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呼ぶ方も呼ぶ方、運ぶ方も運ぶ方
2020年10月22日(木)
日本人の病院信仰は根強い。
まさに医療という「宗教」。
それを支えるのは救急車。
医療とは往診である。
これは僕の座右の銘。
しかし、訪問診療を在宅医療だと誤解している在宅医が多い。
患者さんからSOSがあっても、「救急車呼んで」だけの医師。
在宅失格、だ。
痛い在宅医。
あるいは、些細なことで救急車を呼びまくる本人や家族。
自分で呼んでおきながら「救急車で運ばれた」と自慢する。
あるいは、微熱=救急搬送、転倒=救急搬送、と決めている介護施設。
彼らは在宅医療は全く信じておらず、病院だけが医療だと思っている。
その結果、日本中の救急車は年々忙しくなる一方だ。
わが街は、救急車1台当たりの稼働率が日本一に!
救急隊員も病院しか見ていない。
在宅医や訪問看護など頭に無い。
政府の「縦割り110番」に、電話してあげたいくらい。
必要がなさそうな搬送はまずは在宅医に電話すればいいのに。
要は、呼ぶ方も呼ぶ方で
運ぶ方も運ぶ方、なのだ。
たったそれだけのことが消防法という法律のために、改善できない。
呼ばれたら全例搬送し、心肺停止なら全例心臓マッサージしないと。
縦割り110番とは、そうした時代にそぐわなくなった法律を
改正することであるので、立法府である国会にしかできない仕事。
かくして、無用な搬送、無用な救急対応、無用な入院は増える一方。
経営上の理由から救急車が来たら全例入院させる方針も病院もある。
そして抑制して経管栄養して、廃用症候群が造られる。
2ケ月後、寝たきりになった患者を在宅で元気に戻す。
こんなバカげた悪循環が日々繰り返されている。
日本の医療はそれで成り立っている側面もある。
誰一人、そんな現実を直視しない。
だから「119番の本」を書いた。
MRICを読んでいたら、こんな小文が目に留まった。
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●コロナ禍に進めたオレンジホームケアクリニックでの研究 小坂 真琴
私は医学部5年生である。COVID-19の影響を受け、4月からしばらくは病院実習が中止となり、5月後半から7月までの実習はオンラインで行われた。9月以降はオンラインとオフライン両輪での実習が再開され、授業の形式については模索が続けられている。 私が実習中止の間に取り組んだのが、オレンジホームケアクリニック(以下オレンジ)での研究である。私は2019年2月より、オレンジでの研究発信プロジェクトに従事している。医療ガバナンス研究所でお会いした福嶋輝彦さんにご縁をいただいて、クリニックを訪問したところから始まった。 オレンジは、福井市を中心に約300人に在宅医療を提供している在宅医療専門のクリニックである。私はインターンとして、「在宅医療患者の急変時の対応」に焦点を当て、宮武寛知院長や尾崎章彦先生、西川佳孝先生の指導のもとで研究を行ってきた。 オンラインで電子カルテにアクセスし、データを収集する。そして定期的なZoomでのミーティングで内容を議論し、Facebookのメッセンジャーで原稿を何往復もしながら洗練させていく作業を繰り返し、ほぼ全てStay homeしながら論文作成に取り組んだ。 研究内容については、今年の7月に初の原著論文「Emergency transfers of home care patientsin Fukui Prefecture, Japan」が『Medicine』に掲載された。
在宅医療を受けている患者で救急搬送となった症例について、その救急搬送を判断した人に応じて解析した研究である。医療従事者が救急搬送を判断した場合には、現場に行って判断したか電話で判断したかに関わらず基本的に患者は入院となっている一方、医療従事者以外が判断した場合には入院せず帰宅となるケースが有意に多いことがわかった。この研究内容については、地元紙・福井新聞にも取り上げていただいた。そのインタビューもオンラインでしていただいた。 この研究を踏まえ、救急搬送を要請する動機やオレンジに連絡することを躊躇う理由、オンラインで患者の状況を判断する上での問題点を明らかにするためのインタビュー調査(オンライン)を実施中である。 コロナ禍にあっても、こうして様々なツールや手法を通じて、多様な患者や治療、コミュニケーションに触れることができる可能性がある。また、論文を書くための議論やレビュアーとのやり取りは、普段の臨床実習において論文のサマリーを作る作業よりも相互的で記憶に残りやすいと感じた。
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オレンジケアクリニックのような先進的なクリニック、は街の救急医療も変える。
僕はそんな知恵も力もないけど、次世代の在宅医にはこの命題に取り組んで欲しい。
話は変わるが、菅総理の外交政策は正しいし、政治的センスが良い。
ベトナムとインドネシアとの交流を温めることが何より大切なのだ。
つまりASEANに対して、日本が向き合う覚悟が日本にとって大切なのだ。
それは数年前タイの片田舎の小学校を訪問した時に強く感じたことだった。
内政は民間有識者の助言を広く聞くべきだ。
しかし外交は専門家集団による戦略が必要。
両者のバランスがよい総理が優れたリーダーになれる。
菅総理には「外遊ご苦労様でした」、と申し上げたい。
PS)
コロナチャンネル #186
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この記事へのコメント
先生のクリニックは救急安心センター#7119の対象地域ではないのですね。
どうせ「救急車呼んで」という医師は他の対応をしないでしょうし、「発熱=救急搬送」と決めた施設もそういう「〇〇=〇〇」という対応しかできません。だったら「119の前に#7119」の方がよほど単純でルール化しやすいです。
実施した地域では救急車出動時の軽症率が減っているそうなので、さらに広く知ってもらう+使ってもらうのと、尼崎市をはじめさらに広くどこに住んでいても#7119対応してもらえるようになると、救急隊のお仕事も少しは楽になるのではないかと思います。
Posted by #7119を at 2020年10月22日 01:54 | 返信
#186、この度も介護の事を取り上げて下さり、本当に有難いです。
生涯自立を願いつつ、万一弱った時に安心して暮らせる世の中になっているかどうか。
私は多分他所でお世話になるだろうと思っていますが、
コロナ前から、介護や福祉現場での虐待のニュースが気になっています。
本人の性格や資質あるいは施設だけの問題にして、決まり文句のような
「原因を究明し、二度と起きないよう指導を徹底する」が虚しい。
介護や育児、障害者施設など人を預かる仕事への評価やリスペクトがまだまだ不十分で
知識と技術を必要とする専門職にふさわしい対価を得られていると感じられません。
家庭内で行われていたことが仕事になった位に思われているのでは?と拗ねた見方をしてしまう。
「人の為になりたい、助けたい」弱者への労りや優しさといった、働く人の良心に頼るのでなく
もっともっと国全体で福祉の現場のことを考えて欲しいです。
先日差し入れに帰省したら、カップ麺とジュースでパンパンに満たされた袋を下げ、
目の下に濃いクマを作り、立派なメタボ腹の介護福祉士が帰ってまいりました。
中学生の子の朝食に、甘い菓子パンをポンとテーブルに置いて、重い足取りで自室へGoTo。
勤め先のホームページを見れば、利用者さんに提供するバランスとれた栄養食の画像がずらり。
あぁ職員にも同じものを作って、食べさせてくれたらいいのに・・・
旅行に食事に商店街、経済活性は大事と理解はするけど、羽を伸ばす人たちの映像を見ては
まだ自由に出かけられない身内を想い、人手不足解消と処遇改善を切に願うのです。
Posted by taco at 2020年10月22日 01:56 | 返信
後期高齢者の救急搬送は原則禁止。
後期高齢者には痛みを取ることを除き原則として医療行為は実施しない。
これでOKですが、シルバー民主主義ですから無理ですかね。
Posted by 匿名 at 2020年10月22日 07:23 | 返信
「医療とは往診である」が、長尾先生の座右の銘ですか
言葉にすると簡単だけど、実際は「千日回峰行」よか、大変なような気がします
私の場合は「同情するなら金くれよ」です
でも、お金で買えるものの有れば、無いものもあるような気がしてなりません
ある意味、お金は生きていく為の一つのツールみたいなものと、私は思います
話は飛ぶかもしれませが、「安楽死特区」を読んでいて強く惹かれ所が沢山ありました
鯨井正平と池端貴子
人って若い頃はきらびやかな事に憧れるけど、年を重ねていく内に、「妄想」だと感じるようになる
「カサブランカ」の花ですら、心の底からの美しいと、この二人は思えたのだろうか?
空っぽ心のままで「カサブランカ」をどう感じていたのだろうか?
私は鳥居医師とバルちゃんは最高のカップルに感じました
それも、優しさを周りにまき散らかす二人だと思います
こんな風に生きて行けたら、悲しい事も少なくなるのに・・・
この「#187病院にもかかれない・・・」
夜間高校の学生さんの話を聞いて、長尾先生と同じ事を感じている方々は、少なからず、いらっしゃると思います
心が折れそうになりながら「一人でも自分の話を聞いてくれる方があるなら、それで良いから」と、頑張ってみえる方が少なからずあります
長尾先生の心が折れそうになったら、得意技でお臍だけを横に向けては如何ですか
私、名案だと思うけどな
Posted by ナオミ at 2020年10月22日 09:21 | 返信
色々と勉強になります。菅総理の訪問を受けた国の人が 日本がアジアの先進国 戦後の復興の見本 アジアをまとめて引っ張って欲しいとインタビューで答えていました。(テレビ知識)私も訪問は正解だと思います。
チベットやウイグル自治区の問題にだんまりを決めるのはどうかとも思いますが。
Posted by 薬剤師 井澤康夫 at 2020年10月23日 08:29 | 返信
先生のムック本なかなか見つかりません。私の行動範囲にセブンがあまりないうえに、またまた見つけてもないです。他のコンビニでも売ってください。
Posted by iruka at 2020年10月23日 01:52 | 返信
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