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渡哲也さんを偲ぶ

2020年08月28日(金)

渡哲也さんはカッコ良すぎる。
彼が逝くなんて想像できない。
逆立ちしても彼に近ずけない。

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まさかこんなスゴイ人の追悼記事を書くとは夢にも思わなかった。
しかし、連載なので、この人を差し置いて書かざるを得なかった。


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ドクター長尾のニッポン臨終図鑑  第168回 
俳優 渡 哲也さん 芸能界史上最もカッコいい「ナンバー2の男」 →こちら


酷暑のお盆に飛び込んできた訃報に、しばし呆然としました。

石原軍団を率いた人気俳優・渡哲也さんが8月10日、都内の病院で亡くなり、すでに家族葬を済ませたとのこと。
享年78。死因は肺炎との発表です。華やかな役者人生の裏側で、長きに亘る数々の病気との闘いの人生でした。

無論、お目にかかったことさえない大スターですが、私は、渡哲也さんに「ありがとう」を言いたいことが3つあります。

一つ目は、医療者としての「ありがとう」。それは、1991年、渡さんが直腸がんの手術を受けて、
オストメイト(人工肛門使用者)だと公表したことです。

大腸がんは日本の国民病といってもいいほど多いがんのひとつであり、オストメイトは国内に20万人以上いるはずですが、
はずかしい、隠したいと考える人が多くいます。

しかし、大スターの渡さんが公表されたことで、患者さんたちの空気が少し変わったと感じています。

当時、石原プロモーションの小林専務(故人)が、涙ながらに「美意識の強い彼にとって、辛い決断だった」と語ったことを覚えています。
勇気ある公表でした。

二つ目は、兵庫県民としての「ありがとう」。

兵庫県・淡路島出身の渡さんは、1995年の阪神淡路大震災の時、
石原軍団の皆さんとともに、いの一番に炊き出しに駆け付けてくれました。

当時、私は市立芦屋病院の勤務医でした。たくさんの市民が生き埋めになり掘り出された人を必死で治療しました。

東京から応援に来てくださったあなた方が鉄板で振る舞われた焼きそばをどんなにか励みに思ったことでしょう。
売名行為でボランティアに来ている人と、心から応援に来てくださっている人を被災者は敏感に嗅ぎ分けます。

石原軍団は、2011年の東日本大震災のときにも宮城県・石巻市を訪れ、2万8千食分のおでんやカレーを振る舞ったといいます。
「勇気を与えるとか、そんなことは思っていないです。少しでも元気になっていただきたい。
少しでも明日へ進む力になれればいい」と語った渡さんの謙虚さに、頭が下がりました。

そして三つ目は、男としての「ありがとう」です。
昭和・平成の大スターでありながら、あなたは、絶対に石原裕次郎さんの前に立とうとはしませんでした。

闘病中の石原さんを想い、「万が一のことがあったら、私も殉じたい...」と涙ながらインタビューに答えた渡さんは最期まで、
日本の芸能界史上最もカッコいい「ナンバー2の男」を貫いたはずです。

一歩引いた男の美学、憧れ続けます。


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すると、この記事を読まれた読者からお便りが届いた。

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長尾先生 はじめまして。先生が書かれた渡さんのコラムを読ませていただきました。
私は40年渡さんのファンでした。いえ、これからもずっとファンです。
お会いしたことは3度あり2度は偶然、一度はイベントでです。
素晴らしい俳優でした。お年賀状もいただいていましたが昨年から届かなくなり
今から思えば 直筆でしたので そんな体力はなかったのかな。
亡くなった一報は スマホで知り 夫を巻き込んで大騒ぎしました。
冷静になって考えると 病気の苦しさから解放されて やっと楽になれたのかなと思います。
長尾先生が 医師としてコラムを書いてくださったことで 素人にはわからないことがわかり ありがたく思いました。

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うーん、夕刊フジに168本書いてきて、感想を頂いたのは初めてだ。
嬉しい。どなたか知らないが、この場をお借りしてお礼を申し上げる。

それにしても毎年ファンの方に直筆の年賀状を
書かれていたことを知り、ほんとうに驚いた。

それを見習い、お礼メールをしてしまった。

それにしても渡さんって、なんて人?

カッコいいし、控えめだし、
なにより人間性が最上級だし・・・


逆立ちしても、渡さんの爪の垢ににもなれない自分。
でも、たった少しでも見習わないと、成長できない。

さよなら、渡さん。

安らかにお眠りください。


昨日、玉袋筋太郎さんとお会いした。

彼も僕と同じく金曜日の「夕刊フジ」にずっと連載を
しているが、渡さんの記事を誉めてくれて嬉しかった。



PS)
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パンデミックと自然破壊 ~すべての元凶は人間にある
https://youtu.be/7kQzoBrg8bc

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この記事へのコメント

直筆の年賀状が届くって素晴らしいですね。このファンの方にとって、一生の宝物でしょう。
SNSのお陰で、有名人との距離が近くなった気がする時代になりましたけど、昭和の大スターから
直接のメッセージが届くのは、貴重だと思います。
甘いマスクと優しい歌声がイメージされる渡さん。ハードボイルドなアクション系の演技よりも
二枚目役の方が印象に残っています。
持病によって、TVやスクリーンから遠ざかってしまわれましたが、近親者だけでのご葬儀に終始し
派手なお別れ会をしない、静かな去り際が素敵。余韻が残るような最期だと思いました。 合掌。

Posted by もも at 2020年08月29日 11:28 | 返信

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