死ぬ死ぬなどと簡単に口にしないど欲しいんだよねっ‼︎て、強く言ってしまった。長尾先生をはじめ、兵庫には素晴らしいお医者様がたくさんおられますね。長尾先生…少しでも仮眠取ってくださいね。
Posted by はやし at 2020年09月07日 02:05 | 返信
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