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親孝行という親不孝

2020年09月27日(日)

日本の終末期医療は、子供世代の課題だ。

子供とは、ズバリ50代、60代のこと。

彼らの脆弱な死生観が国力を衰退させる。

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毎日、子供さんへの説明に延べ2時間は費やす。

対面や電話やメールで、あれこれ説明を尽くす。


半年間も面会謝絶が続く施設や老人ホームに

親が入所している子供には特に入念に説明だ。


全員「できることは全てやって」とか「最高の医療を」

と言うけども、「それってなんなん?」といつも思う。


当たり前だけど、一番いいだろう医療を提供したいと

模索して、人生会議も一生懸命にやっているのだけど。


万一、あとになってから、訴えられるかもしれないかもね。

医療者は、50代、60代の子供世代に振り回されている。


一方、本人への説明時間といえば、子供の4分の1程度かな。

なんなんだ、この差は!


意思表示できる80代、90代は全員「延命治療は不要」と言われる。

「そうは言っても子供はそうじゃないんだけどね・・・」と悩む日々。


正直、そんなことを毎日、毎日やっていると虚しくなってくる。

昔は一生懸命だったけど、最近は「なんなんや?」って感じだ。


リビングウイルの法的担保の無い国での看取りに医師はもがいている。

それはある意味、当然の帰結じゃないのかな。法的担保が無い、しね。


人生会議なんて言葉で、それを曖昧なものにしかけた国である。

でもさっそく「コロナ禍」ですぐに腰砕けになってしまったし。


結局、本気で「本人の意思尊重」に取り組まない国や役所は、

耳障りのいい概念だけ造って、あとは現場に丸投げ、である。


河野太郎大臣の「縦割り110番」に言いたいけど、無理かなあ。

なんとなく、根気よく、諦めないでこまめにやる、しかない現場。


それを楽しいと思う医療者はそう多くは無いだろう。

僕もだんだん疲れてきて、根気が無くなってきたぜ。


叶うならば、「リビングウイル・クリニック」で働きたいな。

そのクリニックではリビングウイルのある人しか診ないのだ。


分かり易くていいね。

本人のための医療に徹したい。


本人意思の尊重なんて世界では古代から医療の常識だけど

しかし日本ではその常識が通じない事すら国民は知らない。


50代、60代は、平和で豊かな時代を生きてきた。

その結果、「死」を知らない、考えたくない世代に。



コロナで死ななくても、その間に数十万人の人が亡くなっている。

そんな当たり前の現実すら忘れて「親は永遠!」と叫ぶ子供世代。


「親孝行という親不幸」に気が付かない子供世代。

自分がされてイヤな事を親にするのは、エゴでは。


「親孝行という親不孝」がある。

50代、60代、大丈夫ですか?


「親の老いを受け入れる」→こちら

「平穏死という親孝行」→こちら

の2冊だけでも読んで欲しいな。


そんな時間も無いよ、という子供は3分だけ下さい。

「親の老いを受け入れる」(YOU TUBE)→こちら


定期的にこんなことをブログに書きつずってきたけど

そろそろそんな愚痴からも卒業しよう、と思っている。


だから、、「またか!」と思った人はどうか許してください。


日本尊厳死協会(リビングウイル協会)の仕事に邁進しなくちゃ。

そんな60男がもっといてもいいじゃないか。仲間も沢山いるし。



谷口・ロス・・・?

なんか、元気ないかな。



PS)

コロナチャンネル #161


コロナ禍で学校に行けなくなっている子どもが増えている! →こちら


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※本ブログは転載・引用を固くお断りいたします。

この記事へのコメント

想いは最期まで残る…父や母の話を聞くのが好きだった私が感じていた事。これがわからず、自分を一番慈しみ育ててくれ、もしかすると多少ボケている今も「子供がラクになるなら」と我慢して施設や病院に入院してくれて死ぬ覚悟までしてくれているかもしれない親に対して、自分がされたら嫌な事をして親の死から逃げていても、逃げ続ける事はできないのにアホやなあと思う。良い事も悪い事も何倍にもなって将来自分に帰ってくるから私はできるだけ良い事をしていきたい、先生のように。

Posted by 匿名 at 2020年09月27日 06:10 | 返信

またか、なんて思いません!リビングウィルクリニック、あったらいいですね、私はそこで診てもらいたい。先生のは愚痴じゃありません、現場で闘っている人からこういう思いが聞けると、私の思いが決して理想論とはいえないように感じて勇気が出ます(そんなの理想だよと看護師をしている人に言われるので)。できるだけ続けていただけるとありがたいです。

Posted by 匿名 at 2020年09月27日 06:20 | 返信

認知症があり食事がとれなくなってきた(すぐに誤嚥性肺炎になるとか)方をたくさん担当しています。入院すると「万が一の時に心臓マッサージや人工呼吸を希望されますか」を中心に今後のことについてお話することが多いですが、うちの場合は「心肺停止時は生還の可能性が低い場合は蘇生を希望しない、経管栄養も希望しない、今後の治療は苦痛を緩和する方向で」と意思表明されるご家族が8割以上です。

もちろんご家族は50歳代60歳代の方が中心です。地域柄もあるんでしょうか。本音は違うけど言わないとかあるかもしれませんが、なんか腑に落ちないという表情をされるわけでもありません。むしろ80歳代の配偶者の方が胃瘻を希望されたり蘇生を希望されたりと、ご家族と話が合わないケースが多いです。

ご家族への説明に2時間かかるとのことで大変です。私の場合は30-40分のことが多いですが内容の濃さが違うと思います。うちにもたまに関西の言葉を話される方が来られますが、外来診察の時に1.5倍時間がかかる印象です。外来時間は1人10分で予定を組んでいますがほぼオーバーします。正直苦手です。リビングウィル面談なんて考えたくもありません。ここは関西の方が多く読まれていると思いますがすみません。偏見だと思ってお許しください。

Posted by 広島の赤牛 at 2020年09月27日 08:48 | 返信

親の命を助けたいと「できることは全てやって」とか「最高の医療を」と求める子世代。死ぬということを真剣に考えてこなかったツケがこの状態であり、人生会議も機能していないようですから、もう医療費の面から修正するしかないと思います。
例えば、高齢者の医療費を健康保険の適用外にすれば、「できることは全てやって」とか「最高の医療を」と求める人も減るでしょう。国民皆保険により安い費用で医療が受けられることが、延命治療のオンパレードにつながっているのでしょう。

Posted by 丘の上の変人 at 2020年09月27日 09:07 | 返信

先生、ありがとうございます。自分のことも親のこともわかりません、ただ野生になって、今日を生きることだけを考えます。

Posted by 匿名 at 2020年09月27日 08:37 | 返信

「コロナ禍の小学生」とは、日頃から「おつきあい」がある。
「開扇」も「棒回し」も、飲み込みが速く、すぐマスターする。
「一斉休校」中は、ゲームやらなにやらで暇をもてあそぶうで群れていた。

今日、岩田健太郎の「言」を見つけた。
「今の日本の政府の意志決定で一番よくないのは、『説明がない』ことなんですね。『全国の学校を休校します』と社会に大きなインパクトを与える施策を発表しても、説明なしでとにかく『やります』というだけです。」
「少なくとも安倍のマスクにはコロナの感染を減らしたり、経済を立て直したり、病院関係者の士気を高めるといった効果はゼロです。」
「旧日本軍のインパール作戦みたいなもの。インパール体質は今の日本にも脈々と受け継がれていて、コロナの感染対策でも物資と人を大事にしないことが浮き彫りになりました。日本の兵站軽視の伝統は、本当にどうしようもない。」

さらに興味深い話。「アメリカで診察していたとき、日本人とアメリカ人の体質の違いを感じた」という。「血栓症や塞栓症の患者に使う抗凝固薬の量が5倍くらい差がある。アメリカ人は多くて、日本人は少ない。」
「コロナウイルスに感染すると、血栓形成といってあちこちで血の塊ができやすい。重症化した患者さんは肺の動静脈が血栓で流れにくくなり、酸素交換ができなくて呼吸困難に陥る。」
「日本だけでなく、ニュージーランド、シンガポール、台湾、香港、中国、韓国、タイ、ベトナム、環太平洋地域の国がいずれも死亡率が凄く低い。」

「低い」。でも安心はできない。
ヒトの「免疫ネットワーク」を警官や軍隊に「見立てる」ロマンなき免疫学者が国際的に多いが、「警官・軍隊の暴走」は恐ろしい。
コロナウイルスへの過剰反応(サイトカインストームといわれるらしい)が、血液循環をつうじて、全身の臓器不全をひきおこすとか。
ウイルスは地球内でもわがヤポネシアでも各地で日々変容しており、トランプお墨つきの「ワクチン」接種が「警察・軍隊の暴走」を呼び込むやも知れない。

Posted by 鍵山いさお at 2020年09月27日 11:08 | 返信

先生がため息つかれるのもわかります。50代の代表みたいな自分で、今回のコラムは耳が痛くなりました。
でも、親に生きてて欲しいと願う感情を否定されるのはとても辛いですね。自分の意思で生死が許されるのなら、自死も否定できませんが、家族や周りに与えるダメージを考えると、決して肯定はしたくありません。そもそも人間が生まれてから、物心着くまで親の言うことを聞いて親と折り合いつけながら育ったと思います。最期くらいせめて子供の言うこと聞いて、出来る限り長生きしてほしい、同じ時間を過ごしたいと願うのは自然ではありませんか?子の我儘ですか?私は先生の言われる問題児かもしれませんが、私なりに日々悩んで苦悶しております。

Posted by 匿名希望 at 2020年09月29日 05:05 | 返信

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