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再び、巣ごもりで認知症悪化!?
2020年12月18日(金)
高齢者の不要不急の外出自粛を要請。
それにしてもイヤな言葉が並ぶ今週。
再びの巣ごもりで認知症は悪化する。
『きらめきプラス Volunteer vol.87』在宅医療は健幸医療
コロナ感染の影響で母が家に閉じこもり、幻覚や幻聴の症状が出現。
→ステイホーム症候群では?毎日、日光を浴び、こまめに歩いてください。→こちら
きらめきプラス2020年12月号
父親を癌で10年前に失くされ、現在会社を辞め、84歳になる母親と同居されている 青森市にお住いの59歳の男性(独身)からのご相談です。よろしくお願い申し上げます。
Q)
もともと明るく友達の多い母は友達とよくカラオケや旅行などに行っていましたが、コロナの影響からか夏頃から外出は散歩程度となり、ほとんど家から出なくなってしまいました。そのうえ、先月、母の一番親しかった友人がコロナで入院、面会も出来ず亡くなったため、相当ショックだったようで、それからは一日中家に引きこもるようになり、今では時々隣の家から悪口や女性の叫び声が聞こえると言うようにもなり、母から笑顔や笑い声も消えてしまいました。また、夜中になると幻聴が聞こえるのか恐怖で寝られなくなっている時もあるようで、起こされる日も増えてきました。大きな病気もせず、あれほど食べることが大好きな母だったのに、最近では食事の量が目に見えるほど減ってきています。
先日、脳神経外科でMRIを含む認知症の検査をしてもらいましたが、検査の結果は問題なしということでした。また、念のために心療内科で診て貰ったところ、恐らく統合失調症だろうと診断されました。先生には取り敢えず薬で様子を見ましょうと言われ、2週間が経ちます。以前のような明るく元気な母に戻ってほしいのですが、この状態では入院が必要なのでしょうか?アドバイスよろしくお願い致します。
A)
「シャムズ」を知ろう
まずは、お母様はコロナ関連疾患であり幻聴などの精神症状はあくまで親友の死という大きなストレスに対する反応です。医学的にはコロナストレスによる不安とうつです。その先には「フィレル(虚弱)」と考えられる状態も待っています。連日、テレビなどのマスメデイアは感染者数の増加などのコロナ報道を繰り返していますが、それをずっと視ていると自ずと過度な不安に襲われます。
その結果、コロナに感染していないのに「イライラ」、「倦怠感」、「食欲不振」、そして「うつ」に陥ります。そうした人が増加していますが、おそらくコロナ感染者よりもずっと多い数になるのでしょう。南多摩病院総合内科の國松淳和先生はそうした新型コロナ禍におけるメンタル不調を、シャムズ(CIAMS:COVID-19/Coronavirus-induced altered mental status)と命名しました。一方、私は5月から「ステイホーム症候群」という言葉で外出を控えることに警鐘を鳴らしてきました。何ケ月も家に閉じこもっていれば様々な不調に陥ることは当然です。 第三波の真っただ中の今、市民が知っておくべきは、「シャムズ」や「ステイホーム症候群」です。そんな病態を理解するだけでも不安定な精神症状はかなり軽快します。圀松先生は『コロナのせいにしてみよう。シャムズの話』(金原出版刊)という本を緊急出版されているので参考にてください。
認知機能もいずれ悪化する
お母さまは認知症はないと言われているようですがこのまま放置すると、今後、認知機能の悪化がおきる可能性が高いです。一方、介護施設においても「認知症悪化」と「シャムズ」が深刻化しています。感染者の大半は若者ですが重症化リスクが高いのは高齢者であることは有名になりました。そのために特に高齢者施設においてはクラスター発生や集団感染を過度に恐れるあまり、入所者はたとえ自立している人でも監禁状態になっているところを多く見かけます。多くの病院も再び面会謝絶になっていますが、高齢者施設では面会だけでなく一歩も外に出られないので入所者に相当なストレスがかかります。本人の意に反して閉じ込められると必ず認知機能は悪化します。高度の認知症の人はそもそもコロナ禍が理解できない人もいますが、それが理解できる人の監禁は認知機能が悪化する最大要因になります。 施設内における感染防止のために「移動という尊厳」を犠牲にすることはある程度仕方がないことかもしれません。しかし日中に中庭で日光浴をしたり人通りの少ない道や公園などの散歩などを勧めるべきです。
たいへん残念ながら「移動という尊厳」に配慮できる経営者や介護スタッフはあまり多くはないようです。来年はコロナによる死亡よりも監禁による認知機能悪化、サルコペニア、フレイル、ADL低下、そして誤嚥性肺炎などのほうがずっと多くなるでしょう。また既に自殺者は増加の一途です。今後、「コロナ死」よりも増えるだろうこうした「コロナ関連死」のほうに注意すべきです。
後者は時間をかけて進行するので、それなりの対応が可能です。
「コロナ禍の9割は情報災害」
12月7日に「コロナ禍の9割は情報災害」(山と渓谷社)を出版しました。そう、この9ケ月間に起きた出来事を冷静に振り返るとコロナ死よりもお母様のようなシャムズや自殺の増加のほうがずっと心配でなりません。ひとことで表現するならば、まさに「情報災害」であることを認識してもらうために書いた本です。
実は、4月の緊急事態宣言下に「歩くだけでウイルス感染に勝てる」(山と渓谷社)という本も出ました。結局、歩行本として6冊も書いたことになります。是非、お母さまを元の笑顔に戻すためにこれらの歩行本を参考にしてください。 うつやフレイルや認知機能の悪化を防ぐために一番大切なことは「毎日、日光を浴びてこまめに歩く」習慣を身につけることです。たったこれだけでいいの、と思われる人が多いでしょうが、論より証拠でとにかく第一歩を踏み出してください。冬場でも日の高い時間帯にお母様と一緒にウオーキングを楽しんでください。不眠も幻覚も劇的に改善するはずです。騙されたと思って実践してください。
おそらく日本中にお母様と同じような症状の人が沢山おられます。しかし入院したら終わりです。ベッドに抑制され鼻から管を入れられてしまうかもしれません。家族と面会さえもできないので入院が今生の別れとなる可能性もあります。私の意見を参考にして主治医とよく相談してください。
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ところで・・・
昨夜のNHK「所さん 大変ですよ」の長尾部分(8分) →こちら
お騒がせして申し訳ありませんでした。(恥)
PS)
コロナチャンネル #243
PCR検査の値段、どうしてこんなに差があるの? →こちら
後半の歌は、「「ドラマテイックレイン」です。
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この記事へのコメント
長尾先生、こんにちは。
いつもブログとYoutube拝見しております。
「所さん 大変ですよ」の長尾先生パート観させてもらいました。
面白い人、みたいに紹介されてましたが、先生の普段の在宅診療の様子も紹介されており、先生の普段の様子が垣間見えました。
「人間は100%死ぬ」とおっしゃってるのが、先生の他の記事かブログで目にして、それ以来ずっと頭に残ってます。
人間は、どうせ、いずれ死ぬ。当たり前だろと思っていても普段は忘れ、自分の目前に死が現れると恐れる。
そして肉親や友人の死に遭った時、人それぞれの受け入れ方(拒絶も含む)もそれぞれ…
死後の世界はどうなる、という想像も人による死の受け入れ方それぞれ、その人の受取方次第だから本当は・・・他者があーだこーだ言うものでもありませんね。どうせ死ぬんだから、自分の最後ぐらい自分で決めさせてよ、そして自分が死んだら、後はご自由に。それから、誰かが亡くなった時の悲しみは、大きさ・強さ・形も人それぞれだから放っておいて。そう思います。
Posted by かぎしっぽ at 2020年12月18日 10:29 | 返信
わが住区の老人会も、すべての年中行事が中止になり、「歩こう会」「カラオケ」「気功ヨーガ」といった20近いクラブもすべて休止に追い込まれた。街中、長尾先生言われる「ステイホーム症候群」状態だ。道ですれちがうと「いつなったら再開できるやら」とみな溜め息、生気ない顏。心なしか猫背で、ちまちま歩き。「棒、ときどき孫と回している」と、肩甲骨を寄せ元気な声に・・。
恥ずかしげもなく往路や帰路、もよりの駅や街角で、「内家拳」やらスワイショウのデモンストレーションをやっている。「紅い鼻緒の草履に素足」という出で立ちなので、こどもやら年寄りやらが寄って来る。しばし「歓談」となる。
「寒波でも素足の馬鹿」だが、「生前葬を二度やったバカ」にはかなわない。
「所さん大変ですよ」見ました。日本も、『葬』のとらえ方がかなり変わってきたな、新しいビジネス、働き方も生まれてきたなと感じ入った。
脳梗塞直後だったか、親戚でもない方が懸案の「墓じまい」をやっていただいた。「直葬・火葬灰処分」の遺言書が喜んでいた。
Posted by 鍵山いさお at 2020年12月18日 07:15 | 返信
スーパーの駐輪場で知り合った10歳ほど年上の女性とは出身地が同じなので時々電話しています。
お医者さんの紹介で言っているデイサービスにはどこのデイサービスにも「牢名主」のようなお婆さんがいるらしい。
へるぱーさんが若いので利用者の中に気がきついのがいると、牢名主になって、お菓子を配って支配権をにぎるらしい。
でもコロナ肺炎禍下でも、「体が弱るといけないから」と思ってデイサービスにいっているそうで、安心しました。
「長尾先生というお医者さんが、太陽の光を浴びていたら、コロナにかからない」と言っていたよというと「そうやろうね。できるだけで歩くわ」と言っていました。でも脳梗塞の発作の既往歴があるので、「にゃんにゃんさんの名刺を大事にしまったけれど、どこにしまったのかを忘れて電話するのに時間が掛かった」というフレーズを数回繰り返したので心配です
。
Posted by にゃんにゃん at 2020年12月19日 08:38 | 返信
長尾先生てお洒落(*^^)v
この前のひとり紅白歌合戦の時は赤と黒でバッチリ決めてたし、生前葬の時は白装束?あっ、間違えた上が白のジャケットで黒パンツに帽子が素敵
とういうことは、ライブもしたということですか!
まあ、生前葬を盛大に催すなんて、長尾先生ぐらかもしれないと、ふと、思った
しかし、70歳にまた、生前葬をスナックでされる予定とは・・・
この調子で行くと、後、何回、生前葬をされる予定ですか?と、突っ込みたくなる
「生きている限り」と、返答が返って来たりして
先生、「所さんの・・・」を見ていて気になったのが先生が若い時はおひげがある
へぇ~、て感じかな
でも、若い時と余り、変りがないので死にまで若いままですか
「移動という尊厳」や「会食」の大切さを今、少し考えさせられます
当たり前の日常の中には「人として生きる」尊厳を意識せずしていた事
また、それをコロナ渦のなか他人の尊厳を必要以上に犯している事を忘れてはいけないような気がします
「家族や友達とのつながりをたいせつに
普段通りの自分でいよう」(読み聞かせ童話より)
コロナちゃんだけのせいにしたくない私です
Posted by ナオミ at 2020年12月19日 09:38 | 返信
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