このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com

竹内結子さんを悼む

2020年11月03日(火)

竹内結子さんの突然の死を悼む。

今はただそれだけしか言えない。

臨終図鑑178回は彼女を偲ぶ。 →こちら

2つの応援
クリックお願いします!
   →   人気ブログランキングへ    →   にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へ
 
 


夕刊フジ 10月30日号 長尾和宏のニッポン臨終図鑑 第178回

「ご家族は自らを責めないで」


先日、令和2年版の厚生労働白書が発表されました。

この白書の中に、〈人口100人で見た日本〉と、〈日本の一日〉という頁があり、

医療関連についても興味深いデータがいくつかあったのでご紹介しましょう。


日本の人口を100人とした時、「日常生活の悩み・ストレスを感じている」人は12.5人(12歳以上)。

「健康状態がよくない・あまりよくないと感じている」人は、12.6人(6歳以上)。

現実には、1日で2371人が出生し、3784人が死んでいます。

内、がんで死ぬ人は1031人。心疾患で死ぬ人は569人。老衰で死ぬ人は334人。事故で死ぬ人は108人。

そして自殺で亡くなる人は、55人。


この狭い日本で今日も、50人以上の人が自ら命を絶っている――それが日本の現実です。

だから、「自死」とはありふれた日常なのですと言いたいわけではありません。

50人のその向こうに、悲しみにくれるご家族や友達がそれぞれ何十人、

何百人と毎日生まれ続けていることを、忘れてほしくないのです。  


9月27日に40歳で亡くなられた女優の竹内結子さんの死をこの連載に書くことを躊躇していました。

人気者の自死の報道は影響が大きすぎるからです。あれから1ヵ月経った今、

僕は医師としてではなく、親を自死で亡くした、この国にたくさんいる子どものひとりとして、

少しお話しさせてください。


僕が高校生のとき、父は首を吊って自死しました。

珍しく、「一緒に京都に行こう」と言われいくつか寺社を巡った後、四条河原町駅で「先に帰れ」と言われました。

僕は仕方なく帰宅しましたが、父は帰ってこない。


警察から電話があったのはその数日後でした。遺体安置所で焼き場に運ばれる直前の父と対面。

途方に暮れる母と弟を長男の僕が支えねばならないと、歯を食いしばって大人になった気がします。


人生を狂わせた父を恨み、なぜ止められなかったのかと自分を責め、自暴自棄になった青春時代。

でも、もしも父が自死しなければ、僕は医者にならなかったでしょう。

死んだ父の歳を越えた頃からようやく冷静に父を悼むことができました。  


だから、竹内さんのご家族を他人事とは思えません。どうか、自分を責めないでとお伝えしたいです。

どんなに側にいても、愛していても、相手の心のすべてを理解することなど人間には不可能です。

そして自死は、恥ずべきことではありません。故人の記憶を封印せず、

美しい思い出を言葉にし続けること。

それが何よりの供養であり家族の回復の道のりだと思います。



そろそろ、こんなことがあった季節が近ずいてきました。

皆さま、寒くなってきたので、風邪ひきに注意して下さい。


PS)

コロナチャンネル #198


インフルエンザワクチンが受けられない? →こちら


2つのランキングに参加しています。両方クリックお願い致します。皆様の応援が日々ブログを書く原動力になっています。

お一人、一日一票有効です。

人気ブログランキングへ ← 応援クリックお願い致します!

(ブログランキング)

にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へ ← こちらもぜひ応援クリックお願い致します!

(日本ブログ村)

※本ブログは転載・引用を固くお断りいたします。

この記事へのコメント

先生の言葉に少し心か救われました。

Posted by しずく at 2020年11月04日 06:30 | 返信

長尾先生は自死されたお父様を恨み切れなかった、だからこそ、ご自分を責めた
本当に先生は強いし、優しいですよね
私だったら、ただ、自死した父親を恨んで終わりです
少なくとも、自分を責める事など考えもしない
そして、早く、嫌なことは忘れたいと思う
でも、長尾先生は違った。
だから、「美しい思い出」という言葉がでるのですね
そんな長尾先生だからこそ、人を診るお医者様になれたのかな

話は関係が無いかもしれませんが、新見新吉の「ごんぎつね」の童話はご存知だと思います
私、子供の頃に読んだときは特別に何も思わなかった
いたずら好きのごんが悪いから、兵十に火縄銃で撃たれてしまった、と思うくらいだった
でも、生きていれば色々とある
悲しいこと、嬉しいこと、辛くて死にたいと思ったことも
明日など来ない方が良いと思ったこともあった
今、「ごんぎつね」を読むと何故か、涙だが自然と出てきてしまう
何かが少し、違っていたら兵十とごんは理解しあえたのでは、とか
ごんが本当の悪ならいっそ良かったとか
本当に色々と思いますし、せつない気持ちで一杯なったりもする
少しは、他人の事を思う気持ちが身勝手な私でも、出てきたのかと思う

コロナちゃんの独り言
「あのね、長尾先生の生ライブ聞きたいので500円は準備したよ
 でね、iPadで聞くつもりだけど、何かアプリがいるの
 コロナ、良く解らないない
 でも、20曲とは凄いね
 コロナ、余り、音楽とか知らないのでびっくり
 音楽を聞く機会のないコロナにとっては絶好のチャンスだもん
 いつもはYOSHIKIのCDを繰り返し聴いているぐらいだしね」
 

Posted by ナオミ at 2020年11月04日 10:14 | 返信

なんで?遺されものは ハテナがいっぱいです
結子さんだって 言いたいことがいっぱいあったはずですよね

なんだかなぁ〜と思いながら 今日も元気で頑張ろう

Posted by 宮ちゃん at 2020年11月05日 12:38 | 返信

谷田憲俊先生の本を調べていて、たどり着きました。
私は集団ストーカー被害にあっています。
集団ストーカーをご存知ですか?
ご存知かも知れませんが、日本の精神病院は世界の中で最も多く
統合失調症の患者と自殺者が一番多いと言われています。
いじめなどで自殺する子供も増加しています。
集団ストーカーを知ってください。
ネットで調べてください。色々な事とつながってきます。

Posted by あやこ at 2020年11月14日 04:31 | 返信

コメントする

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:

このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com


過去の日記一覧

ひとりも、死なせへん

安楽死特区

糖尿病と膵臓がん

病気の9割は歩くだけで治るPART2

男の孤独死

痛い在宅医

歩き方で人生が変わる

薬のやめどき

痛くない死に方

医者通いせずに90歳まで元気で生きる人の7つの習慣

認知症は歩くだけで良くなる

がんは人生を二度生きられる

親の老いを受け入れる

認知症の薬をやめると認知症がよくなる人がいるって本当ですか?

病気の9割は歩くだけで治る!

その医者のかかり方は損です

長尾先生、近藤誠理論のどこが間違っているのですか

家族よ、ボケと闘うな!

ばあちゃん、介護施設を間違えたらもっとボケるで!

抗がん剤 10の「やめどき」

「平穏死」10の条件

胃ろうという選択、しない選択

  • にほんブログ村 病気ブログ 医療・医者へ